第六噺 会議
武士団の圧巻ぶりに見惚れていたが我に返った。
ここまでの武装、戦争や戦といったワードの羅列。
これは何か大変なことが起こるに違いない。
そんなことを考えて焦った俺は、サンズの元へ駆け寄った。
群衆の中から飛び出てダクリと強そうなタイゼンのいる前に出た。
「おーい、サンズ、、、」
一瞬だった。気がつかなった。
俺の首には既に、陽に照らされて光が反射する刃が当たっている。
「タキ!!」
サンズが叫ぶ。
「お前何者だ。」
刀を俺に突きつけて、その武士は尋ねる。
「お、お、おれは、、」
逃げ出す余裕も怖がって暴れる余裕もない。
喉元に刃が押し当てられ、血が垂れる。
「お、俺は丹波滝と言います。日本からきました。」
どうして、突っ込んで来たんだ!
人間だってこの村にはいてもおかしくないだろ!
あっ、しまった!今制服のカッターシャツ姿だ!!
そりゃ怪しまれるか!
「ニホン?サイシの間者か!」
そいつは刀を大きく振り上げ、迷いの無い目で俺を見据えている。
死んだ、確実に終わった。これを振り下ろされれば俺は真っ二つだ。
どうすることもできず、俺は目を閉じた。
キィーンッ!
鉄と鉄がぶつかる音がした。
俺は恐る恐る目を開けた。武士の振り下ろした刀とそれを止めるように横から刀がでている。
モズだ。
「ほう、俺の刀を止めるか。」
「こいつは間者じゃないんで、、ね、」
武士がグッと刀に体重をかける。
「ならばそいつは何者だ。我らを嵌めたのか。」
「それも違うっての、、」
競り合いが続く。
「待て」
タイゼンが止める。その声と共に武士はモズから距離を取る。
「これはどう言うことだ、ダクリ。」
落ち着いた様子だが、鋭い眼差しでタイゼンが問う。
「申し訳ございません。」
サンズが地に足をつけて謝罪をする。
「この者は私が連れてきました。異様ではありますが、決して間者ではございません。この者の話も追ってゆっくりとご説明申し上げるつもりでしたが、このような形になりましたこと私の責任でございます。」
タイゼンはそれ聞いて、俺の方をじっと見る。
サンズが立ち上がり、俺の方に詰め寄ってくる。
怒ってんのかな、、?
「馬鹿者っ!!!」
俺は顔面を思い切っり殴られて吹っ飛んだ。
そして、サンズは再び地に伏してタイゼンに許しを求める。
「んーー、まあ良い。色々事情があるんだろう。こちらも手が早い者が失礼した。」
さっきの武士がタイゼンに頭を下げる。
「ダクリよ、それよりも早く里に入れてくれんか、疲れたわ。」
「ああ、こちらに。皆の者!里で向かい入れの準備だ!」
「はっ!!!!!」
皆が一斉に返事をする。
うずくまる俺の元にモズが駆け寄る。
「大丈夫か?サンズ様もああするしかなくてよ」
「、、、ああそれはわかってる。俺を助けるためだろ。にしても痛すぎるわ!あいつのパンチ!!」
「なんだ、よかった、大丈夫そうだな」
「てか、お前すごいな!!俺を助けてくれたの!あっ、ありがとう。」
正直俺はモズを見直した。命の恩人だ。
「あのままじゃ、お前が切られると思って必死よ」
「そうだ、あの武士なんだよ!俺が怪しいからってあんなにすぐ切るか普通?あいつ狂ってるぜ」
「まあな、あいつはちょっと異常だな。でも、この前カントの国もサイシにこの前襲撃を受けて、犠牲もでたららしいからな。ピリついてんだろーよ」
怖さかの怒りもあるが、なるほど少しは理解できる。
その後ズボンはもちろん履き替えることになったけど、それは隠しておこう。
ーーーーー
ズボンごと服もセンコちゃんに用意してもらい一新した。
服装のせいでまた襲われても嫌だからな。
「危なかったですね、タンバ様」
「ほんと、死ぬかと思ったーー、モズに感謝だな。」
「兄がいてよかったですね」
「ああー、お兄さんがいて良かったよ、ほ、ん、、と、、、
え、今兄って言ったーーー!?」
「はい、兄です。」
「え、モズのこと!?」
「はい、モズでございます。」
嘘だろ!?!?こんな可愛くてお淑やかな子の兄ちゃんがあのモズだと!?どういう遺伝配列の違いでこうなるんだ!!
今、宮殿では会議が行われている。
河童の里カッパドルキアとカント国の領主代理タイゼンたちによる今後のサイシ大国についてだ。
俺は部外者なので会議にはもちろん連れて行ってもらえなかった。サンズに厳しく、大人しくしてろと言われた。
「タンバ様どちらに?あまり今はウロウロしない方が、」
センコちゃんにまで心配されている。
「大丈夫、散歩。その辺歩いて気分転換してくるだけだよ」
地下では宮殿の周りに人集りができている。
宮殿前に武士の見張りと河童族の見張りがいる。そして、さっき乗ってきたバケモノ熊もいる。それを珍しそうにみんな観ている。
しかし、なんだあのバケモノは、あんなの見るとこの世界が怖くなってくるじゃねえか。退治してやろうか。
見張りの武士の視線がこっちに向いた。
やべっ!上にでも行って来よう。
地上は子供が遊んでいる。
「あ、タンバだ!」
河童の子供たちはみんな懐っこくて可愛い。少し遊んだりしているうちに名前も覚えてきた。
「いけ!タンバを斬れ!」
「びしっ!俺が助けるぞ!」
完全に俺が斬られそうになったシーンを再現して遊んでやがる。
この斬れって言い出した生意気そうなやつはコウ太。
俺を助けるモズ役をやっているのが、カン次郎。
その他の群れているやつらも、タダイチ、アオナ、デンジ
「ねぇ、タンバちょっと来て」
俺の足を引っ張って上目遣いな女の子のが、カルミだ。
「どうした?なんかあるの?」
「ワン助がずっと吠えてるの!」
ワン助とはこの子らが飼っている柴犬だ。
行ってみるか。暇だしな。
◼️◼️◼️◼️
宮殿では、カント国の武士と河童族が向かい合って座っていた。
「なるほどな、謎が多いがあやつは異国から来たのか。」
タイゼンが自慢の顎髭を触りながら、考えている。
「ダクリ、よくそんな得体の知れないやつを置く気になったな。」
「ん、まあな、、」
バツが悪そうにダクリは返す。
「私が少し様子を見てあげては、と頼み込みまして。」
サンズがすかさず助け舟を出す。
「てめぇ、何か別の目的でもあんのか、頭いかれてんのか?」
「やめんかナクノ」
ヘソを出した、荒々しい女武士〈ナクノサキ〉がサンズを怪しむが、真面目そうな武士〈トト郎〉が止めに入る。
「何はともあれ、うちのが早まらなくて良かったわ」
タイゼンが笑いながら場を和ませる。
「申し訳ございません。」
滝に斬りかかった男〈ホセノツネマル〉がダクリ謝罪する。
「そちらが謝ることもありません。このサンズが身勝手にもあの異邦人を招き入れたことが原因。謝るのはこちらでございます。」
とサンズを横目で見ながら言い出したこの河童は、サンズと肩を並べている参謀で領主ダクリの側近である〈グテン〉だ。主にはサンズが取り仕切っているがこのグテンも取り仕切っていて、2人の力は拮抗している。
そのため、サンズのことをあまり良く思っていないようである。
「それはそうと、、何故、お前らの国は襲われたのだ。」
ダクリの質問で空気が一気に張り詰め、カント側の顔つきが変わった。
「わたくしがお話しさせていただきます。」
カントの1番端に座っていた、女忍〈カワセミ〉が話し出した。
「ここ数年に渡ってサイシ大国と我々カントの間で大きな争いはなく、直接領土を攻めてくるなど皆無でした。その理由はカントとサイシ大国の間に位置する湖〈琥珀湖〉があるからです。しかし、最近の日照りで琥珀湖が干上がって縮小し、今回カントまでの道ができてしまいました。」
それを聞いたサンズが質問をする。
「琥珀湖は自然に干上がったのでしょうか。それとも、、」
「天族がやったかってことだろ?」
タイゼンが口を挟む。みんなこのタイゼンの発言にハッとした。
「サイシ大国を納めてるのは天族だ。可能性は充分にある。
なにしろ天族は天候を操れる。それも造作もないことだろう。」
再びサンズが質問する。
「この度の件に関して、アマノ大国はなんと仰っておられるのですか。」
タイゼンが答える。
「無論、勝手に攻めてはならないとのことだ。」
皆が萎縮する。
「だが、アマノの天大王の将軍家であるスザ様は、攻めてきたのなら反撃の体勢を取れと仰っておる。つまり、攻めてきたのなら存分に暴れても良いということ、、、皆の者よ!!」
急にタイゼンが畳を強く叩いて声を荒げる。
「わしらはサイシどもに進軍され、犠牲を払った。次にこのカッパドルキアに攻めてきたのなら今度は奴らの首を捻り潰してくれる!!!天大王様もお認めになられる!!
いいか、奴らの息の根を止めてみせるぞ!!」
そして高笑いをした。
サンズは少し引き気味で見ている。
このおっさん前から心配なんだよな。1人で百騎も倒すほどの男だとは聞いているが、怪しいものだ。
しかし、今回はサイシ大国、他の諸国とは比べられないほどの大国だ。
我々河童族だけではひとたまりも無いだろう。ここはこの男に賭ける他あるまい。
「しかし、サイシ大国は最近諸国を占領して領地の拡大をしており今もなお進行中。なぜこのような行動に出ているのでしょうか。」
モズが質問した。
「流行り病だそうだ。」
グテンが答える。
「病!!」
「それは誠か!グテン殿!」
カントの武士が前のめりになる。
「先日、サイシに襲われた諸国の民が逃れてここを通って行きました。その時その者から得た情報です。」
「流行り病で国が乱れ、サイシの天族女王〈ヒガナミ〉様がご乱心であられると聞きました。」
ガアクも補足する。
「それが間違いなければ、今サイシ大国は疲弊しているかもしれんな。」
「そうなれば、我々で軍を滅ぼすことも容易いかもしらませんな!」
カント連中はこの情報に喜ぶ。
「しかし、流行り病ともなれば我々の領土にも病が持ち込まれる危険もあります。」
ホセノツネマルがそう言うと皆頭を悩ませる。
「まずは、侵略してきたサイシの軍勢を迎え撃つ策を考えましょう。」
サンズの提案で皆、サイシ大国への対抗策を話し合うのだった。
◼️◼️◼️
俺は子供たちにワン助のもとのへ連れて行かれている。
「なあ、吠えてるって何に吠えてるんだ?」
「しらね!」「早く早く」「急げよタンバ!」
「わかったから急かすなよ」
連れて行かれた先は畑のそばにある倉庫だ。
「ここに何があるんだ?」
「ここには畑で取れたお野菜が置いてあるの!」
一時的な備蓄庫か。中からワン助の吠えてる声が聞こえてくる。
「中に何かいるのか?」
怖くて倉庫を開ける勇気が出ない。
カルミが俺の足にしがみつく。子供たちが怯えている。
俺が見てやるしかないか。仕方ない覚悟を決めてやるぜ。
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