6話 イチゴジュースと友人
「なぁなぁ、千秋。昨日のニュース見たか?」
「昨日は忙しくてテレビ見てねや。何かあったのか?」
昨夜は灯里が家に泊まり、忙しかった為テレビを一切見なかった。
「金曜日によ、ある学校の1クラスが集団失踪したんだよ」
「ふーん、」
「興味ないのかよ」
「あまり現実的じゃいな」
「まぁーね、でも実話だよ。その中に大手会社の娘さんも居たよ、多額な費用を使ってよ捜索してるんだ」
「見つかると良いな」
っと、興味無さそうな呆気なく答えた。
「おい!そこの2人うるさいぞ!」
今は授業中だった為、うるさく喋っていた俺と潤が怒られてしまった。
特に先生の授業を、聞いてもつまらなかった為俺は眠りについた。
☆☆☆☆☆
「千秋〜起きろ。昼の時間だぞ」
誰かが、俺の肩を揺らして起こしていた。
目を開けて、時計を見ると12時半を過ぎていて今は昼休みに入っていた。
「おはよう、」
「来てたのか..」
「いやよ、潤がよ朝から千秋が来てる!!ってメールして来たからよ、俺も驚いちゃったよ。なんだ、どういった風の吹き回しだ?」
っと、ニコニコと言ってきた。佐藤 大智。数少ない俺の友人で、金髪、ピアス、グラサンのチャラ男だ。
「本当に居るのかよ。マジで信じられなかったぞ..」
すると、大智の背後から巨体の男がやってきて、本当に千秋が居ると目を大きく見開いていた。沢本 千寿、身長は196センチの巨人だ。
「だろ、言ったろ。千秋が朝から居るって」
潤は自分の事みたいに、自慢していた。
俺達4人と楓はよくつるんでいて、一緒に遊んだり昼飯を食ったりする仲だ。
5人分机を並べて、俺は楓を起こした。
「いつまで寝てるんだ。昼だぞ」
「んーーー」
楓は直ぐに起きて、その場で背伸びをした。
そして、潤達は購買で買ったパンをかじり、俺と楓は弁当を開けた。
「何だこれ?」
「朝早くこれた褒美だ」
大智は、褒美と俺の前にイチゴミルクを置いた。
俺はありがたく貰って、ストローを刺してゴクゴクと飲んだ。
「ちー君、私も欲しい」
「ん、」
楓が欲しいと言ってきたので、ストローを楓に向けて飲ました。
大智は肘をつきながら見ていた。
「本当、お前ら仲が良いよな」
「ガキから一緒だからな」
「付き合ったりはしないのか?」
っと、千寿ニコニコと揶揄う様に聞いてきた。
「んー、楓と付き合うか..確かに悪くないな。俺結構楓の事好きだし。...楓?」
楓の方を見ると、顔が真っ赤になっていた。
俺が見てる事に気づき、すぐに立ち上がり飛び出す様に教室を出て行った。
「トイレか?」
「「「いや、今のはお前のせいだ」」」
「...へ?」
3人は深いため息を吐いた。
楓がこんな無自覚鈍感野郎を相手するのが、気が遠そうで頑張れと心の中で応援した。
ピンポーンパーポン
「あ、やべ。行くぞ」
予鈴がなり、大智と千寿は自分のクラスにダッシュで戻って行った。
せめて机ぐらい戻せよと俺は思い、俺1人で机を元の位置に戻した。
「おー楓、さっきどうしたんだ?」
ふらふらと自分の席の前に立ち、赤くなっている顔をパタパタと自分の手で仰いでいた。
「ちー君、さっきのって「ほら、席に座れ」
楓は何か言おうとした瞬間に、先生が入ってきて立っていた楓が注意された。後ろで、潤があちゃーっと声を漏らしていたが、何事と俺は首を傾げていただけだった。