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19話 クレープと猫

「んじゃー、俺はここで」


俺は背を向けてその場から消え失せようとした瞬間、いきなり服を掴まれてしまった?


「ちょっと、待ってよ。」


後ろを振り向くと、右耳にピアスに金髪ボブの整った顔の女性がだった。誰に聞こうと美少女だと答えるものが多いだろう。


「お礼させてよ」


「要らないよ、別にお礼が欲しかったから助けた訳じゃないよ。だから、さらばだ」


お礼がしたいと言われたが、断って帰ろうとするが手は離さなかった。


「早乙女、流石に冷たすぎるぞ」


俺の冷たい態度に彼女は少し涙目になってしまったのだ。


「...ん?お前も俺の名前を知ってるのか?」


「...それは、知ってるに決まってんだろ?クラスメイトだから」


「...え?クラスメイト?お前みたいな奴居たっけな〜。結構美人だから忘れるはずないんだけどな」


「...お、お前随分ストレートにいうな。まぁ、なんか早乙女になら悪い気がしないけど...」


頬が赤くなり少しモジモジし出した。俺はずっと顔をじっと見つめていた、冗談抜きでこんな美人なら忘れるはずないんだけどな〜


「ごめん、やっぱり分からないな」


「...そう、しょうがないか。来てたのは2年の最初だけだしな」


しょうがないと彼女は笑った。


「じゃー、改めて神宮寺七海。上の名前は言いにくいと思うから気安く七海って呼んでね」


「七海か宜しく」


俺は手を差し伸べて握手を交わした。


「俺も千秋って下の名前でも好きな様に呼んでいいぞ」


「千秋か...じゃ、ちーって呼ぶね」


お〜、いきなりあだ名で呼ばれてしまい気恥ずかしそうな表情になり、心臓がドキドキとなっていた。


「ちー、せっかくなら何か食べに行かないか?」


「ん?別に良いぞ、俺も暇してた所だし」


七海は何が良いかと考えていた、するとクレープ屋さんが目に入った。


「クレープはどうよ?」


「クレープか..」


「やっぱり、男はクレープは苦手か?」


「いや、男はクレープ好きじゃないのか?俺は甘いものが好きだからな。それに、七海みたいな美人に誘われたら断れないな」


「...お前って案外タラシなのか?」


「何故その結論になる」


俺は七海をジト目でツッコミを入れた。

クレープを二つ買って、手頃なベンチに腰掛け話しながらクレープを食べていると。そもそも、何故七海が裏通りにいたのか聞いた。


「いや、猫を追いかけていたら。ナンパ野郎に捕まってよ」


「あははは、そうなのか。実は俺もなんだよ、猫を追いかけていたら七海がナンパされてる所を見たんだよ」


「...そうなんだ、おそろだな」


そして、俺たちは食べ終わり自動販売機で飲み物を買った。

俺は二つ分買って、一つ七海に山なりに投げた。七海は見事にキャッチしたのだ。


「良いのか?」


「良いよ、全然釣り合ってないけどクレープのお礼だよ」


先程の千秋のクレープは、助けたお礼と言って七海が出してくれたのだ。

俺はグイッと飲み物を飲んだ。


「そういえば、学校に行かないのか?」


「うーん、学校に興味なかったからねー」


「なかった?」


何故か、なかったと過去形で言っていた。


「うん、今は少し行きたい気持ちが出来たよ」


「お?なんでだ?」


「べ、別に大した事ないよ。行きたいって思っただけさ」


チラチラと目線だけこちらを見て、少し赤くなって俯いてる七海だった。


「そっか、なら楽しみだな」


「え?」


「だってよ、学校に来てなかったから分からないけど、七海と居ると楽しいって感じがするよ」


「...お前それ...いや、ちーの性格的に別に大した意味じゃないか」


お互い知り合ってからそんなに時間は経って居ないが、七海は千秋の事がどんどん分かっていたのだ。

するも、七海はスマホの時間を確認して立ち上がった。


「ごめん、私そろそろバイトだわ。」


「おう、そうか。気をつけろよ」


「ああ」


「明日は学校来いよ」


「分かってるよ」


俺は走りゆく七海の背中を見た、彼女の姿が見えなくなった時に立ち上がりそのまま家に帰ったのだ。

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