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135.職業、勇者


朝ごはんを食べ終わった後、

げんきから、マリアとレイラが、覚醒して種族が変わったことが、メンバー全員に伝えられた。


2人は、みんなから祝福されて、夜と同じように、月猫化、月兎化を発動して、頭の一部を変化させて、祝福に応えた。


その後、口外禁止と言った後、

シャルが、錬金創造のスキルを得たことを話して、

げんきが、錬金創造を使うところを見せて、夜にシャルにした説明を聞かせた。


「それは……」

「私たちの種族どころの話ではないですね」

「もはや、鍛治ではないような……」


錬金創造のスキルの反応は、みんな違う言葉を発していたが、みんな驚愕して、錬金創造の恐ろしさを理解していた。


スキルを得たシャルは、げんきたちに恩返しできる、と張り切っているので、スキルを使えるようになる気満々だった。


げんきのギャンブルルーレットがある以上、3年、早ければ1年もあれば、

シャルは、エンフィス最高の鍛治師にすらなれる可能性がある。

というか、可能性ではなく、確実にそうなると思わせるようなシャルの張り切りようだった。



3人の覚醒についての話題が落ち着いてくると、

次は、みんなの特殊の数値と称号について確認を始めた。


げんきが、全員のステータスと称号を眼で確認しながら、自分のステータスと称号を確認するように言えば、げんきたち3人以外は、沈黙して、驚いて、騒がしくなった。


げんきの眼で見ると、

メンバー全員の特殊の数値が1上がっていて、称号には、昨日授けられた鉱石の神の加護(小)が表示されていた。


そして、他にも、昨日から変わったところがあった。


「上手くいったみたいだな」


げんきが、ボソッと呟くと、

騒いでいたメンバーが、静かになり、げんきを見て、説明して欲しい、という目を向けていた。


「みんな、勇者の従者になれたみたいだな」


げんきの言葉に、楓と椿以外のメンバーが頷いた。


げんきは、楓と椿を見て、頷いて、みんなの方を向いた。


昨日から変わったところは、

げんき、楓、椿の3人は、職業と称号に勇者が増えていて、

3人以外には、職業と称号に勇者の従者が増えていた。


勇者、勇者の従者の職業の補正は、全ステータス上昇で、勇者の従者は、勇者と同じエリアにいる必要がある。


称号の勇者と勇者の従者は、

勇者の従者は、職業の勇者の従者が有効化するのに必要で、

勇者は、勇者の従者と同じで、職業の勇者が有効化するのに必要なのと、覇気、というスキルを自動で取得することができて、使用するのに称号の勇者が必要である。


職業の欄の勇者や勇者の従者は、一番最初に決めた職業よりも前に表示されていて、どちらも職業のレベルの限界は無しで、職業の就ける数が減らない。


げんきは、全員が、新しい職業に自動で就けたので、

心の中で、実験は成功、法則はわかった、と喜んで、

この話しをアエリスに教えてあげようと思っていた。


この勇者や勇者の従者の職業と称号についての実験は、げんきとアエリスが発案したもので、楓と椿には話しをしていたが、他のメンバーには伝えていなかった。



この実験の始まりは、げんきたちが、福袋から手に入れた一冊の本から始まっていた。


その本は、エンフィスでは、

人気のある、光の勇者の冒険譚、というタイトルの本で、

昔、貧しい村に生まれて、神から加護を授けられた少年が、仲間を集め、神ダンジョンを攻略して、勇者となり、国を作り、王となるまでの光の勇者の実体験が書かれている本だった。


その本を読み終わって、げんきは、朝のアエリスとの雑談の時に話しをしたら、次の日の朝に、アエリスから2冊の本を渡されて、読むように勧められた。


渡された本は、

光の勇者の従者の1人で、生まれた村から一緒に旅立った光の勇者の友が書いた本と、

後に、攻略する神ダンジョンで、光の勇者と出会った荷物持ちをしていた孤児の少年が書いた本だった。


どちらの本も、光の勇者が王になるまでの事が書かれていて、

2人は、神ダンジョンを攻略して、神の加護を受けた光の勇者が、勇者となった時に、2人も勇者の従者となったと書いてあった。


そして、アエリスが読むように勧めてきた理由もわかった。


光の勇者となる青年は、神ダンジョンを攻略して、職業と称号のどちらにも勇者が表示されていて、

友と荷物持ちの少年も、職業と称号に勇者の従者が表示されていたが、

他にいた仲間達は、称号に勇者の従者と表示されていたが、職業には勇者の従者の表示は無かったのだ。


神ダンジョンを攻略して、すぐは、みんな興奮していて、喜びを感じていたが、

職業に、勇者の従者が無かった仲間の1人は、

生まれた村から一緒に出てきた友が、勇者の従者になるのは許せたが、

共にいた時間が誰よりも短い、神ダンジョンのある街で出会った荷物持ちの少年が勇者の従者になったことが許せなかった。


その事が原因で、苦楽を共にしてきた仲間であった1人は、勇者のパーティーから、離れていって、以降話に登場しなくなった。


げんきは、2冊を読み終わって、アエリスと話しをしたら、アエリスも旅をしている時に、神ダンジョンを攻略して、勇者の称号と職業を得ていて、当時のパーティーメンバー全員が勇者の従者の職業と称号を得たと教えてくれた。


アエリスが、神ダンジョンを攻略した時は、パーティーメンバー全員が職業と称号に勇者の従者を得たのに、

本では、パーティーメンバーの中で、光の勇者と、一番長い間過ごしてきた友と、出会って過ごしてきた時間が仲間の中で一番短い荷物持ちの少年にしか、職業の勇者の従者が得られなかったのだ。


アエリスから、勇者と勇者の従者の効果を聞いて、興味を持ったげんきは、アエリスと話しをして、アエリスの持っている勇者関連の本を借りて、読む事にした。


借りた本を読むと、

神ダンジョンを攻略して、勇者と呼ばれるようになる者がばかりだったが、

神ダンジョンを攻略した事で、称号に勇者を得て、勇者と呼ばれる者がほとんどで、職業に勇者が表示されるようになった者は、圧倒的に数が少ない事がわかった。


知的好奇心が旺盛なアエリスは、げんきと同じように、本を読んで、勇者に興味を持ってしまい、色々調べて、自分で、確かめようと思って、神ダンジョンを攻略したのだが、パーティーメンバー全員が、勇者の従者の職業と称号を得たことと、一緒に攻略した別のパーティーが、称号しか得られなかった事で、ある程度の法則がわかり、自分の考えが正しいと思ったが、

自分には、もう勇者の職業と称号があるので、実験することが出来なかった。


そして、本を読んだげんきは、アエリスと話しをして、神ダンジョンを攻略出来るだけのステータスがあるのと、攻略するつもりだった事もあったので、

アエリスの考えた法則が正しいのかを確かめる為の実験に協力することになった。


今回の実験で、アエリスの考えていた、

ステータスの職業欄に空きがある者には、勇者や勇者の従者の職業を得ることができる、

というのが、正しいとわかった。


そもそも、神ダンジョンを攻略するには、高いステータスが必要になり、その為に、新しい職業に就けるレベルなったら、新しい職業に就いて、職業の補正を受けるのが、当たり前で、

わざわざ、強くなれるのを放置して、弱いまま神ダンジョンの攻略をする者など、エンフィスでは居ないのだ。


なので、職業に勇者や勇者の従者を得る者が圧倒的に少なく、得た者は、神ダンジョン攻略中に、レベルが上がって、新しい職業に就けるようになったが、職業に就ける状況じゃなかったので、職業に勇者や勇者の従者を得ることが出来たのだというアエリスの考えは、正しかった。



げんきは、アエリスに頼まれた実験とは、別の実験もしていた。


マリアたちは、亜神ダンジョン攻略前に、第1の職業に就いて居ないメンバーは、職業を選んでもらい、職業に就いてもらったのだが、

その時、シャルとシャーリーの2人は、上位職と言われている職業がないのを理由に、何の職業にもつかないように言っていたのだ。


げんきたち3人は、福袋から職業を得て、既に職業に就いていたので、

もし、何の職業にも就かずに、神ダンジョンを攻略したら、どうなるのかを確かめたかったのだ。


結果は、2人とも、勇者の従者の職業を得ることになり、職業に就いていなくても勇者の従者の職業を得ることが出来るのはわかったが、

げんきは、もしかしたら、新たな職業になることがあるかもしれない、と少し期待していたのだが、その期待は裏切られることになった。


こっちの実験は、何かあればいいな、的な実験だったので、げんきが、ショックを受けることはなかった。



次は、裏ボスについて、

こちらの話しは、全員が、鉱石の神と会っていたので、話しは、簡単で、通常ボス、レアボスとは別に強いボスがいるという事で、みんな納得してくれて、

条件の100回ボスを倒すというのも、時間が許す限り、ボスの周回をする予定だったので、すんなり、了承された。


これで、今回の神ダンジョン攻略での話しが終わったが、

残念な事が一つあり、レベルが上限で上がらなくなっていたメイド達が、特殊の数値が上がって、レベルの上限も上がったのだが、特殊の数値が上がると同時に、上限になった後に得ていた経験値で、一気にレベルが上がる、なんて事がなかったのだ。


話し合いの後に、メイドを連れて、114階層に戻って、モンスターを狩ったら、レベルが上がったので、

ちゃんとレベルの上限が上がったのを確認して、拠点に戻った。



げんきたちは、今後の方針も決まったので、

お昼ごはんを食べてから、ボスの周回をする事になり、それまで、自由時間を各々楽しんだ。


自由時間の間に、


(あるじー、ボス倒したいー)

(ショコラが倒すよー)

「私たちも、ボスと戦ってみたいです」

「げんき様のお役に立つ為に、ボス如き倒して見せます!」


と、ピーチたちや、マリア、シャルが、ボスと戦ってみたい、と言ってきたので、

お昼ごはんの後、ボスの周回の通常ボスの1発目は、マリアたちとピーチたちが戦ってみることになった。


げんきは、もしかしたら、自分たちやマリアたちなんかに、勇者や勇者の従者の職業がつくかもしれないという考えもあり、許可したのだった。


そして、お昼ごはんを食べ終わって、少し休憩をしてから、げんきたちは、打ち合わせをして、

ボス部屋に入れないセラたちと、護衛として、クルルとマロンを残して、ボス部屋に入っていった。



「勇敢なる諸君!我は鉱石の神!我がダンジョンの最後のボスに挑む者達よ!諸君がダンジョンを攻略出来ることを祈っている!さぁ、最後の戦いの始まりだ!」


ボス部屋に入ると、

前と全く同じ、鉱石の神の声が聞こえて来て、

ボスが出現した。


「ギガントアダマンタイトゴーレム、レベルは451。いけるか?」


げんきの言葉に、ピーチたちは、吠えて、マリアたちは、頷いて、返した。


戦闘開始と同時に、先制攻撃をしたのは、ショコラだ。

正面から接近してくる馬鹿でかいゴーレムに向けて、

ボス部屋に入ってから溜めていたブレスを放った。


真っ黒なブレスは、ギガントアダマンタイトゴーレムに直撃するとみんな思ったが、

直撃する寸前で、ブレスの危険性を感じたギガントアダマンタイトゴーレムは、全力で、ブレスの範囲から逃げ出した。


ギガントアダマンタイトゴーレムは、逃げることには、成功したが、その代償として、右肘から先が無くなっていた。


ショコラの放ったのは、真っ黒な炎のブレスで、火に完全な耐性があっても、ダメージを与えることが出来て、火がついている間、溶かしてしまう、という危険極まりない効果があった。


ブレスの威力は、げんきの爆雷竜の3分の1以下しかないので、ギガントアダマンタイトゴーレムが一撃で倒されることはなかっただろうが、全身溶けてしまい、戦闘にはならなくなっていただろう。

なので、ギガントアダマンタイトゴーレムは、戦闘開始の一撃で戦闘不能になるのは、代償は払ったが、防いでみせた。


ショコラの一撃で戦闘が開始されて、

ピーチたちが、突撃して行き、マリアたちが、その後に続いた。


時間が経つと、

ピーチたちの攻撃は、ギガントアダマンタイトゴーレムにダメージを与えていたのだが、

マリアたちの攻撃は、ギガントアダマンタイトゴーレムの高い防御力と魔法防御に阻まれ、微ダメージしか与えられないとわかり、

ピーチたちの攻撃の補助をマリアたちがするようになると、大勢は決した。


ギガントアダマンタイトゴーレムは、ゴーレムとは思えない素早さで、ピーチたちやマリアたちと相対していたが、

ショコラやピーチに、攻撃されて、身体を徐々に破壊されて、不利になっていっていたのに、

マリアたちが、攻撃から、補助に回ったことで、ダメージはないが、嫌がらせ紛いの攻撃を始めて、

ギガントアダマンタイトゴーレムの動きを鈍らせて、そこに、ピーチたちが、攻撃を畳み掛けた。


ギガントアダマンタイトゴーレムは、何とか、包囲から抜けて、マリアたちの攻撃から逃れようと足掻いて、度々、マリアやチャイ、ミカの盾役に攻撃を仕掛けて、吹き飛ばして、包囲を崩そうとした。


チャイは、一度、ギガントアダマンタイトゴーレムの攻撃を直撃してしまい、HPが6割近く失ってしまったが、レイラの回復とポーションで、直ぐに戦線に復帰していった。


盾役以外のメンバーも攻撃の余波で、ダメージを受けたりしていたが、ポーションで回復したり、クロの回復だったりを受けて、最後まで包囲を崩されることはなかった。


最終的に、戦闘開始から30分で、ギガントアダマンタイトゴーレムは、頭以外全て破壊されて、地面に転がることになり、最後に、ショコラの全力ブレスを浴びて、倒された。


疲れ果てた様子のマリアたちは、宝箱が出現したのを見て、安心して、その場に座り込み、

ピーチたちは、げんきたちのところに行って、勝利の報告をして、撫でられていた。


ある程度、体力が回復したマリアたちは、宝箱の前に行き、マリアが代表して、宝箱を開けていって、

みんなで、騒いでいた。


マリアたちが、一通り、宝箱の中身を確認したら、

みんなで、ボス部屋から出て行った。


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