86話 夏休みと夏祭り③
「ええぇ、」
また割れてしまった。
「おい!鶏唐!これ、詐欺なんじゃねぇの?」
「いや、それは若の力が強すぎだけでげそ?もっと、肩の力をリラックスして下さいげそ?」
俺達は今、村雨会が開いてる屋台の一つの、カタヌキ屋でカタヌキを爪楊枝で削っていた。
カタヌキ屋を担当してたのは、吾郎部隊の四天王の1人鶏唐だ。名前に鶏が付いているのに、語尾がゲソと言う変人なので、もし見かけたのなら近づかない事だ。
「ちーちゃん先輩!見て下さい!」
すると、難易度高めの飛行機を切り取りに成功したやつを、見せて来たのだ。
「すげ〜ぞ、お嬢ちゃん。ほら、賞金のイカの唐揚げだげそ」
そこは、鳥の唐揚げにしろよ。てか、賞金にイカの唐揚げって何なんだよ
美音は嬉しそうに、イカの唐揚げを受け取り嬉しそうに食べていたのだった。
美音が難易度高い奴を成功していたので、俺も負けてられないと思い、鳥唐に
「おい!俺に一番むずい奴を一つ」
「やめた方が良いですよ?」
鶏唐は奥から、少し大きめのカタヌキを俺に渡して来た。
そこに乗ってた絵柄は、ただの丸だった。
「おい、俺を舐めてるのか?」
「なら、やってみてくださいよ」
俺は爪楊枝を掴み、型を削ろうとした時、爪楊枝がパキッと折れてしまった。
新しい爪楊枝を掴み、肩を削ったが削れる様子もなく、また爪楊枝が折れてしまった。
「何これ?」
「当店で一番むずい奴です。物凄く硬い素材で作られていまして、ハジキでも防ぐレベルなんです」
「....無理に決まってんだろ!!」
俺はその硬いカタヌキを持って、鶏唐の横に投げつけた。
持った時思ったより、重かったのだ。
★☆☆★☆
「ちー、あれやらない?」
七海が指を指した方向には、射的の屋台だった。
だが、俺は射的より店の人に目が入ってしまった。
「...七海、他の射的にしよ「お!若様じゃねぇか!」...ちっ」
短髪な胸には大きくな刺青の男は、先程と同じく吾郎部隊の四天王の1人龍馬だった。
四天王の中で、1位と2位を争うぐらいの変人なので、逃げようとしたが先に見つかってしまった。
「若様、やってくれよー」
手を大きく振って来たので、仕方なく龍馬の所の屋台に向かった。
樽の中に、何十丁の射的銃が置かれていたのだった。
「その中から、好きなの選ぶんだ」
そう言って、七海は射的銃を一つ取り出した。
俺も七海の後に射的銃を持つと、重さに違和感があったのだ。
「...おい、龍。何で本物が混じってる?」
っと、俺が言うと龍馬のニコニコの顔から顔つきが一瞬で真面目な顔に変わって行った。
「...流石、若様。1発で引いたか。それは、当たりですぜ。商品が1発で落ちますからね」
「おい!1発で落ちるってより、商品ごとぶっ飛ぶわ!」
俺は本物の銃を龍馬に渡した。
「しまえしまえ!見つかったらどうするだ!」
こんなの、警察に見つかってしまったら。大事になるので、俺は急いで龍馬に本物の銃を仕舞わせた。
そのあと、七海がどうしたの?って聞かれたが、何とか誤魔化した。
七海は一番大きいクマのぬいぐるみを、ゲットしたら嬉しそうに笑っていたのだ。




