26話 期末テストと理由
テスト前日の勉強会は、集中して勉強に取り組むことができた。分からない所は4人に教えてもらいつつ、一問一問的確に問題を解ける様になった。
「ちー君、今日はここまで」
「え?」
「え?じゃないよ。前日に頑張りすぎて体を壊しちゃったら、元も子もないでしょ?」
これ以上、千秋か無理して体を壊してしまい、明日のテストが受けられなくなってしまうので、今日は早めにお開きになった。
「そもそも、ちーは何でこんなに頑張ってるんだ?そんなに、夏休みに学校行きたくないのか?」
「...笑わない?」
「ん?何が?」
「理由だよ」
「笑わないから、言ってごらん」
千秋は気恥ずかしそうに、七海の問いを答えた。
「...夏休み、お前らと少しでも一緒に居たいなーって思ってよ。夏休み中に、補習にでも行ってたら会う時間減るだろ...お前らと居ると落ち着くし、楽しいんだよ。なんか、こう、お前らと居るのが好きって言うか..ゴニョゴニョ」
千秋は、顔を赤くして髪をカリカリと気恥ずかしそうにかいた。
まさかの回答に、4人は固まってしまった。
「え?お兄ちゃん、それって...」
「あーー、やめだやめだ。俺は先に寝るぞ」
あまりにも恥ずかしさに耐えきれなかったのか、リビングを飛び出す様に出て行った。
取り残されてしまった4人は、みるみると顔が赤く染め上げた。
「え?さっきの千秋君って...」
「...ちー君どゆこと?」
先程と千秋の言動は、単なる楽しいだけの気持ちなのか、それとも好意なのかは、4人もそして、あまりにも恥ずかしさに枕に顔を埋めてる本人も知らないのだ。
だが、4人は一つ言えることは
灯里、楓、愛香、七海の順番で
「さっきの」
「照れた」
「お兄ちゃんの」
「顔は...」
「「「「可愛いかったな〜」」」」
☆☆☆☆☆
『一教科でも赤点を取った者は、容赦なく夏休み中でもあれ補習だからな。それが、嫌なら赤点を取るんじゃないぞ?」
テスト前のホームルームで、松浦は生徒に脅す感じでやる気を出させていた。
その間俺は、最初のテストは英語のため。七海が手作りで作った英単語帳を見ていた。
ピロン♪
ん?
テストが開始寸前の前に、誰かがメールをしていた。
沢< やべーよ、ノー勉だよ
大< ガチそれw
沢< まぁ、何とかなるっしょ
大< まぁ、赤点取った時は、仲良く3人で補習だな!
沢< だな!w
「すーーーーーはぁーーー」
俺は一回深く深呼吸をした。どうやら、2人は俺を同類と思われていたらしい。
心の中で、補習頑張れと2人に応援した。
1日目は、英語と数学をやり。成果はまぁぼちぼちかな〜。
大体の問題を埋められたし、赤点は回避出来ていると思っている。
そして、今日の学校は2時間で終わり、家に帰って5人で勉強会を開いた。
2日目は、化学と現代文。昨夜、愛香と楓にみっちり知識を脳に叩きつけられたので、完璧とは言わないが少し自信がある。
すると、テストが始まる前に、楓が耳元で呟いた。
「ちー君、集中だよ。ファイト」
ドキッ
いきなりの事に、楓の囁きと甘い香りを俺の心臓が跳ね上がった。
楓に見られない様に、赤くなった頬を右手で追いかぶせて隠した。
「...う、うん。頑張る」
俺は、先程の楓の声を思い出しながら、テスト中ずっとドキドキしていたのだ。




