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2人の狙撃手  作者: 三歩
4/9

〜中継基地ー2戦目

「どうした。」


青年は、突然伏せた少女の動きを見ると、異変を察知した。すると、少女のいる監視塔に銃弾が当たった。


(狙撃!)


青年はすぐにスコープを基地へと向けた。方角を予測し中央に立つ建物を見る。そして、対象としていた兵士を見つけた。銃口はまだ少女へと向けている。青年は頭部へと照準を合わせ、引き金に指を伸ばした。だが、すぐにその指を離す。

スコープ越しに見える相手の、少し離れた縁に、もう1人いた。銃口がこちらへと向いていた。一瞬、火花が銃口から出る。青年はスコープから目を外し、斜面を横へと転がる。砂の上を銃弾が掠めた。


「なんて野郎だ。こんな暗闇から俺を見つけ出すなんて。」


色々と考えられることはあったが、青年は死角となる砂の山を走る。

少女はもう1発聞こえた銃弾が、自身に向けられたものではないと気付く。青年がいた場所を見るが、僅かに考えた後監視塔から飛び降りる。


そして、基地内に警報音が鳴り響く。徐々に音が大きくなり、全ての監視塔にいる兵士が警戒態勢へと入る。サーチライトを手に、銃を構え、周囲を探る。更に基地内から、ヘリが飛び立つ。数は1機、そして2機。サーチライトは砂浜を照らし、機銃を握る兵士が左右に配備された。

基地内の建物。その屋上に、スナイパーライフルを構える人間が2人いた。右目を閉じ、左目でスコープをのぞいている。スコープの先に青年と少女がいなくなると、膝を立てた中腰の態勢から立ち上がる。2人は、黒い戦闘服を着ており、口元には黒いマスクを被せている。そして、両目が開くと、どちらも両目が青かった。そしてその姿は、同じ身長、同じ顔の男だった。無表情のまま、2人は互いに見た。それから屋上に繋がる階段へと歩みを進める。


無数の銃声が、広場で響く。


男2人は足を止め、振り返る。縁までは少し距離がある。駆け足で戻ろうとした。進む先の空に、黒い影が飛び出した。それはサーチライトで、影しか見えない。だが唯一見えたのは、赤く光る右目と、火花を散らす拳銃。腹部に撃ち込まれた1人の男は、顔をしかめ、無言で膝をつく。もう1人は銃を構え、少女へと撃つ。少女は横飛びでかわし、2発目もさらにかわす。着地しようとした右の頬を、銃弾が掠めた。僅かに皮を削がれると、血が流れる。負傷をしていた、もう1人も銃を撃ってきたのだ。 少女は突進を試みようとしたが、2人の銃撃がそれを阻む。左右どちらかへかわそうとしても、もう1人がその先に銃口を構えている。もう1発の銃弾は、今度は少女の左二の腕を掠めた。少女は一度足を止めてしまう。

2人の男が銃を構え、少女は拳銃を負傷した側の男に構えている。


「ふう。逃げ場ないじゃん。私。」


ため息を吐く少女。僅かに、血の流れる右頬の傷と共に、汗が一筋流れる。


青年も、激戦を繰り広げていた。まだ塀の外にいるが、上空からヘリが追従してくる。また、監視塔の兵士も青年へと発砲を続けていた。なんとか逃げ回る青年だが、隠れられる場所は限られていた。起伏のある場所に転がり、兵士達の攻撃をかわす。ヘリの追撃が始まるとまたそこから飛び出して、監視塔の足場へと駆ける。走りながらもライフルを構えて兵士達を撃ち抜く。だが数が多く、解決策は見つかっていない。


「はぁっ、はぁっ!体力無いのに走らせんなよっ、、、!」


悪態を吐きつつ、監視塔の陰に再び隠れる。その監視塔から少し離れた場所に、出入り口となる鉄門があった。門がゆっくりと開くのが見え、そこからバギーに乗った兵士と、歩兵が出てくる。


「は、、、ははははは。おいおい。幾ら何でも必死過ぎる気がするぞ。」


思わず不気味に笑う青年。いよいよ追い込まれる2人。兵士達は、2人に終止符を与えるべく、全ての銃口を向けていた。


開いた鉄門に待機する兵士2人が、その間に死んでいたことなど、誰も気づかない。



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