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俺だけ転生  作者: 紅の小鹿
プロローグ
1/45

豚には気をつけろ

俺の名前は滝沢 悠介

ごくごく普通のヲタクな高校2年生

趣味はもちろんアニメやラノベだがその中でも熱い作品が大好物。


「あーねぇみぃ〜さびぃー」


今日もいつも通り深夜アニメを見て睡眠不足で登校中

好きなアニメが終わり新しいアニメの放送が始まってきて

寒さと相まって季節の移り変わりをありありと思い知らされる今日この頃である


「うぉぉぉおお〜い!ゆーすけ〜〜〜」


ドスドスという音と共に寝不足の頭には不愉快極まる大声量が後方から近づいて来る。

振り向くのと関わるのが面倒なので無視して歩くがすぐに追い付いたらしく

ヤツの前足が俺の肩に置かれる。


「無視するなんて酷いではないか!」


流石に肩に前足を置かれた状態で無視する事も出来ないので目を向けると

「フヒフヒ」言いながら肩を上下させ顔から玉の様な汗を掻く豚がそこに居た。


(おいおい、ここら辺は都会とは言えないが近くに養豚場なんてねぇぞ?どっから逃げ出してきた?)


頭の中では盛大にディスりながらズボンのポケットからハンカチを取り出してソイツに渡す。


「田中、顔から豚汁出てぞ?最近寒くなって来たけどまだ出んのか?」


俺のハンカチを手で制して、背負っているリュックからタオル取り出し自分で顔を拭いた。


「バカかお前は?あぁバカだったかお前は。バカなお前に教えてやろう。豚汁なら夏以上に冬に出さねば意味あるまい?」


おっと反撃がきた。

ハンカチの件といい、俺の優しさを無碍にしやがって!

こちとら寝不足&駄作アニメの延長で腹の虫の居所が悪いんじゃ!戦争だ!


「目の前にオークの出現を確認。道端に武器《ヒノキの棒》を発見。交戦を開始します!許可を!」


「や、やめろ!完全な暴力ではないか!俺は豚は豚でも萌え豚だ!人畜無害で業界の家畜!益豚だ!」


「むむ、益豚なら仕方がない。」


コイツにカマってせっかく朝起きたのに遅刻すんのもバカらしいので歩き出す。


「俺の様な単一種族の豚と違って馬と鹿のハーフは直情的で困るな。

そうそう豚といえば《魔装神機りりは》の続投が決まったな!

後続アニメのところがインフルエンザ移しあって壊滅したとか本当かどうか判らんが

《りりは》は昨今の萌え業界の星だからな!2クールで終わって良いはずがない!

まぁ元から作ってたらしいから少しズラして放送する気だったのだろう。」


出ましたよ。駄作アニメ。

俺は後続の《クラスで転移したんだが転移先が森の中なのでみんなでサバイバル!》略して《みんサバ》の方に期待してたのになんだよインフルエンザ移し合ったって!ふざけんな!小学校か!


「あーあれね。戦闘シーンとかはガングムみたいでカッコイイのに

気持ち悪いぐらい死人が出ないし、全キャラ女だし、時たまモブとして男キャラ出た時は手抜き感半端ない。クソ駄作。

せめて死キャラ出して鬱からの覚醒だろ。

死なないアニメはゴミアニメ」


「お前は…あの作品で1人でも死んだら暴動が起こるぞ?いや起こすぞ?

どれだけあの作品に俺の嫁が居ると思ってる?」


「3×15=嫁数だろ?」


「バカめ!それではお母さんの小枝さんと回想に出てきた幼馴染(?)もそして

お前が言った手抜き感半端ない男キャラもいるんだぞ!」


「は?お前男キャラもなのか?!」


「お前はホントにバカだな!あの作品に女キャラ以外出るハズないだろ?

更衣室の場面で端っこに着替えてる姿が1秒にも満たないが映ってただろ!

まず1話で理利葉が鷹ノ宮は女子校って事言ってるからあり得ない!

モブ男(仮)が出始めたのも理利葉のチームが2回戦突破してからだから

完全に理利葉の秘密を探っている天然ドジっ子密偵ちゃんだ!」


ババーン!っと

凄い事言った風に胸を張っているが

興味無いからあんな駄作


その後も今期のアニメの話をしながら学校へ向かった。





ー 二時限目が終わる五分前 ー


(ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ)


俺は今までにない頭痛と寒気に思考を支配されていた。

自分でもこの原因は分かった。


(新型インフルエンザに罹った!)


新型のインフルエンザは感染原が牛だった。

しかもあの日は徹夜して免疫力も下がってたと思うし確実だ。

ニュースなんかでも多く取り上げてた。

新型インフルエンザは感染力は低いが免疫力が低下してる時に牛を食べると感染しやすいらしい

しかも感染してからの一週間滞在の後発症する。完璧だ…

一点の曇りもない

主な症状が頭痛と寒気人によっては目眩もあるらしい。

分かった人も居ると思うが、この新型インフルエンザは通常のインフルエンザとは症状が違う

咳や鼻水、高熱にはならない。


(クソあの時は罹ったら罹ったでその時はアニメその他諸々趣味に費やす時間が増えるから良ーし!

とかバカな事思ってたけど流石にこんな状態では無理!

友達とかに「お前頭イタいよな」と言われる事多いけど今分かった!

ガンガングワングワンする!

まさか俺の友達は予知や未来視が出来るのではないだろうか?

出来るのならどうかその練習方法を俺に教えて欲しい。

クソこのままじゃ仕方ない先生に言って早退しよう!)


俺は勢いよく立ち上がり、右手を挙げて先生が何か言う前に…


「未来視のやり方をお教え願いますでしょうか!」


間違えた。

席が最前列中央の為クラスのみんなの視線は俺からは見えない。良かった。

これが後ろの席だった場合は前の席のヤツ等が振り返り冷ややかな視線浴びるところだった。

うん、いや背中から射抜く様な視線を浴びてないか?っと問われると少し返答に困るが実際俺からは見えない為判らない。

分かりたくない。

分かってしまったら俺の人生の黒歴史が増えてしまう。

周りを見てなるものか!

俺は前だけ見る!


視線を上げて前を見るがそこには女人が青筋浮かべているのが分かった。

我がクラスの担任にして数学教諭

三嶋 優子先生 愛称は、ゆうこちゃん

茶色髪で黒目、出ているところは…まぁそこそこ出ている。

日本人女性アラサー代表として通用しそうな美人。ではない。

普通にそこらへんに居そうな気の強そうなお姉さんだ。

行った事はないがキャバクラ行けばこのぐらいは…っていうぐらいの女性だ。

キャバ嬢になるには胸に後数枚程カサ増ししなければいけないと思うが

ただの県立高の女教師なら女教師と言うだけでアタリだしその上顔も中の上なら大当りである。

俺の価値観なら下の中から上は女性ならみな大当りである。

毎日ど真ん前でゆうこちゃんを視線に収める事が出来るこの席は最高の席である。

毎日ゆうこちゃんは見ていて飽きない。だから…

その怒りから呆れの眼差しも含めて俺はゆうこちゃんが大好きである!


「滝沢…はぁ後5分待ていろ。今は授業中だ。」


「こ、これは違う!ゆうこちゃん誤解だよ!ちょっとした間違えなんだよ!信じてくれよ!」


浮気したヤツみたいな弁解になってしまったが

その後ちゃんと理由を言って分かってもらえた。


「分かったからさっさと病院へ行けインフルエンザだったらみんなに移してしまう。」


「ありがとうゆうこちゃん…こんな俺を信じてくれて…愛してるよ…」


周囲のクラスメイトからブーイングが鳴り響くが俺は気にせZu…


「ウルサイ!早く家帰ってアニメ見るんじゃい!邪魔すんな!」


ドン引きしている皆を気にせず机に掛けてある鞄を手に取ろうとした時


ガラガラガラードン!


勢いよく教室のドアが開かれた。

そこには田中なんぞ目ではない豚!

豚ですら表現としては弱く、なぜか知らないがアドレナリンが多く分泌されているらしい俺のブレインで最適な表現を探し出そうとしてはいるがドアの前に立つその醜き巨体に対して上手い回答が出来ないでいた。


「…イケ……ジェ…K……jk…」


なんかブツブツ言っているが何なんだ?

うっすらとJKって言っている気がするがまさか…ジョジョの○○?!

そういえば今期から新シリーズが始まるってサイトに書いてあった気がするな。

そう思うと確かにコイツの立ち方もどことなくそんな気がしないでもないし

背景なんかに《ゴゴゴゴー》が書かれていても可笑しくない。


(だがなんか違う様な…)


クラス内が固まっている空間で最初に動き出したのが我らが愛すべきアラサー女子、三嶋 優子であった。


「申し訳ありませんが教室は生徒、教師、関係者以外立ち入り禁止になっています。授業参観等の行事以外では生徒の親属の方であっても入室を御断りしているのですが」


捲したてる様にゆうこちゃんがその巨体の男に言う。

男は顔を上げ鼻息荒く血走った目で声の主に向く、その時男の何かがブツっと引き千切れた気がした。


「ババァーは死ねーーー!!」


(ヤバイ!)


俺は踏み出し

男の前に居た先生の服の裾を掴み力に任せて後方へと引っ張る。

踏み出したのと先生を後方へ引っ張ったのとで勢いづいて先程まで先生が居たあたりまで来てしまった。

男はどこから取り出したのか包丁を振り下げる。


(死んだかな?)


右の肩から左の脇に掛けてスッと冷たい何かが通った気がした後に

目の前の男に真っ赤な液体飛び散った。血だ。

だが

それすら男は気にする様子はなく、2撃目を放つ。

振り切った腕を戻し、真っ直ぐ俺に向かって

包丁との間に手を挟もうとするが遅く、そのまま俺の体に吸い込まれる様に


「ゴホゥッ」


胸からせり上がってくるモノに対して咳き込むと血が飛び、口の中が鉄の味になる。


俺のそんな様子も男には何の意味もなく

胸に刺さっていた包丁を引き抜く。

瞬間、体の力が一気に抜け落ちそうになるのを歯を食い縛って堪える。

頬に伝う涙も関係なく目を全開に開き目の前の男を見据える。


男は引き抜いた包丁を今度は俺の首目掛けて振るってきた。


(勝った…)


俺は首目掛けて振ってくる包丁を右腕で受け止め、男に対して一歩踏み込む。

男の腹に俺の左肩が埋まり半身の体制になる。


(動いてくれよ…毎日暇な時練習したんだから…)


俺は踏み込んだ左脚、そして曲げてあった右脚に力を込める。


ドンッ!!!


両脚で生み出した力を男に埋没している左肩一点に集中させて男へ打つける。


「グェッ」


男は口から胃の中のモノを出し、くの字になって入って来た教室の入り口へとぶっ飛ぶ。

廊下だけじゃ勢いは殺せなかったのか窓ガラスへぶつかって静止する。


バキバキッ パリンッ!


「ーーーーん?!?!?!」


勢いは殺せたらしいが男の巨体に耐え切れず窓ガラスは割れ、寄り掛かっていた男はそのまま窓の外へと引きずられ、声にならない声を上げながら頭から落ちていった。


(なんか悪魔にでも連れ去られた様だったな…お!なんかカコイイ!)


アホな事を考えたせいだろうか

足から力が抜け、その場に尻餅を着く。

腹筋にも力が入らなかったせいでそのまま後頭部を床に打ち付けた。


「痛ッ〜」


後頭部の痛みと同時に緊張が溶けたのか周りの声が聞こえてくる。


「滝沢大丈夫か!!」「滝沢君が!!」「ゆーすけーー!!」「血が!!悠介君しっかり!!」「誰か救急車!警察も!はやく!」「掛けてるよ!静かにしろよ!」「誰か!誰か!何として!早く!」「悠介踏ん張れ!すぐ救急車くる!「悠介さんー」「ーー。」


クラスのみんなが近よって来ていて口々にあーだこーだ言いまくっている。

確かに体が徐々に寒く、体温が下がっているのがわかる。

あっちこっちの傷口からジクジクといった痛みというより疼く様な感覚と共に徐々に、徐々に

指先から冷たくなっていく。


傷口を塞ごうと手で止めようとする者

勇気付けようと手を握る者

クラスメイトみんなが手を尽くそうと頑張っている。


(あはは…なんかマジ死にそう…しゃーない最後に一言言うか…)


俺は最後の力を振り絞って手を動かそうとするが…誰かが握っているせいで動かない。

仕方ないのでそのまま声を出す。


「ゴフゥ!」


血で咳き込んでしまった。

だが俺が何か言おうとしているのを気付いた人が居たのかみんなを鎮めてくれた。


「悠介どうしたの?」


代表して聞いてきたのは黒川 沙織だった。


「俺…モテモテだな。ゴホッ!すまん間違え傷口押すな!」


「さっさと話なさい」


「分かった…

なぁお前等…

俺が死んでも腐るなよ…

鬱になっても良いけど最後には覚醒しろ。

じゃなきゃただの無駄死にだ。

それじゃただのクソアニメだ。

だからゴホゥッ!

だからお前等は俺の分まで精一杯良作なアニメ〈人生〉を創り続けろよ!」


俺が言い終わるとみんなが口々に言い始めた。

「意味不」、「最後までオタク」、「カッコつかない」etc

せっかくカッコ良いと思って言ったのになーっと薄れいく意識の中ふとクラスメイト達の隙間から教室の中央が輝いているのが見えた。


(…異世界転移おせーよ!!!)



キーンコーンカーンコーン

初めての投稿で精神的にキツいっス

不定期で行くっス

頑張るつもりっス

暖かく見守ってもらえると嬉しいっス

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