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62話 夏休みとブラック


俺は窓の外を見つめていた、そろそろ見知った道に辿り着いたので、運転している正俊に話しかけた。


「正俊、ここで下ろして」


「まだ、ここからだと10分程歩きますよ?」


「別に良い、俺が極道の息子だと愛香達に知られたくないからな」


俺は愛香達が極道の息子だと知られるのが怖かった。

 怖がられて俺に離れるんじゃ無いのかと、感じていたのだ。


「分かりやした」


 正俊は車を止めて、自分の座席にあるボタンを押して、ドアを開けた。


「ここまで送って貰ってありがとうな」


「いえいえ、若からの命令であれば、例え地獄の底まで連れてってあげますよ」


うん、地獄には行かないから


「ジジィによろしくな。あと酒を程々にしろって伝えてくれ」


「はっ、」


千秋は一言だけ伝言を伝えて車から降りて行った。


「んーー」


千秋は背伸びをして、どう言い訳をしようかと考えたのだ。

 潤からミズキ達が危ないと連絡が来たので、俺は灯里達に何も言わずに家から飛び出してしまったからな。


「...正直に言うか」


灯里達に下手な嘘をつくより、正直に話した方が楽だと感じた。 


「ん?」


 道を歩いているとキョロキョロと周りを見渡している、少女がいた。

迷子かと思ったが、見た目を見ると中学生だろうか?


「う〜ん、迷子じゃなかったら恥ずかしいな。まぁ、良いや」


俺はその女の子の所まで近づいた。


「君、迷子?」


「...だぁ〜れ?」


「...千秋です」


誰と言われたので、自分の名前を答えるしかなかった。

 外国人の方なのかな?リアル銀髪初めて見たな。しかも、すげー、美人。


「違ったらごめんね、迷子かな?」


「う〜ん、そうだね」


どうやら迷子だったらしい


「どこに行くの?」


「分からない」


「...」


 俺は考えた、非常に困ってしまってる。行きたい場所を教えて貰えれば何とか助けられるが、行きたい場所にさえ分からなかったら、どうするかは俺には何も出来ない。


「そ、そうか。なら、見つかると良いね。交番ならあっちにあるからね」


 何か面倒そうと感じたので、交番のお巡りさんに全て押し付けようとしたが、彼女はそれを許さず俺の服を掴んで止めた。


「はい、何でしょう?」


「助けて」


「っと言われましても、行きたい場所が分からなかったら俺にはどうしようもなくて...」


「なら、ボクが行きたい場所を決めて」


「えーー」


あまりにも理不尽さに俺はどうしようかと困っていたら、彼女の腹がグーっとなり始めた。

 彼女は恥ずかしそうにお腹を押さえたのだ。


「とりあえず食べに行く?」


コクコク


「分かった、じゃちょっと待っててね」


俺はスマホを取り出して愛香に電話をかけた。


『お兄ちゃん!!どこにいるの?』


「家の近く」


『何してるの?!早く帰ってきて、ご飯が出来上がるよ?』


「いきなりごめんなんだけど、今夜は俺の分は良いよ。ちょっと...」


『何?』


「迷子の子を助けに?」


『何で疑問系なのよ。まぁ、良いよ。後でじっくり話すからね、あまり遅く帰らないでね』


「...はい」


 少し愛香が起こり気味で話していた事に気づいて、申し訳なさそうに、スマホをポケットにしまった。


「とりあえず、何食べたい?」


「...分かんない」


「...えっと、近くだとワックかな」


「何それ?美味しいの?」


おや?どうやらチェーン店のワックを知らないらしい。

 なら、はじめてのワックの反応を見てみたいと少し楽しみになって来た。


「これがワック?赤いねぇ」


「美味いから、楽しみに待ってるんだぞ!」


俺はダブルバーガーセットを頼んだ、彼女は何がおすすめなのかと目線で知らせて来たので、一番人気のチーズバーガーのセットをおすすめにした。


「お客さま!!それはブラックカードですか!」


「なに!!」


 俺は店員さんから出てきた単語に驚き声をした方を見た、すると彼女が持って居るのは、都市伝説だと思っていたブラックカードを持っていた。


「このチーズバーガーのセットを一つ下さいな」


「か、かしこまりました」


 店員さんは手を震えながらカードを差し込む機械を持ち上げ、彼女はカードを差し込み支払いを済ませた。


「買ってきたよー」


「お、おう」

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