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96.鍛治師ギルドと買い物


商業ギルドを出たげんきたちは、お腹が空いたので、街の広場の屋台で、何か食べることにした。


広場は、噴水を中央に、街の住民たちで、ごった返していた。


その中から、ピーチがいい匂いー、と見つけた薄い生地に甘辛いたれの肉と野菜を包んで食べる屋台を見つけて、並んで、買った。


げんきたちは、広場に、見覚えのある子どもたちがいたのを見つけたが、動き回って、何か働いていたので、声を掛けずに、買った物を食べることにした。


ちょうど、食べ終わった頃に、1人の子どもが、げんきたちに気がついて、声をかけてきた。


「こんにちは」

「こんにちは」


げんきが、何をしているのか、聞いたら、

何でも、みんなで、馬車を改造して、小さな屋台にして、広場で売っているらしい。


寄って行って、と言われて、行くと、

助けた子どもたちが、パンとスープを売っていた。


パンは、朝に孤児院で焼いた物で、

エンフィスの世界の硬いパンだった。


スープは、何でも楓たちの作ったスープを頑張って再現しようとして、作っているもので、魔物の肉や野菜を煮込んだ物だった。

流石に、楓たちレベルとは比べ物にはならないが、何となく、努力しているのは感じた。


げんきたちは、ちゃんとお金を渡して、屋台を後にした。


「これからは〜?」

「鍛治師ギルドが、この街にあるみたいだから、武器や防具の要らないのと黒き竜のやつを売ってしまいたい」

「そっかー、なら、買い物して来てもいい?」

「あぁ、いいよ」


鍛治師ギルドには、げんきとピーチが行って、

他のメンバーは、買い物に行く事になり、

終わったら、家に集合することになった。


げんきは、楓たちに、今日の商談で手に入れたお金を渡して、鍛治師ギルドに向かった。



げんきは、ピーチを抱えて、職人区画と言われる、職人の作業場があるところにある鍛治師ギルドに来た。


「すいませーん」


ギルドの中に入ったが、受付らしきカウンターはあるのに、誰も居なかったので、ベル的な物を探したがなかったので、とりあえず、居酒屋の店員を呼ぶ感じに声をかけた。


「少々、お待ちをー」


どこか遠くから、返事があったので、待っていると、

1人のドワーフの女の子?人?がやってきた。


「ふぅー、すいませんね。それで、何の用だい?」


女の人は、カウンターに入って、台に登ると、

げんきに声を掛けて来た。


「武器や防具、装備品を売りたい」

「えーと、武器屋の紹介でいいかい?」

「鍛治師ギルドでは、買取ってしてないんですか?」

「してない事は無いが、武器屋の方が高く売れるよ?」

「なら、鍛治師ギルドでの買取でお願いします」

「君、変わってる子だね。まぁ、そう言う事なら、少し待ってて」


女の人は、透明な玉の魔道具を出して、誰かと会話し始めた。


げんきは、気になったので、眼で魔道具を見た。


通信球ー希少級

登録してある通信球と通信することができる。

ただし、通信できるのは、同一マップ内の半径3キロ以内に限られる。


まだ持っていない魔道具だったので、便利だなー、欲しいなー、とげんきが思っていたら、

2人のドワーフの男が、ギルドに入って来た。


「ギルドに武器を売りたいって、言ってる変わった子は、おまうか?」

「あぁ、そうだ」

「そうか、俺はギルドマスターのゴウだ。よろしくな。後、そこにいるのは、娘だ。手ェ出すんじゃねぇぞ!」

「お父さん!黙って!次に、私について、なんか言ったら、出て行くよ!」


そこから、3分ほど、父娘の口論が続いたのを、

げんきとピーチ、ドワーフの男は、黙って眺めていた。



やっと、俺たちの存在を思い出した娘が、取り繕って、買取の為に、裏にある倉庫に案内してくれた。


「じゃあ、物を見せてくれ」

「ここに出したらいいんですか?」

「そうだ」


げんきが、マジックバッグから、中層で見つけた装備品を出して、指定されたテーブルに積み上げていった。


「待て、待て、待ってくれ!まだあるのか?」

「そうだけど?」

「さっきのは、そう言う意味で聞いたのか……悪かった。謝る。だから、あっちの壁側に置いてくれ……」


そりゃ、そうなるだろう、とげんきは、壁側に行き、中層の残り、盗賊団、黒き竜の装備品を積み上げて、いった。


途中で、バキッと音がして、ガシャ、ガシャ、ガシャと何度もして、振り返ったら、テーブルが倒れて、積み上げものが、床に散乱していた。

大した物もなかったので、いいや、げんきは、自分の作業に戻った。


「その……なんと言うか……すまん。壊れたのは、ちゃんと買い取るから安心してくれ」


出し終わったげんきが、散らばった物を集めていたゴウたちのところに戻った時の、ゴウの最初の言葉だった。


「そうですか。ところで、娘さんは?」

「その、なんだ、明らかに、人手が足りないだろ。呼びに行かせた」


まぁあ、倉庫が、あんまり大きくなかったからか、倉庫の3分の1近くは、げんきの出した武器や防具で、埋まっていた。


「まだ、あるんですが、そちらは、この後に出しますね」

「まだ、あるのか………」


ゴウは、呟いて、げんきの積み上げた物を見て、絶望したような表情に変わって、目から光りが消え、鑑定していた男の隣に行き、自分も鑑定に加わった。


げんきは、椅子に座って、ピーチをブラッシングしながら、鑑定が終わるのを待っていた。


途中で、娘が、追加のドワーフ8人とヒューマン2人と鑑定板を持って、戻って来て、

積み上げられたものに、驚いて、固まって、正気に戻って、鑑定に加わった。


人数が、増えたことで、鑑定は、1時間掛からずに終わった。


「ちょっと待ってくれ、今、娘が計算している」


ゴウの娘の前のテーブルには、山のような紙が積まれていた。


「お父さん……」

「金貨で3341枚と銀貨7枚、銅貨4枚。これの値段でいいか?」

「細かいのは、省いて、いや、全部で、金貨3000枚でいい」

「そうか!なら、それで決まりだ」


ゴウは、娘に言って、お金を持って来させた。


げんきは、白金貨30枚を受け取り、渡された契約書にサインした。


「そう言えば、まだあるんだろ?」

「そうですけど……」


げんきが、あると答えた瞬間、追加で来て、鑑定で、疲れ果てていた10人が、わかりやすいくらい、ガクッとうなだれた。


それを見たげんきとゴウは、苦笑いするしかなかった。


「次は、数じゃなくて、質って感じなんで、こんなに人数要らないですよ」

「だとよ!もう帰って、大丈夫だぞ!」


10人は、2人の気の変わらないうちに、と帰り仕度を始めた。


「みなさん、お酒好きですか?」


げんきの質問に、10人全員が、好きだー、と言って来たので、げんきは、金貨を30枚程渡した。

大量にある竜酒のどれかでもいいかな、と一瞬、考えたが、なんか面倒が起こる予感がして、やめた。


「短時間で、あれだけやってくれたんですから、これで、疲れを癒してくださいな」


10人は、話が分かるじゃねーか、ありがとうよー、とウキウキで、倉庫から出て行った。


「チッ、アイツら!」


ゴウは、ウキウキしながら、出て行った10人には、今度、キツイ仕事させてやる、と心に刻んだ。


「さて、静かになったところで、出していいかな?」

「おう!どんなもんか、見てやる!」


げんきは、黒き竜のメインパーティーと第2パーティーの使っていた装備を全て出した。


「これは……それに、あれだけの武器……そうか、お前が、黒き竜を倒したやつか……」


げんきが、出した装備を見たガイは、どれもこれも見覚えのあるものばかりだった。


「一応ね」

「なんと無く、理解した。そうか、おまえが……突然だが、感謝している、ありがとう」

「はい?」

「うちのギルドに、黒き竜は、無理な注文ばかりしてな、毎回期限が過ぎたや、頼んだ物と違うとか、難癖をつけて、代金を支払らわず、物だけ奪っていっていたんだ」

「そうなんだ。別に感謝してくれなくていいや。ただの時間潰しの結果だから」


何か、重い感じの話しだったが、本当に、時間潰しの結果なので、感謝して欲しい訳じゃ無かった。

というよりも、さっさと、黒き竜の物を処分したかった。


「そうか……なら、鑑定するかの」

「正直なところ、これ全部要らないんだ。こっちで鑑定したら、全部で、金貨2500枚くらいだったんだけど、処分したいから、全部で、金貨1000枚で買ってくれないか?」

「えっ⁉︎いや、えっ⁉︎いいのか、金貨1000枚で?あそこにあるクランマスターの剣は、竜系に与えるダメージが多くなる、竜特効の剣だぞ。あれだけで、欲しい奴なら、金貨1000枚は出すぞ!」

「別にいいよ。邪魔なだけだし」

「邪魔………わかった。金貨1000枚で買った!」


げんきが、本当に邪魔だと、思ったゴウは、儲けは確実なんだから、と、全て買い取ることにした。


金貨1000枚を受け取ったげんきは、

次に、移ることにした。


げんきは、樹と山の亜神ダンジョンで、手に入れた武器の中から、被って、使い道の無いものを出した。

杖や弓、剣、と出していたら、周りが静かになったので、ゴウを見たら、口を開けて、固まっていた。


「何か?」


げんきの問いに対して、誰も答えてくれなかったので、先に、全部出すことにした。


「じゃあ、この武器の買取よろしく」

「……」


ゴウたちから、反応がなかったので、

げんきは、パンッ、と手を強めに叩いて、正気に戻した。


「……す、すまん。少し待ってくれ」


ゴウは、息を吐いたり、吸ったりして、深呼吸して、自分を落ち着かせた。

ただ、よし!と気合いを入れて、歩き出そうとして、いきなり転けた。

気持ちを落ち着かせても、身体は固まったままだったのだ。


そのおかげで、周りの雰囲気が緩和され、娘ともう1人のドワーフも、武器を見に向かった。

3人で、武器を手に取り、何やら10分以上話し合っていた。



「これは、ボスドロップ……ウチに売らずにオークションに出したらどうだ?」


話し合いが終わって、ガイが、げんきに言った第一声が、これだった。


「いや、面倒だろ、オークションなんて」

「面倒………わかった。ただ、これ程のものだ。私の一存じゃ買取出来ん。本部のグランドマスターと相談しても良いか?」

「別に構わないよ」

「そうか。なら、暫し待っていてくれ」


ガイは、グランドマスターと相談する為に、倉庫から出て行った。


残されたげんきは、ピーチと遊び、ドワーフの男は、武器を手にとって、眺めていた。

娘は、げんきと遊んでいるピーチを見ていた。


「その子、触ってもいい?」


ピーチの魅力に負けた娘は、ピーチを撫でていたげんきに聞いた。


「だってさ」

(いやー)


ピーチは、頭を横に振って、拒否することを表した。


「えー」

「諦めなよ。この子は、仲間でも触らせないくらいなんだ」


最近になって、やっと寝ている時のみ楓と椿が触れるようになっていた。

未だに、起きている時は、楓と椿には、触らせていなかった。


「それより聞きたいんだけど、ここから、グランドマスターってのに、すぐに話し出来るの?」

「出来るわ。隣の国に本部があるからね。お父さんの部屋の魔道具なら、話せるのよ」

「隣にあるんだ」

「ここから、南に向かって進んで、馬車で3日にある鍛治大国ドラン王国の王都ガレスに鍛治師ギルド本部があるわ」

「鍛治大国か、行ってみたいな」


げんきは、機会があれば、一度行ってみたいと感じた。


そのあと、ゴウが話し終わって、帰って来る1時間くらいを、ドラン王国出身の娘やドワーフの男から、ドラン王国の話しを聞きながら過ごした。



「結論から言おう。全て買い取りたい。ただ、今から、再度、鑑定させて欲しい。グランドマスターから、正確に把握して、報告して欲しいと言われたんだ」

「買取してくれるなら、別に構わないですよ」

「そうか。助かる。ウチのギルドの金銭じゃ足りないから、報告して、本部からお金を入れて貰わんといけんかったんだ」


それから、1時間以上、細かく鑑定したゴウは、

げんきに一枚の紙を渡して来た。


「オールドトレントの杖、ロッド、弓。これは、隣に樹の神ダンジョンがあるから、たまに、この国にも流れて来る。杖一本金貨800枚、ロッド一本金貨1000枚、弓一張金貨400枚で買い取る。良いか?」

「良いよ」


全部、価格の範囲内だったので、げんきは、同意した。


そのあとも、げんきは、ガイから、一つずつ、説明されて、全て、価格の範囲内に収まっていたので、

全て買取してもらう事にした。


「じゃあ、報告して、金を用意する。すまんが、待っていてくれ」

「大丈夫だよ」


げんきは、ガイが出て行くと、

再び、娘とドワーフの男とドラン王国の話しを始めた。


ガイが、戻ってくるまでに、ドラン王国については、かなり知ることができた。


ドラン王国は、


国の広さは、ルスツ王国より、少し小さいくらい。


国民の7割程度がドワーフで、ドワーフの王が国を治めているドワーフの国。


今、げんきたちがいる大陸ノルディア大陸では、最高の鍛治技術が集まっているらしい。

エンフィスの中でも、トップ3には入る程の鍛治技術らしい。


一応、貴族もいるが、その貴族は、鍛治貴族と言って、二年に一度の鍛治祭と言う鍛治の神に感謝を捧げる祭りで、国の鍛治師が自分の技術を披露して、競い合い、上位30人に与えられるらしい。

二年に一度、貴族が、コロコロ変わるから、貴族として、国の運営なんかには、関わったりしない。


ちなみに、ゴウと話しをしているドワーフの男は、6年前から、上位30人に入っている鍛治貴族だそうだ。


国民は、大体が、何かしらの職人とその家族で、

兵士は、少ないが、国民の大人は、何かあれば、戦えるだけの力があるそうだ。


それに、王都の東に鍛治の神ダンジョン、西に炉の神ダンジョンがあり、職人は、大人になると、修行の前に、ダンジョンで、鍛えるのが、習わしになっているらしい。


国民性も、わかりやすく、大体、朝から夕方まで働いて、仕事が終わると、酒場で飲む、と言うものらしく、王にも、お酒を持って、手続きをちゃんとしたら、会えるらしい。



お酒程度で、気軽に会える王、ってどうなんだろう、とげんきが、考えていたら、ゴウが戻って来た。


「待たせたな」

「全然大丈夫ですよ。娘さんたちから、色々聞けて、ありがたかったです」

「そうか。それじゃあ、これが、買取金額金貨38700枚相当の白金貨387枚だ。確認してくれ」

「……大丈夫ですね」


げんきは、売買契約書にサインして、白金貨387枚をマジックバッグに直した。


「そうだ!大サイズで、評価がAのダイヤモンドって買取してますか?」

「………流石に、宝石は買取してない。でも、本部なら、欲しがりそうだな」

「そうか、なら、しょうがないか。色々お世話になりました」


げんきは、ゴウたちに一礼して、鍛治師ギルドから出て行った。


げんきは、外に出て、家の近くまで、帰って来た時に、鍛治師ギルドに行ったもう一つの目的だった、

手持ちの素材を加工して、防具を作ってくれる鍛治師の紹介をしてもらうのを忘れたのに気づいたが、

縁がなかったんだ、縁が、と無理矢理自分を納得させた。


げんきが去って行った鍛治師ギルドでは、ゴウが、娘とドワーフの男に、お金を出しに行った時に聞いて来たげんきたちの話しを、お酒を飲みながら、聞かせた。


3人は、げんきを思い出して、見た目で、判断するのは、やめようと誓った。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



げんきたちと別れた楓たち一行は、メインストリートのど真ん中を歩いていた。


何故、ど真ん中かと言うと、楓たちが歩いていると、前にいる者や前から来る者が、端に寄って、真ん中に人が居なくなるからだ。


「なんなんだろうねー」

「問題無いし、空けてくれるなら、通るだけよ〜」


何故、道が空くのか、簡単な話しだ。


街の人たちは、昨日の黒き竜の一件、朝の奴隷の行進、を知っているからだ。


そんな中、グリフォン2匹と色違いのボア2匹を連れている獣人の少女2人を見れば、そんな人が他にいるわけ無い、彼女たちが、噂の者達だと、気づく。


そして、1人が、端に寄ると、また1人、となって、気がついた時には、楓たちの前には、誰もいない道が出来ていた。



楓たちは、前回、奴隷たちと来たときから、目を付けていたお店に到着して、中に入っていった。


中にいた店主の男は、入って来た少女、楓と椿を一目見て、冷やかしか、と従業員の男に追い返せ、と言おうとして、後から入って来たグリフォン2匹とボア2匹を見て、客か?と言うのをやめた。


このお店は、高い服や従魔の服を扱っているお店だった。


店主は、お金大丈夫か、と思いながら、従業員の男を向かわせた。


「いらっしゃいませ。本日は、どの様な物をお探しでしょうか?」

「この子達の服があると聞いたのだけど?」

「御座います。ご予算はいかほどでしょうか?」

「このくらいかな〜」


楓が、マジックバッグから、白金貨を手で掴んで、従業員に見せた。


「………」

「それで、従魔用の服は何処にあるの?」


楓が適当に掴んで見せた白金貨10数枚に、

従業員は、固まってしまい、対応出来なかった。


店主の位置からは、楓の出した白金貨は、見えておらず、でも、お金はあるのだろう、と楓の問いに無反応の従業員に、おい!、と叫び、対応するように、叫んだ。


「申し訳ございません。従魔の服でしたら、あちらに御座います」


店主の声で、従業員は、正気に戻って、楓たちを従魔の服の置いてある場所に案内した。


「今、当店にあるのは、こちらになります。他にも、一か月ほどで、オーダーメイドの服をお作りすることが出来ます」

「オーダーメイド?それは要らない。ここにあるのは、試着させてもいいの?」

「構いませんが、もし、破れてしまった場合には買取になります」

「そう、なら、試着させてもらいますね〜」


店からの許可も出たので、楓と椿は、手当たり次第に、ルビーたちに試着させていった。


従魔の服は、特殊な製法で、作られていて、伸び縮みして、元のサイズよりも自由度があった。

ある程度、自動で身体にフィットするようになっているので、サイズの違うルビーとマロンで、同じ服を着ることができるようになっていた。


「他の子たちにも買っておこうね〜」

「そうだねー」


楓と椿は、ピーチたちの分も、と言い、試着させた服はもちろん、その色違いなども、次から次へと、従業員の男に渡していった。


明らかに、異常だと、やっと気づいた店主は、服をカウンターに置きに来た従業員の男を捕まえて、事情を聞いた。


「……白金貨10数枚………店ごと買うつもりか?」


従業員の男が、楓に呼ばれて、戻ってから、

店主は、楓たちを見ながら、呟いた。


結局、楓たちは、店に置いてあった従魔用の服を9割近くと、自分たちとげんきの分の服をカウンターに運ばせた。


店主と従業員は、必死になって計算していった。


「全部で、2572万ゴールドになります」


全ての計算を終えた店主が、疲れながらも、楓たちに金額を伝えた。


楓が、白金貨2枚、金貨57枚、銀貨20枚をマジックバッグから出して、カウンターに置いた。


店主が、硬貨の枚数を確認して、楓にたずねた。


「こちらの商品ですが、どちらにお運び致しましょうか?」

「はい?」


楓は、何を言っているの、この男は?と店主を見ていた。


「これだけの量なので、馬車、もしくは、ご自宅まで、運ばせていただきますが?」

「結構です」


楓は、ハッキリと拒否して、

椿と買った服をマジックバッグに入れていった。


「では、ありがとうございました」


楓が、店主と従業員の男に、そう言って、店を出ていった。


店主と従業員の男は、店内の半分以上はある服をマジックバッグに全部入れたのを見て、理解出来ず、

固まって、なんの返事も返せなかった。


そこに、買い物から帰って来た店主の妻が、店に入って来て、商品の無くなっているお店を見て、強盗?と店主に詰め寄った。


店主は、一連の流れを妻にして、最後に、お金を見せた。


「あんた、変なことしてないだろうね」


妻は、話しを聞いて、すぐに、噂の少女達だと気づき、まだ、何も知らない夫に、楓たちの噂を話した。


店主は、話しを聞いて、身体が震え出して、必死に自分の記憶を探り、何もしていないよな、と何度も何度も、同じことを寝るまで繰り返していた。


店を出た楓たちは、馬たちの餌などを買って、家に帰っていった。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



家で、合流したげんきたちは、晩ごはんを食べながら、お互い、何があったのかを話して、のんびりして、休んだ。



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