46.引っ越しの提案
ピーチを檻からだして、げんきは、ごはん食べる?と聞いてみたら、さっきまでとは違い、げんきの足元まで来て、おすわりしていた。
『不公平だーー』
楓と椿が、ピーチが、さっきまでは、自分たちが、近づいたら唸って、威嚇して来ていたのに、げんきが声をかけたら、そばに寄っていき、ちょこんと座って、ごはんを待っているのを見て、叫んでいた。
げんきは、2人からオーク肉のステーキを受け取って、ピーチの前に置くと、ピーチは、匂いを嗅いでから、食べ始めた。
「いいもん、私のホワイトちゃんも可愛いもん」
ピーチが、げんきから貰ったごはんを食べてるのを見て、椿が拗ねて、ホワイトが擦り寄っていった。
「ピーチ、名前はそれでいいのか?」
「グルルー」
ピーチが、ごはんを食べ終わった後に、げんきはピーチに、名前について、聞いてみた。
げんきは、単純過ぎる名前が気になっていたので、ピーチに聞いて、嫌なら変えてあげようと思っていたが、ピーチと呼ぶと、嬉しそうに走り回るので、このままで行く事にした。
「まだ、会話はできないの?」
『?』
アエリスの発言に、げんきたちは、理解出来ずに、3人とも、首を傾げていた。
「えーと、言ってなかった?テイムした魔物とは、頭の中で会話できるって話しだよ」
げんきたちは、聞いてない、とアエリスに、一斉に言った後に、それぞれの従魔に眼を向けた。
「ピーチ話しできるの?」
(あるじーできるよー)
「うわっ、出来た」
(さっきからずっと答えてたのーあるじは気づいてくれなかったよー)
「そうなんだ、ごめんなピーチ」
(いいよー)
げんきは、アエリスに、色々教えてもらい、自分の中にある従魔のピーチっていうイメージを意識したら、ピーチと会話できるようになった。
楓と椿も、従魔との会話に成功したみたいで、2人とも夢中で話しかけていた。
げんきは、ピーチを撫でながら、一服して、アエリスと、明日の予定を話していた。
「コングまで倒したなら、いっそのこと、明日はあのエリアの魔物を、朝に狩り尽くして、もう一段上のエリアに入る為に、昼からは、テントの場所を移動しない?」
「どういうこと?」
「中層って言っても4つくらいのエリアに分かれてるんだけど、げんきたちは、強さ的には2番目くらいの強さのエリアで、戦っていたんだけど、もう一段上のエリアを狩り場にしてもいいと思うの」
「なるほど、この場所からは遠いの?」
「ここは、上層よりの中層みたいなところだから、狩り場としては、中途半端な場所なのよ。だから、シロの住処があるところなら、中層の4つのエリアのほぼ真ん中だから、いいと思うよ」
げんきは、アエリスの提案の意味が良く分からずに、色々考えを巡らせて、正解に近いものにたどり着いた。
「もしかしてだけど、俺たちが今まで狩り場にしていたところって、狩る魔物が居なくなったりするの?」
「まぁ、そういうことね。多分だけど、後はタヌキの住処を潰したら、一か月くらいは、魔物が居なくなると思うわよ」
「なんで居なくなるの?がら空きの住処を手に入れるチャンスなのに……」
「あのね、エリアの魔物を狩り尽くすような敵がいる場所には、魔物は近づかないのよ」
「あーなるほど……」
その後、プチボアと戯れていた楓と椿にも、明日の朝と場所の移動についても話しをして、明日に備えることになった。
楓と椿は、ルビーとホワイトを連れて、お風呂に入って行った。
「あのさー、気になってたんだけど、ピーチは、プチボア、なんだけど、どういうこと?」
「あーそれは、あの三匹は、生まれたばっかりで、ファレスノに適応してないんだよ」
「あー、なんか聞いたような気がする」
「ピーチたちは、ボアの繁殖じゃなくて、魔力溜り、魔素溜り、って言われる場所から生まれたんだと思うよ。繁殖なら生まれた時からファレスノってついてるはずだから」
「ふーん、そこから生まれたら、珍しい魔物が多くなるの?」
「うーん、それは魔力の集まり具合によると思う。草原みたいな場所は、魔力が集まりにくいから、弱い魔物しか生まれないけど、ここみたいな場所なら、周りの魔物を狩り尽くしたら、魔力が一箇所に集まって、強い魔物が生まれてくるっていうのを聞いたことがあるような気がする」
「もしかしたら、今回のピーチたちは、俺たちが、オークやマンティスを狩り尽くしたから、生まれてきたかもしれないってこと?」
「まぁ、はっきりとはわからんが、可能性はあると思うよ。明日の朝に狩り尽くして、少し待ってみたら、わかるんじゃない?」
「なるほど、明日が楽しみになってきた」
げんきが、明日を楽しみにしだすと、足元でピーチが、げんきの足に体当たりをして、構って構って、っと言ってきたので、頭を撫で始めたら、楓たちがお風呂から上がってきたので、げんきとピーチがお風呂に入ることになったので、解散となり、アエリスは、帰って行った。
げんきは、楓から、ルビーとホワイトがお風呂に、気持ち良さそうに浸かっていた、と聞いたので、ピーチを連れてお風呂に入った。
「お風呂どう?」
(あるじー気持ちいいよー)
「それは良かった」
(ゴシゴシも気持ちよかったー)
「なんでテイムされたの?」
(あの冷たい部屋から出られなくてー冷たいの嫌なのにーあの部屋は冷たいけど嫌じゃなかったのーだから部屋を作ったあるじならいいのー)
「あーなるほど」
(このお風呂ってあったかい水がいっぱいだねー)
げんきは、ピーチはなんでテイムされたのか、気になっていたので聞いてみたら、なんとなくだけど、氷の檻を冷たすぎないように調整したのが、よかったみたいだった。
テイムの謎が解けた後は、ピーチがお風呂で、はしゃいでいるのを見て、癒されてから、お風呂から上がった。
げんきがお風呂から上がった時には、楓と椿は、部屋で、ルビーとホワイトと一緒に寝ていたので、げんきもピーチを連れて、部屋に入って、ピーチのねる場所を作ったが、げんきの布団に潜り込んできたので、そのまま寝ることにした。




