60話 夏休みと問題発生⑩
千秋の事が少し知れます
「大将の負けだ終わったぞ?」
俺は残っている不良達にそう告げた。
不良達はリーダーの加藤がやられた事によって、困惑していた。
「あー、疲れちった。」
俺はポカポカと自分の首を鳴らした、戦いが終わったのかと、ミズキが近づいて来たのだ。
「お疲れ、千秋」
「おう、何か飯食いに行かね?腹減っちまったよ」
そして、ミズキの後ろから大智が申し訳なさそうにやってきた。
何か言いたそうだったが、自分がやった罪が重く俺の顔を見れていなかった。
「...」
「はぁ〜」
「イテッ」
俺は大智のおでこにデコピンを入れた、え?え?っと大智は混乱していたが、大智が何を思って居るのかは俺は知っている。
「お前が取った行動は間違ってねぇよ。俺だってお前の立場になったら、そうするかも知れないし」
「...千秋、本当にごめん」
あの時千秋は全て聞いていた、千秋を売った俺を許してくれる心の広さに大智は思わず瞳から涙を流した。
「ごめん、ごめん」
「気持ちわる!男が男の前で泣くよ!」
みんなは泣いている大智を慰める様に背中をゆすった、そんな微笑ましい空気を、ある男がぶち壊した。
「ひひひひ、まだ終わりじゃ無い」
...せめて、笑い方統一しろよ
「雇って正解だったわ」
加藤はポケットからケータイを取り出して、ボタンをポチッと押した。
すると、部屋の外からピピピっと音が聞こえて来て、中に黒服スーツの男達5人が入ってきた。
「坊主、金はちゃんと払って貰うぞ?」
「わぁってますよ。後できっちり20万円払いやす」
ミズキ達はすぐに気付いた、黒服のスーツ達の正体は極道の者だと、例えミズキ達が強いとは言えたかが高校生、本物の極道の大人達には勝てないとすぐに感じたのだ。
どうやは、加藤はもしもの為に極道者に高い金を払って雇っていたのだ。
「千秋!どうするのよ!あれはまずいって!」
ミズキの忠告を聞かず、俺は極道者の奴らに近づいて訪ねた。
「お前らどこシマだ?」
「おうおう、カタギさんが一丁前の言葉を使うのう」
「はぁ〜、そんなのどうでも良いんだよ?お前ら見た所村雨会の者だろ?ガキのお小遣いをぶんどって、こんな事かをしていたのか、チンピラが村雨の名前を汚してんじゃねぇよ?」
「は?」
今の千秋の言動がおかしかった、ミズキ達も何を言っているのかと混乱していた。
「チンピラがジジイを困らせてんじゃねぇよ?」
千秋は自分の腕を回しながら、極道者に向かって行った。
そんな余裕そうな千秋に、極道者は警戒をして思わず懐から短刀を鞘から抜いた。
「千秋!!それはやばいって!」
琉樹が大声で忠告するが、俺はそれを無視した。
「おい、村雨の者がドスなんて使ってんじゃねぇよ、吾郎ちゃんから教わらなかった?男は黙ってステゴロって」
極道者は完全に混乱し始めた、何故高校生の奴が吾郎と言う名前を知ってたのか、そして吾郎の教えも知っているのか訳分からない状態だった。
「こいよ、吾郎ちゃんの代わりにヤキ入れてやるよ」
「おらぁ!!」
短刀が千秋を襲ったが、極道者の腕を掴んで背負い投げをした。
次にに俺の腹に突き刺そうと襲った奴のモモに蹴りを入れて顔に拳を入れた。
「グハッ」
「ガキが舐めんなよ!」
「それはこっちのセリフだ」
そいつの顔を掴み、地面に叩きつけた。同時に2人が襲ってきた、千秋はそいつらの顔を掴んで顔同士をぶつけた。
あまりにも圧倒的な強さに、ミズキ達も加藤も倒れてる極道者も驚いていた。
「はぁ、ちょっと待ってろ」
俺はスマホを取り出して誰かに電話をかけた。
「あー、俺俺。吾郎ちゃんさちょっと面倒ごとに巻き込まれたのよ...え?お前らの組の若い者だよ。はよ来い、こっちは腹減ってんだよ。今位置情報を送るから10分以内に来い...え?分かった」
俺は倒れてる極道者の前にスマホを置いた。
電話に出ろと俺は目線で知らせて、恐る恐るスマホを耳にやると極道者の顔は青ざめ始めた。
「悪いミズキ。さっきの約束は破っちまう、また今度飯食おうな。ガキの時間は終いだ、だからすまないが帰ってくれ」
千秋は笑ってそう言った、ミズキ達は千秋の言葉にうんと頷いて廃墟から出て行った。




