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64話 夏休みとお説教

「た、ただいま〜」


2時過ぎに、俺は恐る恐る家に帰り、物音立てずに歩いて行った。何でこんなに遅く帰って来たと思うと、帰る途中にミズキ達と出くわしてしまって、そっからご想像通りだ。


 リビングに入ると誰も居なかったので、どうやら灯里達は寝てしまって居た事に俺はホッと胸を撫で下ろした。

ミズキ達と遊んだせいか、小腹がすき台所にあるポテチをとって自分の部屋に戻った。


「お帰り、お兄ちゃん」


ドアを開けて中を見ると、愛香達が俺の部屋に座っていた。

女子会でもやって居たのだろうか?にしても空気が重い。

 俺は見なかった事に、そっとドアを閉めると、愛香にドアを開けられた。


「はい、お兄ちゃん。話をしようか」


「...はい」


正座!っと言われる前に俺は素早く正座をしたのだ。


「んめ、お兄ちゃんどこに行ってた?」


「そうだな、電話に言った通りに迷子の子を助けてた」


「ふーん」


愛香の信じてなさそうな顔を見て、俺は真実を伝えた。

 いや、最初から嘘なんて着こうとはする気は無かったのだ。

ただ、怒られるのが怖く遠回りをして居ただけたのだ。


「まずは、灯里に謝らないとな。約束守れなくてごめん」


俺は灯里に深く頭を下げようとしたが、灯里に止められた。


「良いよ別に謝らなくて。何か事情があったのでしょう?」


灯里は先程の失敗を繰り返さない様に、まずは俺から事情を聞いた。

俺は伝えて居ないものもあるが、先程のミズキ達の出来事を灯里達に明かした。

また喧嘩してしまった事に俺は怒られると思ったが、灯里から予想外の言葉が出て来た。


「良いじゃん。友達を守る為に拳を振るったなら、私から何も言う必要はないよ」


「え?」


「だって、悪い事じゃないじゃん。確かに人に暴力を振るうのは悪い人です。でも、友達を守れない人の方がもっと悪い人ですからね。私から言う言葉は、千秋君は良くやりましたよ」


灯里の言葉を聞いて、楓達も仕方ないなっと顔で笑って居た。


「ちー君、後で美音りんにも、伝えるだよ?物凄く心配してたんだから」


「おう」


俺は完全に話が終わったと思ったが、まだ1人は納得してなかった。

愛香は全てお見通しだったのか、低いトーンで喋り始めた。


「お兄ちゃん、そのダサいヘッドバンドを外して」


「...愛香には隠せないか」


 愛香の言葉にみんなは何の事と?顔をしていたが、俺はミズキ達と遊んでいる時に、大智からヘッドバンドを借りた。

まぁ、その理由は加藤から刃物でつけられない切り傷を隠す為だ。


「千秋君?その包帯は?」


 俺はヘッドバンドを外すと、頭に包帯がぐるぐる巻きをされていた。それだけなら、兎も角1番みんなが驚いていたのは、その包帯から血が滲み出ていた事だ。


「今から包帯を外す。少しアレだから、見たくない奴は背を向けて」


っと忠告したが、みんなは全てを受け止める覚悟の顔をして居た。

 俺は恐る恐る包帯を外すと、俺の縫った後の傷を見て、愛香達は息を飲んだ。


 吾郎と解散する前に、思ったより俺の傷が深く、このままほったらかしにしてたら、出血多量などを起こして危ないと判断された。

 吾郎は医学的な知識もあって、応急措置で俺の額の傷を縫ってくれたのだ。


ちなみに、そのあと加藤がやったとバレて、そのまま吾郎達に仲良く誘拐された。今現在何をしてるのかは、想像をしたくない。


「お兄ちゃん、何それ?」


「...油断してやられました」


「馬鹿じゃないの?どうせ、お兄ちゃんは刃物相手に立ち向かったのでしょ?そんな、男のプライドなんて捨てちまえよ」


流石の俺も今の愛香の言動に少しイラつきを覚えた。


「...逃げる?確かに刃物を持っている相手に逃げるべきだよ。でもよ、もし俺が逃げたら大智達はどうする?あいつらは、俺より怪我してんだぞ?俺より逃げ遅れて大智達の身に何があったらどうするんだよ?!」


 2人の言い合いに、灯里達はあたふたをしていた。だが、楓だけが冷静で2人の言い合いを見ていた。


「...知らないよ」


 少し震えた声だったが、俺はイラつきにより愛香が少し泣いていた事さえ気付かなかった。


「あ?」


「そんなの知らないよ!!大智先輩達より私はお兄ちゃんが大切なの!!確かに大智先輩達が怪我したら悲しいよ?でも、それ以上にお兄ちゃんの身に何があったらどうするの!私は..お兄ちゃんが..怪我でもして死んだりしたら..うわぁぁ、もう、お兄ちゃん何て嫌い!!」


「愛香!」


愛香は瞳からポロポロと涙を流して、飛び出す様に出て行ってしまった。俺が呼び止めて聞こうとはしなかった。



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