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ギャルゲの主人公と乙女ゲーのヒロインは、  作者: 涼風悠
ギャルゲの主人公と乙女ゲーのヒロインは、いつも一緒に居たいのですが、環境がそれを許しません。なんとかなりませんか。

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ギャルゲの主人公と乙女ゲーのヒロインは、勉強が得意なのである。その12

 郁人は、しがみつくゆるふわ宏美を引きずり、洗面所に無理やり向かうのである。もちろん、美月と梨緒達は現在も無言の睨み合いが続いている最悪の状況でである。


「何を呑気に手を洗ってるんですか~!?」

「いや…手を洗わないと落ち着かなくてな…ていうか…美悠ちゃん…そんなところで何してるんだ?」


 郁人は丁寧に手を洗いながら、隅っこで蹲って怯えている美悠を見つけるのである。美悠は恐る恐る郁人の方を見て、ガタガタ震えるのである。


「お、お兄ちゃん……ど、どうなってるの!? す、すごい険悪な雰囲気なんだけど」

「そ…それはだな…物凄く複雑な問題でな……美月は…」

「お、お姉ちゃんは?」

「……みんなと仲が悪いんだ」


 郁人が物凄く真剣で、難しい表情を浮かべるため、どんな事情があるのかと息を呑んだ美悠だが、すごく単純な理由に気が抜ける美悠なのである。


「……違いますよ~……良いですか~妹さん……本当はですね~」

「え!? ほ、本当は!?」

「……物凄く仲が悪いんですよ~!!」


 今度はゆるふわ宏美が真剣で、難しい表情を浮かべて、何か重要なことを言おうとするために、緊張する美悠なのだが、ゆるふわ宏美の放った一言に物凄く気が抜ける美悠なのである。


「それって…同じなんじゃ…」

「いえ~…全然違いますよ~…というかですね~…妹さん…郁人様の妹さんじゃなくて~、美月さんの妹だったんですね~……そのことも~、どうするんですか~!?」


 手を洗い終えて、美月からもらったお気に入りのハンカチで手を呑気に拭き拭きしている郁人に呆れながらそう言うゆるふわ宏美なのである。


「……どうするか……難しい問題だな…まぁ、美悠ちゃんは妹みたいなもんだし…妹でも問題ない気がするが…」

「いえ~、問題ですよ~!!」

「お、お兄ちゃん!! というか…どうして、私がお兄ちゃんの妹って話になってるの!?」

「……いや…言おうとは思ったんだが……ゆるふわが教室では美月の名前を出すなって言うから、あえて、誰のとは言わなかったのが原因だな…つまり、ゆるふわが悪いな…うん」

「何でですか~!! 郁人様がはっきり言わないのがいけないんですよ~!!」

「……ゆるふわ……あの場で美月の妹に勉強を教えるって言ってよかったのか?」

「……そ、それは~……そ、そう言われると困りますけど~」


 郁人にそう言われて、たじろぐゆるふわ宏美なのである。どちらかと言えば、郁人が悪いのだが、郁人にそう言われて、自分が悪いかもと思うゆるふわ宏美なのである。


「……しかし、どうやって、美悠ちゃんのこと、実は美月の妹と打ち明けるか…どうすればいいと思う?」

「し、知らないよ!! ど、どうするのお兄ちゃん!!」

「……でも、正直…美悠ちゃんの事を考えると黙っている方がいい気もしますが~」


 三人で腕を組んで考え込むのである。洗面所で三人で考え込む姿は非常にシュールなのである。


「……と、とにかく~…そろそろ、戻らないといけませんよ~」

「そ、そうだな…と、とりあえず、勉強を始めれば…何とかなるだろ」

「……わ、私帰りたいんだけど…帰っちゃダメかな」


 重い足取りでリビングに向かおうとする郁人とゆるふわ宏美に、仕方なくついて行く美悠は、ぼそりとそう言い放つのであった。


 郁人達がリビングに戻ると、先ほどと全く同じで、睨み合いを続けている美月達なのである。ピリピリしている雰囲気に、洗面所から戻ってきた郁人達は、すぐにリビングから逃げ出したくなるのであった。


「……ど、どうするんですか~? 郁人様~!?」

「……あ…み、みんな…早速勉強を始めないか? よし、ゆるふわ…勉強しよう!!」

「そ、そうですね~!! べ、勉強しましょうか~!! わ~い!! 勉強会ですよ~!!」


 あんなに勉強会を嫌がっていたゆるふわ宏美が、無理やりテンションをあげて、勉強サイコーと盛り上がるのである。


「……じゃあ、とりあえず……みんな席に座ろうかぁ…じゃあ、まず、郁人君と美悠ちゃんは奥の席に座ってねぇ…私達はさっきまで座っていた席で良いよねぇ」


 そう言われて、先ほどまで恐ろしい殺気を放っていた梨緒が、清楚笑みを浮かべて場を仕切りだすと、郁人様親衛隊の三人娘と副会長のクラス委員長も大人しくなり、梨緒の指示に従うのである。そんな、郁人様ファンクラブ幹部メンバーと梨緒を美月は無言で睨み続けるのである。


「で、宏美ちゃんと夜桜さんは、ここだねぇ」


 そう言って、郁人と美悠とは対面になる席を指さすのである、ゆるふわ宏美のリビングのテーブルは長方形の長テーブルのため、郁人との距離は一番遠くなる席に、美月が納得するわけもなく、文句を言おうとするが、すぐに美月の行動を察したゆるふわ宏美が話しかけて、妨害するのである。


「み、美月さん…さぁ、一緒に座りましょうか~!! べ、勉強教えてくださいよ~」

「ひろみん……それは良いけどね…今はちょっと…」

「わ、わたしぃ、美月さんに勉強教えて欲しいんですよね~!! 美月さん、早く勉強教えてくださいよ~!!」


 思ってもいないことを美月に叫びながら、半ば強引に美月の腕を引っ張って指定された場所に美月を座らせるゆるふわ宏美なのである。その様子を、郁人様ファンクラブの幹部メンバーは、会長頑張っているなと感心の瞳で見つめて、心の中で会長頑張れとエールを送るのである。


「ちょ…ひ、ひろみん…ま、待って…わ、私…い、郁人と…」

「美月さん…まず、す、数学を教えてください~!!」


 美月は、強引なゆるふわ宏美に戸惑いながらも、郁人の所に行こうとするので、この世でゆるふわ宏美が一番大嫌いな科目の数学で、美月を止めにかかるのである。もはや、ゆるふわ宏美にとっては諸刃の剣なのである。


「わ…わかったよ…ひろみん…ひろみんがそんなにやる気だなんて知らなかったよ」


 郁人と美悠が並んで座っている様子をチラリと見て、少し不機嫌になる美月だが、ゆるふわ宏美の勢いに負けて、勉強を教える準備を始める美月なのである。


「……お、お手柔らかにお願いしますね~」


 ゆるふわ宏美は、引きつったゆるふわ笑みを浮かべて物凄く嫌そうに勉強の準備を始めるのである。


「……じゃ、じゃあ。勉強するか」

「そうだねぇ…じゃあ、みんな試験勉強しようかあ」


 副会長の委員長と隣に座っている梨緒は、郁人側の方に座っているため、郁人との距離は近いのである。ちなみに、二人の対面には、郁人様親衛隊の三人娘が仲良く並んで座っているのである。


「じゃあ、俺は、美悠ちゃんに勉強教えるから…もしわからないことがあったら、聞いてくれ……後、席順なんだが……」


 郁人がそうみんなに言った後に、席に対しての不満を口にしようとするが、梨緒の無言のヤンデレ笑みを前に、できるなら、美月の近くが良いとは言い出せない郁人なのである。


「と、とりあえず、それぞれ、勉強を始めようか」


郁人は仕方なくそう言うと、みんな勉強を始めるのである。もちろん、美月はそんな郁人に対して、超絶不機嫌なジト目で無言の圧を放っているのである。そんな美月の視線と圧を感じて、冷や汗ダラダラな郁人は当初の目的通り、美悠の勉強を見ることにしたのである。


「じゃあ、美悠ちゃん…よろしくな」

「う…うん…よろしく……お、お兄ちゃん」


郁人にそう言われる美悠は物凄く緊張しているのである。場の雰囲気もそうだが、まさか、郁人の隣に座れるとは思っていなくて、チラリと郁人の顔を見ては顔を赤くして照れてしまう美悠なのである。


「よし…じゃあ、美悠ちゃん…とりあえず、何から始めようか?」

「え!? えっと…その…お、お兄ちゃんのオススメで…」


 もう、勉強どころの話ではない美悠なのである。美悠にそう言われて、郁人はあらかじめ用意しておいた課題の問題集を出して、美悠に解かせようとするのでる。


「じゃあ、美悠ちゃん…まず、数学からやっていこうか…とりあえず、これ、解いてみてくれないか?」

「わ、わかった」


 そう仲良く勉強をする姿を見て、副会長のクラス委員長がこう言うのである。


「さ、さすが兄妹ですね…ととと、とても仲良くていいですね!!」


 その発言に、ゆるふわ宏美に数学の問題を解かせていた美月が反応するのである。


「……兄妹? 誰と誰が?」


 美月のその一言で、ゆるふわ宏美は、大嫌いな数学に考えることを止めていた頭が再び動き出すのである。


「みみみみ、美月さん…ここここ、ここどうすればいいんですか~!!」

「え!? ここはね」


 そう言って、美月の気を逸らすゆるふわ宏美なのである。もちろん、郁人と美悠の表情も強張っていたのである。なんとか、ゆるふわ宏美のファインプレイで美月の意識を逸らすことに成功したのである。そんな中、静かに勉強していた梨緒が口を開くのである。


「夜桜さん……知らいないのかなぁ? 美悠ちゃんって、郁人君の妹らしいよぉ」

「……は?」


 ホッとゆるふわ宏美のお陰で助かったと安堵していた郁人と美悠だが、清楚笑みを浮かべて、梨緒がそう美月に言い放ったことで、郁人と美悠は再度表情が強張るのである。もちろん、何を言っているのかわからない美月は、疑問の声をあげるのである。


「美悠が……郁人の妹?」


 美月が不機嫌に郁人と美悠の方を見るのである。もちろん、すぐに美月から視線を逸らす郁人と美悠なのである。


「………どういうことなの?」


 美月のその発言で、また、リビングに重い空気が流れるのである。美月が口を開いたことによって、再度、ピリピリし始める郁人様ファンクラブの幹部メンバー達に、冷や汗ダラダラな郁人と美悠なのである。この状況をどうするべきかと、郁人と美悠とゆるふわ宏美の思考がフル回転するのである。


 そして、三人の視線が合うのである。そう、アイコンタクトで全てを悟った三人は、全力でこの場を誤魔化すしかないと頷き合って、全力で誤魔化すことにしたのであった。

ここまで読んでくれてありがとうございます。ぜひ、ブックマークと評価もよろしくお願いしますね。


さて、なんとか、勉強会を始められたと思ったら、郁人のせいで再度ピンチに、巻き込まれる美悠ちゃんは可哀想なのである。しかし、この場で、美悠が実は美月の妹でしたと言えば、美悠ちゃんが可哀想なことになるのである。


次回は、なんとか誤魔化そうとする三人に、美月の機嫌は最高に悪くなるのである、そんな、三人に救いの手を差し伸べる人物は……。


では、次回の更新もよろしくお願いしますね。

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