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ギャルゲの主人公と乙女ゲーのヒロインは、  作者: 涼風悠
ギャルゲの主人公と乙女ゲーのヒロインは、幼馴染で両想いですが、攻略キャラ達が全力で邪魔してくる。もう、俺(私)達のことは諦めてください。

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ギャルゲの主人公と乙女ゲーのヒロインは、あからさまに超不機嫌である。

 扉を勢いよくあけて、部屋から飛び出す美月は、下の階のリビングに向かう。


「ど…どうしたの美月ちゃん!? 昨日は心配したのよ」


 完全に怒りモードになっている美月は、鋭い視線で、リビングに集まっている家族を見る。

その、あまりの迫力に、ダイニングテーブルで新聞を読んでいた父の公人は、新聞で美月から顔を隠した。


ソファに寝転がって、テレビを見ていた美悠は、ビッシっと姿勢を正して、座り直して、姉の美月から視線を逸らした。


 美月に話しかけた母の美里は、飲んでいたコーヒーを置いて、用もないのに台所に向かって、棚の整理をしだしている。


 そんな家族をぐるりと見回す美月に、家族一同は怯えていた。家族の心はひとつになっていた。そう、絶対小言を言われる。ネチネチと正論で小言を言われると思っているのである。


「…昨日は、ご飯も作らずにごめんね…心配かけたよね…でも、大丈夫だから…あ…後、今日は私、早めに郁人の家に行くから…お昼ご飯早めに作るからね…いいよね?」


 美月は家族に向かってそう言っている。しかし、完全に謝る人間の顔ではない。私不機嫌ですと顔に書いてあるがごとく不機嫌な美月である。


「あ…ああ…美月の好きにしなさい」

「そ、そうよね…美月ちゃんが好きなようにして大丈夫よ…でも、き…昨日は何があったのかしら?」


 母の美里は、美月にそう尋ねる。美月がギロリと母の美里を睨む。実の娘に怯える母の美里である。妹の美悠と、父の公人も唾をゴクリと飲み込むのである。


 物凄い緊張感がリビングに漂う。


「…なんでもないよ…うん…なんでもないの…気にしないでね」


 美月は、顔をしかめて、目を見開き、今にも人を殺しそうな物凄い表情をして、冷たい声でそう言うと、家族の緊張感は更に高まるのである。


「じゃあ…私…お風呂入って来るね…昨日入ってないから…あ…本当に心配かけてごめんね…今日全部決着つけてくるから…安心してね」


 美月は、そう言いながら、リビングから出て行った。リビングがものすごい緊張感から解放される。しかし、家族は思ったのだ。


 全く安心できないと心の底から思ったのである。しかし、夜桜家ヒエラルキートップであり、現在の超不機嫌モードな美月に、何か言える猛者など、夜桜家には存在していないのであった。






 郁人は、もう何年振りに日課にしていたランニングをさぼった。最近寝れない日が続いても、ランニングには出ていた郁人は、本気で落ち込み、本気で怒っていた。


 美月との約束を取り付けた郁人は、部屋から、着替えを持って、シャワーを浴びに風呂場に向かう。その前にランニングに行こうかとも思ったが、今日はそんな気分ではなかった郁人である。


 郁人は、その前にリビングに顔を出すと、家族がそろってリビングでくつろいでいた。


「郁人…昨日は何かあったのかい?」


 ダイニングテーブル席で、お茶を飲んでいた父の晴人は、郁人に気がついてそう声をかける。


「……何も…昨日はすまなかった…今日は、早めに昼にするからな」


 郁人の低い声がリビングに響き渡る。テレビでゲームをしていた母の麻沙美と、弟の雅人に緊張感が走る。二人で対戦ゲームをしていたのを中断して、お互いだらしなく寝転がって、二人でソファを占拠していたのを止め、姿勢を正して座り直すのである。


 父の晴人は、何かを察したのか、お茶をわざとらしく飲んで、そっぽを向くのである。


「…あと…今日は…美月が来るからな」


 郁人はそう家族に言って、不機嫌な表情でリビングを見回す。物凄い緊張感が郁人家リビングを支配する。母の麻沙美と、弟の雅人は、物凄く小さくなっている。とにかく、自分に郁人の関心が来ないことを祈っているのである。


 家族の一同が誰もが思ったのである。今日もとツッコミたかったのを必死に抑えて、郁人が去るのを待っている。


「じゃあ…俺は風呂に入って来るからな…あまりだらしなくするなよ」


 昨日の件を問い詰めようとした父の晴人と母の麻沙美は、何も言えなかった。まして、弟の雅人は、口すらきけそうにない雰囲気だった。


 そう、朝宮家のヒエラルキートップは、郁人なのである。家事全般を担っている郁人は、割と完璧主義なため、家族は郁人の機嫌には敏感である。不機嫌な郁人に一度目を付けられると説教が始まるのである。


 だらしない麻沙美と雅人にとって、正論なため、何も言い返せない地獄の時間が始まるのである。父である晴人ですら、家のことは郁人に全て任せているため、強く出られないのである。


 郁人が去ったことにより、一時的に郁人家に平穏が訪れたが、それは、本当に一時的なものでしかないということを、この後知ることになる郁人家一同であった。






 朝宮家も、美月家も、不機嫌に昼食の準備をして、不機嫌に昼ご飯を食べる郁人と美月のせいで、両家とも、緊張感のある昼食を過ごしたのである。


 そして、美月は、不機嫌に家を出るのである。夜桜家は、ほっと胸をなでおろすが、すぐさまに不安になるのであった。


 そして、美月が手慣れた手つきで、郁人家の玄関のカギを開けて家の中に入る。すでに郁人は部屋で待機していた。美月は、靴を脱いで綺麗に並べる。


「お邪魔します」


 そう言う美月の声はあからさまに機嫌が悪かった。それは、リビングにいた朝宮家一同にも聞こえていたのである。


「…こんにちは…お邪魔しますね」


 いつも、笑顔で挨拶をする美月だが、本日は真顔でリビングの朝宮家一同に挨拶をする。


「あ…ああ…よくきたね…ゆっくりしていってね」

「……」

「……」


 何とか晴人だけ、美月にそうかえすと、美月は、頭を下げてリビングを後にして郁人の部屋に向かう。もはや、誰がどう見ても機嫌が悪いのがわかるのである。


 そう、朝宮家初めての出来事が起こったのである。あの、いつも、上機嫌に朝宮家を訪ねてくる美月が、こんなに不機嫌なことなど今まで一度たりともなかったからである。


 これは、今日は何か起こると、リビングには、重苦しい雰囲気に包まれるのであった。






 美月は、階段を上って、郁人の部屋の前まで来た。昨日は入りにくかった郁人の部屋の扉を美月は荒々しくノックするのである。


「……入っていいぞ」


 郁人の物凄い不機嫌な声が、扉越しに聞こえてくる。その声を聞いてさらに機嫌が悪くなる美月なのである。美月は、荒々しく扉を開けて、郁人の部屋に突入する。


「郁人!! 話があるのよ!!」

「そうか…美月…俺もお前に言いたいことがある」


 郁人は、あからさまに不機嫌になっている美月を見て、床から立ち上がる。不機嫌に腕を組む郁人である。


 そんな郁人を睨む美月である。郁人もそんな美月を睨み返す。二人は完全に怒っていた。


 ついに、幼馴染としての人生で最初で、きっと最後の喧嘩が始まるのであった。


ここまで読んでくれてありがとうございます。ぜひブックマークと評価お願いします。


さて、思ったより、長くなりそうなので、前後に分けることにしましたんでくれてありがとうございます。ぜひブックマークと評価お願いします。


さて、思ったより、長くなりそうなので、前後に分けることにしました。郁人家や朝宮家の出来事や、昔の話などは閑話や、おまけ話としていつかは書きたいと思います。郁人と美月に振り回される家族のネタ話は結構あるんですよね。


とりあえず、序章完結まで、あと少しです。


次回は、この後の出来事ですね。


では、次回の更新もよろしくお願いしますね。

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