93話 夏休みと朝
彼女が...いや、彼女達ができた翌朝、俺はいつも通りに目覚めようとしていた。
「...夢じゃないよな?」
俺は立ち上がり、机の上に飾ってあるハワイで撮った集合写真を見つめた。
自分にも気付かない程、ニヤついていた。
本来なら、潤達にも自慢した...いつもお世話になってるし、報告したいものだが、7人だからな。報告しづらい。
ニヤケ顔を、頑張って無表情に直してリビングに向かった。
「お、おはよう」
先にリビングのソファには、彼女の七海がテレビを見ていた。
「おはよう。ちー、今日早いね」
っと、俺の方や一瞬向いて、目線をテレビの画面に戻した。
あれ?いつも通りだ...
「あ、千秋君おはようございます」
「ちー君、グッドモーニング」
ジョギングに行ってたのか、ジャージ姿の楓と灯里がいつも通りに、挨拶してきた。
キッチンから、可愛いらしいポニテの女の子が顔をぴょこっと現れた。
「あ、お兄ちゃんおはよう。楓と灯里先輩もお帰りなさい、もうすぐ朝食出来る、待ってて」
「「はぁーい、ありがとう[ございます]」」
家には浴室が二つあるので、2人は汗を流す為に別々の浴室に向かって行った。
すると、入れ替わる様に紗奈とシャルロットがリビングに入って来た。
「千秋様、おはようございます」
「ちあき〜、おはよう」
あれ?...やっぱり、いつも通りだ
「2人とも、おはよう」
「千秋様、今日は昼からお仕事がありまして、お出かけさせて頂きます」
「おう、頑張れよ」
っと言って、2人は洗面所に向かって行った。
俺は彼女彼氏の関係になった事で、何か変わると思っていたが、案外何も変わらないと感じた。
そもそも、俺が意識しすぎただけかも知れないな。
だが、千秋は知らなかった。自分以上に今の環境にウキウキしてる人達に。
ギャルは、彼氏の顔が尊いくて見られなくてすぐにテレビ逃げた事、幼馴染と委員長はジョギング中に、照れながら千秋の事を話してて、いざ本人と出会すと心がドキドキしてしまい、すぐに浴室に逃げてしまった事。
妹はキッチンの中で、鼻歌を歌いながら彼氏彼女になれた事を嬉しそうにニヤついていて、モデルと許嫁は彼氏の顔を見た事に洗面所の鏡で赤くなってる自分の顔を見ていて、後輩は憧れの人と付き合えた事に嬉しさと恥ずかしさで、未だ部屋から出られて居なかった。




