65話 聖使徒とディル
『貴様が我を呼んだのか?』
私の目の前には白い布を体に巻いた金髪の美形の青年が浮かんでいる。その背中には大きな翼が2対生えている。成功した。私は考えていた…なぜ、あの時あんなことになったのか。それは魔力のせいだと結論付けた。
お母さんは、ネイル家に伝わるエルフの大魔法『聖神徒召喚』を受け継いでいた。それをウェッタの率いる聖騎士と名乗る軍隊がエルフの国に攻め込み、多くの人質を連れてお父さんを脅した。それはお母さんの魔法を使うこと。お父さんは、猛反対し何とかできないか必死になてたけど、結局何も変わらずお母さんが行くことになった。そして、かあさんには多くの人質のエルフを使い魔力を流させた。この世界位は多くの魔力があるから、人それぞれ魔力が違う。多くの魔力がお母さんの体の中で混ざり、真っ黒になっていた…魔族の使う綺麗な真っ黒ではなく…全てを飲み込むまさに暗黒だった…そしてお母さんは魔法を発動した。そして出てきたのは魔神だった。魔神は何も発することなくお母さんを殺し、近くにあった全ての生命の命を狩った。近くにいた兵士も、人実にされていた多くのエルフも草も土も…全て死んだ。
しかし、今目の前にいるのは、純粋な魔力のみで生まれた…
『貴様は何を望む』
「こ、この学園を守って…」
『そんなことか。…よかろう。』
「あ!ラスティ!こんなところにいたのか!探したぞ!あれ?ディルはどこだ?」
カフが息を荒げながら、こっちにかけてくる。
私は魔力を乱さないようにゆっくりと話す。
「ディルは出て行ったよ。それに結界のことでしょう?」
「そうなんだ!私もわからないんだが、魔力を感知できるレベルの生徒は混乱してるけどなんとか先生がなだめている。呼び出しがあったんだ。大至急、ディルを呼べと。また編成を組んで学園を…そ、そ、そちらの方は?…」
「『聖神徒』?」
「なんだって!?し、し、しかし、あの言い伝えとはかなり違うぞ?…」
「それは純粋な光魔法で召喚したから…まあ、いい。ディルはいない。その代わり、私がいる」
「何を言っているんだ?…まさか、そいつに頼むのか!?」
『そいつとは誰のことだ?言葉を選べぬと死を早めるぞ、男装女」
「な、何が男装女だ!私はこう見えても…「カフ!…連れてって」
「わ、わかった…」
△
女の子の体を乗っ取ったアブロンが俺の前を飛んでいる。翼もないのに、どうやって飛んでいるかというと両手両足から勢い良くロケットのように炎を吹き出し飛んでいる。以外とシュールな光景だ。
すると、アブロンが急に速度を落とし始めた。すでにウェッタの領地で、城が見えるほど近い。アブロンはそのまま落下していく。この下にいるようだ。俺も同じく高度を下げる。
「はぁはぁ…」
「もう終わり?でも、おじさん強いー」
「すまぬな…やっと、本気で戦えそうじゃ。」
降りると、そこには多くの木々が倒れ吹き飛び開けている。そこに向かい合うアクィラとシリウス。なぜ、アクイラが?…いや、あれはアクィラじゃない…闇の魔力を感じる…なら、決着はつく。学園の結界を解除したシリウスの聖魔法を受ければ、偽物のアクィラも死ぬ。
「『摩滅浄化』」
シリウスが広域的な聖魔法の『浄化』を使う。あたりには白いベールが包まれ優しい光が大地を包み込みアクィラも包み込まれた。
「なっ…体が動かないよー」
「残念だったな、魔族か知らぬが…これで終わりだ。『聖槍舞踊』」
いくつもの光でできた槍がアクィラの周りに現れると、一瞬でアクィラの体を突き刺し貫通し止まる、全部で7本の槍がアクィラの体に通っている。これ見たことあるな…じぃが使ってた気がする。
「シリウス様!」
「何をしておる!ディル!が、学園にいるのではないのか!?それでは…」
「大丈夫です。安心してくださっ…い!」
シリウスがアクイラに背を向けて俺に近づいてきていたが、さっきまで槍に突き刺さっていたアクィラの姿が消え次に現れたのはシリウスの後ろで黒く光る剣を構えた状態だった。俺はすぐさま、黒い吃驚箱から『星斬り』を取り出し剣を受ける。
「誰だ?このガキ…待てよ?…記憶によると…ああ!義息か!」
「お前は誰だ…」
「俺は、バク。んなことあんまり関係ないよなーだって死ぬじゃん。」
「は?…」
「『スラッシュ』!」
俺を押し切しかえし、後方に下がり際に不可視の刃を飛ばしてきた。俺は感覚で不可視の刃の軌道を変え地面に落とす。バクと名乗ったアクィラは口笛を吹き俺を讃える
「やるぅ〜。すごいな!この体の剣術lv6に加えて俺の今まで食べた記憶で得た剣術があるからレベルは8くらいあると思うんだけどなー」
「記憶?…何を言っているんだ?…」
「お前の記憶は絶対食べる!決めた!」
男はそういうと、地面を蹴り飛びかかってくる。そして、ものすごい速さの剣撃が襲ってくる。今の俺の剣術のレベルは8だ。ギリギリ互角といったところだ。しかし、俺にはこれがある。俺は『星斬り』の刀身に刻まれてある『ガニメデス』のシンボルに触れる。すると、星斬りの鍔から大量の液体が流れてくる。綺麗なその水は、アルコール独特の匂いを発する。
「ん〜いい匂いじゃ。珍しいもんな持っておるのぉ…後でいっぱいくれや」
のんきな声が後ろから聞こえるが、無視だ。この状況で何もしないお前は何のために来たんだよ…
「すまない…ディル助かったぞ。それより、なぜあいつには聖槍舞踊が効かなかったのだ?…魔族特効だというのに…」
「おそらくですが、あれはお義父さんの体を乗っ取っているので魔族事態に攻撃できていないのでしょう…。それより、ここは俺に任せて学園に向かってください。」
「あ、ああ!わかった。無理はするなよ…「ちょいと待った。久しぶりじゃなシリウス。」
「そ、その話し方は…アブロンか!」
久しぶりの再会のようで、二人が熱い握手をしているが…この状況なんだ…頼むぜ…
俺はバクの剣撃を往なしながら、二人から離れる。剣でも遠距離は攻撃できるので、二人に攻撃されたら俺でもかばいきれない。
「二つの影に迫る何かが居るぞ。それはいいのか?…二つの影は…そうだな。一人は男、もう一人は…女だな」
「な…すまぬ、ディル少し寄り道をする。すぐに学園には向かう。ディルもくるのだぞ!」
シリウスの叫び声が俺の耳に届く。俺は答えるように力を込めてつばぜり合いしていたバクを押し返す。
「はい!」
「話をしてんじゃねーよー。お前はらたつ…『豪剣の乱切』」
突然バクのもっていた黒い剣が4倍ほどの大きさになり、さっきより速い速度で刃が迫ってくる。型はなく、ただ乱舞に剣の大きさを生かしたただの振り回しだ。しかし、当たったら一撃だな。俺は素早く、星斬りに火をつける。
『説明します。水瓶に入っていた神酒ネクターに炎が引火しました。『星斬り 神酒の水瓶』から『星斬り 慶の炎火瓶』に変化しました』
いつものロットの声が聞こえる。星斬りはメラメラと真っ赤な炎を宿している。俺はゆっくりと、『星斬り 天慶の炎火瓶』をバクに向ける
「It's Show Time」
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