15話 ホッケーとプリクラ
「あ!あれやろうよ!」
子供の様にはしゃいでいる楓にそう言われ、俺は彼女に手を引かれて移動した。
「お、エアホッケーか」
楓に連れてかれたのは、エアホッケーの台だった。
俺が楓の反対側に立つと、楓がお金をいれてスタートした。
「とりゃ!」
「うおっ、思ったより早いな」
「せい!」
楓の素早い動きに俺もどんどん追いついて、激しい攻防が続いた。結果、俺の完敗だった。
「イェーイ!」
満面な笑みでVサインを送った。
楓も笑顔に俺は見惚れてしまい、プイッと顔を逸らした。
自分の心に手を添えるとドキドキと心臓が鳴っていた。
「ねぇねぇ、次違うのやろうよ」
楓は再び俺の手を引いて、次はカーレースの台の所に近づいた。勝負だと言い競争した。俺が8位で楓が1位の結果になり大差つけて俺の負けだ。
そして、次々とゲームを満喫した。
「はぁー、楽しかった」
「どうする、そろそろ昼にするか?」
「うん、あ、最後にアレやろう!」
ゲーセンに出ようとした瞬間、出口の前にプリクラが立っていたことに気づき楓に再び手を引っ張られた。
「ちー君撮ろう!」
「良いよ」
2人はプリクラの中に入った、プリクラにはモードが3つあって家族モード、友達モード、恋人モードがある。
楓は、躊躇なく恋人モードを押した。
「よし、」
「え!」
すると楓が腕を絡めてきた。腕に柔らかい感触があり、ついつい気恥ずかしい気分になってしまう。
「え、マジで」
機械からの指示は、カップル同士でハートを作るだった。
「やろうよ!やだ?」
うるっとした瞳で見てきた、そんな可愛いらしい表情で見つめてくると俺は断る事が出来なかった。
お互い気恥ずかしそうに手でハートを作った。
「ふぅ、よし次は落書きタイムだ!」
何枚か撮った写真を楓が楽しそうに文字を書き、それを印刷した。
何書いているのか気になって覗こうとすると、なぜか顔を赤くして隠してきた。
「ダメ!」
「はい...」
出てきた写真を、切って楓が俺に一枚渡した。
渡した写真は、最後に撮った俺が後ろから抱きついている写真だった。
「マジでカップルみたいじゃん」
「...そ、そうだね。」
俺は思った事を、正直に答えてしまった。
「まぁ、悪い気はしないな。楓は美人だから、嫌がる男はいないだろうね。少なくとも俺はそう思うよ」
「...へっ?」
「ん?」
俺は顔を見ると、楓の顔がどんどん赤く.....?!
「いや、ちがうそう言う意味で言った訳じゃなく!」
楓は真っ赤になって顔を両手で覆ってしまった。これは俺が知っている、楓が本気で恥ずかしがっている時の仕草だ。
他の人からの、嫌な視線が気付いたのですぐにその場を後にした。
その後、楓が落ち着くまで適当な話をし続けた。
☆☆☆☆☆
「小腹が空いてきたな。何か食べに行かないか?」
「んー、そうだね」
「適当に買って行くか」
俺たちは、商店街に行き目に入ったものを食べ歩きした。
「そういえば、他にプリクラ何書いたんだ?」
「...内緒だよ」
「えー、ちょっとは教えてよ〜」
「にっしし」
プリクラに何書いたか聞いたが、楓は教えてくれなかった。
すると、俺のスマホから1通のメールが届いた。
「あ、やべ」
「どうしたの?」
メールの内容を楓に見せた。
灯< 私が目を離した隙に早退したんですか...楓さんも一緒ですか?
これは帰ったら説教コースだと2人は悟った。
「まぁ、一緒に怒られるか」
「ふふ、そうだね。今度は愛香とあかりんも誘ってプリクラ撮りたいね!」
「悪くないな」
そして、俺たちは商店街の奥に進んだ。
楓はスマホの裏に貼った、千秋と手でハートを作ってるプリクラの写真の文字を読み上げた。
「ずっと、一緒だよ」
「ん?なんか言った?」
「何でも無いよ」
何故か楓はやたら嬉しそうに笑ったのだ。




