乙女ゲーのヒロインは、幼馴染と恋人同士になれたのに、よそよそしくなってしまうのである。 その20
美月と浩二が、険悪ムードで対峙している頃、郁人はと言うと、数歩下がって、ヤンデレ梨緒に詰め寄られて、恐怖の圧で問い詰められているゆるふわ宏美を、遠い目で見守る郁人なのである。
「ゆ、許してくださいよ~!! わたしぃは何も悪くないですよ~!!」
「じゃあ、言えるよねぇ……お、し、え、て、く、れ、ないかなぁ?」
ゆるふわ宏美は涙目で、恐怖のヤンデレ梨緒から、逃れようと後ずさりしようとするが、壁に追い詰められているために、出来ない宏美の目の前まで詰め寄る梨緒なのである。
「そ、それは…む、無理です~!! り、梨緒さんが思っているようなことじゃないんです~!! 許してください~!!」
早口で、許しを乞うゆるふわ宏美は、横目で、涙目な瞳で、郁人に助けを求めるが、郁人は、心の中で頑張れと応援することしか出来ないのであった。
「じゃあ、どういうことか、きちんと説明して欲しいなぁ……そもそも、私が何でここに来たのかぁ…宏美ちゃんわかるかなぁ?」
「え…えっと~…そ、それは~……あ、あれですか~…い、郁人様のストー……い、いえ~わ、わかりませんね~」
ゆるふわ宏美は、梨緒に対して、言ってはいけないことを発言しそうになり、無言の梨緒の何を言う気なのかな宏美ちゃんと言う視線に込められた圧に屈する宏美なのである。
「同じクラスの子が教えてくれたんだよぉ……宏美ちゃん…ダメだよねぇ…ファンクラブの会長がぁ…こんなことじゃ…示しがつかないよねぇ」
「こ、これには事情がありまして~!! わ、わたしぃは悪くありませんよ~!」
「じゃあ…宏美ちゃん…きちんと説明してくれるよねぇ…きちんと説明できたらぁ……放課後の尋問会は取り止めにしてあげるからねぇ」
梨緒の恐怖の発言に、短い悲鳴をあげて、チラチラと郁人に助けを求めるゆるふわ宏美なのである。郁人は、無慈悲に無視することもできるが、美月の親友なら、仕方なく助けてやるかと思うのであった。
「り、梨緒…そのだな」
「郁人君は黙っててくれるかなぁ…それに、郁人君にも、後で聞きたいことがあるんだよねぇ…いいかなぁ?」
「…わかった」
「い、いくとさま~!!」
恐る恐る、梨緒に話しかける郁人にピシャリとそう言い放つ梨緒に、おとなしく気をつけの姿勢で成り行きを見守ることを決め、冷や汗ダラダラな郁人に、ゆるふわ宏美は、諦めないでくださいよ~と助けを求めるのである。
「宏美ちゃん…郁人君に助けを求めてもダメだからねぇ……で…宏美ちゃんは、郁人君となんの話をしていたのかなぁ?」
「わ、わわわわ、わたしぃは…そ、そのですね~」
ゴゴゴゴゴと圧倒的な圧を放つ梨緒に対して、もはや、号泣しそうな宏美なのである。仕方なく、郁人は、再度梨緒に話しかける覚悟を決めるのである。
「あ…り、梨緒…そのだな…た、たぶんお前が思っているようなことじゃなくてだな」
「ふ~ん……そっかぁ…じゃあ、私に言えるよねぇ?」
「そ、それはだな……ゆ、ゆるふわにとって…そのだな…とても、デリケートで繊細な問題でだな」
郁人は圧倒的な圧を放つ梨緒に、勇気を出して話しかけて、誤魔化しにかかるが、梨緒の瞳のハイライトは消えたままなのである。
「それって…郁人君には言えてぇ…私には言えないのかなぁ? 宏美ちゃん?」
「い、いえ~…せ、正確には、郁人様にも言ってないと言いますか~」
「し、仕方ない…ここはもうはっきり、教えてやるしかないだろう…いいだろ? ゆるふわ?」
「いいいいい、いえ~!! ダメですよ~!! ていうか、郁人様!? わかっていたんですか~!! 酷いですよ~!!」
郁人に自分の勘違いがバレていたということにショックと恥ずかしさで、怒りの声をあげるのである。
「いいか…梨緒…そのだな……ゆるふわは…美月の事がだな…好きらしいんだ」
「え!?」
郁人の衝撃的な発言に、さすがの梨緒も固まるのである。
「い、いいい、郁人様!? 何を言ってるんですか~!! 内緒って言ったじゃないですか~!!」
「仕方ないだろ…言わないと…お前…死ぬぞ」
「そそそ、それは~…そうかもしれませんが~」
梨緒に対して、酷い言いような二人だが、そんな二人の会話が耳に入らないほど、動揺している梨緒なのである。
「ひ…宏美ちゃん…宏美ちゃんは…そうなんだぁ」
「い、いえ~!! 違いますからね~!!」
「ううん…わかったよぉ…そうなんだぁ…だから…夜桜さんと仲良くて…郁人君とよく二人で話していたんだねぇ」
「あの~…り、梨緒さん~…わたしぃの話を聞いてくれませんか~?」
完全に何か勘違いをしてしまった梨緒に、困惑するゆるふわ宏美なのである。
「大丈夫だよぉ!! 私、そう言うのには理解あるからねぇ!! 頑張って!! 応援しているよぉ!!」
「何をですか~!! 違いますからね~!! わたしぃは違いますよ~!!」
「うん…じゃあ、ファンクラブの子達には上手く誤魔化しておいてあげるからねぇ!!」
ゆるふわ宏美の両手を、ぎゅっと両手で包み込み、キラキラの瞳でそう言い放つ梨緒なのである。
「…ゆるふわ」
郁人は、何とか誤魔化せたなとドヤ顔で、親指を立ててゆるふわ宏美によかったなとアピールするのである。
「あ、あの~!! 本当に違うんですからね~!!」
絶叫するゆるふわ宏美に、梨緒は、慈愛に満ちた瞳で、全てわかっているからとゆるふわ宏美を見つめて、優しく微笑むのであった。
結局、美月は朝のチャイムが鳴ったため、郁人の教室には行けずに終わり、超絶不機嫌なのである。
そのため、朝のホームルームが終わると同時に、教室を素早く出ようとするのだが、やはり、浩二と政宗が立ちはだかるのである。
「美月ちゃん…どこに行く気なんだ? 1組の教室には行かせないぜ」
「……」
そう言われて、無言で睨む美月に、少し気圧される浩二だが、強面な顔面で美月を睨み返すのである。
「美月…わかってくれないか? 君のためなんだ」
「いいから…どいてくれないかな? 私のためならね」
今度の美月は本気も本気なのである。もはや、クラスメイトの同性の評価など、美月にとってはどうでもいいことなのである。ため息をつくと同時に、美月は、覚悟を決めるのである。
「わかったよ…席に戻るから」
そう言う美月に、ホッと安心する浩二と政宗なのであったが、少し気を緩めた瞬間に、美月は、素早く浩二と政宗の間を抜けて、教室を飛び出すのである。
「美月!?」
「美月ちゃん!?」
浩二と政宗は、そう言って、全力ダッシュの美月を急いで追いかけるのであった。
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さて、宏美が美月の事が好き(ラブ)という勘違いをしてしまった梨緒は、今後どういう行動に出るのでしょうね? というか、だいたいの事は、郁人が悪いのですが、やはり、ギャルゲの主人公は無自覚系なのである。
次回は、必死に郁人に会うために1組の教室に走る美月だが、やはり、あの人物が立ちはだかるのである。
では、次回の更新もよろしくお願いしますね。




