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121.妖精石


鉱石の神ダンジョンの50階層のボス部屋の前で、お昼ごはんを食べたげんきたちは、休憩しながら、これからの予定を話していた。


「マリア、この後は、どこまで行こうか?」

「そうですね……レベル上げなら、81階層、お金を稼ぐなら、71階層、だと思います」


マリアは、本を見ながら答えた。


「マリアたち的には、81階層が良いかな」

「そうですね。ただ、倒せたらなんですけど……」

「大丈夫だろ。ただ、硬くて、早いだけなら、問題ない」


71〜80階層のモンスターは、


ゴールドスライム

ー50センチくらいの金で出来てるスライム


防御力と魔法防御の数値が飛び抜けて高く、素早さも高く、ほとんどの魔法ではダメージは与えられない。

ただ、HPは10前後しかない。


81〜90階層のモンスターは、


プラチナスライム

ー20センチくらいの白金で出来ているスライム


ゴールドスライム以上の防御力、魔法防御で、素早さは、ゴールドスライムの2倍以上、HPは30固定。

魔法に関しては、ダメージ無効。

武器による攻撃も、打撃系以外無効。

しかも、攻撃力が、1500以上ないと、ダメージは与えられないと言われている。

という、モンスターである。


ただ、どちらのスライムも、人を見ると、逃げ出す習性があるので、戦わなくてもいい。


でも、71〜80階層のゴールドスライムのドロップは、砂金、金のインゴットで、

ドロップ率は、通常の人の場合30パーセントくらいと言われていて、

倒して、ドロップした砂金や金のインゴットを売ればお金になる。


81〜90階層のプラチナスライムは、

ドロップは、オリハルコンの欠片、オリハルコン鉱石。


こちらのドロップも売ればお金になるが、

プラチナスライムはドロップを得るというよりも、倒す事に意味があるモンスター。


プラチナスライムを倒すと、

同レベルのモンスターと比べると、5倍以上の経験値を獲得することが出来て、パーティーで、分割してもレベルを上げ易い。


と本に書かれていた。


「では、81階層に向かいましょう。71〜80階層で、ゴールドスライムを多少倒して、オークションの足しにしましょう」


オークションで、テイムのスキルブックを手に入れたいマリアは、実は少しでも多くのお金を欲していたので、

自分のレベル上げより、お金が欲しいので、ゴールドスライムを倒して、げんきからの褒賞の金額を上げて欲しい、とげんきに71〜80階層にも寄りたいと目と言葉で伝えた。


「わかった。プラチナスライムを倒す予行演習として、ゴールドスライムも倒すことにしよう。ドロップは、ちゃんとみんなで分割しろよ」

「やったー!これで、またテイムに近づくー!」


げんきは、マリアの想いを組んであげることにした。


マリアは、げんきの言葉を聞いて、はしゃいでいて、周りから、微笑ましい視線を受けているのに気づいて、落ち着いた。



げんきたちは、休憩を終えて、攻略を再開することにして、

セラたちが、片付けをして、

他のメンバーは、ルビー、ホワイト、ハクに鞍を装備したりして、準備を整えた。


「50階層の通常ボスは、レベル160のこれまでのモンスターがランダムで30体。レアボスは、ゴールドゴーレム10体。どっちでも、ショコラとクロに任せるよ」

(やったー)

(任せて下さい)


げんきは、みんなが、ルビーたちに乗ったのを確認して、ボス部屋の扉を開いた。


「それじゃ、セラたちは、ちょっと待ってて」


げんきは、ホワイトに乗ってるセラたちに声をかけて、セラたち以外とボス部屋に入っていった。


「おっ!レアだ」


ゴールドゴーレム レベル200 R


げんきたちは、レアボスのゴールドゴーレム10体を引き当て、早速、ショコラとクロが突撃していった。


ゴールドゴーレムは、クロの雷魔法と氷魔法で、動きを封じられて、ショコラのブレスで、まとめて、倒された。


げんきは、倒して戻って来たショコラとクロを褒めて、撫でてあげ、部屋の中央に出てきた銀製の大きな宝箱3つの中身を回収した。


「みんな、51階層の転移陣に登録して待っててくれ」

「はーい」×多


げんきとピーチ以外のメンバーは、現れた階段を下りて行った。


げんきとピーチは、楓たちが階段を下りて行って、3分くらい経って、ボス部屋の扉から、セラたちが待っている扉の前に戻った。


げんきが、神ダンジョンに来る前に気にしていた4パーティーで、ボス部屋に入れないことについては、10回層のボス部屋で、試していた。


ボスを倒して、階段が出現して、階段を下りる前にボス部屋の扉を開けると、階段は無くなって下りられなかったが、

先に階段を下りて、次の階層に進むと階段は無くなり、ボス部屋に残っていた者は、ボス部屋の扉から、ボス部屋の前に戻ることが出来た。


ただし、先に階段を下りても、次の階層に着く前に、ボス部屋の扉を開けると、階段を下りていたメンバーは、ボス部屋に転移で戻って来ることもわかった。


なので、げんきは、ボス部屋の階段が無くなったのを確認して、ピーチと扉を開けて、セラたちの待っているボス部屋の前に戻った。


「お待たせ」


げんきは、セラたちに声をかけて、ボス部屋の待機時間をピーチと遊んで過ごし、ボス部屋の扉が開くようになったら、ホワイトに乗っているセラたちとボス部屋に入っていった。


今回もレアボスのゴールドゴーレム10体だったが、

げんきがファイヤーボールを大量に打ち込んで、出現と同時に倒した。


げんきたちは、すぐドロップ、魔石、3つの銀製の大きな宝箱の中身を回収して、楓たちの待つ51階層へ向かった。



げんきたちが、51階層に着くと、

楓たちは、転移陣の登録を済ませて、近くに居たモンスターと戦っていた。


51〜60階層のモンスターは、


メタルドール

ー2メートルくらいの金属で出来ている騎士の人形


ドロップは、ミスリル鉱石、ミスリルのインゴット。


げんきたちは、楓たちの戦闘を見ながら、転移陣の登録を済ませた。


「みんな、転移陣の登録は終わった?」


楓たちも、セラたちも、ピーチたちも頷いていた。


「よし!なら、出発しよう!」

「おー」×多


楓たちのおー、と言う声に遅れて、ピーチたちもそれぞれ、吠えた。


げんきたち一行は、順調に進んで行き、56階層で、32階層以来の探索者のパーティーが、げんきのマップに表示された。


そのパーティーは、合計16人。

56階層の階段とは真逆の広めの場所に居た。


げんきが気になって、ダンジョンギルドで買った56階層の地図を見ると、

探索者達がいる場所は、鉱石を採掘出来るポイントが3箇所あり、モンスターが生まれない安全地帯になっている、と書かれていた。


階段にしか興味が無いげんきたちは、そのまま階段を目指して進んで行った。



げんきたち一行は、大した障害も無く、60階層のボス部屋の前にたどり着いた。


「このボス部屋からは、全部レアボスを確認するから、そのつもりで、よろしく」


げんきの言葉に、マリアは、ピクッとネコミミを反応させていた。


「ついでに、マリアとセラたちの戦闘訓練も60階層のボスでやるから、そのつもりで、よろしく」


げんきは、マリアたちとセラたちが、ルビーやホワイトから降りて、準備を始めたので、

ピーチたちに、ボス部屋の近くで、狩りをして来ていいよ、と言って、送り出した。


ピーチたちを見送って、マリアたちとセラたちの戦闘準備が出来たので、

げんきは、ボス部屋の扉を開けた。


「通常ボスだな。みんなで、頑張ってみて」


60階層の通常ボスは、メタルドールライダー2体。


メタルドールライダー レベル190

ーメタルドールが金属で出来ている1メートル50センチくらいの馬に乗っている。


メタルドールのステータスの2倍以上のステータスで、中でも素早さは3倍以上の数値がある。


メタルドールと馬は、一体化してはいなくて、分かれることが可能。

ただし、馬は、メタルドールが生きている間は倒しても時間が経つと復活する。

馬に乗っていないメタルドールライダーは、素早さの数値が、半分になる。



「ミカ、チャイ、一体の動きを止めて!もう一体は、私が受け持つ!イリーとエリーは、ミカとチャイが動きを止めた一体を魔法で動けなくして!残りは、動けなくなった一体に総攻撃!」

「了解!」×多


マリアの号令で、戦闘は開始された。


マリア、ミカ、チャイが、一斉に飛び出して行き、

予定通り、マリアが一体、ミカとチャイで、残りの一体と対峙した。


最初は、メタルドールライダーの早さについて行けず、マリアたち3人の前衛が抜かれて、中衛にいたセラたちに被害が出ていたが、

戦闘開始から、5分くらいで、マリアたち3人が、メタルドールライダーの早さに慣れて、

チャイが、メタルドールライダーの突進を力技で、真正面から受け止め、動きを止めた。


その隙にイリーとエリーが、樹魔法で、チャイの止めたメタルドールライダーの動きを封じた。


動きの止まった一体に、マリアとミカ以外のメンバーで、総攻撃をして、

マリアとミカは、残りの一体を2人で、押さえ込んで、総攻撃に邪魔が入らないようにした。


マリアとミカのおかげで、総攻撃は邪魔が入らず、2分くらいで、一体のメタルドールライダーを倒すことが出来て、

もう一体も、全員で、動きを止めて、イリーとエリーが動きを封じると、

こちらは、2分かからず、倒すことが出来た。



「疲れたーー!」


ボスを倒したマリアたちは、みんな疲れて、その場座り込んだ。


「なんだ、楽勝じゃないか。戦ってなかったから、もうちょっと苦戦するかと思ってたよ」

「げんき様、今の私たちを見て、楽勝だったと思ってるんですか?どう見ても、疲れ果ててるでしょ」


げんきの言葉に、マリアが反応した。


「最初の方で、セラたちが、飛ばされて来たこと以外は、問題なかったように見えたけど?」

「一体抑えるまで、大変だったんです!あんなに早いとは、思ってなかったんです!」

「まぁ、被害らしいものも無いし、この後、ボスの周回の時は、3回に1回くらいのペースで、マリアたちの戦闘訓練をしような」

「はーい」×多


マリアたちは、座りながら、げんきの言葉に手を振って応えた。


シャルが、出現した普通サイズの銀製の宝箱の中身を回収して、

げんきたちは、ボス部屋の前に戻った。


その後、げんきたちは、4回ボス部屋に入って、全て通常ボスのメタルドールライダー2体だった。



「げんき様!」


6回目のボス部屋に入ると、

マリアが、げんきの名を呼んだ。


「ん?数が増えただけか」


げんきは、マリアが指差している方を見ると、

メタルドールライダーが三体いた。


「それもそうですが、1番後ろのメタルドールライダーは、剣装備です!レアボスじゃないでしょうか?」


げんきは、マリアに言われて、1番後ろのメタルドールライダーに目をやると、

たしかに、剣と盾を持っていた。


今までのメタルドールライダーは、全て槍を武器として使っていた。


でも、ダンジョンギルドで買った本には、メタルドールライダーの数は、2、3体で、武器は、剣と槍と書かれていた。


それでも、一応、げんきは眼で確認することにした。


「ビンゴだ!」


メタルドールナイト レベル190 R

ーメタルドールライダーと全く同じ外見だが、ナイトの方が全てのステータスが1.2倍程高い。


「レアボスだ!3体共、メタルドールライダーじゃなくて、メタルドールナイトってモンスターだ!」

「見た目同じだよ〜?」

「違うのは、剣と槍だけだよー?」

「そうなんだけど、別のモンスターみたい」


どうやら、見た目が全く同じで、武器が変わっていたりするだけなので、ダンジョンギルドでは、メタルドールナイトは、レアボスと認識されていなかったようだ。


げんきは、メタルドールナイトの説明をしながら、ファイヤーボールを連発して、3体のメタルドールナイトを倒した。


げんきからメタルドールナイトだと言われたみんなは、見た目が全く同じなので、まだ完全に信じてはいなかったが、

中央に出現した普通サイズの金製の宝箱を見て、やっと信じ始めた。


そして、宝箱の横にドロップした剣をマジックバッグで、名前を確認して、メタルドールナイトの剣、と出て、完全に信じた。


げんきたちは、レアボスも確認出来たので、61階層に行く事にして、げんき以外が61階層への階段を下りて行った。


げんきは、階段が消えたのを確認して、ピーチたちを迎えに行き、

60階層のボスを倒して、待っていた楓たちと合流した。



「お待たせ」

「げんくん、この階層は、どうする?」

「妖精石欲しいから、多少、モンスター倒したいかな。それに、せっかく象皮の盾みんなに配ったんだし」


61〜70階層のモンスターは、

メタルトレント

ー3メートルくらいの金属で出来ている目と口のある木。

ドロップは、妖精石。


「了解ー。みんなー、61〜70階層は、ドロップ欲しいから、モンスターを倒しながら行くよー」


椿の号令で、マリアたちとセラたちは、装備を整え始めて、ピーチたちもルビーたちの鞍を外していた。


妖精石

ー製錬することで、妖精結晶と呼ばれる魔法の触媒となる物が作れる。

ただし、1つの妖精結晶を精錬するのに必要な妖精石は100個以上と言われている。


妖精石は、属性魔法の10の属性の内1つの属性を持っていて、製錬する時は、同じ属性の妖精石を使わないと妖精結晶にはならない。


妖精結晶は、剣など、直接攻撃する武器だと効果はほとんどないが、

杖に付けると、妖精結晶の属性と同じ魔法を使う時に、サイズや純度によって、発動短縮や詠唱省略など、様々な恩恵を受けることが出来る。


魔法使いにとって、妖精結晶の付いた杖というのは、

一種のステータスであり、実力とお金の象徴である。


妖精石は、リースのお店に寄った時に、多少買っていたが、製錬出来るほどの量ではなかったので、まだそのままの状態で、マジックバッグに眠っていた。


と、まぁ、そんな理由で、61〜70階層は、歩きで、メタルトレントを倒しながら進んだ。


道中は、メタルトレントは、全く動かず、近づいてきた敵を攻撃するタイプのモンスターで、近づいてくると、葉のような金属の礫を飛ばして来て、枝の部分を伸ばして攻撃してきた。


何より、メタルトレントは、5〜10体が固まっているので、近づいた時の金属の礫の数は、前を覆うようなものだった。


げんきたち3人、ピーチたちは、金属の礫では、一切ダメージを負わないが、

マリアたちやセラたちは、前衛後衛共に少ないながら、ダメージを負って、じわじわとHPを減らして、回復して、メタルトレントに接近して、倒していった。


途中で、マリアたち最大の防御力5000以上のチャイが、げんきに、デカイ盾を二つ欲しい、と頼み、げんきが、鉱石の亜神ダンジョンで、手に入れたオリハルコン製の大楯を二つ渡した。


チャイは、受け取った大楯を両手に持って、1番先頭に立ち、そのサイドをマリアとミカが固めて、メタルトレントに接近していった。


この作戦が、マリアたちには、良かった。


チャイは、金属の礫でのダメージが1〜3で、HPは4000以上あるので、多少の礫では死ななくて、

金属の枝もサイドのマリアとミカが守っていたので、チャイまで届かず、

中衛で待機していた直接攻撃をするアスカやシャル、ドリィなどには、たまに礫が飛んでくる程度で、楽に接近出来たので、打撃が致命的な弱点のメタルトレントを余裕を持って倒すことが出来た。


ピーチたちも、ずっとみんなを運んでいたルビーとホワイトが、先頭で、礫など構わず突進して行き、メタルトレントを弾き飛ばして、直撃を食らって生きている個体は、クロとハクにとどめを刺されていた。


ピーチとショコラも、マロンとクルルをお供に、メタルトレントに突進して、弾き飛ばして、倒していた。


げんきたち一行が、70階層のボス部屋に着いた時には、げんきは、集まった妖精石に、ニヤニヤが止まらなかった。



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