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7.赤い袋に福袋の文字


げんきは創造神が再度膜の確認をしている間に、周りの人たちが2時間でどう動いたのかを観察していた。


周りの様子はというと、

一番人数が多いのは8人のグループで、このグループは飛行機のスタッフのグループだった。

最初は飛行機のスタッフは全員固まっていたが、そこから何組かに分かれたようだった。

次に人数が多いのは5人のグループで何組かあった。

このグループは家族や友人とという感じだった。

1人の人もいるが、全体的に複数人のグループが多くなっていた。


「では、最後の説明にはじめます。みなさんは今のメンバーでエンフィスの大地に旅立っていただきます。どこに行くのかはそれぞれランダムになります。送る場所の条件はみなさん同じになりますが、違うグループと同じところにはなりません。条件は半径1キロ以内に人がおらず、半径500メートル以内に個人やグループで倒せない魔物がおらず、最低でも歩きで3日のところに人里がある場所になります」


旅立ってすぐに死ぬようなことのないように配慮しての条件だった。


次に、と創造神はいい手を叩いた。

すると全員の前に肩にかけるタイプの鞄が現れた。


「この鞄はマジックバッグと呼ばれる魔道具です。鞄の大きさよりも多く物を入れることが出来る鞄です。容量は一般的な家の一部屋分だと言われております。今はそれぞれ水とパンが10日分入っています。街で売れば2カ月くらいの生活費にはなります」


げんきは鞄の中に手を入れると何かに当たり、取り出すとパンだった。

パンを鞄の入り口に近づけると、パンは鞄の中に吸い込まれた。


創造神が手を二度叩いた。

白い膜と一緒に消えたステータスが、また空中に表示され、鞄の横に福袋と文字の書かれた赤い袋が出てきた。


「全員行き渡ったようですね。全員赤い袋を手に取り、袋のどこかを噛んでください」


げんき達は言われた通り、赤い袋を手に取り、袋の上の部分を噛んだ。

袋は噛むと一瞬光り、福袋と書かれている上にそれぞれの顔が書かれていた。

げんき達が驚いたように、周りも驚いていた。


「全員噛んだようですね。それでは全員赤い袋をマジックバッグに入れてください」


創造神の指示に従って全員が赤い袋をマジックバッグに入れた。


「全員入れたようですね。赤い袋ですが、マジックバッグ同様に私からの旅の餞別になります。赤い袋はこの場所では開ける事が出来ません。あと、赤い袋は自身の専用になっており、他の人では開けることが出来ません。なので、強奪して他の人の分もなど考えないようにしてください」


福袋が餞別?とほとんどの人はなっていたが、後半の話しで緊張感が漂っていた。


「赤い袋は書いてある通り福袋になっている。中身は全員同じではなく、完全ランダムになっている。中身だが、中には20〜30個の贈り物が入っている。これだけの人数に1人1人何かを贈るだけの時間的な余裕もないのです」


創造神は一息入れ話しを続けた。


「まず、中身ですが、1個目から10個目まではみなさん出てくる種類と順番は同じになります。内容はランダムの為同じではありません。1個目から順に、種族、HP、MP、攻撃力、防御力、魔力、魔法防御、素早さ、武器、防具が出てきます。それ以降の10〜20個はエンフィスの世界にあるものがランダムで出てくるようになっています」


げんきは種族が出てくると聞いて、人じゃなくなる可能性もあるのかと思っていた。

だが、最低でも武器と防具が手に入ることに、少し安心した。


「種族についてですが、先程の映像で見てもらった通り、人種以外の多種多様な種族もいます。エンフィスの代表的な種族は、人種、獣人種、妖精種となるが翼人種や魔人種など他の種族もいます。おおよそ割合は人種が4、獣人種が3、妖精種が2、他が1というところになります。福袋の1個目でみなさんの種族が決まります。ただ、人種がいいと考える人は、1個目を取る時に願えば人種になるようには設定しております。願っていなくても人種になる事もあります。魔物やモンスターになることはありません」


げんきはとりあえず人になれることに安堵した。

周りでも、説明をうけてグループ内で話しをしている者もいた。


「さて、福袋の中身がランダムと言いましたが、取り出すものにはランクがあり、出て来る種類の決まっている10個目まではS〜Fランクのものがランダムで、11個目以降はSSSランク、SSランク、S〜Fランクのものがランダムで出てくるようになっています。上のランクの方がいいものが多いかわりに、出て来る確率が低くなっています。運の数値が高ければ上のランクのものが出やすいですが、出やすいだけで運の数値が平均でも上のランクのものは出ます。ただし、出て来る種類の決まっている、1個目〜10個目で必ず1個はBランク以上のものが出て来るようになっています。福袋に関しては以上です」


げんきは何故ガチャ仕様と思ったが、運が高ければと言われ、楓と椿はげんきに目線を向けたが、げんきからすれば自分の数値が高いのか低いのか、比べたのは楓と椿だけなのでわからないでいた。

それに期待されても結果が平凡だと、2人にいじられる事が目に見えているので期待しないでいただきたい心境だった。


「今からエンフィスに旅立つ順番を決めてもらいます。全員を一変にエンフィスに送ることは出来ないので、クジで順番を決めてもらいます。こちらで用意出来る入り口は2つずつになります。前のグループが入ってから5分経ってから、新しく作る入り口に入っていってもらいます。今76のグループがありますので、最初と最後のグループでおおよそ200分程の差があります。ここの場所とエンフィスでは時間の流れが大きく違うため、ここでの30分はエンフィスのほぼ1日となる為、最初と最後でエンフィスでは7日近く差が出来てしまいます。その為、順番をクジで決めます。なので、今からグループの代表者1人は膜を抜けれるにしますので、代表者は階段の前に集まってください」


創造神は言い終わると手を叩いて、全員のステータスを消した。


げんきは2人と顔見合わせて、代表者を決めようとしていたが、

「げんくん頑張って」

「げんくんよろしく〜」

げんきは勝てることのない多数決により、代表になった。


げんきは膜を出て、階段まで向かっていた。

階段のところには、すでに10人くらい集まっていた。

階段のところまで行くと、ピリピリしたムードだった。


少しして全員が集まると、箱を持った女の子が階段を下りてきた。


「では順番に引いてください。引いたら元の場所に札を持って戻ってください」


そう言われ、げんきは12番目にクジを引いた。

番号は75

最後じゃねーかと声に出さずに思った。


2人にいじられる事が決まったげんきは、とぼとぼと歩いて元の場所に戻った。


『何番?』

とぼとぼ帰ってきたげんきに、ニヤニヤした2人が問いかけた。

げんきは黙って、75と書かれた札を見せた。

2人は笑い、札を全員が引き終わるまで、げんきをいじりたおした。

ちなみに、水の女神も途中まで笑いを堪えていたが、笑ってしまい、2人と一緒にげんきをいじっていた。


創造神はクジが終わったのを確認して、話しを続けた。


「さてと、これで旅立つ順番も決まった。先程話した入り口ですが、入った先は部屋になっていて、机と椅子があるだけです。この部屋で先程の福袋を開けて中身を取り出してください。福袋はこの部屋以外では開けることが出来ず、エンフィスに持って行くことは出来ません。部屋の中にいる全員が、福袋の中身を取り出し終わると扉が出てきます。扉を開くと全員がエンフィスの大地に旅立つことになります。尚、この部屋ですが、部屋に入ってから10時間経つと福袋の中身を取り出していなかろうと、強制的に扉が開くようになっています。部屋の壁に残り時間が表示されていますので、残り時間には注意してください。部屋の中の時間はエンフィスと同じ時の流れになっています」


げんきは最後になったので、最初のグループからほぼ7日後のスタートが、決まっているので待ち時間出来る限り、エンフィスの情報を集めてから、エンフィスに旅立とうと決意した。


「えーと、私達に関してになるが、今ここで見たり聞いたり、感じたりしている事に関して全員がエンフィスで話したり、書いたりなど情報の開示は出来ないようになります。エンフィスで常識的なことなら話したりも出来ますが、私達のことやこの場所については周りに誰もおらず、聞き耳を立てている者などがいない状態で、私達に関して知っている者同士なら話しをする程度ならなんとかできないことはないでしょうが、何かしら残すようなことは出来ません。これに関しては条件を満たすことが出来なければ、絶対に出来ないので注意して下さい」


創造神のひと言ひと言で、周りに緊張感が漂っていた。


「フゥー、みなさんの先輩達について少し話しましょうか。エンフィスに別の世界の人が来るのは初めてではありません。みなさんと同じ世界から来た者はいませんし、こんな人数は初めてです。過去に来た者達は、英雄や国を作り国王に成った者、ダンジョンを踏破して名声とお金を手に入れた者、新しいものを開発した者など成功した者もいれば、奴隷として一生を終えた者、ダンジョンや強大な敵に挑み散っていた者もいます。これから、先みなさんがどうなるかはわからないですが、エンフィスで頑張っていっていだきたいと思っております」


創造神は最後に言って、頭を下げた。


「最後の話しになります。みなさんは今種族が決まっていない為、元の世界の姿ですが、種族が決まると元の世界の年齢に応じて若くなります。15才までの方はそのまま、16〜22才の間の方は15才に、23〜35才の間の方は18才に、36〜50才の間の方は25才に、50才より上の方は30才になります」


周りが一斉にざわつきはじめた。

げんき達3人は全員15才になるということになる。


創造神が手を叩くと

げんきの目の前に辞書のような茶色の本が出てきた。

「今グループに1つ本があると思いますが、メンバー全員本に触れてください」


それぞれのグループのメンバーが、本に触れていく。

メンバー全員が本に触れると、本が少し光って、本の色が茶色から青くなった。


創造神は全て青くなったのを確認してから話しを進めた。


「元の世界での、みなさんの総資産なのですが、【チキュウ】の管理者から全員分の情報が聞いていますので、エンフィスとのお金の価値の差があるため総資産の1000分の1を、この場で使えるポイントに変換して、エンフィスにある物と交換出来るようにしますので、カタログから選び交換してください。このポイントはメンバー全員の総資産が、まとめて本の1ページ目に表示されており、ポイントを使うと1ページ目のポイントも使って分減るので、参考にして下さい。尚、ポイントの詳細は一番最後のページを開くと、個人別に空中に表示されます。また、ポイントがマイナスの場合は、0と表示されますので注意して下さい」


フゥーと息を吐いた、創造神は


「これで説明は終わりです。今から1時間休憩をとります。中央には先程と同じように飲み物と軽食を用意させていただきます。膜も中が一切見えないようになります。膜を出入り出来るのは、クジを引いた代表者だけとなります。1時間後から順番通りにエンフィスに向かって旅立っていただきます。順番は入り口の上の空中に表示しますので、札の番号が表示されましたら、膜が消えますので、入り口の前に集まって下さい。順番までの時間カタログでポイントを使ってものと交換したり、飲食したりなど自由にお過ごし下さい」


創造神は最後まで言い終わると、頭を下げた。









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