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和の国異世界御伽噺〜妖気漂う異世界ファンタジー戦記〜  作者: 臣 治
第一章 伝説の始まり
8/26

第七噺 出会い

子供たちの手前、覚悟を決めた俺は恐る恐る倉庫の扉を開く。


キィーー

中は暗く、不気味そうな雰囲気だ。

「なんかいる?」

子供たちが怯えた様子で訊ねる。


気づくとべっとりと手汗をかいている。こんなことで緊張しちゃってるのか。

それもそうだ。本当に強そうな不審者でもいたら、俺は子供たちを守れるのか。そもそも俺は斬り殺される。不安と恐怖が込み上げてくる。


「きゃーー! やめてってば!」

女の声?

思い切って扉を開けた。


服が乱れヨレヨレになって、股間を犬にまさぐらてる女がいた。

綺麗で程よい肉付きの太ももが目に飛び込む。

「え?」「え?」

俺と女はびっくりして言葉が出ない。


咄嗟に扉を閉めた。

「ダメ! みちゃだめ!!」

「え、なになに??」

「なんだよ、ワン助大丈夫なのかよー?」

「子供たちが見るような者じゃない! ワン助は変なやつに変なことをされているだけだ!」


「ち、違うから!!」

中から女が叫ぶ。


ーーーーー


「本当になんなのあの犬!」

服を直しながら女が出てきた。

赤髪の長髪を風に揺らせながら現れたその子は綺麗だった。

綺麗な肌だ。


「いやいや! こいつは変態だ!」

「変な目で見んな!」

「お姉ちゃん、何してたの?」

「聞いちゃいけません!!」

「だから違うっての!! ちょっとお腹が空いただけよ。」


ん?あれ?

「お前、その耳、」

女は慌てて耳を服で隠す。

「待て! 見せろ!」

「ちょっと、違うの、これはその、」


この尖った耳、まさにエルフの耳!

俺が探していたものがついに、、

「お前エルフなのか?」

「はい?」

「エルフなのか!! エルフですよね! どんな魔法がつかえる!? 回復系か!?」

「言ってることがさっぱりなんだけど、」

「それとも弓矢とかなのか! 光属性とかか!」

「いや〜、この人自分の世界に入り込むタイプだな〜」

「ん〜〜、でも何でエルフがこんな世界に、、エルフじゃないのかー、やっぱ無理かエルフは」

女は顔を赤らめながら体をモジモジさせている。

「あのー、いつまで触るの?」

「あ、すまん!」

つい夢中になってずっと耳を触りながら考え込んでしまった。

それにしても良好な感度だな、もう一度触りたくなる。

俺の理性がそれを止めてくる。


「何なんだお前?この里に住んでんのか?」

「わ、私は河童よ!ほらクチバシも、皿も、あるでしょ!」

クチバシと皿をアピールしてきた、けど、、

「いや、ハーフの河童はクチバシなんて無いし」

「え、うそっ!?」

クチバシを手で隠しながら赤面する。


「お姉ちゃんそれ作ったの? おもしろーい!」

子供たちがチープな手作り感満載のクチバシに喜んでいる。

「ちょっと見ないでよ!」

「頭の皿もほんとの皿じゃないか、見りゃわかるぞ。」

「え、ちょっ、見ないで!!」

「お姉ちゃんおもしろーい!!」

「私はカッパなの!!」

「子どもにもバレバレ過ぎだしな。」

女は子ども達に必死に自分は河童だと言い張り続けている。

これでも言い張るこいつはなかなかすごいな。


倉庫の中からワン助が飛び出してきた。

「あ、ワン助!」

と呼ぶ子ども達を無視してワン助は女の足にしがみつき、夢中で腰を振り出す。

「ちょっと離して! やめて、なんなのこの犬!」

ワン助は夢中で激しく腰を振る振る。

オスの中のオスだなワン助。


「ははっ、ワン助何やってるのー?」

子供たちははしゃいでいる。

ワン助のイヤらしい顔は子供に見せたくないな。


「お前さ、本当に何者? もしかしてサイシ大国とか言う国のやつなのか?」

「違うわよ!」

犬に腰を振られながら女が答える。ワン助の頭を押さえているがワン助の本能は抑えが効いていない。

「私はカッパ!!」

取れかけのクチバシをぶらぶらさせながらポーズを決める。

「はいはい、もういいから、うんカッパね」

こいついつまで折れずに言い張るつもりなんだよ、いつまで言い続けるのか見てみたいな。


ーーーーー


ワン助は果てて満足そうな顔をしている。

もう他の遊びを始めている子供たちを横に、

岩に腰を掛けながらもう一度訊ねる。


「で、何者? 俺が言えたもんじゃないけど」

「怪しい者じゃないわよ?」

「いや充分怪しいだろ!」

自分の格好を見て言ってるのかこいつ。


「私は、、、」

女は意味あり気に俯いたまま、膝を抱きかかえ顎を乗せる。

何か言えない事情があるのか? 質問を変えてみよう。

「サイシ大国の人?」

赤い髪を振り回しながら首を大きく横に振る。

じゃあとりあえずは大丈夫そうだな。

嘘は言ってなさそうだ。


「、、、国を出て歩いてたらたまたまこの国に入って、本当にたまたまよ! 何日かコソコソこうやって食べ物をいただいてたの。」

なるほど、放浪者か。怪しさしかないが危険な奴じゃなさそうなのは何となくわかる。

「よかった、ただの泥棒か」

「違うし! 少し分けてもらってただけ!」


「お前もウロウロしてるとサムライに刀向けられるぞ」

「え、そんな怖いの!?」

「タンバ首切られたんだよ!」

アカネが急に話に入ってくる。

「タンバめっちゃビビってた!」

デンジもからかう。

「やめろお前ら!首切られてねぇし!生きてるし!」

「タンバの顔すごく怖がってたんだよ」

「うるせぇっ!」


「ふふっ、あはははっ!!」

女が笑い出した。

会ってからずっと何か悩みを抱えているようなやつだが、落ち着いたのかこんなしょうもないことで涙を流して笑っている。

それを見て俺も少し安心した。

最初見た時、変な格好で変態だと思ったが何か訳ありな雰囲気を感じていた。

今は別に聞かないでおこう。俺も今は人の悩みに寄り添えるほどの余裕はないしな。


「よし、じゃあそろそろ戻るか」

「お姉ちゃんもいこー?」

「え、私は、、、あっ河童の格好すればいいか!」

「いやそれ、正気か?」

こいつまで怪しいのが増えたら面倒なことになるかもな。


「やっぱり私はいいよ。」

「お姉ちゃんどこに帰るの?」

「私は、、、帰るところないの。でもね、どこでも寝れられるから平気平気!」

明らかに彼女は強がっている。

どこから来たのかわからないが行く宛はなさそうだ。

やはり何か訳ありか。


「いいんじゃないか。河童の里でもこの倉庫でも好きなところに居て。別に告げ口するつもりもないし、追い出すつもりもないし。」

「え、?」

「お前ら、皆んなにはシーだぞ? これは俺たちカッパーズだけの秘密だ!」

子ども達も滝の意見に賛同する。

「わかった! 秘密にする!」

「何だよカッパーズってだっせぇー」

「うるさい、お前なんか考えられるのか?」


滝の言葉に彼女は戸惑ったが、とても嬉しそうは顔をしていた。

そっか、私居てもいいのか、、追い出されなくていいんだ。

女は空を見上げて微笑む。


「お姉ちゃんお名前は?」

「そう言えば聞いてなかったな。」

「えっと、、、アメよ!」

何だその間は。明らかに嘘つこうとする間だぞ。まあ呼び方なんて何でもいいか。

「アメお姉ちゃん! アメお姉ちゃん!」

子供達が嬉しそうに名前を連呼する。


子供達のはしゃぐ姿を見て、アメも楽しそうに笑っている。

綺麗な横顔に思わず見惚れてしまう。

いや、こいつは変態だ。断じてない。ない。

見れば見るほど綺麗だな。

透き通るような肌にあのエルフ耳。

彼氏的な好きな人ぐらいいるんだろうな。


まあ、そんなことよりも目が黄色いな。

河童達は黒い目だし、武士にもこの色はいない。

この世界でも珍しいんじゃないか。

この目の色といい、あの耳といい、遺伝なのか?


ドッドッドッ


何だ? 山の方から地鳴りがする。


だんだんと激しい音が近づいてくる。

子供達は怯えながら滝の後ろに隠れる。

「なになに? 大丈夫?」

「アメ、子供達を頼む。俺が盾になる。」

決まった。格好をつけた。

間違いないこれでこの女からのポイントは上がるはず!

まあ好意を持たれても損はないだろうからな。


森から一斉に動物達が飛び出してきた。

「ひぃっ!!!」

びっくりした。

鹿や鳥、猿など色んな生き物が方々に散っていく。


「何だったんだ?」

「今のなに? てか、格好つけたわりに、ひぃ! とか言ってなかった?」

格好をつけた滝にアメが半分引き気味で詰め寄る。

「忘れてください。」


今の動物達は何だろうか。

「ねー動物たちどこに行ったのー?」

カルミが訊ねる。

「どこに行ったかって言うより、」

「何かに追われてきたのか、、」

俺とアメの予想は的中した。


フガゥ

木の影から角を生やした熊がゆっくりと現れた。

「あいつ、武士のやつが乗ってた熊か! いや角の形が違うな。」

アメが子供達を庇いながら震えている。

すると滝を指差して熊に叫んだ。

「何なのこいつ! 1番食い応えあるのはそれよ!」


「さらっと売るんじゃない!」


フガゥ

荒々しい息使いしやがって、もう少し可愛い顔をしてくれよ。

カチャッ、腰に差していた刀に気づく。

これがあればいけるか。


「グガゥアァァアァーー!」

角熊が立ち上がり吠える。

やっぱりこれがこの世界か。やるかやられるかなのか。







読んでいただき大変ありがとうございます。


見ていただけるだけで大変励みになります。


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