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〜リーフスカイ〜  作者: たっくん
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第三話「転落」

静かな空気の中、皆がカレーを食べる。愛琉と匠だけ少し困った顔をしていた。

「…あ、あれぇ?…お、俺のカレーは?」

匠が困ったように空気を読まずに切り出した。

「…ないよ?」

「てか!なんで人増えてるの?!」

「ご飯は人が多い方が美味しいでしょ〜。」

「いや、それ絶対、俺の分じゃん…!」

「大丈夫、一食くらい抜いても死なないって。」

「えぇ…。」

お姉ちゃんに全て言い返され、落ち込みながら声のトーンも下がって言った。

「ところで、君はここから出る方法を知ってるって?」

「はい、知ってます。」

真実の情報を聞いてホッと安心している匠がいた。そして全員カレーを食べ終えてから

「じゃー、寝るか。」

男子と女子が二つのテントに分かれて中に入っていった。

女子テントにて。

「ところで、雄翔くんのお姉さんってなんて言う名前なんですか?」

「ん?私?私は悠子(ゆうこ)。」

「ゆうこ…。」

愛琉の顔が少し考え込んでるようにも見えた。

「悠子お姉ちゃんって呼んでもいいですか?」

美奈がニコニコしながらそう言った。

「いいよ、もちろん!」

「私は悠子さんって呼ばせてもらいます。」

真実の大人っぽい口調を聞いて悠子は目を丸くさせながら

「い、いいよ…。」

「真実ちゃんはめちゃめちゃ大人っぽいでしょ?!」

横から愛琉が笑いながらフォローに入る。

「そうね、愛琉ちゃんは真実ちゃんのことが好きなのね。」

それを見て真実はそっと心の中で呟いていた。

『真実を知ってはいけない。我慢して。』

と。

そして、男子テントにて。

「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。」

匠が枕にうなだれていた。

「匠、なんであんなにダメダメなんだ?」

「知らないよ。こっちが聞きたいよ…なんでなんだろう。」

ボーッとテントの天井を皆で見つめている。

「…でもやっぱり、あと2週間もないんだから頑張らないとだぞ。」

正憲が頑張れのポーズで匠に言い放った。

「いやいや…そうは言うけど、今のこの好感度から上がれると思う?」

「「…無理かな。」」

僕と正憲は同時に匠へとトドメの発言をした。

「そんなこと言うなぁ!」

枕をバシバシと叩きながら布団を思い切り被った。

「そんなことしても彼女から来てくれる訳じゃないんだぞー。」

またも正憲がトドメを刺しにかかる。

「もうオーバーキルだよ…!」

泣きながら布団の中で丸まった。

「じゃあ、俺らも寝るか。」

「そうだね。」

「待って待ってよ!作戦会議するって話は?!」

匠が素早く布団から顔を出した。

「いやいや、まずは好感度上げなきゃ。」

「だからその上げ方を…!なぁ、雄翔!お姉ちゃんのことなんだから分かるだろ?!」

そう言われたが、何か好感度の上がること…。

「あ。」

一つだけあった。

「その『あ。』はあるな!なんだよ?!言ってくれよ!!」

「…でも無理かもね。お姉ちゃん、一回だけ好きなシチュエーションというか、言ってたんだけど。」

僕は匠の耳元で静かにそのことを話した。

「…うわ、それは無理すぎる。」

「なんだよ?」

正憲が知りたそうな顔でこっちを見つめてくる。

「…内緒。」

「はぁ?」

正憲はモヤモヤした顔で結局、その話は終わってしまった。

なんとか匠が付き合えるようにとは思うがどうしようもないかもしれない。

次の日の朝。

皆起きてから森の中を歩くことになった。

「じゃあ、案内してもらおうか?」

「偉そうですね。」

匠の言葉に真実の言葉のナイフが突き刺さった。

「あ、案内お願い致します…。」

そして案内をしてもらうことになった。

森の中を歩いていると途中で看板が立てかけてあった。

右、海秀村(みしゅうむら)、海方面。

左、森方面、途中、崖あり危険。

と書いてあった。

僕らは右に曲がって歩いていく。

歩いていっていると

「あ、待って、靴紐。」

匠がそう言って立ち止まる。

悠子も立ち止まった。他のみんなは歩いていく。

「ほら、早く行くよ。」

「おう…。」

悠子が振り向いてみんなの方へ向かおうとした瞬間、目の前に蜘蛛が垂れてきた。

「キャッ!!」

悠子が驚いて斜面を滑りそうになるところで、匠が庇おうとして一緒に斜面を転がって落ちていく。

僕らはそれに気づかずに愛琉と真実と話しながら歩き続けていた。

突然、雨が降り出した。

「山の天気は変わりやすいの。早くあそこの洞穴に入って!」

真実の言葉のままに皆が洞穴へと入る。その時に、悠子と匠が居ないことに気づいた。

「もしかしたら途中で…。」

愛琉が心配の顔をしていた。

「大丈夫、匠がいるんだからなっ!」

自信満々に正憲が胸を張ってそう言った。

「でも匠さん、ダメダメだよ?」

「やる時はやるから問題ない。」

直球に美奈が正憲に言い返すが正憲は信じていた。

外を見ると更に雨が強くなり始めていた。外を眺めながら僕は二人がこの雨に濡れてないかとか心配していた。

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