57話 夏休みと問題発生⑦
「加藤!!!」
「琉樹ちゃんじゃん!どうも加藤ですよ!」
加藤は叫ぶ琉樹に対して、ウィンクで挨拶をした。
ミズキ達は周りに居る不良の人数に少しやばいと感じとった。
「懐かしいですねー、一年前もここでやってましたね。ちなみに千秋ちゃんは?」
「千秋の野郎は俺ら程度だと出てこないってよ」
「きゃっは!それは残念だ。100人ちょい居ても千秋ちゃんにとっては程度レベルか」
加藤の問いに森が答えた。
ミズキ達もここまで人数だと思っておらず、流石にどうしようかと目線を送り合っていた。
「うーん、千秋ちゃんと混じり合いたかったですね。しょうがないです。君達から千秋ちゃんの居場所を教えて貰いますか」
「僕らが教えるとでも?」
「教えますよ。絶対に、特に大智ちゃんは」
「は?」
何故加藤が、大智は絶対に吐くと自信満々で言った事に大智は首を傾げた。
「まぁ、いいでしょう。皆さんやっておしまいなさい!」
「おい!蓮は俺が相手する!他の奴らは手を出すな!」
スキンヘッドの男が蓮とタイマンを張りたがっていた。
「お前は...ハワイシャークのヘッドの、宮崎か?」
「宮島だ!!」
名前が間違っていた事に、宮島は声を荒げた。
「ああ、そうだったな。懐かしいね、あの時もタイマンでお前は負けたよな」
「あの時は俺が油断してただけだ、次は負けね」
「あっそう」
すると宮島が先に仕掛けてきた、突進する勢いで近づいて大きく拳を振りかざした。
蓮はその拳から、クルッと回転で避けて、回転の勢いを使って奴の横首に回し蹴りを入れたのだ。
「グハッ」
「あーあ、前回の戦略とほとんど変わってねぇじゃねぇか」
蓮は宮島が猫のように大の字で伸びている事を見下ろし、ミズキ達を見渡すと、不良の一人一人はあまり強くなく何人かの不良は倒していたが、数が多すぎて体力がどんどん削られており、どんどん不良の攻撃に避けられなくなっていた。
「ちっ、流石にやべーな」
宮島が倒された事がわかって、不良達は蓮を襲い始めた。
最初は避けて反撃が出来たが、何分か後には体力の限界で避けている事が精一杯になっていた。
「ガハッ」
後ろからの攻撃に対処出来ず、振りかざされた鉄パイプをモロに食らってしまい、その場で倒れた。
次々とミズキ達が倒されて行って、全滅を確認した所で加藤は拍手をしながら近づいてきた。
「素晴らしいよ。やはり千秋ちゃん無しでもここまでやるとはね」
最初のいた不良から、4分の1は倒されていた。
「でも、改めて見ると脅威なのはお前らじゃなく、千秋ちゃん1人なんだな。千秋ちゃんが居たらどのぐらい減らされたのやら」
「ちっ、」
「あはは、さぁ千秋ちゃんの居場所を教えて貰うか」
加藤は近くで倒れてるミズキの頭を踏んだ。
「ぼくが教えるわけ無いだろ!」
「最近千秋ちゃん、仲の良い女の子がいるらしいじゃん」
「は?」
何故加藤がそれを知ってるのかと、驚いていた。
すると、加藤の後ろからニコニコと笑っている、タンクトップ男が立っていた。
どうやら、千秋と灯里の会話の時起きてたらしく、加藤に報告したのだろう。
やばい、また巻き込んじまった。
「さぁ、早く教えて下さいよ」
強く踏み潰されても、ミズキは口を割らなかった。
例えどんな痛めに遭わされてもこいつらは千秋の居場所を割らないと気付いて、加藤は違う作戦を行った。
「しょうがないですね。大智ちゃん、最近彼女さんとは宜しくやってるのかな?」
「あ?」
大智の彼女の話が出てきて、ヒビが入っているグラサン越しから強く睨みつけた。
「なかなか可愛いですね」
大智の前に、自分の彼女の写真がばら撒いた。
その写真を見て大智は激怒した。
「ふざけんな!!!真由美に手を出すんじゃね!!!」




