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〜リーフスカイ〜  作者: たっくん
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第二話「キャンプ」

僕らが森をさまようこと約一時間…。

「もう、完全迷ったね…。」

「ごめんなさい!私が方向音痴なばっかりに。」

匠に言われて愛琉が泣きそうになりながら下を向く。

「匠さんが泣かせた〜!」

「匠、ダメでしょ?こんな小さな子泣かせちゃ。」

「えぇ…?」

美奈とお姉ちゃんに言われて匠は困ったような顔を見せて愛琉にさっと近づく。

「ご、ごめんね?!ぁー、大丈夫!絶対なんとかなるよ!…ほら!方位磁石もあるし!」

カバンから方位磁石を出してそう言うと方位磁石はクルクルと回転していた。

「…壊れてるじゃん。」

横から正憲が顔を出してツッコミを入れる。

「まさか、電子機器とかの近くに置いてたりしてない?」

「…スマホ…。」

ボソッと後ろから美奈がスマホを取り出して言った。結局、僕らは夕方になりつつあったから野宿することにした。

「テントも食材もあって良かったね…。」

僕と正憲と匠でテントを張って、他の皆は食材で料理していた。

「なぁ、こんなにまで好感度下がることってあるか?」

「正直ない。」

「そんなの一番知ってるよ…。」

僕と正憲の正直な回答で匠が落ち込む。そのまま向こうで料理している皆の方を見てみる。

「んー、もうそろそろ良いかな〜。ルー入れて〜。」

お姉ちゃんが愛琉にそう言って愛琉が食材の入ったカバンを漁り始める。

「ルー?……あれ?どれ?あ、コレか!」

そして茶色くて四角い物を鍋へと入れた。

「…ねぇ、アレ、ヤバいかもしれない。」

正憲が何か察して僕に耳打ちしてきた。

「…僕もそう思うよ。」

僕は歩いてカバンからルーを取り出して愛琉の近くへと行った。

「…ルーってさ、これじゃないかな?」

「…え?…でもこれ…。」

「よく見て。ルーじゃなくて、これ、チョコだよ。食べてみなよ。」

愛琉はルーの方を食べようとして僕が止める。

「違う違う!そっち、手に持ってる方だよ。」

「…天然なんだな。」

後ろから正憲が急に割り込んできた。

「甘いっ、ホントだ…。」

「てか、そもそも食材の中にチョコ入れてる奴誰だよ…。」

正憲が呆れたようにため息をついた瞬間、テントの方向から

「ヘックショイ!!」

という匠のくしゃみが聞こえてきた。

「…アイツだな。」

「だね。」

僕と正憲は意思疎通して苦笑いする。

「…あれ?何してんの?アンタら。テントは?」

「匠が一人でやるって。」

「へぇ、そう。で、ルーは?」

お姉ちゃんが優しく問いかけると愛琉は困った顔をして

「あの、間違えてチョコ入れてしまって…。」

「え?!チョコ?!なんであるの?」

「多分、匠だと思うよ。」

半笑いで正憲が伝えた。

「まぁ、しょうがないよ、入れちゃったのは。匠は後で殴っとくから。」

にっこりと笑顔でお姉ちゃんは言った。

「雄翔、ルー。」

「はい。」

ルーを手渡して僕らはお姉ちゃんが料理する姿を見ていた。

「いいよ?あっちで美奈ちゃんと萌守と遊んできても。」

そう言われて指を差した方向を見ると花畑で花を集めてる二人がいた。

僕らはそっちに向かわずに景色のいい方向へ向かった。

「愛琉ちゃんってここら辺に住んでるの?」

正憲が急に話を切り出した。

「うん、そうなの。でも、いつも迷ってるから本当はまみちゃんと森に入るんだけど…ついリスを追いかけてたらはぐれちゃって…。」

「まみちゃん?」

ふと気になって僕は話しかけた。

「そう、真実って書いて真実(まみ)ちゃんなの。同い年なの!」

とても嬉しそうに話していることから、恐らくかなり仲が良いんだろうと思った。

そう言って歩いて着いた場所は夕日の景色が綺麗で少し崖だった。

「…綺麗…!」

「だね〜。水平線がいい雰囲気だなぁ〜。」

「どこら辺かここに来ても分からない?」

僕が愛琉に問いかけると愛琉は少し悩んでから

「んー、同じようなところが多いから分かんないや。えへへ。」

するとガサッと言う音が左からした。

そこから出てきたのは僕らと同い年くらいのロングヘアの女の子だった。

「…あ、愛琉!!」

「あ、真実ちゃん!」

この子がどうやら真実ちゃんらしい。

「この人たちは?」

「途中で会ったんだよ。」

「あ、俺、池田正憲(いけだまさのり)っていうんだ。」

「僕は大西雄翔(おおにしゆうと)っていいます。」

僕らは察して自己紹介をしていく。

「私は今井真実(いまいまみ)。よろしくね。あと、こんな天然バカを面倒見ていただいてありがとうございました。さ、帰るよ。」

「え?帰れるの?」

正憲が前のめりで質問した。

「帰れるけど…あなたたちも来る?」

そう言われたが事情を説明した。

「そっか、じゃあ、そこに私もお邪魔して、明日案内するよ。」

とてもありがたいことを言ってくれた。そして僕らは皆の元へと戻って行った。

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