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12話 提案と怪我


「灯里ちゃん、楓ちゃんもう上がっても良いわよ」


「はい、ありがとうございます」

「了解〜」


学校の制服に着替えて、3人で帰った。

すると、楓がとんでもない事を聞いてきた。


「ねぇねぇ、あかりんってさ。ちー君の事好き?」


「え?!えっと、友達としてですか?」


「んん、1人の男性として、好意があるって言えば良いのかな?」


「いや!そんな訳ありません。私が千秋さんの事を好きではありま..せん?」


好きではないと言うと、何故か心がモヤモヤしていた。

千秋の所に居候してから、少しでも千秋の事を考えると最近心がドキドキとなっていたのだ。


「どう、好きなの?」


「...分かりません。私が最近の千秋さんを見れば好きと言えますが、これが好意と言われるとまだ分かりません」


「ふーん、まだか...愛香、あの事言って良いかな?」


「灯里先輩なら、歓迎ですよ」


2人が言うあの事とはと、首を傾げた。


「あかりんは、私がちー君の事が好きって気付いてる?」


「...はい、見れば分かります」


楓が、千秋に好意があると楓の反応を見れば誰だって気付くほど分かりやすいのだ。それに、気づけないのは本人だけだった。


「じゃー、私は?」


愛香は自分に指をさして、聞いてきた。


「2人を見れば好きって分かりますが、それって兄妹としての好きってですよね?」


「違うよ、私はね。昔からお兄ちゃんの事が結婚したい程好きなの。」


「結婚...」


愛香が前言ってた、義理の兄妹なので結婚出来ると嬉しそうに語っていたがあの時は冗談だと灯里は思っていたのだ。


「じゃー、2人はライバルって事ですか?」


「そうね、2人とも初めてちー君の事に好意があった時はライバル視してたけど、よくよく考えると私達争うの嫌なの」


愛香と楓は、昔から一緒だったのでいがみ合うのが嫌だった。

だから、2人はある事を思いついのだ。


「だから、私達ねこう決めたの。争うなら、2人で付き合えば良いじゃんってね」


「え、」


2人が考えた作戦はあまり現実的じゃなかった。

いがみ合うのが嫌なら、2人で結婚すればと思い詰めたのだ。


「本当はお兄ちゃんを独り占めしたいよ。でも、それ以上に楓が傷付くのが嫌だ」


もし、千秋がどちらかを選んだら片方が傷付く事を避けたいと思ったのだ。


「あまり増やしたくないけど、あかりんが本当にちー君の事が好きならどうよ?私達の考え?」


私が千秋さんの事が好き?...どうでしょう、やっぱり分かりません


思い詰めた表情で、無言で下を向いていた。


「ごめん、急ぎすぎちゃったね。ゆっくり、考えてね。」


「あれ?今帰りか?」


すると、道角から少し怪我をしてる千秋と遭遇した。

服装が乱れ、ボタンが何個か取れていたのだ。


「お兄ちゃん、用事って喧嘩なの〜?」


「いや、違う、その」


愛香から叱られてる千秋をみて、何故が胸が苦しくなっていた。

前も喧嘩後の状態で学校に登校した時は、怒りと呆れの感情だったのに、今は心配と不安の感情だった。


「千秋さん!」


「はい!」


俺は灯里に叱られると思い目を瞑った、すると怪我してる所をハンカチで拭く感覚が来たのだ。

目を開けると灯里の瞳から涙を溢していたのだ。


「?!」


「千秋さん、こう言うことはやめて下さい。貴方の身に何かあったらと考えると心配で心配で」


完全に泣き始めた灯里を、どうするか分からずに思わずギュッと抱きしめた。


「まじでごめん、泣くとは思わなかった。えっと、もう喧嘩しないから」


「本当に?」


俺がそう言うと灯里は目に涙を貯めてうるうるした表情をしながら、こちらを向いた。

俺はコクコクと頷いたのだ。


「約束ですよ」


ニコッと笑い小指を出した。

そんな、表情に俺は心がドキッと跳ね上がったのだ。


「約束する、喧嘩は程々にしないって」


「そこは絶対にしないって言って下さい」


「善処します」


そして灯里はクルッと回って楓と愛香の方を見て微笑んだ。


「私もその提案に乗ります」


「提案?何の事?」


灯里が言う提案とは何かと聞いた。


「それは、お兄ちゃんを泣かせる提案だよ」


「...え?俺何かしたの?ねぇ、教えてよ。何で俺泣かされるの!」


千秋の問いに、3人は笑いながら答えなかった。



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