ゆるふわサブヒロインは、幼馴染たちの調査をするのである。 その8
恐怖のあまり上の空で授業を受けるゆるふわ宏美は、この授業が終わらないようにと祈りを捧げるが、残念ながら、祈りは天に届かなかったようである。
授業が終わって、清楚笑みを浮かべ、ゆるふわ宏美に近づいてきて、肩をポンと叩いて、宏美の肩を掴む梨緒に冷や汗ダラダラな宏美なのである。
「じゃあ、行こうかぁ…宏美ちゃん」
「あ…そ、その~…わ、わたしぃは~」
ガタガタ震えながら、梨緒の方を見る宏美は、ニッコリ笑顔の梨緒に恐怖を感じて、郁人の方を見るのである。
(いくとさまぁ~!! 助けてくださいよ~!!)
視線で、助けて、助けて、助けてと郁人に訴える宏美を、チラリと見る郁人は、あからさまに億劫そうな表情をした後に、宏美から、視線を逸らす、それを見たゆるふわ宏美は、目を見開いて、いくとさまぁ~と心の中で絶叫するのである。
「宏美ちゃん…早く行こうかぁ」
宏美は、梨緒に掴まれている肩に圧が込められていることに気がつくのである。そのまま、力強く宏美の肩を掴んでいる梨緒は、満面な笑みを浮かべているのである。
(いくとさまぁ~!! わたしぃ、死んじゃいますよ~!! 助けてくださいよ~!!)
涙目で、郁人に助けを求める視線を送るゆるふわ宏美を、再度チラリと見る郁人は、面倒そうな表情を浮かべて、南無~と両手を合わせるのであった。
(いくとさまぁ~!! 見捨てないでくださいよ~!!)
涙目で必死に郁人に助けを求める宏美の顔を、ハイライトオフの瞳で覗き込む梨緒に、恐怖で引きつる宏美なのである。
「宏美ちゃん…郁人君の方を見てないでぇ…早く行こうねぇ」
「は、はいです~!!」
圧のこもったヤンデレボイスで、梨緒にそう言われた宏美は、すぐさま席を立ち、直立姿勢で返事を返すのであった。そして、ニッコリ笑顔の梨緒が、歩き出すと、トボトボとその後ろについて行く宏美なのであった。
郁人様ファンクラブの部室の教室にたどり着くと、梨緒がニッコリ宏美の方を見て、教室の扉を開けるのである。そんな梨緒に恐怖で震える宏美は、何とかゆるふわ笑顔を作って、部室の中に入っていく梨緒の後に続くのである。
「じゃあ、宏美ちゃん…お話ししようねぇ」
宏美が、トボトボと奥に進むと、扉の前に立っていた梨緒が、扉を閉めて、鍵をかけて、そうニッコリヤンデレ笑みを浮かべてそう言うのである。
「あわわわわ…り、梨緒さん~!! お、落ち着いてくださいね~!! は、早まってはいけませんよ~!!」
恐怖で、震えるゆるふあ宏美は、両手をあげて、降参ポーズをして、後ずさりしながら、必死にヤンデレ梨緒を落ち着かせようとするのである。
「宏美ちゃん…何でそんなに怯えているのかなぁ? 私…宏美ちゃんに…まだ、何もしないよぉ」
ゆっくり、宏美に近づく梨緒に、後ずさりする宏美は、窓際の壁に追い込まれるのである。
(まだって言いましたよ~!! まだって~!! と言うことは、何かする気じゃないですか~!! 誰か助けてください~!!)
ジリジリと距離を詰めてくる梨緒に、イヤイヤと首を左右に振りながら、涙目で震えるゆるふわ宏美なのである。
「宏美ちゃん…私のお話…聞いてくれるかなぁ?」
「も、もちろんですよ~!! な、なんでも聞きますよ~!!」
眼前に迫る梨緒のヤンデレ瞳でジッと顔を覗き込まれてそう言われる宏美は、首を上下にコクコクと振って、必死に聞きますよアピールをするのである。
「フフフ、ありがとう…宏美ちゃんが…郁人君から、私の事で、何を聞いたかわからないけどねぇ…別に…私は、郁人君が、私の事を覚えて無くてもいいと思っているんだよねぇ」
梨緒は突然無表情になって、そうヤンデレボイスで宏美に言い放つと、宏美は、恐怖でビクッとなり、ガタガタ震えるのである。
「宏美ちゃん私は、郁人君の事が好きなんだよねぇ愛しているんだよぉこの世界で一番私が郁人君の事を必要としているんだぁ私には郁人君しかいないんだよねぇわかるかなぁ? 宏美ちゃん」
早口で、そう捲し立てる梨緒の深い闇の宿った瞳に、ジッと見つめられる宏美は、目を泳がせて縮こまるのである。
「フフフ、だからねぇ…宏美ちゃん…宏美ちゃんはどうして、そんなに郁人君と仲良くなれたのかぁ…教えて欲しいんだよねぇ…何で、郁人君とこんな短い期間で、そこまで仲良くなれたのかなぁ?」
探るようなヤンデレの瞳で、ジッと視線を合わせてくる梨緒に、恐怖から、視線を逸らそうとする宏美は、必死に考えるのである。
「そ、その~…わ、わたしぃは…そもそも、郁人様とはそこまで仲良くは~……」
ギロリと梨緒に睨まれる宏美は、恐怖でガタガタ震えて、その先の言葉が出てこないのである。
「宏美ちゃん…私は、真剣に聞いているんだよねぇ…フフフ、郁人君と仲良くないと、郁人君が宏美ちゃんにお願いなんてするわけないよねぇ…私…郁人君の事なら何でも知っているんだよねぇ…宏美ちゃんなら、わかるよねぇ?」
そう宏美は、よく梨緒の事を知っているのである。郁人様ファンクラブでの、郁人の情報は、ほとんどが梨緒からの情報なのである。だから、宏美は、郁人と梨緒が幼馴染という事を疑ってなかったのである。しかし、その前提が崩れるとなると、恐怖で震えあがる宏美なのである。
「そ、その~…わ、わたしぃはよくわかりませんが~…い、郁人様がよく話をしてくれるようになったのは~…み、美月さんと仲良くなってからですかね~」
「……夜桜さんとぉ?」
「は、はい~!! み、美月さんと仲良くなってから~…い、郁人様とは、少し仲良くなれた気がしますね~…ど、どうですかね~? さ、参考になりましたか~」
なんとか震えた声で、ヤンデレ梨緒にそう告げる宏美は、恐る恐る、梨緒の表情を見ると、完全に無表情なのである。
「…なるほどねぇ…そっかぁ…また、夜桜さんかぁ…なるほどねぇ」
「そ、その~…り、梨緒さん…み、美月さんはそんなに悪い人じゃないですよ~…き、きっと梨緒さんとも仲良くできますよ~」
そのゆるふわ宏美の発言に、目を見開いて、ギロリと宏美の事を睨む梨緒に、恐怖のあまりぺたんと座りこんでしまう宏美なのである。
「ごめんねぇ…それは無理かなぁ…私ねぇ…この世界で一番嫌いなのがぁ…夜桜美月なんだよねぇ…あの子のこと…本当に大嫌いなんだよねぇ」
恐怖で座りこんで震える宏美に、ニッコリ笑顔でそう言う梨緒である。
「あ…あ…あの~…な、なんでそんなに~…み、美月さんの事を…き、嫌いなんですか~?」
恐怖に震えながらも、必死に疑問を口にする宏美を、ヤンデレアイで見下ろす梨緒の表情は一瞬で無表情になるのである。
「理由かぁ…宏美ちゃん…宏美ちゃんは、そんなの聞かなくても…わかるよねぇ…二人と仲が良い宏美ちゃんならねぇ」
「……あ、あの…それは~…そ、その~…そもそも、り、梨緒さんは…どうしてそこまで郁人様の事がす…好きなんですか~? その…り、梨緒さんと郁人様の間に…な、なにがあるんですか~?」
恐怖に震えながらも、宏美は、勇気を出して、梨緒の事をまっすぐ見つめてそう聞くと、梨緒は、少し悲しそうな表情を浮かべるのである。
「……そうだよねぇ…郁人君は…私の事なんて……宏美ちゃん…私と郁人君の事は…私の大事な思いなんだぁ…だから…教えてあげられないけど……一つだけ言えるのはねぇ…私は、郁人君と出会ってなければ…この世には…この場所には居なかったっていうことかなぁ」
梨緒は、清楚な微笑みを浮かべるのである。純粋な微笑みを浮かべる梨緒に、先ほどとは違う怖さを感じる宏美は、梨緒の危うさと、恐ろしさの闇を垣間見た気がして、心臓がバクバクと恐怖で悲鳴をあげるのである。
「だからねぇ…宏美ちゃん…宏美ちゃんと私は…お友達だよねぇ…だからぁ…私に協力して欲しいんだよねぇ…私には、郁人君が必要なんだぁ…お願い…宏美ちゃん」
今までとは、全く違い、真剣な表情で宏美を真直ぐに見つめて、お願いする梨緒の視線から、顔を逸らす宏美なのである。
「す、すみません~…わ、わたしぃは…その~…り、梨緒さんに協力することはできません~…ファンクラブの会長なので~…す、すみませんが~」
「そっかぁ…じゃあ…宏美ちゃんは…私の敵だねぇ」
「い、いえ~!! その…きょ、協力はできませんが~…じゃ、邪魔もしませんよ~!!」
「……まぁ…今はそれでもいいかぁ…じゃあ、宏美ちゃん…最後にこのお願いだけは聞いて欲しいかなぁ」
「な、なんですか~?」
「郁人君と…これ以上仲良くなったら…宏美ちゃん…夜桜さんと一緒で…私…宏美ちゃんの事…大嫌いになるからねぇ…それだけは覚えておいて欲しいかなぁ」
座りこみ恐怖で震える宏美の耳元でそう囁く梨緒は、最後にニッコリ笑顔を浮かべて、部室から出て行くのである。その後姿をジッと震えながら見送る宏美は、梨緒が部室から出て、しばらくたった後に、ホッと胸をなでおろして安心するのであった。
その後、先ほどの出来事は、嘘のように、いつも通りの梨緒に恐怖を感じながらも、ゆるふわ笑顔を浮かべる宏美は、いつも通りの学校生活を送るのだった。そして、放課後になって、郁人と宏美は、部室で二人きりになるのである。
「という事がありまして~」
宏美は、郁人に、梨緒との二人での会話の内容と、美月の学校生活などを報告するのである。
「そうか…ゆるふわ…本当に迷惑かけたな…で…お礼に俺は何をすればいいんだ?」
「わたしぃ~、頑張りましたからね~…今、梨緒さんの好感度も最低ですからね~…ここは、ファンクラブ会員の好感度を稼ぎたいのですよ~」
先ほどと打って変わって、生き生きとしだすゆるふわ宏美なのである。やっと、自分のターンが回ってきたと、満面なゆるふわ笑顔なのである。最高級のデジタル一眼カメラを取り出して、ノリノリな宏美は、郁人を豪華な王様が座りそうな椅子に座らせるのである。
「俺に何をさせる気だ? ゆるふわ」
「いいですから~…ただ、ファンクラブ会員にお配りするブロマイドの撮影ですよ~」
「な…なんだそれは!?」
あからさまに動揺する郁人に、ニコニコゆるふわ笑顔で、カメラを構える宏美なのである。
「というか…ゆるふわ…そのカメラ…絶対高いだろ!? そんなモノどうしたんだ?」
「これですか~? 郁人様を撮影するときのために、購入したものですよ~…SONYのα9ですよ~…フフフフ、レンズもお勧めのお高いのですからね~…最高の写真が撮れるはずですよ~」
最高に興奮しているゆるふわ宏美は、カメラをジッと見つめて、はぁはぁと息が荒いのである。
「…じゃあ、郁人様…足を組んで、左手で頬杖をついてもらってですね~…肘置きに、右手を添えてもらって~…いいですよ~!! これぞ、支配者のポーズですね~!!」
郁人は、言われたとおりのポーズをすると、連射モードで写真を撮りまくるゆるふわ宏美なのである。細かい注文をつける宏美に渋々応える郁人なのであった。
そして、数十分後、やっと撮影は終了して、ドッと疲れた表情を浮かべる郁人と、大変満足げなゆるふわ宏美なのである。
「フフフ、これで~…梨緒さんもご満足していただけるはずですよ~!! わたしぃの好感度も爆上げ間違いなしですよ~!!」
「そうか…それはよかったな」
写真を確認しながら、ご満悦なゆるふわ宏美にそう言って、帰り支度を始める郁人は、早く帰って美月に癒されようと思うのであった。
美月は、自室のベッドに横になり、今日の出来事を思い出しては、大変ご機嫌になるのである。放課後も、郁人の家に遊びに行って、郁人が優しく接してくれて、さらには、密着する距離まで、距離を縮めてくれることに、顔を真っ赤に照れながらの嬉しくなったことを思い出す美月は、小学生の時に、郁人から誕生日にもらったクマさんのぬいぐるみを抱きしめながら、ベッドの上で悶えるのである。
美月は、家に帰り、夕食の準備をして、夕食を食べて、お風呂に入り、宿題を終えてから、ずっと、この状態なのである。
「郁人…カッコいいよ!! 郁人!! 大好きだよ!!」
ギューッとクマのぬいぐるみを抱きしめる美月は、今日の出来事を思い出しては、悶絶するのである。
自分の事を心配してくれる郁人を思い出して、顔を緩めて喜ぶ美月は、クマのぬいぐるみに顔をうずめて、深呼吸をするのである。
そして、美月はあることに気がつき、バッと起き上がり、クマのぬいぐるみを抱き上げてジッとクマのぬいぐるみを見つめるのである。
「よ、よし…あ…明日…明日郁人に来てもらおう!!」
美月は、郁人と付き合いだして、初めて郁人を自分の部屋に誘う覚悟を決めるのであった。
ここまで読んでくれてありがとうございます。ぜひ、ブックマークと評価もよろしくお願いしますね。
さて、これで、ゆるふわサブヒロインは、幼馴染たちの調査をするのである。が終わりました。どうでしたかね? お楽しみいただけましたかね? さて、次は、郁人と美月のイチャラブですね。今まで、宏美の出番が多かったですが、少し宏美の出番も少なくなって、郁人と美月がメインになります。久しぶりに、美悠や雅人の話題も出てきますよ。
次回は、美月は、勇気を出して、自分の部屋に郁人を誘うのだが、少し違和感を覚える美月なのである。自分が何で違和感を覚えるのか? 気になる美月なのであった。
では、次回の更新もよろしくお願いしますね。




