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〜リーフスカイ〜  作者: たっくん
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第十話「落し物」

そして匠と悠子はというと、

「いやぁ、良かった〜!生きてる〜!!」

「もう、ビックリしたんだよ?でも、良かった、単に普通の傷で。」

そう、匠のあの傷はシンプルに噛まれただけで毒とかに侵されたわけではなかった。

「あれ、もう夕方か。」

「そうだよ、長いこと寝てたんだから。」

匠は三時間くらい寝ていたことで復活したんだ。

とりあえず、匠と悠子はそこら辺で野宿するために木を集めて火を付けた。

「おー、温かい。」

悠子が手を焚き火の方に向けて座り込む。

「あー、ごめん、この服のままだとあれだから着替えていい?」

「あ、こっち向くね。」

悠子が後ろを向いて少し頬を赤らめていた。

「ふぅ。」

なんとか着替え終えてまた悠子が焚き火に手を近づける。

「…?なんか顔赤い?」

「赤くないよ!べつに!焚き火で赤く見えるだけだもん!」

そう言ってまた後ろへ向いた。

「…?…いや、俺は熱でもあんじゃねぇかって聞いてんだよ。」

匠が悠子に近づいて体を向け直し、そのままおでこに手を当て熱を測る。

「ひゃっ…。」

悠子から出るか出ないかぐらいの声が漏れる。

「んー、熱はないか。なんだ、単に焚き火のせいか。」

そう言って匠が元の場所へと戻って行った。

心の中では悠子はとても恥ずかしがっていた。

「…皆、無事かな。」

真剣な顔になる匠をじっと悠子は寂しそうに見つめてから何かを心に決めて立ち上がった。

「おぅ、どうした?」

「明日はもっと探索しよ。そして皆を探し出そう!絶対!」

勢いよく話す悠子を見て少しだけ匠が照れる。

「お、おう。もちろん。」

ニコニコしながら元の場所へと戻る悠子の姿を見て可愛いと思う匠がいた。

そして、その頃、僕と真実は焚き火を囲んで二人きりで静かにしている。

こうも静かになるなんて思ってもみなかった。

「…あ、あのさ。」

「無理に話さなくていいよ。」

そう言われて黙ってしまう。

なんだろう、本当に中学生か気にもなるが、こういう子もいるんだろう。とにかく、今、気になるのは数時間はぐれた美奈と萌守が無事なのかどうか。

そして匠と悠子も無事なのかどうかというのも気になっていた。

考えていると『ぐー』という音がした。

「…あ、お、お腹すいた?」

そう、真実からだ。

「そうね、長時間何も食べてないってなると。」

恥ずかしがりもしないのが人間かどうか怪しくも思える。

「何かあるかな。」

僕は自分の鞄を探るが、もちろん、ない。あっても萌守が持っているからだ。

仕方ないからその辺に何かないか少し探す。

「あまり遠くに行かないでね。」

意外と心配症なんだなって思った。

暗い中探す訳には行かず、鞄から懐中電灯を取り出した。

スマホで良いだろって言われるかもしれないが、もう充電は切れているため使えない。

懐中電灯を使って色んな方向を照らしてみる。

しかし、辺りが暗すぎる余りか特に何も見つからない。

「ダメかなぁ…。」

すると何か地面にあることに気がつく。

それは封の開いているチョコレートだった。

「…なんでこんなとこに?」

それもまさかの匠が持ってきて愛琉が間違えて入れたやつだ。

「…もしかして、ここを通った?」

チョコレートを見てみると、溶けすぎてるって訳ではなく、ちょっとだけ溶けてはいた。

「食べれは…できそうだな。」

とりあえず、このチョコレートを持って帰ることにした。

その時、ガコッという音も聞こえた。

「…?」

少し奥の方だからいいか、と思ってゆっくりと歩いて向かう。

するとジャングルの森を抜けて普通の森へと出ると、ちょっと先の方に少し大きめの小屋があった。

「おー。でも暗いから行くのはやめとこうか。明日にでも行くか。」

そう言ってジャングルの森へと戻っていこうとした。

「キャァァァ!!!」

という大きな悲鳴が聞こえてきた。

「?!」

僕はその悲鳴のした方向へと向かって走り出した。

しばらく向かっていると崖にたどり着いた。

「…この下か…!ダメだな。行けない…!」

仕方ないため、とりあえずは報告だけしに行こうとジャングルの森へと戻っていく。

だが、迷った。もちろん、どうやってここまで来たかなんていう目印なんてつけてない。

「くそ…、こうなることを分かってれば…!」

石を持っていたらなんとかなるだろうが、ない。

僕はジャングルの森の中で座り込んだ。

「…はぁ。だから真実が遠くまで行くなって言ったのか。」

頭を掻きながら後悔を持ってため息をつく。

その時、後ろからため息をつく声が聞こえた。

「全く、こうなることが分かってたから言ったのに。」

振り返るとそこに真実が呆れて腕を組んで立っていた。

「す、すまん。」

僕は静かに笑いながら謝った。

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