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9話 デパートとフードコート

「何してんだろ、俺達」


千秋達は、服売り場へと向かった。

楓と愛香が俺の好みの服を選んでと言い、ファッションショーの様なものが開かれる程、沢山の服を試着していた。


愛香と楓は物凄く美少女と言われる程注目されやすい。服を進めてくれた店員さんも彼女達に釘付けになっていたように思えた。同性の店員さんをも魅了するほど


可愛いんだもんな。


っと、俺も2人に魅了されていたのだ。

だが、ここで俺は本来の目的を思い出し、まだファッションショーをしてる2人を置いて灯里の方に行った。


「灯里は何か良いのあったか?」


「じゃー、これかな?」


灯里が差し出したのは、無地のティーシャツだった。

奢られる身として、1番安いのを選んだのだ。


「ダサいだろ。別に俺が良いって言ってるから高い奴でも良いんだよ?」


「でも..」


「じゃー、俺が選ぶよ。下着は灯里が決めるんだよ」


俺は灯里が似合うと思うものを、適当にカゴに入れた。

千秋の服選びのセンスは、愛香と楓に鍛えられて居る為、男のファッションより女のファッションの方が分かっているのだ。


「灯里決めたのか?」


「うん」


俺は下着を見ないように、カゴに下着を入れてる所を視線を違う所に移した。


「お兄ちゃん、これ欲しい」


「ちー君、これ欲しいな」


「カゴに入れといて」


そして、俺は店員に二つのカゴを渡して合計6万4千円払った。


「あ、まぁ良いや」


最初は灯里だけの買おうと思ったが、愛香と楓の分も買ってしまった。心の中で、今月は節約しないとなっと誓った。


「てか、小腹が空いたな。ここで夕食済まさないか?」


「ワック行こう!」


愛香はフードコートにある、ファストフードを指でさした。

俺はラーメンを買って、灯里と愛香はワックのハンバーガーセット、楓はスパゲッティを注文した。


「お兄ちゃん、ポテト食べる?」


「あ、欲しい」


俺は口を開けて、愛香にあーんしてもらった。

すると、隣にいた楓が俺の袖を引っ張ってきたのだ。


「ん?」


「私も欲しいな」


「貰えば良いんじゃん」


「ち、ちー君に食べさせて貰いたい」


「え?まぁ、良いけど」


楓にポテトをあーんした。楓は嬉しそうな表情に変わっていたのだ。


そうとう、美味かったんだろうな。


俺はポテトを口に運んだ。

愛香も袖を引っ張り、自分にもして欲しいと目で伝えて来たので、愛香にもあーんした。


「あかりんも、やって貰えば?」


「え?!何故私が..私は良いです」


「何だ食いたいのか?ほら」


「いや、その、んっ」


千秋にポテトを差し出されたので、耳にかかった髪をかきあげ差し出されたポテトをカプッと食べた。

真正面にいた千秋は、灯里が噛む時唇を手で隠し行儀が良いなと俺は感じていたが、横にいた愛香と楓は、赤くなっていた顔を隠していた事にニマニマと笑っていた。


「買いたいもの買えたし、そろそろ帰るか」


ここで遅く居ても他の生徒に見られるかもしれないので、4人は自分が出したゴミを捨てデパートから出た。

灯里は今日の事が楽しかったのか、少し笑みをこぼしていたのだ。


帰る際、雨の日に灯里がいた公園を通った、何か思い出したのか灯里は少し思い詰めた表情で地面を向いた。

あの時、何があったのかをまだ3人に説明してなく、話しずらそうにしていた灯里に気づき千秋は


「言える時に言えば良いよ。俺たちはいつまでも待ってるから」


「うん、」


そんな優しい千秋に、少し頬を赤らませてコクリと頷いて家に帰った。



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