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20話 T

それからいつもの訓練がはじまった。訓練内容は体力作りの走り込みにウォッカ式の筋肉トレーニングだ。ウォッカ式と言っているが、腕立てや腹筋にスクワットというお馴染みの筋トレメニューだが、この世界ではそこまで広まっていない。この世界では剣を降り、模擬戦闘などを繰り返し鍛えていくのが常識らしい。

ウォッカ曰く、「剣を振ったところで強くなれるわけないだろう」らしい。ちなみにウェッタの騎士団は他の騎士団の倍以上の行軍が可能とも言っていた。まあ体力のない騎士が常識なら、重い鎧を着て移動するとなれば移動速度も距離も遅く長く、多くの休憩が必要になるしな。それにしてもウェッタの考えが普通で広まるものじゃないのか?ステータスも満遍なく上がっているし効率はいいと思う。例えウォッカの元を離れても、これは続けていこうと思う。


「さあ、今度は各自ペアを作って模擬線をやってくれ。ディルはこっちに来い」


他の騎士たちはすぐに二人組になり模擬戦を始める。武器は無しで、先に相手を地面に組み伏せると終了する。それにしても皆本気で相手に向かっているのが怖い。武器なしの素手とはいえ、防具を何もつけていないので常に怪我をする可能性があるが、この世界では魔法という存在のおかげですぐに回復できるため皆常に本気になれるようだ。

そんなことより俺は一人ウォッカに呼ばれたので、ウォッカの元に向かう。


「お呼びですか?」


「いや、お前が誰かと組むとお前が手を抜くからな。今回からは俺が相手してやる」


「そん事ないんですが…わかりました。」


確かに他の団員と組むと気をつかってしまう。ステータス上ではかなり差があると思うが、実際はその差を感じなかった。まるで体を使いこなせない感じだ。気をつかってしまう理由は、ステータス外の能力が高すぎることだ。聴力、視力などが高すぎることだ。相手が動けば筋肉の動きを感じ行動が先読みできたり、遠くの話し声も聞き取れるのだ。それにしてもウォッカもよく気づくな。まあ、ウォッカなら最大限に活用させてもらおう。いや利用といったほうがいいか。この体に早く慣れるためにも。

ウォッカは着ていたシャツを脱ぎすてると、足を軽く開きかかとを上げ、右の拳を顎に当て左の拳を構えている。まるでボクサーのような構えだな。一方俺は格闘技などの経験は一切ないので何も構えないが、ウォッカの体全体を視界におさめ耳を済まし集中する。


「お前は何も構えないくせに、スキがなさすぎるぜ」


「何を言ってるんですか。さあ、始めましょう?」


俺は手を広げ明らかに作った笑顔をウォッカに向ける。バトルジャンキーなウォカならこれくらいの挑発しておけばいい。ウォッカは俺を見てニヤリと笑うと地面を蹴り俺に拳を向けてくる。



ウォッカとの模擬戦が始めって3時間はたっただろう。結果は引き分けだ。俺とウォッカは疲れ切り地面に仰向けで倒れ荒くなった息を整える。ウォッカの攻撃は力強い上に早い。だが、動きが決まっているので動きを読んでかわしフェイントを入れながら攻撃した。まあ、何発も受けてしまったがその分ウォッカにその倍は入れたので満足だ。だが、倒せなかったのは悔しい。俺もまだまだだな…戦闘経験に技術もない。この城を出る前にウォッカと並ぶ程度にまでなりたいな。


「はぁはぁ…ディルよ。お前はこの国をどうおもうよ」


「この国をですか?…よくわかりません。」


「ふっ…そうか。何も知らねーお前は、これからいろんなことを知るとおもう。だが、その好きって気持ちは忘れないでくれ。変えたきゃ自分で変えればいい。お前はそれができる立場だ」


「さっきから何を言ってるんですか?…」


「お前は王子だってことだ。さて、これからシリウスのところに行くんだろ?」


「ええ…いきますが…」


「あー今日は勉強は無しだ。明後日の準備であの爺さんは忙しいからな。」


「そうですか…」


「ったく、何でそう残念そうな表情なんだよ。あんなつまんねーもん俺はごめんだね。さ、ジジんトコ行くぞ。お前ら〜適当に上がっていいぞ〜」


ウォッカは跳ね起きると、脱いだシャツを拾い着始め練習の終了をみんなに知らせる。皆満面の笑みを浮かべ、ウォッカに頭を下げて帰っていく。俺も地面に置いたマントを払ってから着ると、ウォッカの後を追う。


「あれ?ウォッカさん。何しにシリウス様のところへ?」


「明後日のミーティングにお前も参加するんだよ!」



さて、ウォッカに連れられやってきたのは城の中にいくつもある会議室で一番大きな部屋だ。大きな長机に背もたれの長い椅子に二つを除いて全員が着席していた。右側の一番奥にシリウス。おそらくシリウスは宰相なのでこの中で一番偉いのだろう。

さて、シリウスの隣にはこの国の各ギルド長が座っている。どれも特徴的な人なので一度見れば忘れない。

 ツリ目に鷲鼻な目つきの悪い男が座っている。この男はこの国にある商業ギルドの統括ギルド長のチャールズ・バッセンだ。チャールズは29歳という若さで統括ギルド長を任されるほど頭がいいが、あまりいい噂は聞かない。金のためならどんな卑怯なこともすると噂されている。

 スキンヘッドに傷だらけ、龍の素材で作られた装備をきた男が座っている。この男はこの国にある冒険者ギルドの統括ギルド長のワスプだ。ウォッカの兄弟子の元で修行していたらしく非常に仲がいい。ワスプは AAランクのハンターでもあり、多くのワイバーンを狩ったらしい。詳しくは知らないが特殊な対空スキルを持っているらしい。

 小柄な体格に所々白髪が混じった髪の老婆が座っている。彼女はこの国の魔法ギルドの統括ギルド長のアンジュだ。皆からは『アン婆』と呼ばれている。この人はよく分からない。あまり話題にならないからだ。まあ、見た感じ悪い人ではなさそうだ。

 次にシリウスの向かいに座っているのが、シャルソー・ヒンドレー公爵だ。非常に切れ者で嘘が大嫌いな男だ。またこの国で最も愛国心があるといわれている。またこの国のダークな部分を全て請け負っているともいわれている。他にも貴族は多いがおそらく秘密裏に動いているのだろう。

 その隣に、おそらくティコ大司教がいる。この世界でも宗教があり、教会を統一している存在らしい。前世から教会系は全くわからないしこの男も見たことはなかったが、着ていた服が神父服だったのでそう勝手に判断している。


「カラー・サイディスは今回も欠席か?…」


「仕方ありませんよ。彼女がこのような場所に来るとは思えません」


ワスプの小言にチャールズが答える。


カラー・サイディス


『神の欠陥品』という二つ名を持つ女性らしい。年齢は18歳だったか?一度も見たことがない。生まれて数ヶ月で言葉を覚え、6歳で上級魔法を習得。11歳で学園に首席入学し飛び級し一年で卒業した天才で、多くの魔法の研究に魔道具の開発で一気に魔法に改革を起こした女性だ。だが、彼女のずば抜けた才能に嫉妬した人々に過度な嫌がらせを受け、耐えきれずストレス障害に陥りそれから、他人と関われず部屋に引きこもっているらしい。噂では魔道具や魔法の試作や検証を偽名で他人になりすましこっそり行っているらしい。


「ディル坊、ウォッカよく来たの。早く座るのじゃ。」


シリウスに言われ俺とウォッカは席に着席する。その間、全員が俺を凝視してくる。視線だけでは俺にどういう感情があるかわからないが、よくない視線が多いと思うな。着席すると、シリウスが席を見渡してから口を開く。


「さて、忙しい中集まってもらったんじゃ。確認をするぞい」



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