ギャルゲの主人公と乙女ゲーのヒロインは、ゆるふわサブヒロインと一緒にお弁当が食べたい。 その10
梨緒と政宗は、口論を繰り広げる中で、浩二がハッとなり、周りを見回すと、郁人と宏美の姿がないことに気がつくのである。
「し、しまった!? 朝宮の野郎…まさか、おとり作戦か!? なんて、卑怯な真似しやがるんだ…おい、政宗!? 美月ちゃんがいねーぞ!!」
浩二の発言で、慌てて周囲を確認する政宗は、美月がいないことに気がつき、慌てるのである。梨緒も、郁人と宏美が居ないことに気がつき、あれれ、とニッコリとヤンデレ笑みを浮かべるのである。
「まさか、美月が!? クソっ…朝宮!!」
「やべーぞ!! 急ぐぞ!!」
慌てて食堂に入る政宗と浩二とファンクラブ男子生徒達と、それにゆっくり、ニコニコ笑みを浮かべてついていく梨緒である。
そして、そこで、一同が目にしたものは、六人テーブルに、ニコニコ笑顔の美月、カタカタと恐怖で震える宏美、両手を組んで口元を隠している郁人の順に座っている光景だった。
「み、美月!?」
「美月ちゃん!!」
「郁人君…宏美ちゃん…何してるのかなぁ?」
慌てて、美月の元に向かいそう言う政宗と浩二に、ヤンデレ笑みを浮かべて、ニッコリ郁人と宏美にそう言い放つ梨緒である。
「り、梨緒とそこの二人…何をしているんだ…さぁ、一緒に昼ご飯食べよう…なぁ…ゆるふわ」
「そ、そうですね~…り、梨緒さん、覇道さん、永田さん…い、一緒に食べましょうよ~」
「そうだよ!! みんな仲良く一緒にお昼ご飯食べようよ!!」
郁人と宏美は、冷や汗ダラダラで、棒読みでそう言う中で、美月だけが、満面な笑みでそう言い放つのである。
「み、美月さん…す、すごいですね~」
「美月は…テンション上がると周り見えなくなるとこあるからな…というか…ゆるふわ…お前が何で真ん中で美月の隣なんだ?」
「郁人様と美月さんを隣同士になんてできる訳がないじゃないですか~…わたしぃだって、お二人に挟まれるのは嫌なんですからね~…恐怖で吐きそうですよ~」
そう小声で、お互い耳打ちして、ヒソヒソ会話する郁人と宏美である。宏美は、オエッと口元を両手で押さえるのである。
「ねえ…ひろみん?」
「なんですか~…美月さん?」
「私と席交換しない? 私、郁人の隣がいいな」
口元を押さえて、恐怖から吐きそうなのを我慢するゆるふわに、美月は屈託のない笑顔でそう言い放つのである。宏美は、もはや、ちょっと、この場を去りたいくらい気分が悪くなるのである。
その光景を、ヤンデレアイで見つめる梨緒に、怒りを宿した瞳で睨みつける政宗と、最高に不機嫌な表情の浩二である。
郁人と宏美だけが、この場の最悪の雰囲気を感じ取って冷や汗ダラダラだが、最高にハイテンション美月ちゃんは、恐怖から吐気を感じてオエッとなっているゆるふわ宏美を揺すって、席変わろうよ、と呑気に言っているのである。
「ねえ…郁人君…宏美ちゃん…二人とも何してるのかなぁ?」
「な、何をしているのかと聞かれたら…答えてあげるが世の情けだな…な? ゆるふわ」
「え!? あ…はい~…って、なんですかぁ~…それ~? よ、よくわかりませんが~…い、一緒にご飯を食べましょうよ~…平和のために~!!」
梨緒のヤンデレ追及に対して、郁人と宏美は、ヤンデレ梨緒から、視線を逸らしてそう言って、誤魔化すのである。郁人達の誤魔化しに、ニッコリ笑顔を浮かべる梨緒に、焦る郁人と宏美である。
「美月…さぁ…一緒に移動しよう…あちらの席が空いているよ」
「だな…行こうぜ! 美月ちゃん!!」
そう美月に移動を促すイケメン二人を完全無視して、ひろみんに席替わってよと言いながら、梨緒の圧から、顔が恐怖に染まるゆるふわ宏美を揺さぶるのである。
「ま、まぁ、梨緒…落ち着いて、一緒にご飯食べよう…な…そっちのイケメン二人も…な…みんなで食べる食事は…きっと美味いと…思う…たぶんな…なぁ…ゆるふわ」
「い、郁人様!? 困ったらわたしぃに話を振るのやめてくださいよ~!! うっうぅぅぅ…ぜ、絶対、美味しいと思いますよ~!!」
郁人に、そう話を振られて、美月に揺さぶられながら、涙目で、そう叫ぶゆるふわ宏美である。もはや、宏美は恐怖の限界だった。ああ、地獄ってこういうところなんですね~と、心の奥底で実感するゆるふわ宏美である。
「もう、ひろみん…なんで席替わってくれないの? 私…真ん中がいいよ」
「みちゅきさん~!! 空気よんでくださぁいよぉ~!!」
美月の発言に、場の空気は最悪である。梨緒は美月を睨み、政宗と浩二が、郁人と宏美を睨むのである。もうゆるふわ宏美は、泣きだしそうである。
「お、落ち着け…ゆるふわ…安心しろ…」
「い、いくとさまぁ~」
郁人が、泣きだしそうなゆるふわ宏美の肩に手を置いて、ジッと宏美の事を見つめる。ゆるふわ宏美が期待の眼差しで、郁人を見るのである。
「何かあっても、ゆるふわ…俺はお前を見捨てる覚悟だ」
「な、なんですか~!! それ~!! いくとさまぁ~ひどいですよ~!!」
郁人が、親指を立てて、そう邪悪な笑みを浮かべて宏美に言うと、ゆるふわ宏美は、ゆるふわぴえん系女子になるのであった。
「貴様等…ふざけるのも大概にしろ…美月…いいから、朝宮と一緒にお昼ご飯などありえない」
政宗が、郁人とゆるふわ宏美のやり取りにブチギレるのである。テーブルに両手をついて、対面にいる美月にそう言うが、美月は、政宗の方を見向きもしないのである。
「ひろみん…郁人…二人で楽しそうに会話しないでよ!! あと、ひろみん!! 席席替わろうよ!!」
美月の頭の中は、宏美と席を交換したいでいっぱいなので、完全に周りのことなど眼中にないのである。
「ダメですよ~!! 最初の席決めの時に、この席順って、決めたじゃないですか~!! 郁人様も、わたしぃの事雑に扱わないでくださいよ~!!」
悲痛の叫びの声をあげるゆるふわ宏美である。郁人と仲がいい宏美、美月と仲がいい宏美に見える梨緒、政宗、浩二の三人は、ゆるふわ宏美をジッと睨むのである。恐怖で、震えるゆるふわ宏美は、郁人の袖を引っ張って助けを求めるのである。
「大丈夫だ…俺達の漫画雑誌を信じろ…刺されても…必ず守ってくれるはずだ」
「嫌ですよ~!! わたしぃ~、まだ死にたくありませんよ~!!」
「ひろみん!! 席交換しようよ!! 絶対その方がいいよ!!」
そう小声で言う郁人の発言に、涙目で震えるゆるふわ宏美である。そして、美月は、まだ、ゆるふわ宏美を揺さぶって、席替えの交渉を続けるのである。
まさにカオスである。
「宏美ちゃん…これはどういうことか…きちんと説明してくれるよねぇ?」
「おい! 細田!! これどういう状況なんだよ!! てめぇ!! 何を企んでやがる!!」
「貴様…やはり、よくないことを考えていたか…この性悪女が!!」
梨緒にヤンデレボイスでそう言われ、強面な浩二に、ヤクザよろしくと恫喝され、政宗には、何故か性悪呼ばわりでされるゆるふわ宏美は、大泣き寸前である。
「い、いくとさまぁ~」
この期に及んで郁人に助けを求めるゆるふわ宏美である。郁人も、さすがに可哀想に思ったのか、憐れみの目で宏美を見るのである。
「まぁ…ゆるふわが全部悪いな…うん」
「いくとさまぁ~!!!!!!!!」
郁人に見捨てられた宏美は、見捨てないでくださいよ~と郁人に泣きついて、必死に郁人を揺さぶり、そんな可哀想な宏美に、そこに居たら郁人にイジメられるから、私と席を替わろうよと、宏美を揺さぶる美月なのである。
三人が左右にゆらゆら揺れる光景を、三人は、ハイライトオフの瞳で見ているのである。
「わ、わかったから、揺らすのをやめろ…美月も、落ち着け…と、とりあえず、みんなで席に座って昼飯にしよう…な」
郁人がそう言って、このカオスな場を鎮めようとするのであるが、もはや、恐怖で頭がおかしくなったゆるふわ宏美は、郁人を揺さぶるのを止めないのである。そして、美月も、席を交換して欲しいことで、頭がいっぱいのため、宏美を揺さぶるのを止めないのである。
そんな状況を、ジッと見つめる三人に、郁人だけが、危機感を抱くのである。
「と、とりあえず…り、梨緒も座ろうな…一緒に飯を食おう…話はそれからでいいだろ?」
郁人は、ヤンデレモードで、無表情な梨緒にそう勇気を振り絞って、そう言うと、ゆらりと郁人の方に顔を向ける梨緒に、心臓が悲鳴をあげる郁人なのである。
「そうだねぇ…別にいいけど…ねぇ…郁人君…私の席はどこになるのかなぁ?」
そう無表情で言う梨緒に、恐怖する郁人は、左右に揺さぶられながらも、返答を考えるのである。
「そ、それは…とりあえず、俺の前の席でいいんじゃないのか?」
その郁人の発言が気に入らないのか、梨緒はジーっと郁人を見続けるのである。瞬きが一切ないヤンデレアイに見つめられ恐怖心が倍増する郁人である。
「おい!! 貴様等!! 勝手に話を進めるな!! それに、万が一にも一緒に食べるなら、俺は美月の隣だ!!」
「私は郁人君の隣がいいかなぁ」
「なら、僕も美月ちゃんの隣がいいぜ…それか政宗の隣だな」
そう言いだす、梨緒と政宗と浩二に、郁人は、左右に揺さぶられながら、どうしようかと悩むのである。
「…と、とりあえず、ゆるふわ、揺さぶるのやめろ…美月も落ち着け、とりあず、席について、今から話し合おう…な」
そう言って、郁人は、宏美と美月を止めるのである。非難の視線を向けてくる宏美と、不満顔の美月に、やれやれと疲れた表情を浮かべる郁人であった。
席順の希望だが、郁人は、美月の隣がよくて、美月は、郁人の隣がよくて、宏美は、郁人と美月が隣同士にならなければよくて、梨緒は郁人の隣がよくて、政宗は、美月の隣がよくて、浩二は、美月か政宗の隣がよいとのことであった。
「とりあえず…もう俺達はここに座ってるし…やっぱり、三人はそこに座ればいいと思うんだが…」
もう面倒になった郁人のこのままでよくないか発言に、3人は一斉に郁人を睨むのである。しかし、美月も、政宗や浩二と隣になるなら、このままの方がいいと思ったのか、郁人に賛同するのである。
「わ、わたしぃはどこ…このままがいいと思いますね~」
郁人の邪悪な笑みから、素早く察したゆるふわ宏美は、席順はこのままでと無理やり言わされるのである。
「ゆるふわ…ここが正念場だ…とりあえず、三人を席に座らせれば…ミッションコンプリートだ…とりあえず、向かいの席に座らせるしかない」
「ど、どうやって、あの三人を座らせるんですか~?」
郁人は、隣のゆるふわ宏美と小声で作戦会議を始める中、その光景をジッと不満気に見る梨緒と政宗と浩二に、仲間外れにされて寂しそうに見つめる美月なのである。
「いいか…こういう時は、座らなければならない状況を作ればいいんだ」
「な、なるほどですね~…で、どうするんですか~?」
「いいか…宏美、まず、弁当をあける」
「はい~」
郁人と宏美は、お弁当をあけるのである。そして、手を合わせる二人である。
「いただきます」
「いただきます~って…いくとさまぁ~!?」
つられる宏美は、手を合わせていただきますポーズのまま、弁当を食べだす郁人に驚いてツッコムゆるふわ宏美である。
「美月…ゆるふわ…さぁ、弁当を食べよう…今日の弁当は自信作だが…あまり期待はするなよな」
そう言って、美月と宏美に弁当を食べようと促す郁人に、美月も、両手を合わせて。いただきますをしてお弁当を食べだすのである。郁人お手製お弁当を幸せそうに食べる美月である。ゆるふわ宏美も覚悟を決めて、恐る恐るお弁当食べだすのである。
その光景を、ハイライトオフの瞳で見つめる三人に、ゆるふわ宏美だけが、震えるのである。そして、仕方なく、政宗と浩二は、食券を買いに行き、梨緒は、郁人の前の席に座るのである。
ゆるふわ宏美は、ホッと胸をなでおろすが、ジッと梨緒に見られていることに気がつくのである。
「ど、どうかしましたか~? 梨緒さん?」
「ねぇ…宏美ちゃん…そのお弁当どうしたのかなぁ?」
ヤンデレボイスで、無表情でそう尋ねられた宏美は、恐怖に震えあがるのである。そう、ゆるふわ宏美のピンチはまだ終わってなかったのであった。
ここまで読んでくれてありがとうございます。ぜひ、ブックマークと評価もよろしくお願いしますね。
さて、どんどん可哀想なゆるふわ宏美ですね。ゆるふわ笑顔を浮かべる余裕すらなくなってますね。しかし、美月のポンコツ化が…完璧美少女幼馴染キャラのはずなんですが…やはり、味方(恋仲)になると弱体化するあれですかね?
次回は、華麗なるゆるふわ宏美の言い訳が始まりますよ。頑張って、生き残るんだひろみん!!
では、次回の更新もよろしくお願いしますね。




