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和の国異世界御伽噺〜妖気漂う異世界ファンタジー戦記〜  作者: 臣 治
第一章 伝説の始まり
22/26

第二十一噺 想い


河童の里は自然に囲まれた良いところだ。

畑を耕す河童達は汗を流しては、頭の皿に水をかけている。

その甲斐あって、多くの野菜が育っている。

空に目をやるとゆっくりと雲が流れている。

思えば学校の授業中にもこうして空を眺めていたな。


父さんの死から、全てが無駄に思えていた。

勉強をして、良い点を取って良い成績を納めて、良い大学に行って、良い会社に入る。そうじゃなくてもそこそこの暮らしをして好きなように生きたり、夢を追いかける。

そんなことを夢見て生きたってどうせいつか予期せぬタイミングで死ねば何の意味もない。

そう思うとやりたいことなんて思い浮かびもしなかった。


でも今は気を抜いたら死ぬかもしれない目の前に現実に恐怖する。

サンズの立場や思いを汲んで戦さにでるとは言ったものの、やはり時間が経ってくると底知れない恐怖に襲われる。

狸の村の一件で少しは変われるかもしれない、死よりもも生きることへの渇望を見出せるかもしれないと思ったがどうやらそれは一瞬の気持ちだったみたいだ。


目の前では河童達がいつも通りに暮らしている。

男達は皆戦さに備えて武器の準備や実践トレーニングをしている。

アカデには冗談ぽく言ったが俺は本気で、戦さ場で逃げて落ち延びようとしているのに。


「タンバ様、」

優しく声をかけられた。この声はアカデではない。

そこにいたのは綺麗な瞳とたわわな胸をしたセンコだった。

「センコちゃん、どうしたの?」

「タンバ様、今お忙しいですか?」

「いや忙しくはないけど、、」

「だったら私と少しお散歩しませんか?」

にっこり微笑む彼女に気分じゃないと断ることはできなかった。


ーーーーー


地下のカッパドルキアを歩きながらセンコは俺に色んな話をしてきた。

「兄もサンズ様も本当に芋の皮を取るのが下手で」

楽しそうにしている。悪いが俺は愛想笑いをしてあげれるほど気持ちに余裕はない。

「あ、見てくださいタンバ様! あそこが里の台所です。とれた野菜や肉をここで調理しているの。」

「へぇー、ここなんだ知らなかったな」

「タンバ様があまりくるところではないですもんね、」

意外と綺麗なところだ、この世界の衛生面は全く期待してなかったがなかなかだ。それに鉄製の器具もある。

不思議な感覚だ。


「あんたが噂の男かい」「何だよ死んだ川魚の目してぇ」

「つまみ食いしてるの私達」「こらっ、またつまみ食いして少なるからダメだってば!」

「あんたも食べるかい? 採れたてだよ」

調理中の女河童達に沢山声をかけられて、刺身まで食べさせてもらった。

よく戦さがあるってのにあんな落ち着いていられることだ。戦さに出ないから関係ないのか?


次に地上の川に連れて行かれた。

そこでは子供達が楽しそうに水遊びをしている。

まさに河童だ。

「あっ、タンバだ!」

コウ太が俺を見つけて飛びかかってくる。

「おい、いてぇだろ。」

「よしっ、みんな水をかけろっ!」

コウ太の指示で子供達が一斉に水をかけてくる。

河童の子供も水掛けはレベルが高い息ができないほど浴びせられる。

「し、死ぬわ! はぁはぁ」

子供達は大喜びだ。間髪入れずにまた水をかける。

「だから、死ぬって! 息できんわ!」

また子供達は大成功と言わんばかりに喜んではしゃいでいる。それを見ていると少しばかり元気が出てくる気がする。

「あっ、タンバが笑った!」

「えっ、」

今笑顔だったのか、気づかなかったな。

「やっと笑った!」「やったタンバが笑ったぞ!」

「何死んだ川魚の顔してるんだよタンバ!」

「お前ら、、」

俺を元気づけようとしてくれてたのか。こんな子供に気を使われるとは情けない。

そんなに動揺してるなんて、せめて普通の振る舞いぐらいしないとな。


「タンバ、戦さ行くのか?」

コウ太やカルミ達がさっきとは打って変わって心配そうな表情をしている。

「ああ、行くんだ。」

「そっか、、、」

「大丈夫だって! 余裕だって!」

「そっか! さすがタンバだな! 嘘ばっかりだ」

見透かされたのかよ。

「タンバびびってる〜、タンバ死ぬなよ!」

「うるさい!」

思わず、怒鳴ってしまった。センコも引いている。

でも言葉は勝手に出ていた。

「お前らは戦さに出ないから怖くないだろうけどな、こっちは死ぬかもしれないんだよ、覚悟するのに必死なんだよ! お前らみたいに何も考えてないガキと一緒にすんな!」


パチーンッ

センコの強烈な平手が顔に入る。

「ごめん、言いすぎた。」

子供達は泣いているかもしれないと目をやった。

そこには真剣な顔でこちらを見つめている子供達がいた。誰一人泣いてもいない、ただこちらを悲しそうに見ている。

「ごめんなタンバ」

コウ太が謝ってきた、拍子抜けしてしまう。

「俺らも怖いんだ、、だからこうやって怖くないフリしたんだ。」

その言葉にハッとなった。

俺はどうしようもない馬鹿だ。こんな子供でも怖くないように演じて気持ちを整理しようとしているのに俺は、、

「あたしたちも怖いよ、、でも怖がってももっともっと皆んなが怖がるだけだから。」

「父ちゃんと母ちゃんも昨日家で泣いてた。」

俺は本当に情けなさすぎる。俺だけが怯えてるつもりになって、、きっとセンコちゃんも、、

センコは黙っていたが

「ごめんなさい、つい手が出てしまって!」

頭を下げてきた。

「いや、俺の方こそ、、本当にごめん。俺を励ますために散歩に誘ってくれたのに。」

「いえ、、、みんな怖いんですよ、これから大国が攻めてくる。里がどうなるのかわからない恐怖で、、夜も里のあちこちで泣く声や弱音を吐く声が聞こえています。

でもみんな必死に堪えている。」

恥ずかしく言葉が出てこない。


「さっきの女性達も戦さに出る旦那様達のことを思って不安で震える夜を過ごしています。でも子供達の前や人前ではいつもよりも気丈に振る舞って、、だからタンバ様も不安で当たり前です。生きて帰ってくることだけをお考えください。」

センコは涙を浮かべて微笑む。

俺はセンコに頭を下げてその場から走り去った。

何で走り去ったのか、恥ずかしいからか、あるいは泣きたかったからなのかわからない。

走り去って俺はそのまま誰もいない茂みに倒れ込んだ。

今自分の頭で何を考えているのかも整理できていないが、腰の刀を抜いてひたすらに振り続けた。


ーーーーー


草むらから何かが蠢く音が聞こえる。

音は遠いが、次第にこちらに近づいて来ている。

滝は音の方を振り返り、持っていた刀を構えてそれを待つ。

もうすぐそこまで来ている。

何かはわからないが大きいものでないようだ。

草むらから何かが高く飛び上がり出てきた。


「ひやあぁぁぁー!!」

悲鳴と共に転がり込むそれが何か一目で分かった、ウサギだ。

どこにでもいるような普通の白いウサギだ。

今こいつ声を上げてなかったか?

ウサギは体についた埃を払うと良い毛繕いを始めた。

むくっと後ろ足で立ち上がると滝と目が合った。

「ひやぁああ!!」

「うわぁああ!!」

お互いが悲鳴をあげて驚く。

「何だよお前!!」

「待ってください! あっしを斬るおつもりですか!!」

滝の持っている刀を皆がらたじろいでいる。

スッと刀を背中に隠して、ウサギの動揺を解く。

「お前は何者なんだ、喋るってことはただのウサギじゃないな」

「あっしはただの喋れるウサギですよ、それよりあなたこそ一体こんなところで何をされてるんですか?」

見たところ強そうでもないし、危害を加える様子も全くないみたいだ。

「それにしても何で転がり込むように草むらから逃げて来たんだ?」

ウサギは滝の後ろの飛び出てきた草むらを小さい指で指す。

「あ、あそこに蛇がいるんですよ!」

滝が振り返るとそこには白い蛇が赤い目を光らせて上に伸びていた。

「うわぁあ!」

滝は思わずよろけてしゃがみ込む。

立てに伸びているが滝の背を超えている。推定2メートルはあるであろう体で滝たちを見下すようにじっと様子を伺うように見ている。

滝は落とした刀を咄嗟に拾い上げて蛇に構える。

蛇は二俣の舌をチロチロで出すとスッと草むらの中へ帰って行く。

「何だあの蛇、デカすぎんだろ」

「行ったみたいでやんすね」

滝はウサギの声を聞いてウサギの存在を思い出して刀をウサギに構える。

「いやいや待ってくださいよ、あっしは人畜無害のウサギですって」

「いや、この世界の妖怪は人と同等の知性を持つ妖人と知性のない野良の妖怪に別れているはずだ。動物も勿論喋れる奴なんていない。お前は知性を持っている、ただのウサギな訳がない。」

「旦那、信じてくださいよ。だったらそりゃあっしも妖人と分類に入るってことでしょう。でもその辺の妖怪みたいに妖気なんて使えませんよあっしは。つまり喋れるただの変わったウサギってことになるんですかね」

喋れるただの動物? そんな分類の生き物がいるのか、それとも平気でこいつは嘘をついているのか。

だが、どちらにしてもこいつになら勝てそうな気はするな、一回落ち着こう。

滝は構えていた刀をゆっくり下ろした。

「やっとわかってくれやしたか、勘弁してくださいよ。あ、そうだあっしに場所を教えてくれやせんかね。あの蛇野郎に追っかけやれて夢中で逃げてたらどこにいるのかわからなくなってしまいやして。」

ウサギは長い耳をぽりぽり掻きながらヘコヘコしている。

怪しさは消えないが、ここで何もしてくる気は無さそうだ。

「ここは河童の里の中だ、ちょっと外れだけどな。それよりお前は何をしてあの蛇に追い回されたんだ」

「そりゃまあ、あっしも色々ありやして。ただ蛇がウサギを追い回すのに理由は一つしかないでしょ。」

それもそうだ、蛇にとってこんな丸々としたウサギがいたらヨダレを垂らしながら追いかけるしかないか。

「へー、ここが河童の里なんですね初めてきやしたよ。意外と何でもない森なんですね」

「お前もしかしてわんとと関係ないだろうな?」

「あんな妖怪と一緒にしないでくださいよ〜、あいつらはただの妖怪でしょ、あっしはあんな力もないしバカでもないですよ。」

同じウサギでも姿形は全く違うので本当に関係はなさそうだ。


「そんなことよりさっきこの世界とか妙なこと言ってなかったですかい?」

「あ、いやそれは話せば長くなるんだけどな」

「前もいましたよ、こっちの世界には暦はないのかとか聞いてくる人が、目つきの悪いいかにも悪人みたいな奴でしたよ。」

「おい、ちょっと待て。お前会ったのかそいつと?」

ウサギは滝の問いに目を丸くしている。

滝は鳥肌が立って興奮してウサギを抱き上げで強く揺らした。

「待ってください、どーしたんですか!」


この世界って、ってことはそいつも俺と同じ別の世界から迷い込んだってことなのか。

「なあそいつ他に何か言ってなかったか!!」

「別に、ここはどこだとか訳のわからないこと聞かれて答えたぐらいで」

「服装は! 見た目は!」

「ちょっと待ってくださいよ!」

ウサギが強く握る滝の手で苦しそうにしていること気づき手を離した。

「もうどうしたんですか、お知り合いなんですかい?」

ウサギは怪訝な顔をしながら滝の異常な態度に疑問を抱いていた。

「実は俺は別の全然違う世界から来たんだ」

ウサギは鼻をヒクヒクさせて無言のまま耳を掻く。

突然のことに驚いて言葉にならないのか、それともこんなふざけた話を唐突に信じてもらうのが難しいのか。


「そういうことですかい。」

「信じてくれるのか? なにか知っているのか?」

「いや何も知りませんよ。ただ御伽噺や昔の言い伝えにもそんな話はありやすしね、ないことではないのではないかと。」

そういえば前にもそんな伝承があるって聞いたな。

こいつの会ったという奴も別の世界から来たならやっぱり俺だけじゃないのか。

「ちょっと興奮しちまって悪かったよ。できればお前の知ってること教えてくれないか」

ウサギはつぶらな赤い瞳で俺のことじっと見て耳と鼻をヒクヒクさせる。

「わかりやした、いいでしょう。何が聞きたいんですかい?」

「そうだな、まずは」

「あっでも、あっしのわかる範囲のことしか考えられないですからね。わからなかったらすみません。」


たしかに、この世界と向こうの世界との関係まではわかるわけないだろうしな

「まず、その別の世界から来たってやつの昔話を聞かせてくれ」

「意外でしたね、妖気や妖怪のことを聞かれるのかと思いやした。」

「ああ、その辺は河童達からある程度は教えてもらってるからな。」

ウサギはそうですかと不満気な顔をして、そこにあった丸太に腰掛け、滝も促されてウサギの正面に座った。


「この話はいつどこで言われ出したのかはわかりやせんが、かなり古くから伝えられていやす。昔々、、」

入り方はどこの世界も同じなんだな。

「あるところに、喧嘩ばかりする腕っぷしの強い男がいました。男は喧嘩ばかりしていて皆寄りつこうとしませんでした。男には家族がおりましたが、手がつけられないほどの暴れっぷりに家族は男を村から追放しました。

男は他の村々に行っては暴れ回っていました。するとある時男は美しい女と出会いました。女は男に説教しました。それから男は女から喧嘩以外のことをたくさん教えてもらいました。食べ物の育て方、家の作り方、沢山学びました。やがて男は喧嘩以外の楽しみを見つけていきました。そして女と共に村を作りましたがそこへ雷神の怒りが降り注ぎました。男は雷神に問いました。なぜこの村を攻めるのか。すると雷神は答えました。その女は別の世から参った化け物であると。男は必死に許しを乞いますが、女は村を救うため生贄となり雷に撃たれました。男はずっと泣きました。そして男の涙はやがて川となり海となり村を豊かにしました。男はまた女から教えられた知恵を皆に伝えるため旅に出るのでした。

どうしたか、面白かったですかい?」

「いや何て言っていいか、勿論初めて聞く話だしよくわかんねぇんだけど妙にリアルな、現実的な話だな。」

「そこっ! そこなんですよ、流石旦那だ。妙に現実的な昔話なんですよ。どうしてこれが言い伝えられているのかわかりやせんが」

本当にリアルな話だ。

所々嘘みたいな描写はあるが、展開に夢がない。どうしてこの話が語り継がれているのか。女はどこから来て何で雷神の生贄になったんだ。

「あっ、でもこれあんまり知ってるなんて言わない方がいいですよ。」

「どうしてなんだ?」

「別に大した事じゃないんですけど、雷神なんて天候を操る天族みたいなもんでしょ、この話は良い役回りじゃないからでやすんよ」

「てんぞく?」

滝のその発言に驚いたあとゲラゲラと独りで笑った。

「すみませんね、そうでしたね別の世界の方ですもんね。いやぁ、あの天族も旦那からすれば誰だって話ですよね。ふふふっ」

そんなに変な事を言ったのか?

天族って天候を操る種族ってことはわかるが。

「いいですか旦那、天族はこの世界で最も高貴な一族って言われてます。何せ今の世界を創造した神なんですから。」

「神!?!?」

この世界に神がいるのか!!

驚くことではないか、神様なんてどこの国にもいるし信仰なんてあるだろう。

でもこの世界を造った神がいるなんて、間違いなく何か知ってるはずだ。

「この世界を使ったその神はどこにいるんだ?」

「もういませんよ」

「え? 死んだのか?」

「大昔の話ですよ、今いる天族はその神の末裔です。まあ天族ならあっしよりもその辺は色々詳しいでしょうけどね」

そういうことか。創造主の末裔が天族か。

そして天族はもちろん今もいる。

「あ、でも会おうだなんてやめといた方がいいですよ。天族はとても高貴な存在、あっしらが会おうとして近づいたらすぐ殺されますよ」

俺は額から汗を一滴流した。そんなに恐ろしい権力者なのか天族。

天候を操るなんてまさに神の子孫だな。確かにそんな力があるならいくら妖気が使えても天族には逆らえないのもわかるな。

「おっといけない、すみませんねあっしも大事な用がありやして。もう行かないと。」

「ああじゃあ最後に、お前が会ったその異世界人は今どこにいるんだ」

「どこですかね、なんせ数年前のことですからね。」

数年前、、俺よりも長くここにいるのか。

昔話にもいた。もしかして何人もの異世界人がここで暮らしているのか、それとも帰れたのか、、、。

「じゃあ、どんなやつだったんだ! 性別は、言葉は、それから」

ウサギは動揺する滝を他所にそそくさと去ろうとしている。

「歳は旦那よりもかなり上でしたね、それより旦那と会えた事は何か縁があったんだと思います。命を救っていただきありがとうございやした。またどこかで会うことがありましたら旦那のためにまた役に立ちますので。

すみませんがこれで。ご武運を」

ウサギはぺこっとお辞儀をするとくるっと草むらに向きを変えて消えて行った。


一体あのウサギはなんだったんだ?

それにウサギの用事って何だよ。色々また覚えることが増えたなぁ。でも俺のラノベで鍛え上げられた力を持ってすれば整理するなんて楽勝だ。

こんなことを勉強に活かせって母さんからも先生からもよく言われたなぁ。

俺とも同じ世界から人が来てるのか、歳上か会えたら色々教えてもらおう。

良い人だったらいいけど、ヤクザだったらどーしよう。

「あっ! 異世界人の性別聞くの忘れた!」

まあいいか、会ったらわかるだろう。

滝はそのまま地面に座り込んで、情報の整理をした。


ーーーーー


とにかく今は気持ちを切り替えて、戦さに備えよう。

少しでも役に立てるように、お荷物にならないように。


そこへモズがやってきた。

「センコから聞いたよ」

俺は無視をした。何を言っていいかもわからない。

「お前は俺が必ず守るから心配するな。それに別に戦うフリして逃げとけばいいさ、そしたらお前も、」

「ダメだ!!」

モズの言葉を切る。

「俺は、俺は戦さに出るんだ。戦うんだ、みんなと。

お前も俺を助けてくれ、俺もお前を守るから。」

そう言って刀を振り続ける俺をモズは嬉しそうに後ろから見ていた。

「そっか、お前も会った頃より強くなったな。頼むぜ兄弟。」

「ああ、兄弟。」

俺とモズは手を握り交わした。いつもより強く。


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