130.最終階層へ
げんきたちは、朝ごはんを食べて、
110階層のボス部屋に挑むことになった。
110階層の通常ボスは、
レベル340の110階層に出現するモンスターで、
初めは10体、この10体を倒すか、30分経過すると、
追加で20体とレベル350のジェネラルゴーレム2体が出現するようになっている。
ジェネラルゴーレム
ー2メートル程の石のゴーレムで、通常のゴーレムよりも、各種ステータスは低いが、配下を指揮することに秀でているのが特徴である
げんきは、正直なところ、この階層で、属性石を集めたい気持ちもあったが、
レアボスの出現率がわからないので、レアボスの確認を優先することにした。
ボス部屋に挑むメンバーは、セラたちとルビー、ホワイト、クロ以外のメンバーで、
今回は、採掘ポイントが、ボス部屋とは、真逆の位置にある為、セラたちには、テントで、手軽に食べられる物を量産していてもらうことにした。
「それじゃあ、ボス部屋の周回始めようか」
「おー!」×多
げんきの号令で、げんきたちは、ボス部屋に突入して行った。
「一発目は………通常だな」
「では、私達が行きますね」
「おう、みんな無理はするなよ」
「はい!」×マリアたち
打ち合わせていた通りに、通常ボスの一回目は、マリアたちに任せてみることになっていたので、
マリアたちは、10体のモンスターに突撃して行った。
最初の10体は、マリアたちに5分とかからず倒された。
これまでの道中で、マリアたちには、なるべく戦闘経験を積ませてきていたので、
101階層での、油断からモンスターハウスの罠にかかって、焦ったりしなければ、自分たちより100レベル以上高いモンスターでも、安定した戦いが出来るようになっていた。
それでも、追加で出現したジェネラルゴーレム2体と20体のモンスターには、苦戦していた。
ジェネラルゴーレム自体は、大して強くないのだが、配下の各10体ずつが、ジェネラルゴーレムに統率され、鼓舞により強化され、巧みな連携をしてくるので、攻め辛いのだ。
ジェネラルゴーレムを倒せば、配下は、連携をしてきたりしないのだが、
ジェネラルゴーレムもわかっているので、まず、前には出てこない。
マリア、チャイ、ミカの前衛を抜けて、後衛のレイラたちに、何度となくモンスターの突撃が行われたりするので、前と後ろの連携を度々崩されながら、
マリアたちは、アスカ、シャル、ドリィ3人が、コツコツダメージを与えていき、モンスターの数を減らしていった。
ジェネラルゴーレムの指揮するモンスターの数が、各5体まで減ると、
マリアたち前衛が、後ろにモンスターを通すことがなくなり、
アスカたち3人が、ジェネラルゴーレムに突撃して、後衛の援護を受けながら、ジェネラルゴーレムを2体とも倒した。
そうなると、残りは、連携を辞めて、突撃してくるだけのモンスターになったので、マリアたちにあっさり倒された。
結局、マリアたちは、40分と少しかかり、110階層のボスを倒すことが出来た。
マリアたちは、疲れ果てたのか、部屋の中央に白金製の宝箱が出現したのを見て、その場で、倒れこんだ。
「あのクソミミズが居なかったら、もっと早く終わってたのに」
マリアたちは、ワームに対して愚痴りながら、水分を補給して、みんなで、宝箱に向かった。
宝箱は、普通サイズの白金製のもので、中に入っていたものを回収して、げんきたちのところに戻っていった。
ボス部屋から出たげんきたちは、
次のボスからは、げんき、楓、椿の3人か、ピーチたちが相手をすることに決めて、
宝箱の中身を鑑定することにした。
今回の宝箱からは、1つだけ、神級の杖があるだけだった。
大将軍の指揮杖 神級
ー人身掌握、統率付与、鼓舞付与、統率強化、鼓舞強化
人身掌握ー配下に対する命令権が与えられる。命令権は、使用者の能力や配下の想いによって、命令の強制力が変化する。
統率付与、鼓舞付与は、杖の使用者にスキルレベル1の統率と鼓舞のスキルが、付与されて、
統率強化、鼓舞強化は、杖の使用者の統率と鼓舞のスキルレベルをプラス10上げることが出来る。
「何か、独裁者が欲しがりそうな杖だな」
『確かにー』
この杖を、ある程度の強さを持つ皇帝や王などが使えば、強制的に兵を戦わせることが出来るようになりそうだと、げんきは、思っていた。
「まぁ、俺たちには、必要ないもんだな」
げんきは、使うつもりもないし、
マリアたちも、魔法が強化されないので、使用する者が居ないので、マジックバッグの中に入れて、マジックバッグの肥やしになりそうだった。
一通りの鑑定を終えたげんきたちは、ボス部屋の周回に戻った。
げんきは、周回のボス部屋の待ち時間で、近くにいるモンスターを引力球で、集めて、属性石を集めながら、ボス部屋の周回をしていった。
お昼ごはんを食べ、もうすぐ晩ごはんの時間だという、48回目のボスで、レアボスを引き当てた。
キングロックリザード レベル447 R
ー亜竜種。4メートルくらいの岩の鱗で覆われている雄のトカゲ。
クイーンロックリザード レベル442 R
ー亜竜種。3メートル程の岩の鱗で覆われている雌のトカゲ。
110階層のレアボスは、亜神ダンジョンのボスのロックリザードの上位種であるキングとクイーンで、
その2体の周りには、レベル150のロックリザードが、数えるのが嫌になりそうなくらいの数がいた。
「うわー、大量ー」
「正確には、キングとクイーンと300体のロックリザードだな」
「トカゲばっかりだと、可愛くないね〜」
げんきたち3人が、のんびり話していたら、
ロックリザードが、げんきたちに突撃を開始してきて、
キングとクイーンも土魔法や岩を吐き出して、攻撃を開始した。
「さっさと倒すか」
『おー』
げんきの号令で、楓と椿が、押し寄せて来るロックリザードに突っ込んで行き、
げんきが、キングとクイーンの遠距離攻撃をファイヤーボールで迎撃していった。
ロックリザード自体は、亜神ダンジョンの時とステータスも大して変わらないので、2人に蹂躙されていき、瞬く間に数を減らしていった。
そうして、ロックリザードの数が100体以下になったら、後ろにいたキングロックリザードが前に出て来て、クイーンロックリザードは、新たにロックリザードを生成し始めた。
「楓、椿、ストップ!」
2人が、キングロックリザードに攻撃しようとしていたのを、げんきが止めた。
げんきは、新たに生成されたロックリザードの一体を倒すと、属性石1つと魔石がドロップした。
楓と椿が、げんきの元に戻って来ると、
げんきは、キングとクイーンを放置して、辺りのドロップを引き寄せて、2人に説明した。
2人に倒されたロックリザードは、属性石かロックリザードの素材をドロップしていたのだ。
属性石を集めたいげんきは、クイーンロックリザードにロックリザードを生成してもらえば、効率よく属性石を集められると思い、2人に説明した。
クイーンロックリザードは、ジャイアントメタルコッコの様に、ほぼ無限に生み出せるようでは無かったが、MPを消費することで、3人で話をしている間に、500体近くロックリザードを生成していた。
この500体近くのロックリザード生成で、クイーンのMPは、3割近く減っていたが、まだ後二回、合計で、1000体近くのロックリザードを生成できるようだった。
楓と椿が、倒したロックリザードのドロップは、9割が属性石で、残りがロックリザードの素材だったので、げんきは、上手くいけば、1200個近くの属性石が手に入りそうだと、2人に伝えて、キングとクイーンに攻撃しないように頼んで、戦闘を再開した。
げんきは、ドロップした属性石や素材、魔石をマリアたちの前に引力球を出して、集めて回収を頼んだ。
楓と椿の活躍のおかげで、クイーンロックリザードは、ロックリザードの数が減る度に、ロックリザードを生成して、MPが尽きる限界まで、ロックリザードを生成することになった。
クイーンロックリザードのMPが尽きたら、
げんきが、キングロックリザード諸共、水魔法のウェーブを連続で発動させて、倒した。
「おつかれー」
「久しぶりに動いた気ぐするよー」
「どんどん湧いてくるから、面倒だったよ〜」
げんきたち3人は、部屋の中央に出現した金色の宝箱に向かって、のんびり歩いて向かった。
「金の宝箱って、ランク落ちたのかなー?」
「そうじゃないと思うよ〜。多分、オリハルコン製の宝箱なんじゃないかな〜?」
2人は、げんきの方を見て、正解を尋ねた。
「楓の言う通り。あれは、オリハルコン製の宝箱みたいだな」
部屋の中央に出現した宝箱は、
オリハルコン製の大きな宝箱3つ。
げんきたち3人は、マリアたちが属性石や素材などを回収し終わるのを待って、みんなが宝箱の周りに集まってから、宝箱を開けることにした。
このオリハルコン製の宝箱は、神ダンジョンのダンジョンボスを倒した時に、稀に出現すると言われているので、マリアたちは、げんきから、オリハルコン製の宝箱と言われて、口を開けて、固まってしまった。
マリアたちが、復活したところで、げんきは、宝箱を開けていった。
1つ目の宝箱には、白金貨や金貨、宝石が箱の中いっぱいに入っていた。
2つ目の宝箱には、槍1本、盾が1個、それに装飾品が大量に入っていた。
岩蜥蜴王槍 神級
ー土属性、岩石生成、初撃強化、突き強化、分裂、不壊。
岩石生成ーMPを消費して、岩石を生成する。
分裂ー使用者の魔力に反応して、最大4つまで分裂が可能。
守護者の不壊の盾 神級
ー不壊、防御力上昇(特大)、魔法防御(特大)、衝撃吸収(特大)、物理耐性(大)、魔法耐性(大)、状態異常耐性(大)
このどちらも、椿が、所持することになり、自分のマジックバッグに入れた。
一緒に入っていた装飾品は、秘宝級や希少級の物で、装飾が綺麗で、王族や貴族が喜びそうな物で、大した効果もなかったので、げんきのマジックバッグに放り込んだ。
3つ目の宝箱には、魔道具やスキルブックなどが入っていた。
その中には、ユニークスキルブックの鑑定眼が2冊、げんきが欲しいと思っていた魔道具があった。
鑑定絨毯 神級
ー神級までの鑑定ができる。
大きさは、通常の状態なら、一辺5メートルの正方形で、その絨毯の上に置いた物を鑑定することが出来る、鑑定台の上位版だ。
大きさは、最大で、一辺100メートルまで拡大可能。
ただ、大きくすればするほど、魔石の消費量が増えていく。
げんきは、鑑定台だと、神級の物の詳細がわからないので、毎回げんきが鑑定しないといけないのが、正直面倒だったので、鑑定絨毯を錬金創造で、作ろうとしたが、材料が無くて、作れていなかったのだ。
全ての宝箱から中身を取り出したげんきたちは、
110階層に戻って行った。
時間も晩ごはんの時間に近いこともあり、
今日は、110階層に泊まることにして、
げんきは、晩ごはんが出来るまでの時間で、ピーチたちと、108階層までのモンスターを根こそぎ狩り尽くして、属性石を確保した。
げんきたちが、110階層のテントに戻ると、
もう晩ごはんの準備が整っていて、みんな待っていた。
げんきは、みんなから、小言を言われ、いただきます、と言って、晩ごはんをみんなで食べ始めた。
晩ごはんを食べ終わったら、今日も、お風呂の待ち時間の間に、新たに出現した110階層のモンスターを根こそぎ狩り尽くした。
げんきが、お風呂から上がって、テントの外で、タバコを吸っていると、楓と椿が、来たので、少し話した後は、2人と部屋で、楽しんだ。
次の日の朝早くに起きたげんきは、ピーチとショコラ以外が、まだ寝ていたので、
ピーチとショコラを連れて、106階層までのモンスターを根こそぎ狩りに行き、戻って来ると、
みんな起きてきていた。
朝ごはんを食べ終わったら、みんなで、テントを片付け、111階層に向けて、2組に分かれて、ボスに挑み、全員が、111階層に進んだ。
111階層は、これまでよりも倍近く広い階層で、一辺10キロ以上あった。
道も太く、部屋も大きいものが多く、罠も即死系ばかりになっていた。
111〜115階層には、
オリハルコンゴーレムのみが、モンスターとしていて、最低でも6体以上の集団で、行動している。
ドロップは、ここまでの全てのドロップが出現して、上の階層のドロップほどドロップ率が低くなっていた。
「この階層のドロップは、大して魅力が無いから、さっさと115階層まで行くとしよう」
「おー」×多
げんきたちは、階段を目指して進み、途中邪魔なオリハルコンゴーレムだけを倒していった。
そして、2時間と少しで、115階層にたどり着いた。