11.棚からぼたもち⁉︎
がっちり握手をした2人は、無言で頷きあっていた。
げんきは椿に、賭の女神は樹の女神に、同時に頭を叩かれ、手を離した。
「情報収集はいいの?」
「うっ………」
椿に正論言われ、げんきは何も返せなかかった。
「情報収集が終わったら話しましょう」
「もちろんだ」
げんきが、賭の女神に言うと、賭の女神もげんきに頷きながら返事をした。
その光景を目の前で見せられた3人は、コイツらはダメ、だと思っていた。
げんきは気持ちを切り替えて、情報収集しようとしていると
犬耳おじいちゃんが3人の女の子を連れて近づいてきた。
3人は大きなサイズの台車を押していた。
女の子達は台車を絨毯の手前に置くと、戻っていった。
「私は、獣の神じゃ!これは創造神様の悩みに力を貸してくれたお礼じゃ」
言い終わると、台車から樽を4つ取り出して、水の女神と賭のか女神に2つずつ放り投げた。
水の女神も賭の女神も、慌てることなく、キャッチしていた。
樹の女神は、立ち上がって台車まで行くと、台車から料理の入ったでかい皿を6枚取り出して、げんき達のところまで運ぶと、集まっている中央に次々と並べていった。
獣の神も加わり、6人で、料理を囲んで座った。
げんきと椿は、獣の神と挨拶をした。
獣の神のおじいちゃんは、金髪美女と妖艶なお姉さんに説明されて、こっちに来たそうだ。
げんきはお皿に載ってたクレープもどきを食べ終えて、情報収集を開始した。
「水の女神が魔物やモンスターを倒して、レベルを上げた方がステータス的にいい、って言ってたのは、どう言うことなの?あと、特殊の数値をあげる条件についても、お願いします」
そう言って、げんきは頭を下げた。
げんきは楓と椿を命をかけないといけない、危険な魔物やモンスターとの戦闘は、なるべく避けて、少しずつレベルを上げていくのも、効率が悪くなっても、1つの手だと考えていた。
神と女神たちは、お互い顔を見合わせて、質問には樹の女神が代表で答え、残りで細かな補足をしていくことを決めた。
「まずは、魔物とモンスターの違いから話していきましょう。その方が説明しやすいですから」
「お願いします」
げんきと椿はいちよう紙と羽ペン、インクを近くにあった木箱の上に出した。
2人が用意終わるのを、待って説明をはじめた。
「大雑把に言ってしまえば、ダンジョンに出てくるのがモンスター、ダンジョン以外で出てくるのが魔物になります。………」
樹の女神の説明に、横から何回か補足が入りわかったことは、
モンスターも魔物は同じ生物である
モンスターを倒すと、モンスターは消えて、魔石と、運が良ければドロップ品が手に入る
魔物を倒すと、魔物の死体は消えずに残り、解体すれば、魔石や魔物の素材が手に入る
モンスターはダンジョンにより、強化され、同じ魔物よりも能力が高い傾向がある
魔物はいる場所によって、場所に適応するために、元が同じ種類でも場所によって、名前や能力に違いがある
魔物は上位種に進化するが、モンスターはほとんど進化しない
という感じだった。
「……どまぁ、違いはこんなもんです。安定して狩りをしたいので、あればダンジョンの方がオススメではあります」
「なるほど!ありがとうございます」
げんきは礼を言うと、楓にも伝える為に、紙に要点をまとめたのだった。
げんきは紙に書き終わると、樽からつがれた果実水を飲んだ。
樹の女神は、げんきが書き終わると、説明を再開した。
「魔物やモンスターを倒して、レベルを上げる方がステータス的にいいっていうのは……」
この説明にも、横から何回か補足が入ったが、
げんき達の為になる大事な話しだった。
魔物やモンスターを倒すと、レベルアップに必要な経験値以外にも、
ステータス経験値なるものが獲得できるらしい
ステータス経験値は
次のレベルに上がるまでに、倒した魔物やモンスターから少しずつ溜まっていき、
レベルアップすると、溜まっていたステータス経験値が消費され、レベルアップであがる数値に消費されたステータス経験値分プラスで数値が高くなる
補足され追加でわかったこと
ステータス経験値はレベルがあがると、リセットされる
ステータス経験値はステータスには、表示されない
ステータス経験値は魔物やモンスターを倒して、獲得できるが、必ずしも1匹で数値が1プラスされるわけじゃない
レベルアップ時に、プラスになる経験値が溜まっていなければプラスされない
ステータス経験値は、同じ魔物やモンスターでも、何のステータスにステータス経験値が溜まるかわからない
自分よりも高いレベルの敵を倒す方がステータス経験値は多くなる
パーティーを組んでいる場合はレベルの合計によって判断される
パーティーの場合、レベルアップに必要な経験値は分割されるが、ステータス経験値は分割されない
「……こんな感じだね。なんか質問ある?」
「どれくらいのプラスになるんですか?」
「うーん、そうだねー……極端な話しだけど、ずっと格上を倒してレベルアップした人と魔物を倒さずレベルアップする人、どちらも同じレベルから次のレベルに上がる時、合計で最低30以上は差がつくんじゃないかな」
「そんなに……」
「命を賭けてるか賭けてないとの差だね」
げんきは樹の女神の極端な例を教えられて、唖然としていた時に、賭の女神の追撃で、そりゃそうだ、と安全に生きてるだけ同じだけ数値が上がれば、魔物やモンスターを倒す人は少なくなるだろうと思った。
げんきは少し休憩と言い、紙に要点をまとめていった。
途中、まとめについて樹の女神相談しながら書いていった。
椿は獣の神のおじいちゃんと2人で話していた。
おじいちゃんが孫を見るような目で、椿を見て、途中からは立って、椿が色んな元の世界の格闘術を披露しながら、2人で話し込んでいた。
水の女神と賭の女神は、エールを飲みながらおつまみを食べて、談笑していた。
それぞれが2人の世界に入っていったので、
げんきも樹の女神と2人で話しを続けていくのであった。
特殊の数値を高くする条件は単純だった
神の管理するダンジョンを踏破すること
1つの職業を極めて、特殊な職業に就くこと
の2つだけだった。
単純だけど困難な事だと、教えてもらった。
げんきがダンジョンについて、樹の女神に聞くと、みんなが話しに加わってきた。
ダンジョンは
それぞれの神が直接管理している神ダンジョン
その神の眷属が管理している眷属ダンジョン
それぞれの神の力が少しだけ流れている派生ダンジョン
の神1柱に3種類のダンジョンがあるそうだ。
上から順に難易度が高くなっていて、下から初級、中級、上級と大雑把に分けれるそうだ。
ただ、エンフィスでは、上から
神ダンジョン、亜神ダンジョン、派生ダンジョン
と呼ばれているそうなので、注意しろと言われた。
亜神と派生ダンジョンは、全て階段を下りて、攻略していくタイプのダンジョンだそうだ。
神ダンジョンは、
上や下に攻略していく階層型のダンジョン
フィールド全体がダンジョンになっていて、中央を目指すフィールド型のダンジョン
上の2つ以外に該当する特殊タイプのダンジョン
があるそうだ。
神と亜神ダンジョンはそれぞれの神の力が色濃く出ており、内部や強さ、難易度はバラバラで、しっかり準備する必要があると言われた。
全ての派生ダンジョンは
10階層でできており、
出てくるモンスターは種類が決まっており、ドロップするものも同じ
10層のボス部屋にいるモンスターだけが、他の派生ダンジョンとは違い、それぞれ神の力の影響を受けたモンスターが出てくる
となっているそうで、まずは派生ダンジョンでレベル上げするのが一般的だそうだ。
ダンジョンについて、一通り説明が終わると、6人で一息ついて、それぞれが飲み物や食べ物に手を伸ばした。
げんきはダンジョンについて、紙に書きながら、内容や場所について聞いたが、教える事は出来ない、と言われたが、
未だに踏破されていない未攻略の神ダンジョンは、ゆっくり成長しており、中を変化させる事が出来ると教えてもらった。
げんきが紙にまとめ終わると
「椿ちゃんやい、好きな動物やなりたい動物はいるかの?」
おじいちゃんが椿に話し掛けた。
「うーん……狼かな!オオカミって響きもいい」
椿は少し考えて返事をした。
「そうかそうか」
獣の神は孫に甘いおじいちゃんの顔になりながら、頷いてた。
2人のほんわかした空気の中
げんきは聞きたい情報は集まったと判断して、
賭の女神の横に移動して、座った。
賭の女神もげんきが横にきたのに気づいて、げんきの耳元で、2人で話せる場所にいこ、と囁いた。
椿達は移動していくげんき達を呆れたように見送っていた。
げんきは移動しているときに砂時計を見たが
まだ砂は三分の一も減っておらず、100分くらいはあるだろうと予想し、話し込んでも大丈夫だと思った。
げんきと賭の女神は反対の角に移動して、賭の女神が黒い膜を張ると
げんきは見たことない部屋に移動していた。
部屋の中は
真ん中にキングサイズはあるような黒のベット
その周りには、スロットマシンやルーレット、トランプが散乱している机など
があり、
賭の女神がベットに座って、私の部屋、と言った。
げんきは固まっていたが、賭の女神に腕を引っ張っられて、ベットに倒れ込んだ。
げんきはすぐに身体を起こして、賭の女神の方を見て唖然とした。
いつの間にか、賭の女神が着替えをしていた。
元々が半裸だったのに、今は全裸にスケスケのキャミソールのようなものだけになっていた。
げんきが固まっていると、賭の女神はげんきのすぐ隣まで近づいて、改めてげんきをベットに押し倒すと話しかけた。
「私とも取引しない」
賭の女神は自分の脚をげんきの脚に絡め、豊満な胸をげんきの腕に押し付けて、腕をげんきの服に潜り込ませて、耳元でいやらしく囁いた。
「………取引?」
状況が理解出来ず、固まっていたげんきはなんとか言葉を絞り出した。
「そう、トリヒキ」
賭の女神はより強く胸を押し付けながら、さっきよりいやらしく囁いた。
「………」
げんきはギャンブルの話、特にスロットの話がしたかったのに、何故こうなった、と心の中で叫んでいた。
げんきが無言だったので、賭の女神も一気に畳み掛けることにした。
賭けの女神は、着ていたものを脱ぎ捨て、げんきの上に覆い被さり、脚は先程より強く絡め、豊満な胸はげんきの胸元に押し付けて、げんきの着ていたシャツの中に手を入れて服を脱がそうとし、ほっぺたをくっ付けるようにして、耳元で囁いた。
「わたしじゃ不満ですか?」
いやらしく囁きながら、手をげんきのズボンへと下ろしいき、フフッと微笑んだ。
げんきも男だ、21才、色々盛んな年頃だ
誰もが振り向くような美女で、抜群のプロポーションをしている女性
に迫られたら、今の状況でも色々反応してしまうのはしょうがない事だった。
そう、げんきは思い込むことにした。
結局なんでこうなったかわからないが、棚からぼたもち的なことだろうと考えるのをやめた。
「取引の内容は?」
げんきは、顔を賭の女神の方を向けて、顔を赤くしながら聞いた。
「元の世界の知識!ギャンブル、賭けごとの知識を教えてほしいの!対価は私の身体で払うわ!」
賭の女神は、今までで一番強い口調で答えた。
げんきは対価を聞いて、唾を飲み込んだ。
げんきは部屋の周りにあったものを思い出し、なんとかなるかも、と考えていたが、頭の中は賭の女神の身体のことでいっぱいだった。
「もしかしたら、女神様の為にならないかもしれませんよ?」
「それでもいいのよ」
げんきは対価に見合わないかもしれない、と言ったが、構わない、と言って、賭の女神は、空中に1枚の紙を取り出した。
先程、創造神が取り出した紙と同じものだった。
「これは神契約の書かれた紙よ。神契約は結ぶ契約がお互いにとって対等であると判断されると、内容が書かれた紙が出てきて、契約を結ぶ者がサインをすると、契約完了となるわ。1度神契約を結ぶと契約が完了するまで、神であろうと、破棄できない。つまり契約を結ぶと必ず強制的に実行されるの!」
紙の説明をしながらサインした賭の女神は、紙をげんきに渡してきた。
内容は
げんきは元の世界のギャンブルや賭けごとの知識を教える
げんきが知識を教え終わると、
げんきは賭の女神の身体を時間が許す限り、自由にしていい
またこの時間、賭の女神は積極的に奉仕をする
と紙に書かれていた。
げんきは賭の女神の迫力に負けながらも、賭の女神の身体の誘惑に負けて、ゲンキとサインした。
げんきがサインすると紙は消えた。
「ありがとう」
賭の女神は、そう言ってげんきの口にキスしてきた。
「あとで今まで体験したことのない体験をさせてあげる」
と賭の女神は、げんきの耳元で囁いた。
「もっと時間があれば………」
げんきがボソッとつぶやいた。
「全くしょうがない男の子だ」
賭の女神は、げんきに1度微笑んで、身体を起こして、手を振ると、部屋全体が波打ち、ベットの周りに赤い膜のようなものが現れた。
げんきが驚いて、身体を起すと、
「この中の時間は外の50分の1くらいのゆっくりな時の流れになるように結界を張ってあげたよ。結界の中なら後50時間くらい過ごせるよ。ここまでしてあげたんだからどっちも期待してるよ」
げんきはドキッとしたが、ここまでされたら期待に応えたいと思った。
「まず、知識だけどどういう類いのものがいい?」
「全部!もってる知識全て」
げんきは賭の女神のがっつきっぷりに驚いた。
「どうして知識が欲しいのか教えてほしいんだけど?」
漠然と全てと言われても対応に困ったげんきは、まず何故がっついているのかの確認からはじめた。
「うーん………神のダンジョンについてはさっき話したよね。神は必ずダンジョンを管理している。場所や内容は知らないものには話せない」
賭の女神は少し考えながら、なんとかげんきに伝えようと、教えられないことに触れないように、言葉を選びながら話した。
げんきは賭の女神の話す様子と、言い終わると他に喋らないことで、
今の言葉の中にヒントがあるはずだと、頭をフル回転させた。
ヒントはすぐに見つかった。
賭の女神もダンジョンを管理しているのだろう、
だが場所はわからないし、内容もわからない。
内容を知らないと内容について話せない。
10分くらいの間2人は黙ったままだった。
げんきは周りを見回して、とりあえず間違っていても話して、正解を探していこうと決めた。
「賭の女神様もダンジョンを管理している」
賭の女神は微動だにせず、げんきを見つめていた。
「まだ足りないですよね。賭の神ダンジョンはカジノのようなダンジョンですよね」
賭の女神は少しも反応しなかった。
「やっぱりですか……こうも予想通りだと、この後も少し不安ですが………賭の神ダンジョンは特殊に属するダンジョンで、内容はスロットマシン、ルーレット、トランプを使ったもの、多分ポーカーかな、サイコロの出目に賭けるもの、後は人とモンスターが戦ったりして、勝敗に賭けたりするものなんじゃないですか?」
げんきの話しを聞き終わると、賭の女神はげんきに抱きついた。
「うん!げんきの予想通りだよ!」
「よかったー!これでダメなら頭抱えてるとこだよ」
「フフフ……」
賭の女神が微笑みながら、話してくれたのは
賭の神ダンジョンでは、
カジノをやっていて、奥に進むほど、難易度が高くなり、レートも高くなっていく
賭の女神とその眷属で新しいギャンブルを考えては、ダンジョンの成長に合わせ、考えた新しいギャンブルを増やすが、人は寄り付ず、次の成長で破棄している
なので、ここ700〜800年の間、同じ事の繰り返しが続いて、賭の女神も眷属もなかば諦めている
その話しを聞いて、げんきは頭を抱えたが、なんとかしてあげたい、と思った。
考え事をする時に、タバコを吸う事が多いげんきは、
その事を賭の女神に伝え
1度部屋から飛んでもらい、椿達がいる場所まで戻り、
マジックバッグ特大にしまってあった樹の女神オススメのタバコが入った筒を5つ取り出して、
筒の中身を全てキーケースタイプの収納ケースに入れ、マッチ箱を手で掴めるだけ掴んで、創造神にもらったマジックバッグにどちらも入れて、最後に灰皿を取り出してからマジックバッグ特大を閉めた。
その場にいた椿達は
流れるように用意していくげんきをただ黙って見ていた。
げんきはマジックバッグに必要な物を入れると、1度砂時計に目をやり、ほとんど変わっていない事を確認していた。
げんき用意と確認が終わると
賭の女神のいる膜に急いで戻っていった。




