117.鉱石の亜神ダンジョン攻略
「みんな、お疲れ様ー」
げんき、楓、椿が、ピーチたちを出迎えて、
みんなを褒めて、撫でて、あげていた。
「あのー、げんき様、ピーチちゃんたちって、このダンジョンに来る前からあんなに強かったのですか?」
「そうだよ。ショコラ、マロン、クルルが居ない時に、一応、ピーチたちだけで、亜神ダンジョン攻略出来るくらいには、強かったかな」
マリアたちは、従魔だけで、亜神ダンジョン攻略って何?となっていたが、
アスカとミカは、そう言えば、げんきに聞いたと思い出して、改めて、本当だったんだ、と思った。
げんきたちは、固まっているマリアたちを連れて、ボス部屋の前に戻った。
「ピーチたちは、余裕だったね。次からは、ピーチたちは、ボス部屋の近くで、遊んでていいよ」
(あるじー、ピーチたちお留守番ー?)
「そうだねー。いや?」
(うーん、たまにボスと戦いたいよー)
「なら、マリアたちが、休憩の時は、一緒にボス部屋に入ろうか」
(あるじー、ありがとー)
「いいよ。階段の近くには、罠がいっぱいあるから、遊ぶなら、ボス部屋の近くでね」
(わかったー)
げんきは、楓と椿にマリアたちを任せて、セラたちを呼びに拠点にしている場所に向かった。
げんきが、セラたちを連れて、ボス部屋の前に戻ったら、マリアたちが、普通に戻って、会議していた。
「前衛3人で、攻撃を止められたなら、私たちが耐えている間に、他で、集中攻撃を頼む。ただ、最初は、どんな攻撃が来るか、前衛3人で、耐えられるか、の確認をするから、みんなは、火力抑えめにしてくれ」
「了解!」
マリアたちの会議が、終わると、
げんきは、ピーチたちに、手を振って、マリアたちとセラたちを連れて、ボス部屋に入って行った。
「通常ボスだな。マリアたち、頑張って」
「はい!」×マリアたち
通常ボスのロックリザードだったので、げんきは、マリアに伝えて、マリアたちを送り出した。
「セラたちは、見学な。自分なら、どう戦うか、考えて、見ると良いよ」
「はい!」×セラたち
げんきが、セラたちと話しをしていたら、
マリアが、げんきたちに向かって、飛んできた。
ドーン、バン、バン、ガシャ、
マリアは、げんきたちの前で、地面に落ちて、3回バウンドして、げんきたちから逸れて、閉まったボス部屋の扉に当たって、止まった。
「あー、マリア、気を失ってるな」
げんきの眼では、マリアは、HPが20減って、状態が気絶になっていた。
マリアは、レベル125になっていて、HPは、3500以上あるので、ダメージとしては、大したことないけど、気を失っていた。
そして、チャイとミカも、同じように吹き飛ばされて来て、チャイは麻痺して、ミカは気を失っていた。
「3人とも、状態異常のブレスをまともに食らったみたいだな」
「げんくん、どうする?」
椿に聞かれて、げんきが、前衛が居なくなったパーティーを見たら、軽くパニックになりながら、必死に攻撃を避けていたが、みんな、少しずつ、攻撃を受けて、ダメージを負っていた。
「こっちまで、3人を助けに来れそうにないから、椿、倒して来てくれ」
「いいの?」
「いいよ」
「了解ー」
椿が、ロックリザードに突撃して行き、巨大剣で、ロックリザードをバラバラにして、倒した。
「げんくん、良かったの〜?」
「ん?あー、このままだと、3人が自然に回復するの待ちになるから、時間の無駄だろ。その時間で、話し合う方が良いさ」
椿が、宝箱の中身を回収して、残りのメンバーを連れて戻って来たので、
げんきたちは、ボス部屋の前に戻った。
「お恥ずかしいところをお見せして、申し訳ありませんでした!」
げんきが、ボス部屋の前に戻って、マリアたちを回復して、マリアに状況を説明したら、
マリアは、げんきに頭を下げた。
「いや、別に構わないよ。それで、どうしてこうなったの?」
「それは、その……ロックリザードの白いブレスを受けたところまでしか、わからないです」
マリアは、自分が覚えていることを話した。
「そうだよな。なら、何でブレスを受けたの?」
「それは、ロックリザードの強さを知る為です。3人で、攻撃を受け止められるのか、どうかの確認です」
「そうだな。相手の情報を集めるのは、いい事だと思う。それで、どうなった?」
「3人が、状態異常になって、吹き飛ばされました」
「その後は?」
「前衛3人が居なくなって、椿様が、ロックリザードを倒されました」
「うーん、違うよ。3人が居なくなって、他のメンバーが、軽くパニックになって、3人を回復する余裕がなくて、攻撃も避けきれずに、ダメージを負い始めたから、椿がロックリザードを倒したんだ」
話しを聞いていたメンバーもマリアも、ハッとなっていた。
「誰かが、レイラ様とか回復できる者が、私たち3人を回復しに来ていたら……」
「まぁ、3人が、戦線に復帰出来ていたら、俺たちは、手を出さなかったかな。3人が、いっぺんに居なくなった時の戦い方の未熟さだね。後は、今までなら、3人が居なくなっても、すぐに戻って来ていたから、少し耐えたら良かったけど、今回は、状態異常で戻れなかったから、みんな焦って、軽くパニックになって、普通なら避けられる攻撃を受けていたんだと思うよ」
げんきの話しを聞いて、みんな顔を下に向けてしまった。
「みんな、落ち込まなくていいよ。今回の事で、みんななら、ロックリザードを倒せると確信したんだから」
げんきは、慌てて、下を向いたメンバーに話しかけた。
「どういうことですか?」
「簡単な話しだよ。マリアたちが吹き飛ばされてきた時に、受けていたダメージは、20。マリアなら、何回受けられる?」
「えーと、150回くらいなら、大丈夫です。でも、状態異常になりますよ?」
「マリアが、攻撃を受けられても、私では、状態異常を回復出来ません」
どこか申し訳なさそうなレイラが、げんきに頭を下げながら、話に入ってきた。
「レイラ、何の為に、ポーション渡してると思ってるの?」
「でも、貰った状態異常が回復するポーションは、1本金貨2枚はする貴重なものですよ。それを使うなんて……」
「いや、いや、使ってくれていいから。貴重なものでも、使わないと意味ないから」
「でも……」
「あのね、レイラ。ロックリザードを倒したら、元は取れるし、みんなだけで、亜神ダンジョン攻略なんだよ」
うー、とレイラは、何も言えなくなった。
「それに、マリアが、状態異常のブレスを受けなければ、状態異常にならなくないか?」
「げんき様!それだと、盾役としては、失格です」
「マリア、何で失格なの?避けたらいい。今まで、ずっと、前衛は攻撃を受けて、後ろに被害が出ないようにしてたけど、後衛も避けたらいい。これで、問題なくなるよ。前衛だから、盾役だから、そんなこと言ってたら、また、同じことの繰り返しだよ」
「それは……」
「良い機会だと思ったらいい。今まで上手くいっていたから、余計に、同じ戦術を使うんだ。同じ戦術でダメなら、新しい戦術を考えればいいだけだよ。相手に合わせて、戦術を変えるなんて、良くあることだよ」
「はい!」
マリアたちは、全員で、集まって、話し合いを始めた。
「げんくん、優しいね〜」
「本当だよー」
「うるせー、どこが優しいんだよ!」
『みんなを励ますところだよー』
げんきは、楓と椿にからかわれだして、逃げるように、マリアたちに、ボス部屋に入って来ると伝えて、セラたちを呼んで、楓たちにいじられながら、ボス部屋に入っていった。
その後、お昼ごはんの時間まで、マリアたちは、真剣に話し合っていたので、げんきたちは、ボス部屋の周回をしていた。
お昼ごはんを食べ終わって、
マリアたちが、新しい戦術を試すとのことで、ボス部屋に入った。
「あっ、レアボスだな」
オリハルコンゴーレム レベル250
5メートルくらいのオリハルコン製のゴーレム。
60階層のレアボスは、レベル250のオリハルコンゴーレム8体だった。
「これは、俺たちが倒すよ」
「は、はい……」
気合いを入れていたマリアたちだったが、レアボスだと無理だと、げんきたちに任せた。
「楓、椿、久しぶりに3人で、やろうか?」
『オッケー』
「なら、3人で、同時にサンダーボルトでいい?」
楓と椿が、頷いたのを見て、げんきも頷いた。
「カウントダウン、3、2、1、ゴー」
げんきのカウントダウンで、3人が、一斉に、雷魔法レベル30で覚えられるサンダーボルトを発動させた。
その瞬間、ゆっくり近づいてきていたオリハルコンゴーレム8体の上から、雷が雨のように降り注いだ。
明らかに過剰な攻撃で、オリハルコンゴーレムは、全て、何も出来ずに消えていった。
残ったのは、遅れてきた轟音と、金製の普通サイズの宝箱4つとドロップと魔石だった。
「みんな、驚いているみたいだけど、どうかした?」
マリアたちやセラたちは、顎が外れたのかと思うくらい口を開けて、固まっていた。
げんきが、いくら声をかけても反応がなかった。
げんきは、楓と椿にみんなを任せて、宝箱の中身とドロップ、魔石を回収しに向かって、
物の確認は、後でしよう、とさっさと回収して、みんなとボス部屋を出た。
「さっきのは、一体何!」
ボス部屋から出たげんきたちは、みんなから、一斉に話しかけられた。
「何と言われても、サンダーボルトだけど?」
「サンダーボルト……」
「雷魔法の最上位の魔法じゃないですか!」
アリソンだけが、サンダーボルトについて知っていた。
「最上位ってわけではないよ。ただ、スキルレベル30で覚えられるってだけだよ」
「いや、いや、スキルレベル30で覚えられるって、スキルレベル30になるまで、どれだけ大変かわかっていますか?それを3人とも使っていませんでしたか?」
「3人とも使ったよ」
「3人とも、レベル30なんて、どうやったら、そんなことになるのですか⁉︎」
「修行したからだな。みんなもその内、スキルレベル30になるよ」
げんきが軽い感じで、スキルレベル30になると言われて、みんな、苦笑いしていた。
次にボス部屋に入れるようになるまで、
げんきたちは、それぞれ質問に答えていき、
げんきは、マリアにオリハルコンゴーレムの情報を教えていった。
「おっ、ロックリザードだ。新しい戦術、楽しみにしてる」
「はい!先程の件は、よろしくお願いします」
「わかってるよ」
「ありがとうございます。では、行って参ります」
先程の件とは、マリアとレイラから、新しい戦術を試すので、最初から上手くはいかない可能性があるので、戦う9人の内3人が、状態異常などで、戦闘継続が出来なくなったら、げんきたちが、介入して欲しい、と頼まれていた。
まだ、状態異常回復ポーションを使うことに対して、躊躇しているメンバーがほとんどで、新しい戦術で、倒せそうになるまでは、支出は最低限にするべき、と言われて、げんきもそのことを気にしすぎでは、戦闘に支障が出ては、しょうがないと頼みを聞くことにした。
まず、マリアたちは、前衛の3人の内、マリアとミカが、ロックリザードの正面に行き、2人の距離を開けて、前衛3人がいっぺんに状態異常にならないことに重きを置いて、とりあえず、全員が回避するのを目標にして、戦闘を始めた。
何事も最初から上手くはいかないもんで、
マリアたちは、すぐに、状態異常にかかっていき、げんきたちが介入することになった。
原因は、前の戦い方が身体に染み付いてるから。
前の戦い方に引っ張られて、身体の動きが、一歩どころか二歩、三歩も遅く、状態異常のブレスを受けてしまっていた。
それから、回数を重ねるごとに、前衛3人は、状態異常のブレスが来ると、避けられるようになり、更に回数を重ねて、10回目になると、後衛もブレスを避けられるようになった。
その後、避けながら、攻撃をしていって、ここでも、特に後衛は、今まで、動きながら、攻撃、魔法の詠唱をしていなかったので、慣れないことをして、焦って、上手く避けられず、ロックリザードの攻撃を食らう、状態異常のブレスを受けて、麻痺や気絶、毒、睡眠になってしまっていた。
そして、マリアたちが、新しい戦術に手ごたえを感じ始めて、マリアたちがボスに挑むこと18回目で、
ロックリザードの攻略をすることに決まった。
「みんな、今回で、ロックリザード倒すよ!ポーション類も解禁!私たちだけで、この亜神ダンジョンを攻略するぞー!」
「おー!」
マリアの号令で、みんな雄叫びを上げて、一斉に、ロックリザードに向かっていった。
主に、前の戦術と変わったことは、
後衛のレイラとアリソンが、ロックリザードの動きを見て、どんな攻撃が来るか、みんなに伝えて、攻撃にあった動きをとる。
他にも、チャイは、両手に盾を持って、守りを重視した感じになり、後衛と一緒に動いて、完全に後衛の盾になっていたり、
もし、前衛の誰かが状態異常になったら、メンバー内最速のアスカが、後衛からの指示を受けて、回復させに行ったりしていた。
マリアたちは、マリアとミカが、交互にロックリザードの正面に行き、注意を引いて、状態異常になれば、すぐにアスカが回復させて、戦闘を継続していった。
戦闘開始から、100分が過ぎた頃、
マリアたちは、終始安定した戦いをして、ロックリザードを倒すことに成功した。
「やってやったー!」
「おー!」
「私たちだけで、亜神ダンジョン攻略だー!」
「おー!」
マリアたちは、ロックリザードを倒せて、全員がテンションがおかしくなっていて、みんな座るか横になっているのに、雄叫びを上げていた。
「「「みんな、おめでとー!」」」
げんきたち3人は、ロックリザードを倒したみんなを祝福した。
「本当に、私たちが貰ってもいいのですか?」
「良いもの何も、みんなで、勝ち取った宝箱なんだから、みんなのものだよ」
げんきたちは、マリアたちに、出現した宝箱の中身とドロップ、魔石を好きにしていいと言った。
「ほら、マリアちゃん、みんな待ってるよ〜」
「ほら、早くー」
マリアは、一緒に戦ったメンバーを見て、メンバーを代表して、金製の小さな宝箱を開けた。
宝箱の中には、
ロックリザードの素材、金貨500の入った袋、ロックリザードの素材を使った武器や防具、サイズ大の土魔石、鉱石関係の本4冊、鉱石の採掘ポイントがわかる魔道具、麻痺の耐性が上がるブレスレット、
が入っていた。
みんな、マリアが1つずつ取り出すものを見て、目を輝かせていた。
宝箱の中身などを全て回収したげんきたちは、ボス部屋の外に出た。
マリアたちは、効果のわからないものをげんきに聞いたりして、部屋を出てからもはしゃいでいた。
「マリアたちの目標は、とりあえず達成した。このまま、家に帰るのもいいけど、せっかくだから、晩ごはんの時間まで、ボス部屋の周回するよ」
げんきの言葉に、マリアたちは、またー、と言っていたが、
げんきたちが、倒すのと、周回は、ピーチたちとセラたちを連れて行くと聞いて、喜んでいた。
「だから、みんなは、のんびり休憩してていいよ」
「はーい」
マリアたちが、納得したところで、
シャルが、自分は、げんきたちの周回に同行したい、と言って来たので、問題ないので、了承した。
げんきたちは、ピーチたちをよんで、セラたちを連れて、周回を開始した。
周回は、げんきたちかピーチたちが、ボスを倒すので、順調に進んで、いい時間になってきたところで、合計5回目のレアボスを引き当て、
ピーチたちが、倒したいと言うので、ピーチたちにレアボスを任せた。
最初は、多少苦戦していたが、2体目のオリハルコンゴーレムを倒すと、その後の6体は、あっさり倒した。
「よし、家に帰るよ」
レアボスを倒し終わって、ボス部屋の前に戻ったげんきは、のんびり寛いでいたマリアたちに、家に帰ると声をかけた。
げんきたちは、みんな、帰る準備を始めて、
げんきも、ルビーとホワイトに鞍を着けたりしていた。
みんなの準備が出来たら、ボス部屋の周りを綺麗になったのを確認して、
みんな、来た時と同じように、ルビーたちに乗り込んで、帰途に着いた。