2.創造神
「えーと、私がこの世界エンフィスの創造神です」
3人に注目していた飛行機に乗っていた人たちに時が止まったかのような静寂が訪れていた。
ただ静寂は一瞬だけで、我に返った者達がざわつきはじめた。
げんき達も3人で顔を見合わせたあと、改めて創造神と名乗った女の人や周囲を見ていた。
周りの人たちは、近くにいる者同士何やら話しいた。
少しすると、創造神と名乗った女の人や周りにいる翼や角がある人に話しかける者が出てきていた。
そんな中、げんき達は黙ったまま周りの様子を観察していた。
それから時間にして10分くらいしてくると、声を張り上げる者達も出てきていた。
内容は
エンフィスという馴染みのない世界に対して、
この場所について、
周りにいる者達について、
創造神と名乗った女の人に対して、
飛行機に関することについて、など
飛行機に乗っていた全員が疑問に思ってことを創造神と名乗った女の人に話しかけていた。
友人や家族と話したり、隣にいる者と話したりしていた者も話しをやめて注目していたが返事はなかった。
返事がないことに対して、落胆する者が多い中、罵声を浴びせる者も少なからずいた。
げんきと楓は落ち着いた様子で周囲を観察しながら、耳と目のいい椿に上にいる3人を注意深く観察してもらいながら、お互い感じた事について話しをしていた。
「2人は上にいる3人に対してどう感じた?」
げんきは単刀直入に尋ねた。
「うーん、3人に対してですか……真ん中の女の子よりも両隣にいる2人の方が見た目だけなら神って感じはするかな〜。でも、なんて言っていいかわかんないけど真ん中の女の子の方が神って感じるかな〜」
楓と椿は顔を見合わせてから楓が感じていたことを言った。
椿も楓の感じたことに頷きながら同意していた。
「やっぱり……2人もそう思うよね」
げんきも同様に感じていた。
げんきは改めて上にいる3人を見た。
げんき達から見て
左側にいるのは男の人
見た目は白髭をはやした60過ぎのおじいちゃんで頭にある垂れた犬耳が特徴的
ただおじいちゃんといっても目力は強く、立ち姿もどこか様になっていると感じる。
右側にいるのは女の人
見た目は20代後半の腰の少し上に黒い翼のある美人なお姉さん
美人で胸も大きく、腰はくびれていて、スタイル抜群で着ているのが際どいドレスもというのもあり、男なら誰しも見ると目が離せなくなるような妖艶さがある。
げんきも最初見た時に目を離せなくなっていたところを、楓と椿にど突かれて自分を取り戻した。
げんきと同様に隣の男が目を離せなくなっていることに、気づいた女の人が男を叩く「パン」という音が各所からなっていた事に対しては、げんきも考えないようにしていた。
最後に創造神って名乗った女の人
見た目は15か16歳くらいに見える女の子
右側の女の人と同じような際どいドレスを着ているが胸は小さく、背も150センチくらいで妖艶というよりも頑張って背伸びしておねいちゃんのドレスを着ている女の子と感じてしまう。
でも、どこか神々しい印象を受け、明らかに自分達よりも圧倒的に上位の存在なのだと感じる。
げんきは3人を改めて見てから2人に向き直り、話しをしようとした時
パンという音が響きわたった。
静かになり、皆の注目が集まったところで、創造神って名乗っていた女の子が前に出てきた。
「改めまして、エンフィスの創造神です」
全員が黙り、話しを聞く体勢になった。
「えーと、今からどういう状況か説明していきます。説明は一度しかしませんので、説明を聞く体勢を整えてください」
言い終わると右側の女の人に何かささやかれ、慌てていた。
げんき達は姉妹のなんだかほっこりするやりとりを見ているように感じた。
「私が説明している間は、説明を聞く上で迷惑な話し声や音が聞こえないように、私の声と近くにいる人以外の出す音は聞こえないような措置をとりますので、今から5分待つので、1人で聞くのか、家族や友人と一緒に聞くのか決めて、決めた後は周りの人から少し距離を空けておいて下さい」
創造神は砂時計を出し、これが5分と言い残すと上の扉に入っていった。
創造神が扉に入っていってすぐに、周りはざわつきだして、1人で静かに端に移動する者、家族で集まる者や友人と集まる者などに分かれて、話しを聞く為の場所を確保したりしていた。
中には、友人から離れ1人で聞く体勢になる者や一緒に聞かないかと聞いてまわっている者もいた。
げんき達は3人顔を見合わせて頷きあってから、
今は閉まっている入ってきた扉の前に移動して、扉にもたれかかるように座り体勢を整えた。
途中2組のグループと1人の男が一緒に聞かないかと声を掛けてきたが、どこからどう見ても楓と椿に対して下心があるようにしか見えなかったので、丁重にお断り申し上げた。
断るとすぐに各々離れていった。
げんきは、離れていったところで砂時計が半分以上あるのを確認して、2人に向き直った。
「ふぅー、芸能活動休止して4ヶ月くらいじゃ、活動していた頃と対して変わんないね」
げんきが一仕事終えたって感じで言ったので
『流石、元マネージャー』
と言い、楓と椿は笑いながらげんきの肩を叩いていた。
砂時計は砂が落ちきると消えて無くなった。
消えると同時に扉から創造神が出てきて、その後に男女合わせて100人近くの人が続いて出てきて階段を下りてくると、創造神が前に出てきた。
「では、今から距離を確認して、措置をとります。措置をとると動きに関して制限がつくので注意して下さい」
言い終わると階段を下りてき100人と今まで動きの無かった周りにいた者、合わせて150人くらいが動きだし、1人につき1グループや1人について距離の確認をしていた。
いきなり動きだしたので、少しざわつきはしたが、距離に関してはいくつか移動するだけで終わった。
げんき達のところにはげんきを起こした女の人がついた。
全ての確認が終わると創造神が「パン」と手を合わせた。
すると、げんき達の周りにほとんど透明な膜のようなものが円形にはられた。
「えーと、準備も出来たので、これから説明を開始します」