58話 夏休みと問題発生⑧
「ふざけんな!!!真由美に手を出すんじゃね!!!」
大智は部屋中に響き渡るぐらい叫んだ。
そんな大智の顔を見て加藤は幸福そうに笑っていたのだ。
「ああ、最高ですね。その顔!惚れ惚れしちゃうわ」
「殺すぞ、真由美に手を出してみろ。本気でお前らを殺しに行くぞ!」
「ああ!最&高!その絶望の顔を見せて下さい!」
何人かに取り押さえられてる大智の顎にクイッと上げて笑った。
「確か、本屋で働いてるらしいじゃ無いですか?」
「やめろ!やめろ、」
ここまで自分の彼女の情報がある事に、大智はどうしようかと悩まされていた。
「なら、一つ私から提案があります。彼女さんを助けて千秋ちゃんの居場所を教えるか、彼女さんを捨てて千秋ちゃんを助けるから貴方が決めて下さい」
大智はその提案を聞いて苦い表情をする。
友を助けるか、想い人を助ける大智は迷った。
だが、すぐに答えは出た。大智が選択したのは、彼女を助ける方だった。
「...千秋の居場所は、桜坂高校から歩いて20分近くの茶色のマンションにいる。近くに公園があるから分かりやすいだろ」
「大智!!!」
口を割った事にミズキは怒り出した。
「しょうがないだろ!真由美が危険な目に遭うんだ。ごめん、本当に千秋には悪いと思ってるよ」
大智は悔しそうな表情を浮かべていた、ミズキは自分が弱い事に、そして甘く考えてた事、千秋を巻き込んでしまった事に劣等感を覚えてしまった。
加藤は吐いてくれた事に不気味な笑みをこぼした。
「そうですか。それはありがたい情報ですね。では、千秋ちゃんの前に真由美ちゃんを、襲いましょう」
「は?」
友を捨ててまで彼女を選んだのに、加藤が真由美を襲うと聞いて耳を疑った。
「な、何故だ?」
「当たり前でしょ?俺はお前らを徹底的に報復する。なら、最初にやる事は貴方達の周りの大切な人達を不幸な目に合わせるのですよ」
大智は絶望の顔を浮かべた、友を捨てて想い人を助けられ無い事に、自分の無力さに絶望していた。
コロンコロン
「外の見張りの奴らは、ここに置いても良いか?」
部屋の外から鉄の棒のようなものが、地面を引きずる音が聞こえてきた。
部屋に入ってきたのは、鉄パイプを持ったフードの男と、ダルそうな表情を浮かべ、両手にはボコボコにされている不良を引きずっていた千秋だった。
「千秋ちゃん?!!」
「うるせぇな」
加藤は千秋と再会出来て、嬉しそうに叫んだ。
声の大きさに、うるさっと俺は引きずってた不良を離して、両手で耳を塞いだ。
千秋は近くにミズキを取り押さえて居た不良達のの頭を掴み床に叩きつけた。
「...千秋、喧嘩しないんじゃないのか?」
「これは別だ、俺がやるのは喧嘩じゃねぇ、ダチの救済措置だ」
俺は首をボキボキと鳴らして、加藤を囲んでいる不良の集団に近づいて行った。
「何?俺らの大切な人達を襲うって聞こえたが?」
「襲うさ!お前らを地獄に叩き落としてやるよ!」
「...そうか」
っと、言いながら俺は襲ってきた不良達を軽く倒して行った。あっという間に、俺の周りには10人近い不良が倒れて行ったのだ。
「なら、お前を徹底的に潰さないとね」
ミズキ達は気付いて居た、千秋が心からブチギレてる事に。
「良いねぇ!こう来なくちゃ!やはり、千秋ちゃんは最高だよ!」
「気安く人の名前を呼ぶな、気持ち悪い」
「それで、この人数差でどう勝てると?」
「俺は1人じゃないぞ?」
「はは!もしかして、その男と2人きりで勝てるとでも?」
謎のフード男に指を指して言った。
フード男は、近づいて行く不良どもに、子供の様に鉄パイプを振り回して居た。
「立てよ、何勝手に寝転んでんだ?」
俺は後ろに居るミズキ達を睨んで言った。
ミズキ達はこの人数差に勝てないと思っていたが、千秋が来てくれた事に勝てる希望を抱いて再び立ち上がったのだ。
「じゃ、次は俺参戦の第二ラウンドでもやろうか」




