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77.檻の中の者たちの末路


中層まで戻ってきたげんきは、連れてきた奴隷たちを楓と椿に預けて、湖の近くにある洞窟に連れて行ってもらった。


2人と別れたげんきは、スライム一家のいる檻の方へ向かった。


「おかえりー」

「おっ⁉︎」


檻の前には、人化しているランと見たことのない男女が、1人ずつ立っていた。


「あれ?どちらさん?」

「あー、わからんか、1番上の子供たちじゃ」

「なるほど!もう人化できるようになったんだ。他のみんなは?」

「リルは、奴隷兵の生き残りのとこで、子供たちは、上から順に吸収しているところなんだが、少し相談があるんだ」

「何?」


ランの相談は、バラバラになっている人の死体を元の状態にくっつけてほしい、ということだった。

吸収する時に、バラバラのままだと、人化した場合にバラバラのパーツを組み合わせたような少し違和感の残ってしまうらしい。


「再生で、元の状態に戻したらいいの?」

「そういうことじゃ」


何をしたらいいのか、わかったげんきは、早速バラバラの死体を集めている帝国のキャンプのあった場所に向かった。


キャンプには、人化したスライムの子供の女の子が1人と、他のスライムが、バラバラになった死体の山の近くにいた。


げんきは、山に近づいていき、人化しているスライムの子供に状況を聞いて、損傷の少ない死体とパーツを集めている死体の山にいき、

再生魔法の発動に、代償に必要になるかもしれないので、損傷の酷いものを近くに移動してもらった。


げんきが、損傷の少ない死体の山に再生魔法の復元を発動させると、予想通りに代償が必要みたいな感じがしたので、損傷の酷い死体の山も魔法陣の範囲を広げて入れた。


損傷の少ない死体の山の方で、半分以上が元に戻ってきたところで、用意していた損傷の酷い死体の山がなくなったので、一度魔法を止めて、スライムの子供たちに元に戻った死体を退けてもらい、次に損傷の酷い

山を代償にして、再度魔法を発動させた。

数回にわたり、再生魔法を発動させて、バラバラの6000人近い人の死体が、綺麗な人の死体1000体になっていった。


スライムの子供たちは、綺麗な死体になったものを上から順に吸収していき、キャンプに集まっていた子供たちの全てが人化できるようになった。


ただ、げんきは、魔法を発動している時にも、子供たちは死体を吸収していて、死体がスライムの身体に覆われて、ゆっくり溶けていく様を見ていた。


元の世界で見たら、すぐに吐くような多少グロい光景だったが、げんきは吐き気を催すことなかった。

げんきは、精神がエンフィスに適応してきたのかな、と考えながら、人化した子供たちとランのいるところに戻っていった。


「おー、みんな人化出来たようだの!助かったぞ」

「大したことしてないよ。あと少し檻の方を頼むよ」

「任せておけ」



真っ暗だった森に、光が差し始めてきたところで、

げんきは、リルのいるところに向かった。


「お疲れ様ー」

「そっちもねー。子供たちの為にありがとうね」

「後ろにいるのが、奴隷兵の生き残り?」

「そうよ。全部で28人。首輪は取ってあるわ」

「28人……」


げんきは、元いた人数から考えたら、少ない人数しかいなくなっていることに、色々思うことがあった。

今更考えてもしょうがない、と思うことにして、奴隷兵28人に対して、先程の奴隷たちと同じ事を説明していった。


こちらも、全員が助けてほしいということだったので、死なないように奴隷紋の設定をいじって、全員を連れて、楓と椿のいる洞窟まで連れて行った。


「これから数日の間、この洞窟の中で、生活してもらって、こちらの準備が出来次第、帝国じゃない国に連れて行くつもりです。みなさんは、洞窟から出ないで、生活して下さい」


げんきは、魔物が出た時用に、洞窟の出入り口に、ダンジョンで手に入れたゴーレムコアを使い、ウッドゴーレムを二体作り出した。


一応、奴隷たちにも、ウッドゴーレムの説明をして、帝国のキャンプから持ってきた食料や鍋などを置いて、大量にあるランプやコンロの魔道具をいくつか渡して、数日洞窟の中で生活できるようにして、勝手に洞窟から出た者は助けない、と奴隷たちに告げて、楓と椿を連れて、洞窟から出て行った。



「ゴーレムって単純なことしか出来ないんだな」

「そりゃ、考える頭がないからしょうがないよ〜」


作り出したウッドゴーレムは、洞窟の近くの木をいくつか切り倒して、ゴーレムコアを木に埋め込んで、《人形創造》で木を融合させて作ったのだが、

五本程度の木で作ったものは、見た目は5メートルくらいのウッドゴーレム

三本程度の木で作ったものは、見た目は3メートルくらいのウッドゴーレム

が出来たのだが、ウッドゴーレムは、木の枝から木の実を取ってなど細かいことを指示しても、動かなくて、木を倒せや穴を掘れなどの単純な指示でしか動かなかった。

なので、外から洞窟に何も入れるな、と指示を出した。


「それで、あの奴隷たちは、どうするの?」

「8人組のいる方が片付き次第、そっちから出て行ってもらうつもりだよ」

「多少の情報をもらった後ででしょ〜?」

「まぁな」


3人で、奴隷たちのことを話しながら、ランたちのいる檻まで戻ってきた。



「そっちは片付いたかい?」

「まぁ、ある程度は片付いたよ」

「そうか。こいつらはどうするんだ?」


げんきは、ランと檻に入れている者たちを見ながら、話しをしていた。


げんきとランが、檻の方を見るだけで、悲鳴や命乞いの声が聞こえてくるが、2人は無視していた。


2人は、檻から少し距離を置いて、楓と椿、リルを加えて、将軍などをどうするか話し合い、全員死んでもらうことは満場一致で決まり、帝国の情報を少しでも欲しい、というげんきたちの意見で、情報をもらい次第殺すことになった。


「おい」


げんきが檻の前で、声をかけただけで、檻の中にいる者たちは、悲鳴をあげていた。


「煩い!お前たちの知っている帝国の情報を全て書け」


げんきが、帝国のキャンプにあった紙束とペン、インクなどが入っている麻袋を檻に入れた。


「貴様に教えることなどない」「穢れた亜人ごときが」「さっさとここから出せ」

など、強気に出てくるものがほとんどで、唯一黙っていたのは、シュバカッハ将軍だった。


「えらく強気みたいだな。それなら、よっと」


げんきは、1番上っぽい服を着ている貴族と先に捕まえていた公爵の2人を檻の中から転移させて、げんきの目の前に出した。


「公爵だったかな?また同じことを繰り返すのか?」

「貴様ーうっ」


公爵がげんきに飛びかかろうと動く前に、公爵の両膝に矢が一本ずつ刺さっていた。


「どうする?」


げんきが、公爵の髪を掴みながら、聞くと、公爵は無言だったが、もう1人の貴族は、震えながら、書きます、と言ってきた。


げんきは、書きますと言ってきたアールス伯爵を新しく作った小さな檻に入れて、紙などを渡した。


「私は国を裏切ったりはせん」


公爵は、戦争で捕虜になった程度の考えをしていて、自分程の位についている者なら、身代金を帝国に要求するのが普通で、帝国なら身代金を払う筈だと思っていた。


「そうか残念だな」


げんきは、つぶやいて、公爵に杖を向けた。


「何のつもりだ!捕虜であるなら、傷つけたら身代金の交渉に差し支えるのがわからんのか!」

「知らないよ」


げんきが、公爵の膝から下を火魔法で、消し炭にした。


「ぎゃー!何のつもりだ!」

「いつおまえが捕虜だと言った!今は戦争じゃないんだよ!わかったらさっさと書け!」

「捕虜じゃないだと、だったらなんだと言うのだ」

「書くのか?書かないのか?さっさと決めろ!次はどっちの腕を消し炭にされたい?」

「……わかった。書く、書かせていただきます」


公爵も伯爵と同じように、新しく小さな檻を作って、放り込んで、1人にして、紙などを渡した。


今までの公爵に対することを見ていた檻の中の者たちは、自分たちが、捕虜に近いものだと思っていたことを思い直していた。

中でも、戦闘能力の低い貴族や貴族の子息たちは、わかりやすく、げんきに媚びて、命乞いをしてきた。


げんきは、鬱陶しいな、と思いながら、情報を書くと言ってきた貴族や貴族の子息たちを公爵や伯爵と同じように、個別の檻に入れて、紙などを渡した。



「おまえたちの目的はなんだ?」

「さぁ?なんだろうね?」


げんきが、貴族どもの片付けが終わった檻に戻ってくると、シュバカッハ将軍が、椿に話しかけていた。


「貴様!将軍閣下が話しかけているというのに、なんて口の利き方だ!恥をし……れ」

「煩い!」


椿は、げんきが貴族たちを個別の檻に入れている間、ずっと罵声を浴びせてきた将軍の側近の一人に対して我慢の限界に来ていて、矢を放ち、その者の頭を貫いて、殺した。


貴様ー、と将軍以外の者たちから声が上がってきて、

椿たちが、武器に手をやるの見ていた将軍が周りを見渡して、黙らせた。


「目的を教えてはくれないだろうか?」

「さぁな?」

「こんなことをしておいて、帝国が黙っているわけ無い」

「で?何?こいつらが助けに来てくれるとでも思ってた?」


げんきは、パンと手を叩いて、六人の死体を檻の前に出した。


「なっ!」


シュバカッハは、驚き過ぎて、固まってしまった。


この六人は、伯爵から聞いて、げんきがマップで見つけた帝国の暗殺部隊に所属している者たちだった。

レベルは、全員100以上で、要人暗殺に関しては、帝国の周辺国家に恐れられている者だった。


げんきが、伯爵から聞いて、すぐに見つけて、ピーチたちに居場所を教えて、倒してきてもらっていた。


「それで、情報を話す気になったか?」

「帝国を裏切るつもりはない!」

「そうか、他の人は?」


げんきの問いにジルフス教に所属している者数名が情報を書くと言ってきたので、個別の檻に入れた。


「残りはどうしましょうか〜」

「軍人らしく、戦って死んでもらおうか」

「軍人らしく、なんて、アイツらにわかるかの」

「うーん、確かに……なら多少の痛みを与えながら死んでもらいますか」

「『賛成ー』」


げんきは、まず将軍を檻から出した。


「なんのつもりだ⁉︎」

「情報を書くつもりないなら、戦ってもらおうと思ってな。俺を殺すか、意識を失わせると、檻は解除されるよ」

「そんなのは、無理なことだな」

「まぁ、将軍が戦わないなら、あんたの部下に変わってもらうだけだ。その時は、イラついて多少手荒になるけどな」

「そういうことか……」


将軍が黙って動かないので、げんきは、将軍の部下を2人檻からランの前に出して、スライムの子どもの2人に足から吸収してもらった。


生きながら溶かされていき、部下の2人は悲鳴をあげて、助けを求めていた。

将軍が助けに動くと同時に、げんきが間に割って入った。


「卑怯な!」

「おまえが動かないからしょうがない」

「貴様ー」


シュバカッハは、近くに落ちていた剣を拾い、げんきに襲いかかった。


それから10分程度げんきとシュバカッハの戦いは続いた。

げんきは、シュバカッハの攻撃を掠ってもおらず、

シュバカッハは、右足と左腕をどちらも無くなっていた。


実際のところ、げんきは、一瞬で倒すことも出来たが、対人の戦闘経験を積む為だけに、10分戦っていた。


「もういいかな」


げんきは、ある程度の対人戦での感触を確かめたところで、シュバカッハの残っている左足と右腕を切り落として、シュバカッハの身体をスライムの子どもの1人に投げた。


シュバカッハは、悲鳴をあげながら、スライムに吸収されはじめた。


「次は私たちがするよ〜」

「おー」


げんきは、何故かやる気に満ち溢れている楓と椿に押される形で、檻を解除させられた。


『皆殺しだー』


檻の解除と同時に、2人は、突っ込んでいき、檻の中にいた者たち全員を一瞬で、切り刻んだ。


げんきは、いつからあんなに過激になったんだ、と思いながら、夢で見たような、紅く染まった2人を見ていた。


げんきは、死体の処理をスライムの子どもたちに任せて、楓と椿、ランの四人で、個別の檻に行き、檻の中から情報の書かれた紙を受け取っていき、わからないところを聞いていき、他の者と違うことを書いてあることを突いていった。


もう用が無くなったので、全員の身ぐるみを剥いで、

げんきがライトニングで、一瞬で殺した。


げんきたちは、スライム一家に協力してもらいながら、中層での、帝国軍の痕跡を消していき、キャンプにあった使えそうなものは、回収して、ボロボロなものはスライムの子どもたちに吸収してもらい、綺麗になったところで、みんなでアエリスのいる湖に戻っていった。


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