66話 夏休みと真実①
「ねぇ、千秋君どこに行くの?」
「あとちょっとで着くよ」
「ちー君、あの屋敷広そうね」
空気が重かったので、何か話題を上げて場を和ませようと、目に入った大きな屋敷を指した。
美音は楓の戦略に気付いて、自分も何かやろうと決めた
「そ、そうですよね。この壁とか長いですね」
何百メートルも伸びてる壁を見て、驚いていた。
俺は屋敷が気になるのかと?2人に訪ねた
「中が気になるのか?」
「うん!」「はい、」
「良かったな、その夢が叶うよ」
「「え?」」
「はい、着いたよ」
千秋に案内された場所は、先程の大きな屋敷に入る、大きな門の前にたどり着いた。
門の横には、村雨会と書かれており、門の前の駐車場には100高い黒いベンツが停められている事に気づき。
この屋敷は何の屋敷か、灯里達は気付いた。
「千秋君!千秋君!ここヤクザさんの家じゃないの!」
「わーわー」
灯里は涙目になりながら、俺の体を強く揺らした。
俺は恐る恐るある方を、灯里に訪ねた。
「灯里は極道者は怖いか?」
「そんなの当たり前じゃないですか!」
「...そうか」
灯里の回答に何故かショックを受けて、千秋は肩をすくめていた。
「灯里もし無理なら、ここで待ってても」
「何を言ってるのですか?確かにヤクザさんは怖いです。でも、それ以上に千秋君から離れるのが怖いのですよ!私は千秋君と一緒に居たいです」
「そうなんだ。なら行こうか」
「あいつ、マジか」
誰からどう見ても灯里からの告白なのに、その意図を千秋が気付いていなかった事に、七海は言葉をこぼしていた。
俺は潜戸を開けて、中に入って行った。
「あれ?鍵とか閉めないのでしょうか?」
「極道の屋敷に、泥棒が入ると思うか?」
「...言われてみれば」
「あ?」
屋敷の庭に誰かが入って来た事に気づき、門番のおっちゃん達は俺達の所に近づいた。
あまりにも怖い顔に、灯里達は俺の後ろに隠れてしまった。
「おい!お前らの顔で怖がってんじゃないか!」
「ちょっと、ちー!流石にそれはやばいって!」
七海はヤクザに対して舐めた態度にビックリしていた。
「ん?...わ、若!!お帰りでしたか!」
「何?!若ですと!今日はどう言う御用件ですか?」
俺だと気づき、いきなりヤクザ達がペコペコしだした事に、灯里達は驚いていた。
楓と愛香は千秋の正体が少し気付いた様だ。
「お前らは馬鹿だから、話にならない。今屋敷に誰が居る?」
「兄貴...と、龍馬さんに虎近さんに、亀太郎さんに、鶏唐さんが居ますよ。」
「ああ、ごめん聞いた俺がバカった」
ピックアップされた名前にまともな奴が居なくて、俺は頭を抱えてしまった。
「ま、正俊はいないのか?」
「カチコミだ!って他の島の所に行ってしまいました」
タイミング悪!
「いや、もう吾郎ちゃん呼んで。あと、ジジィも客の間に来いって伝えろ」
「はっ!」
門番の1人が屋敷の中に走って行った。
灯里達は、ヤクザに命令口調で喋っていた俺に何者だと気になっていた様だ。
そのまま、俺の案内で屋敷の客の間に向かって行ったのだ。




