88話 夏休みと夏祭り⑤
「本当にごめん」
「あ、頭を上げてください」
灯里はずっと俺の背中で隠れた状態で、話を続けていた。
「千秋君からは、話を聞いてますので、大丈夫です。貴方達を守った行為なので、私は全然怒ってません」
「でも謝らせて欲しい。せっかく2人の約束を僕のせいで破らせてしまった事」
ミズキは別に大丈夫と言われても、それでも頭をさげて謝り続けた。
やっぱり、コイツはそこの所真面目何だよな。
「でも、もし千秋君が私の約束を守って友達を守らなかった、そっちの方が私は嫌です。私から喧嘩をしないでも言ってる身が矛盾してるじゃないかと言われますが、約束を破るより、友達を守れない人の方が最低だと思ってます」
「...そう言ってくれると、僕の心も晴れるよ。ありがとう、悪いな時間を使わせて、楓さんが待ってると思うから、僕たちは退散するよ。あまり、楓さんの前でイチャつくなよ?...辛いと思うから」
最後だけ小声で言ってたせいか、聞こえなかった。
「イチャつく?」
「君達カップルなんでしょ?」
「...は?前も言ったけど、そんな関係じゃないぞ?」
「はーーー?何か前より距離近くなってるぞ?」
そうなのか?
俺は後ろにいる、灯里を見ると何故が顔を見せてくれなく、俯いている状態だった。
すると、スマホから一つのメールが届いた通知音がなった。
七< 今どこ?
楓< もうすぐ始まるよ
「あ!やべ。悪い俺そろそろ行くわ。灯里行こう」
「うん」
俺は再び灯里の手を掴んで、小走りで楓達の所に向かって行った。そんな2人を、ミズキと真斗は疑わしい目で見ていた。
「ミズキ君、あれ付き合ってないって?」
「う〜ん、よく分かんないよな。誰からどう見ても付き合ってるよな」
「だよね〜、でも付き合ってないなら、まだ楓さんにチャンスがあるよね」
「お前すごく、千秋と楓さんをくっつかせたいよね」
「当たり前よ。楓さんは前々から千秋君の事好きだったじゃん。そんな一途な思いに応援したくなるよ。ミズキ君はもしかて、あの子を応援してるの?」
「え?う〜ん、楓さんも悪くないけど。あの子を応援したくなるね、あんなに千秋の事想ってるからね」
「楓さんもそうだろ?」
「まぁ、そうだね。でも、もし彼女が千秋の事を思って居なかったら、惚れてたかも知れないな」
真斗は驚いた表情で、ミズキに勢いよく振り向いた。
「俺てっきり、千秋に惚れてるかと...ぐへっ」
ミズキは、真斗が意味の分からない事を口走ったので、奴の首を思いっきり掴んだ。
「何言ってんの?僕、そっちの趣味無いんだけど?」
「...だ、だって、いつも、千秋今日も来ないのか?って聞くじゃん」
「お前それだけで、決めつけんのか。後でお仕置きだな」
「ひぃぃ!先に行ったのは、琉樹君だよ!」
一番最初に言った友達の琉樹を売ってまで自分が逃れようとしたが、それでも許してくれなかった。
「この後、琉樹と詳しく聞こうな?」
「ちょっ、俺死ぬ...」
この後、2人は大智達と合流して、琉樹と真斗は怖い思いをしたのだった。




