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8.カタログ


創造神は頭を上げて、バシッと決まったーと思っていた。

後ろにいた妖艶なお姉さんが、初めて見せる慌てた表情のまま、創造神に近づき、耳打ちした。

創造神は若干頬を赤くしながら


「えー、大変申し訳ないのですが、伝え忘れていたことがあったので………みなさんは全種族言語理解・変換という能力が付加されており、エンフィスで一般的な会話と読みは、問題なく出来るようになっています。書きに関しては、漢字以外で書いた物が、自動で共通言語に変換されるようになっています。後、全員が元の世界で、得意としていた事のスキルが1〜3個付いてます」


創造神は話し終わると、すぐに後ろにいたお姉さんと犬耳おじいちゃんの方に向き、2人が頷いたのを確認してから


「えー、これで説明は以上になります」


言い終わると、創造神は手を合わせ、全ての膜の中が見えないようにしてから、大きな砂時計を出して置いた。

置くとすぐにお姉さんに飛びつき、扉の中に入っていった。



げんき達は創造神達の一連の流れを黙って見ていた。

同じ膜の中にいる水の女神だけは、頭を抱えていた。


げんきは創造神に対して少しポンコツ臭がして心配になっていた。

ただ、言葉に対して不安が解消されたことは、嬉しい限りだった。


楓と椿は本を木箱の上に移動させて、早く中みたいとげんきに目を向けていた。


「カタログ」

『もちろん』

2人の目線に気がついたげんきは、声をかけたがカタログという単語いっただけで、2人が食い気味に返事を返してきて、げんきは苦笑いしていた。


『えっ……』

意気揚々と本の1ページ目を見た、2人は一瞬口を開けて固まった。

2人はげんきをジッと見た。

げんきは何のことか分からず首を傾げた。


げんきも本を覗くと、一瞬固まった。


878,520p


1ページ目の中央に書いたある数字だった。

元の世界の総資産9億近くあると言うことになる。


2人の目ははっきりとげんきを捉えて離さなず、何やったの?と訴えかけていた。

げんきは無言で左右にいきよいよく首を振った。


『げんくん』

「はい、何でしょう?」

2人の目は変わらずげんきを捉えたまま問いかけたが、げんきも分からないので素直に返事をした。

「正直に話す方が後々楽になるよ」

「…」

「さっさと吐きなさい!」

「…」

「私と椿ちゃんを敵に回しても、勝ち目なんてないよ」

「今正直に話ないで誤魔化すならげんくんは、辛い立場になると思うよ」

「うっ……」

げんきも見に覚えが有れば答えられるが、本当に分からないのだ。


2人のジト目に晒されながら、げんきは頭をフル回転させ、1つの案を閃いた。


「ポイントだ、ポイントの詳細が最後のページにあるはずだ」

『そういえば』

2人はすぐに最後のページを開いた。


『ギルティ』

「うっ」

個人別のポイントを見て、有罪判定を下された、げんきは頭を下げた。


楓と椿は2人とも10万ポイントを少し超えたくらいだが、げんきは67万ポイント近くあった。


げんきは詳細を見ていて、マンションの文字を見つけた。

マンションだけで55万ポイント近く稼いでいた。

マンションは母さんが管理していたものだが、父さんの海外赴任について行くのでと、俺が管理人をしていたものだった。ほとんど不動産屋に任せきりで、家賃収入は一家の口座に入金されていたので今の今まで忘れていた。


「ノットギルティ」

詳細のマンションを指差して、2人に高らかに宣言した。

「無職の人の貯金が1億以上あるのはどうしてですか〜?」

楓が詳細の貯金を指差して、問うてきた。

「確かに、おかしいですね。タレントよりマネージャーの方が給料高いのかな?」

椿も攻めるのをやめなかった。


げんきは

父親と一緒に宝くじを当てたこと

コウ達幼馴染4人で行ったアメリカ旅行のラスベガスでバカ勝ちしたこと

など洗いざらい白状した。


白状した結果罪状は保留になった。


3人は母親のおかげで、大幅にポイントが増えていたことに改めて感謝した。


げんきは気持ちを切り替えて

「紙とペンが欲しいんだけどカタログにある?」

「1つ1つのページ探すのはやだよ〜」

げんきは紙とペンは必要と考えているが、確かに辞書並みの厚さがある中から探すのは大変だと思っていた。


「2ページ目を開いて、心の中で紙かペンと唱えて見なさい」

3人のやりとりを見ているだけだった水の女神が、横から声をかけてきた。


「でた」

2ページ目は白紙だったが、心の中で紙と唱えると白紙だった2ページ目が紙の項目に変わっていた。


紙1枚ー1p

紙10枚ー10p

紙100枚ー80p

………


紙の種類だけで3ページ分もあった。

げんきはとりあえず紙1枚を1pで交換した。

1枚の紙が木箱の上にいきなり現れた。

紙を持ったり、折ったりしたが大丈夫と判断して、紙を100枚を5セット400pで交換した。

木箱の上に大量の紙のが現れた。


同じようにペンの項目を開くと羽ペンしかなかったので羽ペン10本100pと高級な羽ペン5本1000pの物を交換して、インクも高級なインク10本500pの物を交換した。

木箱の上がいっぱいになってきていたので、げんきは自分のマジックバッグに羽ペン5本とインク1つ1つと数十枚の紙を残してあとは全て入れた。


この一連の流れを楓と椿は黙って見ていた。


「少し周りの様子を見に中央までいってくるから、2人はカタログ見てて」

そういうとげんきは膜を出ていった。


楓と椿は2人で話しながらカタログを見て、必要そうなものをチェックして、交換はせずに紙に書いていった。


げんきは膜を出ると中央に目を向けた。

中央には6人いた。

1人はパイロットの制服を着ている男の人で、おそらく8人グループの代表者だろう、台車を押して料理を取っていっていた。

他にも3人台車を押しながら料理の前で何かしていた。

残りは2人でチャラそうな男が中央でしゃべっていた。


げんきも軽食を見ると、メニューは変わっておらず、飲み物も変わっていなかった。

なので、飲み物をついで飲みながら、話しに耳を少し傾けつつ、クレープもどきを器に盛っていった。


チャラそうな男2人は、どちらも大学生みたいで、お互い友人達とグループを組んだが、奨学金なんかでポイントがトータルマイナスで0ポイントしかなく、膜の中で言い争いをしていて、雰囲気最悪らしい


そんな話しを聞いて、クレープもどきの入った器を持って膜の中に戻った。


『おかえり』

「ただいま」

げんきは座りながら挨拶を返した。


「水の女神様が教えてくれたんだけど、最低3日は歩きでかかるなら、野営の道具ある方がいいんじゃないか?って、2人で話したんだけどいると思うんだけど…」

げんきもすぐに必要だと思い至った。

「確実にいるね。女神様ありがとうございます」

3人は水の女神に頭を下げた。

「やだよー、仰々しいのは嫌いなんだ、さっきまでの話し方でいいよ」

水の女神は顔の前で、手を振りながら言った。


3人はカタログでテントの項目を開くと、野営の道具のセットが出て来ていた。

げんきはページを戻してから、改めて2ページ目で野営関連と少し曖昧なことを心の中で考えてみた。

曖昧でもカタログは反応して、野営関連のものが2ページ目に出てきた。

3人は良さげな野営セットや性能の良さげなテントなどをチェックして、紙に書いて、水の女神に分からない説明など相談しながら、候補を絞っていった。

水の女神に、もしかしたらすぐに街について必要なかったとしても、後々狩りなどで必要な場面はいくらでもある。というのが決定打になり、テントの候補は2つまで絞った。


鉄壁テントサイズ大ー100,000p

女神曰く、レベル80相当の攻撃を余裕で耐えるテント、4人用


頑強な迷彩テントサイズ中ー70,000p

女神曰く、レベル60相当の攻撃を余裕で耐えて、テントの入り口を閉めると、周囲にとけこみ、敵の索敵を惑わせ、敵に気付かれにくくなるテント、3人用


楓と椿が持ち運び可能な全自動機能つき魔道具のトイレとお風呂は必要だと、いうのでテント内に設置するには広さが必要になり、迷彩テントだと2つ必要で高くなり、鉄壁テントでは耐えれるといえど、敵に見つかると夜であろうと攻撃される。迷彩テント大は20万ポイントとなり高すぎる。


話し合いの結果

頑強な迷彩テント中を2つと2人の希望のトイレとお風呂、後は野営の道具のセットから調理関係が充実してうるセットに炭や防水関連のもの、魔道具に必要な魔石などを交換すると決定した。


「でっかい鞄要らないの?」

水の女神の一言で3人は固まった。


3人は慌てて、バッグの項目を開いていた。


「どうせなら容量の大きいマジックバッグにしたら?」

バッグの項目とにらめっこしていた3人に、水の女神が声をかけた。

「野営のセットなら容量とまれくらいになるかわかる?」

げんきはまだポイントと交換していないので、どれ位の量になるのか分からず、聞いた。

「大だと野営関連以外はあんまり空き作れないけど、特大なら容量が大の10倍はあるから他のものも余裕で入るよ」

水の女神の言葉を聞いて、3人はカタログを見た。


マジックバッグ大ー100,000p


マジックバッグ特大ー300,000p


3人も特大の方がいいのはわかるが、他にもチェックしている物もあるので、第1を特大、と紙に書いた。


楓と椿が2人でチェックしていたのは、服や下着、食料、飲み物、調味料で

水の女神に言われてチェックしたのは、野営関連、マジックバッグで、

げんきがいない時の水の女神に言われてチェックしたのは、魔道具、ポーションなどの薬品、魔法書や地図などの資料関連、城や船


野営関連とマジックバッグ以外を見ていった。


楓と椿がチェックしたのは安いポイントのものが多く、後回しにしてもいいとなった。


魔道具は気になったものを、水の女神に聞きながら、チェックしていったが、気になったものは全て1万ポイント以上のものばかりで、こちらも後回しになった。


ポーション関連は、よくぞ教えてくれました、と思うものが多く、効果の高いものや特殊なポーションはポイントも高かったが、各種状態異常のポーションやただのポーションはセットが安かったので、交換リストに書いておいた。


魔法書や地図は惹かれたが、紙か貴重だということもあり、魔法書は最低5万ポイントから、地図は最低20万ポイントから、だったので諦めた。


城や船はあることにびっくりだが、どちらも1ページ分しか表示されなかったので、ポイント以上は表示されない仕組みのようだった。当然、交換はしない。


水の女神と3人は、武器や防具などもいいが、今チェックしてあるものを、まず再度検討して交換してからでもいいと話し合いで決めた。


膜の外を見ていた水の女神が3人に話しかけた。

「一番手が行くみたいだな」

3人は膜の外を見た。

「もう1時間経ったのか」

『早いね(〜)』

「行くみたいだな」


3人は最初の女性2人組が白い渦の中に入っていき、渦が消えるのを見届けた。

すると、3と渦があった場所に表示されると、スタッフの8人グループの人達がいきなり現れて、渦のあった場所に移動していた。

8人の内2人いる男性は身体が隠れるくらいの大きなリュックを背負っていた。


「楓、椿、やっぱりマジックバッグを交換しよう。あんなデカイリュック背負ってたら動きは取れないし、目立つよ」

「確か、邪魔ですね〜」

椿も2人に頷いていた。


3人はチェックしたリストを再度確認していた。

げんきはマジックバッグの項目を開いていたら、

大きさが同じなのにポイントが違うものがあることに気がついた。


「女神様、大きさ同じでポイント違うのがあるんだけど?」

「マジックバッグの大きさは同じでも、いっぱい入る以外の機能がついてるんだよ」

「えっ……どんな効果があるの?」

「ポイント高い方のマジックバッグ特大のところを2回触ったら、機能欄がでると思うから、触ってみな」

げんきは高いマジックバッグの欄を2回触った。


マジックバッグ特大ー420,000p

機能ー確認欄、時間操作、温度操作


「ほぉー、中々いいじゃない。確認欄は中に入っているものを表示して、表示されているものを選んで取り出すことが出来て、時間操作と温度操作は、個別に時の流れと温度を設定できる機能だね」

水の女神の説明を聞いて、げんきは頭を抱えた。


便利なのはわかる、特に時の流れの設定は、食に直結しているのは、何となくだが理解出来た。


「時の流れの設定は、時間を止めたりできるの?」

「うーん……さすがに実物見ない事には、何とも言えないが、機能として時間操作がある以上、ゆっくりにすることはできるのは確実だな」


楓や椿も無言だが、げんきと水の女神の会話で、げんきの考えがなんとなくわかった。


「楓、椿……エンフィスに着いてすぐに、変なことに巻き込まれて、街に3日で着けなかったり、動けなくなったりなるかもしれない……安全第一で、食料なんかは多くほしい、でもただ入れてるだけだとダメになると思う……」

げんきは2人を交互に見ながら、伝えた。


「げんくん、今なんか言っちゃいけないこと言った気がする〜」

楓の言葉に、椿も頷いていた。

げんきはなんのことか分からず、首を傾げた。

2人はげんきを見て、げんきがフラグになるようなことを言ったのに、気づいていない様子だと、ゲラゲラ笑いだした。

おかげで膜の中の雰囲気は良くなっていた。


今のげんきは、カタログを見て、エンフィスに行くことを、強く意識し始めており、楓に椿の2人しか信用できないし、兄として2人を守らないといけないということを思いはじめていた。


げんきの言ったことがフラグになっているのか知るのはまだ先の話しだった。


「げんくん心配しすぎ」

「椿ちゃんの言う通り。でも心配なのもわかるのでマジックバッグ特大だけを開いて他も確認してみたら〜」

げんきは返事をするよりも、カタログの2ページ目で、マジックバッグ特大、と心の中で唱えた。


結果は微妙だった。

というか42万ポイントが特大では一番高かった。

42万ポイントより、安いポイントで時間操作のついたものはなかった。

確認欄だけや温度操作だけのモノはあったが、ほしいのは時間操作なのだ。


3人は今交換しようとチェックしているマジックバッグ以外のものを、新しい紙に書いていった。



今現在のポイントは

876,519p


迷彩テント2つで140,000p

全自動トイレー35,000p

全自動お風呂ー35,000p

調理関連の充実した野営セットー60,000p

トイレやお風呂など魔道具に必要な無属性魔石や防水関連しめてー4,500pくらい


合計274,500p


残るのは602,019p


紙に書いて、3人は残りのポイントを見て、保留していた食料などを見直してから

42万ポイントのマジックバッグ特大を交換しようと話し合い、決定した。


3人はまず、42万ポイントのマジックバッグ特大を交換した。

創造神がくれたマジックバッグ2つ分くらいの大きさの鞄が床に現れた。


「女神様、機能はどう?」

マジックバッグが現れてすぐに、げんきは水の女神に問いかけた。

「うーん、時間操作に関しては問題ないよ。時間を止めたりは出来ないが、ゆっくりにはなるね。わかりやくいえば、鞄の外の50日で中の1日ってくらいゆっくりには出来るよ」

3人は予想以上の機能に、顔を見合い、楓と椿はげんきに抱きついた。


げんきはふと膜の外を見ると

中央で話していたチャラそうな男の1人の4人組グループが、18と表示されている前に集まっていた。男女2人ずつのグループだが、纏っている空気は若干険悪なようだった。それに見た感じ創造神に、もらったマジックバッグを肩から下げているだけだった。


「後150分くらいか」

『そんな時間たったの』

げんきに残りの時間を言われて、2人は膜の外の数字を見た。


げんきがマジックバッグの使い方を水の女神に説明を受けている間に

楓と椿はさっき紙に書いていたものを交換していった。


迷彩テントは【チキュウ】でゲルと呼ばれるものと近く、組み上がった状態で出てきたのに、膜からはみ出してしまうと、驚いた楓と椿は水の女神に慌てて顔向けた。

水の女神は顔を左右に振って、大丈夫と答えた。


他のものも交換し終わると、げんき達の周囲に物が溢れていた。


げんきは水の女神に教えられた通りに、2人に使い方を説明しながら、鞄の入り口を開けて、迷彩テントに触れて、心の中で収納と唱えて、テントをマジックバッグに入れた。

3人で交互にものを入れていき、全てマジックバッグにしまった。

しまった後は確認欄を使って出すのを、3人が一度ずつ行い、使い方を覚えていった。

ちなみに、テントやトイレなど魔道具には使い方の説明書がついていた。


一通り終わると3人は、カタログの1ページ目で残りのポイントを確認していた。


181,752p


ポイントを見て、食料や飲み物、ポーションなどのことを考え

個別に必要なものを交換する為に1人3万ポイント計9万ポイント

後で何かほしいものがあるかもしれない為2万ポイントくらい

を取っておくことにして、残りの7万ポイントくらいを食料などにあてることにした。


椿にチェックていたポーション関連と飲み物(水と果実水)を交換している間に、げんきと楓は食料について話していた。


「肉は魔物やモンスターのが多いが………野菜や果物に関しては元の世界と見た目と名前が一致してるのがほとんどだけど……」

「野菜や果物は同じでも味なんかはもしかしたら違うかもしれないですね〜。野菜や果物は安いものを満遍なく、量を多くしておけば、身体に合わないものがあっても他でカバーできると思うよ〜」

「うーん…確か、野菜や果物はそれでいこう」


楓は野菜や果物に関して、決まったことを紙に書いて、種類や個数をげんきと相談して、まとめていった。


椿がポーション関連を交換して、マジックバッグに入れて、2人の元に戻ると

野菜や果物がまとめ終わったところだったので、紙を貰って、また交換し始めた。


「肉はどうしようか…」

「うーん…」


肉類に関しては、食べていた動物の肉はポイントが少し高く、それよりも安い魔物やモンスターの肉が数多くあったり、それよりも高い魔物やモンスターの肉もあったり、と2人を悩ませていた。


そこに野菜や果物を交換して、マジックバッグに入れた椿が戻ってきた。


「エンフィスで魔物やモンスターの肉は、一般的に食べられてるのかな」

椿の一言で、3人は水の女神を見た。


「うーん…一番安い魔物の肉なんかは奴隷や孤児が食べたりするもので、一般的な家庭では、それより少し上の魔物の肉を食べていて、動物の肉なんかは、余裕がある中流の家庭で食べられていて、高い魔物の肉なんかは貴族や王族なんかが食べてるものになるかな」


3人はなるほどというように頷き、3人一緒に、ありがとう、と水の女神に言った。


「エンフィスで生活していくんだから、いずれ魔物の肉を食べることに、なると思う…」

げんきは2人の様子を伺い続けた。

「動物の肉をメインに、動物の肉より少し安い肉と少し高い肉も交換するのがいいと思う」


2人は少し考えてから、げんきに頷いた。


3人は肉類と調味料の、種類と量を紙にまとめた。

肉類のおかげで予定よりポイントが高くなったが、誤差の範囲だと思うことにした。


楓と椿がカタログで肉類と調味料を交換し始めると


「お菓子かおつまみとエール取ってきて」

水の女神が食料が置いてあった台車を指差して、げんきにいった。


げんきは台車の方に目をやると、台車の上に空になった器が積まれていた。

山のように取ってきたクレープもどきとクッキーがなくなっており、果実水のひと樽を残して、食料がなくなっていた。

楓と椿も交換するのを止めて、台車の上の器の山を見て固まっていた。


げんきは水の女神の、はやくー、という目線に負けて、固まっていた2人に声を掛けて、台車を押して膜を出ていった。


げんきが、あの量があの身体のどこに入っていったんだ、と考えながら台車を押して中央までいった。


げんきは、メニューは変わっていなかったので、おつまみとエールが分からなかった。

とりあえず、台車の上を片付けようと、台車を借りた女の子のところに行くと、さっきと違う女の子が3人増えていた。


「空になった器なんかはどうしたらいいですか?」

台車を借りた女の子に話しかけた。

「こちらで片付けますので、台車ごと置いていってもらって結構です」

「そうですか」

げんきは近くにいた2人に台車を預けた。


「えーと……おつまみとエールありますか?」

げんきは台車を預けて、女の子に話しかけた。

女の子は一瞬固まり、げんきに詰め寄った。

「どういうことでしょうか?」

女の子は周りに聞こえないように小声で聞いた。

「水の女神様に取ってきてと言われたのですが……」

げんきも女の子以外に聞こえないように答えた。

げんきは答えた後、まずったかと少し考えたが水の女神が悪い、と思うことにした。


女の子は少し頭を抱えて

「少々お待ち下さい」

と言うと、隣の女の子に耳打ちすると、何処かに歩いていった。


げんきは待ってる間、周りを見ていた。

ちょうど渦に入っていくところで渦の表示は23、24となっていた。

2つのグループが入ると渦は消えて、25、26と表示され、カップルらしい2人組が2組現れた。

どちらも折り畳まれたテントを上に置いたリュックを男が持っていた。

片方は女も同じくらいのリュックを背負い、腰に鞘に入ったナイフのようなものを持っていた。


げんきが観察していると

借りていた台車より少し大きい台車を女の子が押して中央に向かってきていた。

ただ、女の子の後ろに緑の髪に緑の翼が生えたお姉さんがついてきていた。


お姉さんは緑の長い髪、綺麗な薄緑の翼に加え、胸が大きく、着ている緑のドレスから谷間が見えており、スリットからたまに見える脚が綺麗な女性だった。


げんきも男である、大きな胸に一瞬目を奪われたが、このお姉さんも女神なんだろうな、と考えていると、

お姉さん達はげんきの目の前に来ていた。


「この台車の下の段にエールの樽が3つと真ん中の段におつまみが入っております」

女の子はそう言うと、台車をげんきに渡し、最初にいた場所に戻った。


緑のお姉さんはげんきを一通り見てから、げんきに近づき、耳元で囁いた。


「あの馬鹿のところまで、私に対して質問などせずに案内してください。私はすぐ後ろで姿を見えなくしてついていきます。今から一言も喋らず、膜の中に帰るのであれば、私の胸に目を奪われ固まった事を私の心の内に留めて居てもいいですよ」

囁き終わると緑のお姉さんは姿を消した。


げんきは緑のお姉さんは、怒らせたらいけない人だと、一瞬で理解して、黙って、台車を押して帰っていった。


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