39話 体育祭と最強リレー
『次のプログラムは、1.2.3年生の最強リレーです!!』
「「「うおおおお!!!」」」
歓声の嵐だった。
最強リレーに出る先週が、校庭の真ん中に集まって行く。
「潤、アンカー頑張れよ」
「うーん、やっぱりお前がやれよ!」
「は?」
潤は俺の肩に手をポンっと置いて、アンカーをやれと言われた。
「いや、練習通りにお前がアンカーやろ?」
「さっきの見てて思った、お前は嫌われ過ぎだ!ここで名誉挽回しようぜ!」
騎馬戦時に、相手が容赦なく蹴って来た事に潤は不満があった。流石に嫌われて過ぎだと、1番目立つアンカーを俺に託して、名誉挽回させるつもりだ。
「...はぁ〜、しょうがいな。だが、他の奴は良いのか?1番遅い奴がアンカーになるんだぞ?納得行かないだろ?」
「そこは、俺がなんと話すから!...てか、お前が1番速いだろ?」
潤はよく千秋と一緒にいるので、あまり本気を出していないで、体育なタイムは千秋の本来の記録ではない。
「それに、お前は体力もある。アンカーにピッタリじゃないか!」
アンカーはスピードだけが有れば勝てるものじゃない、アンカーだけは400メートル走らなくちゃ行けないので、体力も必要だった。
「はぁー」
頭をかきながらため息を吐いた、俺は仕方なくアンカーをやった。
☆☆☆☆☆
すでに1年生の最強リレーは終わっており、次はいよいよ2年生の番がまわってきた。
トラックを囲むように見物を決め込む生徒たち。異様な空気を醸し出している中、俺達は所定の位置に移動する。
現時点の合計点数は、1組は2位だ。ここで1着を取れば学年で1位なれる。
みんなの、燃え上がる熱心が会場を包んでいた。
『それでほ、2学年、最強リレーを開始いたします!!』
結構ドキドキするな...
トラックの北側には男子が、反対の南側には女子が。第2走者の霧隼はすでにスタンバイしており、他の選手も待機している。
うちのクラスの第1走者は順がやると名乗り出た。
「あれ?増田がアンカーじゃないの?」
すると、潤と同じぐらいのイケメンと言われるバスケ部のエースが話しかけて来た。
「なんだよ...ぷぷっ、あいつ、俺から逃げたのか?」
どうやら、自分から逃げたと勘違いして高笑いしていた。
流石に友達を、目の前でバカにされるのは居心地が悪かった。
あまりにも、ウザさにこいつだけは速く走ろうと決意したのだ。
ばぁん!
スターターピストルの音が響き渡った。その瞬間に溢れ出す大声援、間違いなく今日一番の盛り上がりだったのだ。
「潤がアンカーじゃないなら、今回は俺たちが優勝だな」
「...おい、俺に勝つって言ってるのか?」
「あ?」
お互い睨み合った。
「問題児君のゴミが運動部に勝てると思ってるの?」
「お前って見てて遅そうだしな。負けたりはしないよ?」
「うざ、その鼻っ柱をへし折ってやるよ」
「上等だ、バスケ部のエース様の実力を教えてくれよ。俺は負けたら、お前が言うゴミ以下ってなるからな?」
「ふん、」
『アンカーの人は、位置についてください』
そして、お互いの番が回って来た事に気付きスタンバイした。
えっと...名前忘れたけど、今女子の中で1番速い灯里にバンドンが回って来た。
どんどん、俺の所に近づいてきて、バトンが回って来た。
「千秋君、頑張って」
っと他の人に聞こえないぐらいの小声でバトンを渡された。
どうしっかなー、前半はペース配分して、最後らへんにスピード上げるか?
「ちー!頑張れよ!!」
「兄さん!ファイト!!!」
「ちー君!1位取ってよね!!」
真っ赤になりながら、全力で走っていた楓と灯里を思い出し、4人の俺を応援する声が聞こえて来た事に、さっきの俺の考えが馬鹿馬鹿しく思った。俺が選ぶ選択は一つしかない、最初から最後まで全力疾走だ!
「お、おい!ち、千秋?流石にそれはば、バテるぞ!」
流石の今の俺の全力疾走に潤は俺の体力を心配した!そもそも今は3位で、追いかける立場なんだから!ペースなんて知らねぇ!1位との差は5メートル近くは離れてるんだぞ?!
6組の奴を抜かして、バスケ部の奴背中がみるみる近づいてくる。正直少し舐めてかかっていた400メートルが牙を剥き始めたのだ。
足が棒のような感覚が走り、残りはまだ200メートルくらいあるのだ。
ここで、スピードを落とそうと考えたが、4人の応援する顔を思い出せばそんなの全て吹っ切れた。
「はぁはぁ、くそ、やべ追い抜かれちまう」
残り100メートルの所で、バスケ部の奴と肩を並んだ。
「「「「「おおおおお!!!追い抜いた!!」」」」
そして、俺はバスケ部を追い抜き俺は嬉しさの勢いにガッツポーズしながらゴールした。
「はぁはぁ、きっつーー」
『3位から、1位に這い上がったぁ!!1組が1着だ!続いて、6組が2着――――」
あー、疲れた。久しぶりだなここまで心が躍ったな




