77話
少し内容がクサくなりました…
視点が変わりすぎて読みにくいかもなので書いておきます
最初はディル
少し時間が戻ってバク
ディルが去ったとのカフです
長い廊下を一人で進む。じぃは早速サリバンに連絡するといってどこかに行った。
下着や替えの服はメイドにした奴隷に持っていかせるというので、そのまま向かう。この屋敷は無駄に広すぎて面倒だ。いっそ、疾走で走ってもいいが、もし誰か飛び出しぶつかったら100%吹き飛び最悪死ぬだろう…剣術や槍術に関しては騎士たちの魂記録ですでにカンストだ。その他持っていたスキルは皆レベルが上がっている。唯一上がっていないスキルは生産系のスキルだ。単純に作る機会が無い。まあ、多くの技術者を殺して無理やりレベルを上げることもできるのだが無闇に殺すのはまずいだろう。長い目で見ていこうと…確か奴隷のドワーフたちが鍛冶場にいるんだったな…ラスティを救ってから教えてもらうのもいいかもしれないな。
「あっかい目玉は、だ〜レノだ〜〜。サイ〜コロプスさんでも無いな〜」
廊下の奥から陽気な歌が聞こえて来る。しばらく歩いていると、歌っていた本人の後ろ姿が見えてきた。膝まであるダッフルコートを着ながら大きな洗濯カゴを持っている。確か…あれは梟の…名前はなんだっけ?…仕方が無いので、鑑定でステータスを覗く
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☆基本情報
名前 ラッテ=オウル
年齢 12歳
性別 女
職業 未設定 (暗殺者)
☆ステータス
攻撃 776
防御 886
魔力 776
速さ 555
知 546
運 177
☆スキル
・洗濯 lv1 new!
・洗浄 lv 1new!
・火魔法 lv2
・闇魔法 lv1
・闇姿隠 lv1
・隠密 lv5
・隠形 lv5
・夜目 lv3
・無音歩行 lv4
☆称号
・闇夜に愛されし者
・闇の賢者
・王梟族
・一体二魂
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年の割に持っているスキルが多いな…それにステータスが意外と高い。いや、確か獣人に当たるんだけっか…人間のステータスは生まれた時から低く、魔族は生まれた時から強いんだよな…獣人はどうなんだろうか…いや、そういえば獣人はそんなに見たことないな…奴隷になっている者がほとんだし…国があるんだったら行ってみたいな。
「おーい!ラッテ!」
俺が後ろから声をかけると、首を百八十度回転させ目を細めてこちらを見てくる。顔立ちは可愛いのだが…目が大きすぎるんだよな…俺を見つけると、ニヤリと微笑み首を戻さずそのまま俺に駆け寄ってくる。動作自体は大きいのに足音が一切聞こえない。常時発動しているのだろう…
「あ!あ!ディル様!何してるの?何してるの?」
「いや、今から風呂に向かう途中だ。顔は戻せ。洗濯か?」
「忘れてた!…よっこらせ…!。そうなの!なの!」
その場で回転し俺側に体を向けると、首を戻してくる。ゴリゴリと音が若干聞こえて鳥肌が立つ…
顔が引きつるのを必死に無表情スキルで耐える
「そうか…頑張ってくれ。」
「頑張るぅ!やば!いかないと怒られちゃう!じゃね!じゃね!」
歯が見えるほどの笑顔で俺を見てくるラッテ。素直な子だが…礼儀がまだわかっていないか…しかし、ラッテの称号は少し気になるな…まあ、いつか聞けばいいか。
俺の前をバタバタと…(音はしないのだが)慌てて走っていく姿はただの少女だった。
△
煌びやかなシャンデリアが部屋を明るし、大理石の床に敷かれた真っ赤なカーペットには汚れ一つない。そんな部屋には執事の格好をした初老の男が机の花を替えていた。初老の男は白い肌に彫りが深い…英国紳士的な雰囲気がする。
その執事の後ろに突然地面から小さく真っ黒な蜘蛛がどんどん現れ山になっていく。
「はぁ…」
執事は大きくため息をつくと、蜘蛛はどんどん人おの形になっていき、蜘蛛が徐々に地面に落ちていくとそこには真っ白な肌の少女が立っていた。緑色の目に尖った耳…エルフだ。執事は手を止め振り返る
「よぉ!アルデンテ!」
「私はアルデンヌだ…いい加減覚えろ…」
「まあ、そう言うなって!そんで、カーミラ様はどこだ?」
「カーミラ様は今、サリバン様の所へ。」
「なら、女狐は?」
「貴様…私の主人であるリリアンナ様を愚弄するとは…殺してもいいのだぞ?」
「ほぉ〜お前が誰を殺すって〜?ははは!今日の俺は機嫌がいい!許してやる!答えろよ」
「サウロン様の所だ…」
「ウゲぇ…アンデッドかよ…臭いし、いいや。あ、どうやってあのガキに俺のことを伝える気なんだ?…まあ、いいや…こいつの記憶でも見てるか…」
「ふん…」
執事はそのまま仕事に戻り、花瓶に花を挿していく。適当に入れるのではなく、全体のバランスなどが考えられているようだ。数十分経っただろうか。さっきから目を閉じたまま動かないバクが、突然目を見開き叫び始めた
「おおおお!そうだったのか…そうだったのか!!!わかったぜ!カーミラ様はわかってたんだ!だからわざわざあの子のエルフを俺に奪わせたのか!そうか…あいつを殺せば大手柄じゃねーか…よっしゃ!そうと決まれば早打ちがいいな!おい、アルデンヌ!俺は出てくる!」
「だから、私はアルデン…?」
執事がそう返そうと振り返った時には、バクの姿はなかった。執事はさっきのバクのセリフを思い出し面倒ごとになると確信した彼は主人であるリリアンナに後で連絡をすることを決めて花の入れ替えに集中する
△
「ん…ここは?…」
目をさますと、真っ白な天井が見えた。柔らかな感触が全身を包み、初めて自分が寝ていたということを理解する。そして寝ぼけていた記憶がどんどん戻るってくると、飛び起きる。
「な…ここは?…どうなってるんだ?…」
視界に入る腕をゆっくりと見回す。記憶だと腕が折れていたはず…悪魔にボコボコにされ私は死んだのでは?…でも生きてる…痛くない…いや、怪我をしていない?…どういうこと?…
「違う!それより!ラスティ!」
すぐに寝ていたベッドから這いながら下り、囲っていたカーテンを引くと、机に何やら書き留めていた白衣姿の早老の女が心配そうに見ていた。この保険室を担当する保険医だと理解できた。
「あら、動いて大丈夫なの?」
「だ、大丈夫です!そ、それより!ラスティはどうなったんですか!?」
「私はその場にいたわけじゃないけど…ラスティって子はエルフだったわね…悪魔に乗っ取られ…そのまま消えたわ」
「さ、探しに行かなければ!は!ディ、ディル!そうだ!ディルは」
「あの子は黒馬に乗って森に行ったわ…悪魔を殺しに行くなんて大前切ってね。」
「なっ!私も行く!ありがとうございました!では…!」
やはりディルだ。ラスティを助けに悪魔の地に向かったのだろう…でも、あのディルでも悪魔と戦うのは無謀だ。どうせ戦うというならこの私も共に行く。肉壁になってでも…
一心不乱に保健室の出口に手をかけようとした時、突然扉が開き中に入ろうとしてきた人物とぶつかってしまう。勢いよくぶつかったが、自分の方が弾き飛ばされてしまい地面に倒れる。私は睨むようにぶつかった相手を見る
「カフ!起きたのか!」
「え?…ひゃ!」
突然ぶつかった相手に抱きしめられた。突然のことにびっくりし変な声を出してしまった。抱きしめる腕は力強く、そしてどこか優しかった。焦っていた気持ちがどんどん溶けていく…
「大丈夫だったか…よかったよかった…」
「シェダル兄様…その…私は行かなければいけないので離してください…」
「無理だ。分かっている、どこへ行き何をしたいのかも。しかし、それだけはできない。風紀委員としてではなく、先輩としてでもなく…兄としていかせるわけにはいかない…」
「し、しかし!それではでディルが一人で…
「分かっている。でも、お前が言ってどうなる?…」
「そ、それは…だから!私の命をつかってでも
「瀕死…いや、ほぼ死んでいたお前を治したのはディル君だ…大量の魔力でな…シリウス様より多く、質のいい魔力だった…おそらく『限界突破』いや…生命力を魔力に変換したのだろう…それだけのことをしてお前を救ったディル君は…何のためにお前を救ったと思う?…」
「で、でも…」
頭のなかではシェダル兄様の意見は理解できる。でも、頭が心がそれを否定する。それがわかったのかシェダル兄様は私の方を掴み顔を上げてくる。まっすぐな視線に耐え切れず視線をそらしてしまう
「こっちを見なさい!カフ!」
「はい…」
ここまで感情を出したシェダル兄様は、ブラッディピクシーの時以来だ…その迫力に押され私は目を合わせる。まっすぐできれいな青い瞳が私の目を通して心まで見ている気がしてくる…
「ディル君の気持ちを考えてみろ…何のためにお前を救ったと思う?」
「うぅ…ぅ…」
自然と顔が歪む…感情が溢れ出し、理解ができない。ただ目からはとめどなく涙が溢れる。目を必死に抑えなぜ出てくるかわからない涙を止めようとする。力のかぎり目を押さえつけているとシェダル兄様が腕を掴んで止めさせてくる。
「何をしているんだ!」
そしてまたシェダル兄様は私を抱きしめてきます。私は必死に兄様の胸の中顔を突っ込み、押さえつけ流れる涙を止める。兄様は優しく私を抱きしめてくる…
「うぅ…ディル゛…ディル゛…」
「そうだそうだ…泣きたければ泣けばいいぞ…」
「…ばじめで…ばじめでの…どもだぢだっだ…なのに゛…」
「そうか……そうか……」
「私は…弱いっ…なんの力にもなれない…守られるのは…もう嫌だ…づよぐなりだい゛!」
「ごめんな…だが…お前はまだ幼い…これから努力すればディル君を超える可能性もある。だから、今は泣け…」
私はこれで一生分の涙を流したと思う。私は強くなる。必ず強くなる。悪魔を瞬殺できるほどの。
ディル 生きていてほしい あなたが生きていれば