74話 夏休みと探し人
「「「「いただきまーす!!」」」
俺たちは声を揃えて言った。
紗奈、シャルロット、俺、楓の順に座って、向かい側に美音、愛香、七海、灯里の順で、食卓に並べられている、肉や野菜を焼き始めた。
「ちあきー、バーガーが食べたい」
「え!さっき食べただろ?肉を食え」
俺は焼けた肉を、シャルロットに食べさせた。
モグモグと肉を美味しそうに食べていた。
「千秋様、こちらを食べても宜しいでしょうか?」
「うん、自由に食べてもいいし、あと様はやめて」
紗奈は牛肉を箸で取り、ソースを絡めてから美味しくいただいた。
「千秋様、これ美味いですね」
「だろ?奮発したんだ。あと様はやめて」
...え?何故紗奈とシャルロットまで一緒にバーベキューを食べているって?じゃ、時間を1時間前に戻そうか。
☆☆★☆★
「やっと、逃げ切れたか?」
SANAファンらしき集団の人達から逃げていた。
紗奈はどうやら、ウィダーソンのモデルの中で1位、2位を争うぐらいの人気だったのだ。
...あとで、サインもらお
「ちあきー、丸いの食べたい」
俺は今はシャルロットを背中に担いで居た。
逃げる際シャルロットは体力がなくすぐに疲れてしまったので、俺が背中に担がせて走って逃げた。
「丸いの?」
「はい、貴方から別れてから、赤色と黄色の食べ物が食べたいとおっしゃってまして」
「俺と別れてから?んー、あ!ワックか」
「ワック?成る程!赤色と黄色は建物の話しでしたか。用事でデパートに来た際もしかしたらあるかと思いましたが、ワックならそれなら見つかりませんね」
紗奈はシャルロットが言いたい事が、やっと分かってスッキリな表情をうかべて居た。
「用事?」
「はい、私たち人探しをしてまして。この街に滞在してる事は分かってますが、住んでいる家まで知らないのです」
「へぇ〜、誰探してるの?って、言っても分からないか」
俺はたまたまシャルロット達が探している人物が、知り合いと言うベタな話はないと思った。
「まぁ、もしかしたら知ってるかもしれないから、誰なの?」
「そうですね。千秋さんと同じ名前ですね。千秋さんは早乙女ですよね?」
「あら?何故に知ってるの?」
「お嬢様が言ってました」
「あー」
そう言えば苗字も名乗ってたな。
そして、俺は紗奈が同じ名前だと聞いて少し興味を抱いた。
「んで、俺と同じ名前だっけ?すげー気になってきたな」
「私達に教えられた名前は、村雨千秋です」
「...すーーー」
俺は深く深呼吸をした。どうやら、シャルロット達が探して求めて居た人物は知り合いだった。
いや、知り合いも何も本人だったが、流石にこんな奇跡はないだろうと、人違いだと思った。
灯里達も村雨と聞いて、あれ?って表情で首を傾げて居た。
「ほ、他に情報は?」
「写真があります。お嬢様、写真を見せてください」
「ん〜」
シャルロットは俺たちに持ってた、古い写真を見せた。
「すーーー」
俺は再び深呼吸をした。
見知った顔だった。いや、見知ったも何も、誰よりも1番見てきた顔だったのだ。
「あれ?お兄ちゃんじゃん」
「ちー君だね」
流石、妹と幼馴染!すぐに俺だと気付いた。
紗奈は2人が知り合いだと気付いて、この写真の人を訪ねた。
「もしかしてご存知なんですか?!今お兄ちゃんと呼んでましたが、貴方の兄なんでしょうか?」
「そうだよ。てか、本人そこにいるよ」
「え」
愛香が俺の方に指を差した。
愛香が差した方向を見ると、そこにはシャルロットを担いでいる千秋がだった。
こんな近くに探し人がいる事に目を見開いて驚いて居た。
だが、すぐに疑問が浮かび上がってきた。
「え?でも苗字が...」
「戸籍上は早乙女だけど。村雨でも合ってるよ、母が村雨なんだ「合った合った!」ん?」
すると、愛香が何やらスマホで何かを探して見つけたようだ。
愛香が、紗奈達に見せたものは、俺と愛香が子供の時の写真だった。




