43話 魔族との戦闘
すぐに闇魔剣士を解除する。すると、身体中から黒い靄が現れ霧散していく。同時に背丈が元に戻っていく
この闇魔剣士はかなり魔力を消費する。
『説明します。魔剣士は魔剣を持って初めて魔剣士ですが、今回魔剣を持っていないにも関わらず、スキルに闇魔剣士を持つので、闇魔力を装備を含めた体全体に纏わせることで一時的に闇魔剣士を使用しました』
ってことらしい。だから魔力の減りが半端ないのであまり使わない。って、ロットが一対一じゃないととか、相手の強さが分からないとか言うから警戒したけど、使わなくても勝てた気がするな…まあ、いいか。
俺は素早く5体の魔物の魂を奪う。それと、死体だが魔物はギルドで買取を行っているようで換金して金にするもよし、自分の装備の素材に使うもよしと言われた。まあ、そろそろ装備欲しいな…なので、一応「黒い吃驚箱」に全ての死体は入れた。殺した際に吹き出た血に関してはどうしようもないので、そのままだ。そこら中が真っ赤なんだが…
まあ、これで九体倒した。落ち着いたようで、魔物がやってくる気配がないので闇領域に入る。するとラスティがタオルを俺に差し出してきた。
「はい…」
「おう。ありがとな…腹減ったな…飯持ってきたよな?」
ラスティは鼻をつまんで俺を睨むように見てくる。
「あるけど…血の匂い…臭い」
「仕方ないだろっ!どうすればいいんだよ!」
「私が…水魔法で雨を降らせる。」
「そりゃあ、ありがたいけど無理な話だ。この領域では魔法は一切使えない。」
この闇領域は絶対に安全だが、その代償に何もできない。争うことも、回復させることも。だから、戦闘本能しか持たない魔物は中に入ることすらできない。俺も状態発動のスキルを全て解除している。
すると、ラスティは口を尖がらせジト目で見てくる。
「ぐぅ…無能」
「外に出すぞ?」
「ごめんなさい…」
「冗談だ。さあ、食おうぜ」
時刻は4時を回ったくらいだ。シリウスは早くて6時と言っていたし…最低でも後二時間か…でもいけるな。
この前のブラッデイピクシーから奪った「筋力強化」と「筋密度」が効いているのが実感できる。走るたびに足が早くなり、剣を振るたびに力が湧いてくる。そういえば、攻撃や防御ってゲームすぎないか?…何を基準で攻撃力なんだ?
『説明します。ステータスはスキルを使用した際に発揮する力を数値化したものです。攻撃は純粋にスキルを使用した際の元になる攻撃力です。防御は体の耐久力を数値化したものです。速さは瞬発力や持久力などを数値化したものです。まあ、すべてスキルによって強化されたり、スキルそのものの威力が違ったりするので気休め程度に思ってください』
ってことは、防御ってHPみたいなものか?…結構重要じゃないか?…
『説明します。防御はHPとは違います。あくまで防御は耐久力であってHPとは違います。この世界ではHPという概念はありません。首を斬られれば死にます。皆平等で、数値も同じです。そしてスキルでは決して操ることはできません。魔法ではありますが。
例えるなら、ボクサーを思い出してください。ボクサーの相手を殴るのを攻撃。相手の攻撃を受けた時、パンチが重く感じれば自分の防御が低い、余裕だったら高いのです。ですが、いくらパンチが余裕でも頭を打たれれば死ぬこともあります。これがHPと防御の違いです。そして速さはボクサーのスタミナです。』
ってことは、闇魔剣士の追加スキルの「影渡り」でもあの鬼は反応した…あの移動が俺の持っている移動系のスキルで一番の速さだが、鬼はその上だったのか。それに最初に倒したサイには剣術のスキルで真っ二つにできなかった。あれも防御が高かったのか…俺もまだまだだな…
「ディル…あれ」
ラスティが俺の名を呼ぶので考えをやめる。目の前のラスティは食堂で買ってきたサンドイッチなどが詰まったバケットを取り出しながら、俺の後ろを指差す。すると、そこには…まさに魔物がいた。真っ白な肌に、尖った鼻…あたりに広がる血で唇を染めると、チラチラと見える白く鋭い歯が生えている。目は血走り、服は着ていないが真っ黒な毛が生えているそして、一番の特徴は膜だ。掌腕から脹ら脛にかけて。どう見ても蝙蝠の悪魔だ…
『説明します。あれは下級魔族の蝙蝠鬼です。下級なので知性がなく、本能で動いています。下級魔族は上級魔族の命令には服従で、魔族の兵としてよく使われていますね。痛みに鈍いので、扱いやすいのでしょう。』
あれか…指輪物語の冥王の雑兵と同じか…でも、あれは武器とか作っていたし知能は結構高いんじゃないか?…
まあ、とにかく殺すか…確か、デュークに配下は居なかったよな…
俺はそっと立ち上がり闇領域から出る。まずは、会話だ。言葉が通じるのにいきなり剣を振りかざすのは失礼か…
「やあ…元気かい?…はは…」
すると、唇を染めていた蝙蝠鬼が俺を見てくる。一瞬目を見開いた気がするが、すぐに薄く目が閉じる。すると、蝙蝠鬼は口をゴロゴロと膨らませながらゆっくりと俺に近づいてくる。すると、ロットの声が頭に響く
『警告します。蝙蝠鬼は口から粘液性のある唾液を相手に飛ばします。その唾液には数十種類の細菌が生息しており、菌は皮膚を食い破って体内に侵入し増殖する種があり、蝙蝠鬼は菌で弱った獲物を狙う傾向があります』
その一言で、すぐに離れる。すると、蝙蝠鬼は口から白く泡立った唾液を垂らし不敵に笑う。気持ちが悪い…
蝙蝠鬼は数回地面をジャンプすると一気に距離を詰めてきた。剣を構え「スラッシュ」を使い不可視の刃で近く前に攻撃する。「スラッシュ」は直撃し胸のあたりがパックリと横に切れているが、痛みにひるむこともなく俺に向かってて鋭い爪の生えた腕を振り回す。
先ほどまでの魔物と速度も威力も桁違いに強い。だんだんと、押されていき攻撃が当たってくる。鋭く尖った爪が俺の腕や胸を切り裂いていく。なんとか装備のおかげで深くまでは達していないが…かなりきつい…
「くっ…はぁはぁ…ってことは…お前がシリウスの探してた魔族か!」
蝙蝠鬼は無邪気に笑う。楽しんでやがる…それにしても、剣術7なのになんでこんな雑兵に?…答えはわからなないが…とにかく殺す。この俺をここまで傷つけたのはお前が初めてだ…
再びくる蝙蝠鬼の猛攻を全て剣で受け止めると、そのまま押し返した。一瞬押されたことで態勢が崩れた隙に「スラッシュ」を使うがすぐに後ろに飛び跳ねる。
「来いよ…鳥もどき…」
すると、蝙蝠鬼は怒ったのか奇声を上げながら走ってくる。言葉はわかるのか…まあ、いい。使うスキルはこれだ…一瞬で黒い靄で体を包みデュークの姿になる。闇魔剣士だ。
蝙蝠鬼が俺まで数歩といったところで、追加スキル名をつぶやく
「『殺暴 悪邪舞』
剣の纏う黒い靄が突然激しく吹き出る。まるで黒い炎のように
駆けてくる蝙蝠鬼の腹に剣があたると、一瞬で闇の炎が蝙蝠鬼を切った傷口から炎が吸い込まれていく。完全に駆けてきた勢いはなくなり蝙蝠鬼はその場で膝をついて悶えくるしみながら倒れる。同時に魔力に限界がきたのか自然と黒い靄が体から霧散していく。
「はぁはぁ…」
蝙蝠鬼はなおも息苦しそうに全身を掻き毟りながら、悶えている。俺はすぐに首をはねる。すると、切った首から黒い液体が少量出ると後からは普通の赤い血が流れた。シリウスはかなり強いと思っていたが、そのシリウスが魔力をフルで行くんだ…手こずるに決まっているよな…甘く見ていたな。魔族か…
「はぁはぁ…疲れた…休ませてくれよ…」
しかし、俺の言葉とは裏腹にすでに10程度の魔物がすでに集まっていた。あと、3時間もないくらいだが…スキル云々より休みたい…はぁ…殺りますか




