5話 幼馴染と朝食
「なんで、俺正座してるの?」
俺は帰って早々、何故か灯里に正座されていたのだ。
「俺、何かしちゃったかな?...」
「ハレンチです!」
「えーー」
いきなり、身に覚えよないハレンチと言われ、何の事かと混乱して居た。
「付き合って居ないのに、一つのベッドで寝て居て、それに加えて裸で寝るって」
「あー」
やっと、千秋は何の事か理解した。
楓を起こしに行こうとした時に、楓が裸で寝てる姿を見て、その状態で一緒に寝てる事をハレンチと言っている事が分かった。
「もう慣れたしな...」
「な、慣れた?い、いつからなのですか?」
「はじめては6歳の時か?あの時はマジで寝れなかったよ。あははは」
最初の頃は、俺が隣で寝て居るのに楓が躊躇なく裸になり寝ていた事に、眠れなかったのだ。
だんだん日が経つと慣れ始めて今は何とも思わないのだ。
本当はまだ心の奥ではドキドキして居るので、理性を保つ為にあまり見ない様に寝ている。
「...まぁ、昔からでしたら、私が口出すのもあれですね」
「話終わった?朝食出来たよ」
愛香に朝食出来たと言われ、俺と灯里は席についた。
後から、眠そうに楓がリビングにきて一緒に朝食を取ったのだ。
今日の朝食は、ベーコンエッグに、サラダ、トーストにコンポタージュだった。どれも、店以上の美味しさだった。
「愛香さん、美味いです」
「ありがとう」
「灯里と愛香は先に出るのか?」
「うん、この後食べ終わったら灯里先輩と先に行くよ」
「そうか、気をつけろよ」
「...ちょっと、待って下さい」
「はい?」
いきなり、俺の袖を掴まれた
「えっと、千秋さんはこの後何をするのですか?」
「...寝る?」
「ダメです。千秋さんも一緒に来て下さい」
「...ごめん、お腹が痛くなってきた」
千秋が、逃げようとしたが袖を掴まられて居たので逃げる事は出来なかった。
「楓さんもです」
ビクッ
楓は嫌な予感がしたのか、こっそり逃げようとしたが止められた。
仕方なく、今日は久しぶりに朝から学校に向かって行ったのだ。
「こんな、早く学校に来て掃除かよ。疲れないのか?」
「私がしたいから、やってるだけです」
「そうなんだ」
俺は灯里が教室を綺麗にしてる姿を、ずっと見ていた。
目の前で頑張って掃除してるのに、自分はただ見てるだけが気に食わなかったのか、しかたなく自分も参加した。
楓は寝ていて2人は黙々と掃除を続けた。
「あっれ?千秋早くねーか!!」
すると、ジャージ姿の男が勢いよく扉を開いた。
こんな、朝っぱらから千秋が学校にいるか事に物凄く動揺していた。
「朝からうるせーな」
「何だ?何だ?風邪でも引いたのか?」
「汗くせーよ、早く着替えてこい。」
「へーい、」
この男は、増田 潤。
俺の数少ない友人だ。サッカー部のエースで学校一のイケメンで常にクラスをまとめていて、男子にも女子からは評判が良い。
特に俺に絡んで来て、うっとしいと口で言っているが、心の中では悪くない気持ちだったのだ。
潤がその場でジャージを脱ごうとした瞬間に、後ろから軽く蹴り飛ばした。
「何をする!」
「お前が何してるんだ。周りをみろ」
「え?楓は寝てるから良いだろ?...え?あ、成瀬さん居たんだ、ごめん」
楓が寝ていたから、服を脱ごうとしたが。まさか、千秋と一緒に居るとは思わなく慌ててジャージを着直した。
「あと、楓が寝てるからって服を脱ぐなよ」
「へいへい、悪かったよ。本当、彼氏さんは過保護ですね」
「付き合ってねぇーよ」
「本人はそうなりたいと願ってるぞ?」
「何言ってんの?」
「はぁ〜」
何も気付いてない千秋に呆れて、そのまま更衣室に向かって行った。
次々と他の生徒が、教室に入ってきた。
何故こんな早く俺と楓が居るのかは謎めいて居たが、朝のホームルームが始まった。