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9.創造神の悩み


げんきは緑のお姉さんの指示通りに、一言も発する事無く、膜の中に入っていった。


「待ち侘びて………えっ……げんき私を売ったのか?」


水の女神はげんきを両手を広げ出迎えたが、いきなり現れた緑のお姉さんに驚き、顔を青くして、げんきに問いかけた。


「そんな訳ないでしょ!貴女の眷属が私のとこに来たのよ!誰かさんがエール欲しがってる!ってね」

緑のお姉さんが水の女神に強く言った。


げんきはやっぱり女神じゃん!と思ったが、何も言わなかった。

楓と椿は突然現れた緑のお姉さんに驚き、げんきを見たが、何も返ってごず、成り行きを見守っていた。


「このお馬鹿!今の状況で何でエールが必要なのかしら?」

「いや、その………」

緑のお姉さんの追求で、水の女神はガクッと頭を下げた。


縋るように水の女神が緑のお姉さんを見ていると、緑のお姉さんが水の女神に何か耳打ちした。

すると、水の女神は静かに頷き、頷いたのを見た緑のお姉さんが勝ち誇ったように微笑んだ。


げんき達は黙って一連の流れを見ていた。


「少しこのお馬鹿とお話ししないといけませんので、みなさんは何かしていて下さい」

緑のお姉さんはそう言うと、水の女神の腕を掴んで、端の方に拉致していった。


3人は緑のお姉さんに同時に頷き、黙ったまま水の女神をみおくった。


『あれだれ?』

楓と椿はげんきに詰め寄った。

「今はそっとしておいた方が身の為だ」

2人は一瞬問い詰めようかと、考えたがげんきが、無言で顔を左右に振っているのを見て、諦めた。


2人は、げんきに肉類を交換したのを伝えて、今は自分達のものを選んでいるところだと伝えた。


楓も椿も身の回りのものや服などを次々と交換していき、自分のものを入れる為に交換した色違いの鞄や袋に入れて、マジックバッグ特大に放り込んでいた。

2人はすでに2万ポイント近く共に使った。


楓と椿は交換したものにチェックを入れていき、残り1万ポイントをどうするか、2人で紙を見ながら相談し始めた。


げんきはいつも買い物に付き合わされると、時間がかかるのに、今回は早すぎるだろ、とかさっきまでの光景を見て、思いはしたが、何とか言葉にするのを止まった。


げんきは2人が相談しているので、自分の身の回りのものなどを交換していった。

げんきが2人と違う色の袋に交換したものを入れて、マジックバッグ特大に入れていたら、ニコニコした緑のお姉さんと下を向いた水の女神が戻ってきた。


「ちゃんと約束は守ってあげますよ」

げんきの横を通り過ぎる時に、緑のお姉さんが耳元で囁いた。


げんきは少し顔を赤くしてが、すぐにカタログのある所に戻った。


「みなさん、わかっているとは思いますが、私は樹の女神です」

3人は、そうですよねー、という顔をして、3人で顔を見あった。


3人は樹の女神と、一通り挨拶を終えると

げんきは樹の女神と今まで交換したものについて話し

楓と椿は相談に戻った


水の女神は嬉しそうにエールを飲みながらおつまみを食べていた。


「エンフィスにあるタバコについて聞きたいんですが?」

カタログの2ページ目にタバコの項目を表示してから、樹の女神に問いかけた。


樹の女神は細かいところまで説明してくれた。


10個ある大陸の内、タバコを生産している5つの大陸でそれぞれ違う種類を生産している

タバコ自体中流以上の家庭以外には手が出しにくい高いもの

同じタバコでも、良いものを集めて作る高級品と良いもの以外で作られる品がある

タバコ自体大きな街や港町くらいでしか売られていない

タバコ特有の匂いもない

タバコ自体はエンフィスでは自身や周りに一切害はない


タバコを吸うげんきは、樹の女神の説明を食い入るように聞いていた。


げんきは自身で入り用なものが思いつかないため、自分が使えるポイントの残りを全部使おうと決めた。


紙を見て、使ったポイントを計算すると、残りは、大体24,000p


カタログで開いてあるタバコのページを見ると、タバコに銘柄などないため、全てタバコと表示されており、見にくいことこの上なかった。


げんきは一番上の高級タバコ100本ー100pを交換してみた。

木箱の上に丸い筒のようなものが現れた。

手にとって上のフタを開けると、げんきの知っているタバコが大量に詰まっていた。

筒自体大きくはないが持ち運ぶのは微妙な大きさで、ポケットに入れて持ち運びたいげんきは、はぁー、と溜息をついた。


そんな様子見て、樹の女神が助け船を出した。

「外でタバコを吸う人はみんな収納ケース持ってるわよ」

目を輝かせたげんきは、ありがとう、というとカタログで収納ケースの項目を表示した。


げんきは樹の女神と相談しながら、キーケース位の大きさの収納ケースの魔道具と名刺入れサイズの収納ケースを選んで、キーケースー1500p、名刺入れー1800pで交換した。


キーケースタイプはタバコなら1000本は入り、名刺入れタイプもタバコなら同じくらいの入ると、教えてもらったので、即決した。


げんきはタバコの項目ではなく、灰皿5つとマッチ10万本を選んで、灰皿5つー100p、マッチ10万本ー100pで交換した。


馬鹿みたいなマッチ箱がいきなり現れ、楓と椿が苦笑いして、げんきの代わりに空の袋に入れておいた。


げんきはタバコの項目を開き、残りの2万ポイントをどうやって、全部タバコに変える考え、カタログしか目に入っていなかった。


5つの大陸のタバコは量が多くなる程商人におろす価格になる為か、げんきは、高級なものを大量に交換する事に決めた。

高級タバコ1万本ー3,000p

をそれぞれの大陸の高級タバコを交換した。

計15,000p


残りのポイント5.000pは

1つの島でしか作られていないと教えてもらったタバコにすることした。

このタバコは樹の女神が吸っているタバコで高級なものと一般的なものに分かれていないそうだ。

タバコ1万本ー1,000p

を5セット交換した。


改めて、げんきが前を向くと

木箱が10個転がっており、楓と椿がジト目でげんきを見ていた。

げんきは苦笑いしながら、木箱をマジックバッグ特大に入れ、灰皿1つとマッチ10箱以外もマジックバッグ特大に入れた。


楓と椿がカタログを見るそうなので、げんきはタバコ100本の入った筒と灰皿、マッチ箱を持って、膜の外に出た。

数字は45、46まで進んでいた。


樹の女神が姿を隠して、後について来て、げんきの横に座った。

樹の女神は透明な膜を張って姿を見せた。


げんきは驚いて、苦笑いした。

げんきはタバコを吸いながら、

樹の女神が、げんきが水の女神のことを神、だと気づいた経緯など聞いてきたので、その時の様子を話していた。


樹の女神はげんきの話しを聞き終わると、げんきにありがとうと微笑んで、ニヤニヤしながら水の女神がいる方へ戻っていった。


げんきが、また水の女神がドナドナされていくんだろうなぁー、と思っていると


「あのー隣いいですか?」


げんきはいきなり声を掛けられた。


声を掛けてきたのは、

露出度の高い服を着ているお姉さんだった。


「……どうぞ」

げんきは少し考えて返事をした。


「それってタバコですよね?」

「……はい」

「1本いただけませんか?」

そう言われ、げんきは灰皿を上に置いていた筒の中から10本くらい掴んで、出すと1本とマッチ箱を渡した。


「ありがとうございます」

「いえいえ」

お姉さんはお礼を言うと、タバコに火をつけた。


お姉さんは24才のキャバ嬢だそうで、キャバクラの友人、お客さんと巻き込まれて、今は友人と2人でグループを組んでいる、そうだ。


ポイントでタバコを交換した事など話し、2人の番号が51で、渦の上に表示されると友人のいるところに、マジックバッグや小さい鞄を取りに行き、友人と2人で、げんきのところに戻ってきた。

げんきは友人に1本どうですか?と言いながら、数字の表示されているところまでついていった。


げんきはお姉さんに惹かれた訳ではなく、渦のところがどうなっているか、興味があったので、これ幸いとついていったのだった。


げんきはお姉さんとお姉さんの友人に、タバコを20本ずつ渡した。渦が出来るところを見届けて、見送ろうとしていたら、お姉さんが、ありがとう、と言いながらげんきの頬にキスして、渦の中に入っていった。


げんきは顔赤くしながら、楓と椿の元に戻ると、2人は不貞腐れていた。


げんきは5分近く、2人の満足して機嫌が良くなるまで、居た堪れない空気の中、2人の説教を正座して聞いていた。


落ち着いた楓と椿は、自分達1万ポイントは交換した事をげんきに伝えて、水の女神がドナドナされていったと指差しながら伝えた。


3人は残ってるポイントで何を交換しながら話していると、樹の女神と水の女神が奥から戻ってきて、話に加わり、

樹の女神の案で

希少な植物や作物の種なら街に持っていけば、良い値で売れる

と言われ

お金に変えれるものが便利ということもあり、

1万ポイントで樹の女神オススメの種を交換して、

残りは楓と椿が使いきることになった。



げんきはカタログは2人に任せて、樹の女神と呑んだくれている水の女神に向き直って、エンフィスについて話しを聞こうとしていた。


「改めて、モンスターや魔物を倒した方がステータス的にいいって言ってたのと、特殊の条件について聞きたいんだけど?」

「いいよ」

「貴女はもう……少し黙っていなさい!」

水の女神が軽く返事をすると、樹の女神が水の女神の頭を叩いた。


頭を叩かれた水の女神が、しょぼーん、としながらエールを飲み、おつまみに手を伸ばしていると


「こら!」


樹の女神と水の女神が声がした方を向いて固まっていた。


げんきは嫌な予感はしたが、声がした方に顔向けると


創造神と美女が2人いた。


げんきは美女2人に目を奪われていた。


片方は、金髪碧眼、背が高く、胸も大きく、大胆なスリットに、ほとんど胸が見えるようなデザインのドレスを着ているのに、どこか上品なイメージの美女


もう片方は、紅い髪と瞳、これまで見た中で誰よりも大きい胸、上半身は胸を少し隠すだけのブラだけ、下半身はTバックとお尻が常に見えているミニスカートだけ、清々しいくらいに色香を漂わせた美女


げんきは椿の腹パンをくらい、なんとか美女2人から目を離した。


最初は意気揚々と登場した創造神だったが、

げんきが後ろの2人しか見えていないことに、気がついて、胸に手をやり、端に移動して、床を突きながらいじけていた。


げんきは美女2人と楓と椿、樹の女神、水の女神から、一斉にジト目で見られて、無言の圧力に屈して、何も言わず、いじけている創造神の元に歩いていった。


げんきは膜の外に目を向けると65、66と表示されていた。


いじけている創造神は、男なんて、どうせみんな……、と繰り返しつぶやいていた。


げんきは創造神のつぶやきを聞いて、もしかしてと思い、創造神に声を掛けた。


「あのー……少しよろしいでしょうか?」

「………其方か、なんのようだ」

創造神はゆっくり、げんきの方を向いて返事をした。


げんきは、失礼します、と断りを入れて、創造神の耳元で囁いた。

囁きを聞いた創造神は、逃してなるものかという鬼気迫る迫力で、両手でげんきの両肩を捕まえていた。

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