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123.ゴールドスライム


朝起きたげんきたち一行は、朝ごはんを食べて、2組に分かれて、70階層のボス部屋に入って、71階層に来ていた。


げんきはたちの前には、ポヨンポヨンと跳ねている金色のボールが飛んでいて、

そのボールは、げんきたちを見つけると、一瞬で、反対方向に飛んで行った。


その金色のボールこそ、お金になるゴールドスライムだった。


ゴールドスライム

ー50センチくらいの金で出来てるスライム


防御力と魔法防御の数値が飛び抜けて高く、素早さも高く、ほとんどの魔法ではダメージは与えられない。

ただ、HPは10前後しかない。


ドロップは、砂金、金のインゴット。


「あれが、ゴールドスライムですか……早いですね……」

「そうか?」

「私だと、見えなくはないですが、他のメンバーは、アスカさん以外は、見えないかも知れません」


マリアは、目を輝かせながら、ゴールドスライムが消えていった方を見つめていた。


「今のが、ゴールドスライムだけど、みんな逃げたところ見えた?」


げんきは、後ろを振り返って、マリア以外のメンバーに尋ねた。


「見えたよ」

「私も」

「私もです」

「なんとか、見えました」

「ギリギリ見えた」


見えたのは、返事した順に、アスカ、ミカ、シャル、チャイ、ドリィ。


他のメンバーは、姿は見えたけど、逃げたところは、見えなかったらしい。


「オークション組の前衛とアスカ、ミカは見えて、後衛とセラたちは、見えなかったのか……どうしようか……」


ゴールドスライムの動きを捉えられないと、ゴールドスライム以上の素早さを持つプラチナスライムの動きを捉えられないと言うことなので、げんきは考え込んだ。


げんきは、考えた結果、とりあえず、小さな部屋にゴールドスライムを閉じ込めて、マリアたちの戦闘訓練をすることにした。



マップで、手頃な部屋を見つけて、げんきがゴールドスライムを檻に捕獲して、部屋の出入り口を塞いで、檻を開けて、ゴールドスライムを部屋に閉じ込めた。


「みんなで、倒してみて」


げんきの言葉を聞いて、

マリアたちは、ゴールドスライムに攻撃を仕掛けた。


ゴールドスライムの動きについていけるマリアとアスカは、ゴールドスライムに攻撃を当てることができるが、

他のメンバーは、攻撃を当てることが出来ず、ただゴールドスライムの動きを見ているだけになってしまった。


最初の戦闘は、マリアとアスカ以外攻撃を当てることが出来ず終わり、回数を重ねるごとに、動きを見ることが出来るミカ、シャル、チャイ、ドリィも、何とか攻撃を当てることが出来るようになっていき、

他のメンバーも、段々とゴールドスライムの動きに目が慣れてきて、攻撃を当てることは出来ないが、動きを見ることが出来るようになってきた。


げんきは、引力魔法で、引力球をいくつも作り、マップで周りにいるゴールドスライムを引き寄せて、戦闘訓練の仕上げに、20体のゴールドスライムと戦わせて、全員がゴールドスライムに攻撃を当てることが出来るようになったのを確認した。



「金のインゴットがありますよー」

「砂金もこんなに」


20体のゴールドスライムを倒し終わったマリアたちは、落ちているドロップの砂金と金のインゴット、魔石を拾って、騒いでいた。


「ほら、騒いでないで、行くよ」

「げんき様、この後もゴールドスライムを狩りながら進むのですか?」

「いや、階段までの道中で、近くにいるゴールドスライムは、狩るつもりだけど、どうせ、80階層のボス部屋で周回することになるから、大量に狩るのは、80階層でいいと思うよ」

「了解です」


げんきたち一行は、落ちていたドロップと魔石を全て回収して、80階層に向けて、出発した。




「んー、どうしようか……」


げんきは、74階層に着いたところで、マップを見て、悩んでいた。


「げんくん?」

「どうかしたの〜?」


悩んでいるげんきに、楓と椿が気づいて、声をかけてきた。


「あー、階段までの最短コースに、探索者パーティーが居るんだ」

「最短コースって事は、避けるコースもあるの〜?」

「一応あるけど、かなり遠回りなんだよ」

「それで、悩んでたのかー」

「そうなんだよ。遠回りのコースにゴールドスライム大して居ないし、面倒だと思ってな」


げんきたち3人は、マリアたち他のメンバーも集合させて、どうするか、話し合いを始めた。


探索者パーティーは、全員で23人。


74階層の中で、1番広い、体育館くらいの部屋に陣取っていて、その部屋で、出現するゴールドスライムを狩っているみたいだった。


ご丁寧な事に、その部屋にある出入り口3つ共、ゴールドスライムを逃がさないように塞いでいた。


げんきは、マップで、わかることをみんなに説明して、みんな面倒そうだという意見になり、探索者パーティーを無視して、遠回りのコースで、行く事にした。



げんきたちは、遠回りコースで、階段を目指して進み、げんきの引力球で、近くのゴールドスライムを根こそぎ狩りながら進んだ。


そして、げんきたち一行が探索者パーティーのいる部屋を遠回りで、反対側に着いた頃に、

部屋にいた探索者パーティーが、わざと、モンスターハウスの罠を踏んだ。


探索者パーティーは、その部屋にモンスターハウスの罠があるのがわかっていたようで、わざとモンスターハウスの罠を作動させて、ゴールドスライムを狩るつもりであった。


モンスターハウスの罠で、30体くらいのゴールドスライムが出現した。


だが、ゴールドスライムが出現した瞬間、部屋を塞いでいたストーンウォールが、バラバラに砕けた。


「えっ⁉︎」

「「「えー!!」」」


探索者パーティーは、塞いでいたストーンウォールがバラバラに砕けたことに驚いて、一瞬固まって、声をあげた。


「お、お、おい!早く塞ぎ直せー」

「………」

「ゴールドスライムが逃げて行くぞ!」

「は、はい!」


探索者パーティーのリーダーが、慌てて、魔法使いのメンバーに声をかけたが、

既に、遅く、魔法使いのメンバーが、3つの出入り口を塞ぐまでに、ゴールドスライムは、全て部屋から逃げていた。


「一体何が起こったんだ………」


パーティーのリーダーは、1番稼げるモンスターハウスの罠で、一体も倒せなかったことで、座り込んでしまった。


何が起こったかと言えば、

げんきが、部屋の近くまで来た事で、眼で確認していたら、探索者パーティーが、モンスターハウスの罠を作動させたので、遠回りさせられた八つ当たりで、風の刃を使って、塞いでいたストーンウォール3つをバラバラにしたのだ。


ちなみに、げんきたち一行がいた方に逃げて来た14体のゴールドスライムは、げんきが引力球で引き寄せ、ピーチたちが有り難く、倒して、ドロップと魔石を回収していた。


げんきたちは、笑いながら、先に進んでいった。


その後、げんきたちは、さっきの探索者パーティーがやっていたみたいに、最短コースの近くにあるモンスターハウスの罠を見つけては、わざと作動させて、ゴールドスライムを狩りながら進んだ。



途中の76階層で、探索者パーティーを発見したが、

そのパーティーは、最短コースではなく、階段とは真逆の部屋に陣取っていたので、げんきたちは、無視して、進んでいき、

ついに、80階層に到着した。


「ここは、ゴールドスライムを根こそぎ狩り尽くすぞ!」

「おー!」×多


げんきたちは、先ず、ボス部屋とは、反対に進んで、1つの部屋に陣取ると、

げんきが、引力球で、周囲のゴールドスライム37体を引き寄せた。


「みんな頼んだよ」

「はい!」×多


げんきは、マリアたちに声をかけて、部屋に集めたゴールドスライムを任せると、

ピーチ、ハク、クロ、ショコラを連れて、部屋から出て、ストーンウォールで、部屋の出入り口を塞いだ。


「じゃあ、行こうか」

(わかったー)

(了解です)

(かしこまりました)

(いっぱい倒すよー)


げんきとピーチたちは、部屋よりも奥にいて、引力球で、集め損なったゴールドスライムを狩りに出発した。



「ただいまー」

「おかえりなさいませ」×メイド


げんきとピーチたちが、奥に残っていたゴールドスライムを狩って、部屋に戻ると、

ゴールドスライム37体は倒し終わっていて、マリアたちがドロップと魔石を回収していた。


「げんき様!金のインゴット8本に砂金29個もありました!」

「良かったな」

「はい!」


げんきに話しかけてきたマリアは、またテイムに近づいたと、猫の尻尾をフリフリしていた。


げんきは、マリアの頭を撫でて、ネコミミを揉みながら、やっぱりか、と考えていた。


ゴールドスライムのドロップ率は、普通の人なら、30パーセントと書いてあったが、今まで倒したゴールドスライムは、全て砂金か金のインゴットをドロップしていた。


マリアは、お金になるから、興味無いみたいだけど、普通に考えたら、おかしい事に直ぐに気づくだろう。


ゴールドスライムを倒したマリアたちの運の数値は、1番高いアスカで、214。


ドロップは、運の数値が高いほど、ドロップしやすいとは知っていたが、

げんきが、引力球で引き寄せただけで、直接ダメージを与えていないゴールドスライムも、げんきの限界値999の運の数値が適用されているなら、予想以上のドロップが期待できて、かなりの砂金と金のインゴットが溜まることになるだろうと思っていた。


マリア以外のメンバーは、おかしい事に気づいていたが、げんきたちなら、と思うことにした。



げんきたち一行は、ボス部屋の方に進んでいき、ゴールドスライムを根こそぎ狩り、見つけたモンスターハウスの罠も作動させながら、ボス部屋まであと少しのところまで来た。


「おっ!違う!」


げんきのマップで、ゴールドスライム以外のモンスターの点があったので、

げんきは、楽しみにしながら、その点のモンスターを見たら、通常のゴールドスライムと全く同じ見た目だったが、眼で確認したら、違いがわかった。


ゴールドスライム 亜種 レベル240


ゴールドスライムよりも、素早さが3倍以上高い、素早さ特化型といってもいいモンスターだった。


「あっ!」

「逃すか!」


げんきたちの気配を察知したのか、げんきたちと距離にして、100メートル以上あるのに、ゴールドスライム 亜種は、逃げ出した。


椿が、声を出した瞬間、げんきが引力球を放って、ゴールドスライム亜種を引き寄せて、杖で殴って倒した。


倒されたゴールドスライム亜種は、金のインゴット10本と金製の宝箱1つ、魔石を残して、消えていった。


「マリア!本にゴールドスライム亜種について書いてあった?」


マリアは、本を取り出して、ゴールドスライム亜種について書いてあるか、調べた。


「ありません!」

「ってことは、ゴールドスライム亜種は、レアモンスターか」

「そうだと思います」


げんきは、レアモンスターの宝箱だと、少しワクワクしながら、金製の宝箱を開けた。


宝箱の中には、先端に丸いボールのようなものがついてあるハンマーが入っていた。


「えっ⁉︎えーー!!」


げんきは、その奇妙なハンマーを取り出して、眼で見て、驚いた。


固定特化ハンマー 神級

ー付加は固定ダメージ(特大)のみ。

(このハンマーは、所有者のステータスに関係無く、攻撃を当てると、相手に100のダメージを与える)


げんきは、眼で見て、神級、とわかって、驚いたのだ。


「このハンマー、神級みたい」

『嘘だー』


信じられないといった感じで、奇妙なハンマーを見た楓と椿に、げんきは、紙にハンマーの情報を書いて渡した。


他のメンバーも、神級、と聞いて、

楓と椿にハンマーの情報を書いてある紙を見せてもらっていた。


「どうやら、このハンマーで、殴ったら、ゴールドスライム一発で、倒せるみたいだな」


げんきは、みんなが、紙を見ている間に、固定ダメージについて、ハンマーを眼で深く見ながら、確認した。


「そうなの〜?」

「あぁ、付加の固定ダメージってのが、どんな相手でも、ダメージを100与えるみたいだから、ゴールドスライムみたいな硬いやつでも、このハンマーで一回殴ったら、100のダメージを与えて、HPの低いやつなら、一回の攻撃で倒せるみたい」

「そうなんだ〜」

「私たちには、要らないねー」


楓と椿は、げんきの説明を聞いて、興味を失った。


そういうのも、硬いゴールドスライムとはいえ、

攻撃力のステータスがゴールドスライムの防御力4000オーバーよりかなり高い、げんき、楓、椿の3人と少し高いピーチ、ショコラは、ゴールドスライムを一撃で倒せるので、正直言って、必要ないものだった。


それでも、マリアたちには、かなりの効果があるものには違いないので、近くにいたゴールドスライム一体を、げんきが引力球で引き寄せて、シャルにこのハンマーで、ゴールドスライムを一回殴ってもらって、効果のほどを確かめて、情報通りに一撃でゴールドスライムを倒す事が出来たので、そのまま使ってもらう事にした。



「うふふ、うふふー」


シャルは、上機嫌で、ハンマーを振り回していた。


理由は、簡単だ。


げんきから、げんきが手に入れた固定特化ハンマーを渡されて、頼むな、と言われて、頭を撫でられたからだ。


シャルは、げんきが引力球で、集めたゴールドスライムに突撃して、ハンマーを振り回して、集まっていたゴールドスライムを瞬く間に倒していった。


「すごいな、シャル」

「あっ、ありがとうございます!」


げんき至上主義で、げんきを王子様や神様だと思っているシャルは、げんきに褒められたことで、よりやる気を漲らせていた。


やる気に満ち溢れているシャルが、固定特化ハンマーで、ゴールドスライム相手に無双するので、他のメンバーは、ただ見ているだけになってしまった。



げんきたちは、シャルの活躍もあり、順調に進んで、80階層のボス部屋の前に到着した。


「うーん、11時前か、一回ピーチたち以外で、ボス部屋に挑んでから、お昼ごはんにしようか?」

「そうですね」

「それじゃ、マリア、みんなに、ボスの説明よろしく」

「了解です!」


マリアは、本を取り出して、80階層の通常ボスの説明をみんなにしていった。


80階層の通常ボスは、

レベル250のゴールドスライム30体。


ボス討伐の時間制限があり、1時間以内にボス部屋のゴールドスライム30体を全て討伐しないと、1時間を超えた瞬間、強制的に、一階層の転移陣に転移したしまう。


このレベル250のゴールドスライム30体は、80階層にいるゴールドスライムより全てのステータスが1.2倍ほど高く、逃げるだけで無く、体当たりや土魔法を使用して、攻撃してくる。


そして、このレベル250のゴールドスライムは、ドロップ率が低く、ごく稀にしか、砂金や金のインゴットをドロップしない。


はっきり言ってしまえば、お金の欲しい探索者にとっては、まるで旨味のないボスで、リスクしかないようなものだった。


「………と、まぁ、こんな感じのボスです。みんなわかった?」

「わかりました」×多


マリアの説明をみんな理解したところで、

げんきたちは、ピーチたちを残して、ボス部屋に入っていった。


「通常ボスだな。30分以上かかったら、俺たちも参戦するから、それまで、どれだけ倒せるか楽しみにしてるよ」

「はい!」×多


マリアたちは、一斉に、レベル250のゴールドスライム30体に向かって走り出した。


ゴールドスライムたちも、距離がある内は、土魔法のストーンブレットで、先頭のマリアに攻撃をしていたが、距離が20メートルくらいになった瞬間、逃げ出して、ストーンウォールを発動させ始めた。


マリアたちは、最初の突撃で、ゴールドスライムたちのストーンブレットの威力を体感して、ダメージ的に、1発で、HP1〜3程度のダメージしか食らわないとわかったので、

ゴールドスライムの攻撃は、無視して、全速力で突撃することにした。


マリアたちは、15分ほどで、ゴールドスライム30体を倒すことができた。


多少、素早さが上がっていたが、マリアたち前衛には、見えていて、追いつくことができたので、後衛とセラたちが囮になって、ゴールドスライムの攻撃を受けることで、マリアたちが、ゴールドスライムに全速力で突撃して、シャルが片っ端から固定特化ハンマーで、倒していったのだ。


マリアたちが、部屋の中央に出現した金製の小さな宝箱の中身と魔石を回収して、げんきたちの元に戻って来て、げんきたちは、ボス部屋から出て行った。


「それじゃ、お昼ごはんの準備を頼むな」

『任せてー』

「はい!お任せ下さい」×メイド


げんきは、楓と椿、セラたちにお昼ごはんの準備をしてもらう事にして、マリアたちとピーチたちとお昼ごはんが出来るまで、周回することにして、ボス部屋に入っていった。



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