プロローグ
日本のどこにでもある普通高校
今日は新学年の始業式
「起立、礼、着席。」
高校2年生の教室にて
「はい、みなさん初めまして」
教壇の上で黒板に名前を書いて
「担任の吉田 茂と言います」
普通の挨拶
「今日から一年間よろしく…」
その時
教室の中にいる生徒、先生、全員の動きが止まった
何の前触れも無く…
「初めまして皆さん」
教壇の前に現れた
「私、ワジンと申します」
皆固まっていた。文字通り、固まって動けなくなっていた
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「ご安心ください皆さん、今動けないのは皆様の後ろに立っている彼の
魔術によるものです。」
「ワジン様、この方々の世界に魔術は無く、今術により私を確認することは出来ません」
「あら、すいません、ではこちらに来てご挨拶を。」
「その前に」
シャツからジャケットまで黒いスーツのような服を着た男が背後から皆の前に姿を現し、黒板の前に立つ男女に話しかける…。
恐ろしい雰囲気を周囲に撒き散らしながら…。
「大人しく話を聞くならこの術を解いてやる、わかったら瞬きしろ」
男女は一瞬を置いて二人ともパチパチ瞼を動かす
「…よし」
黒スーツの男がそう呟くと男女は何かから解放されたように体を動かす
「説明するので座って頂けませんか?」
男はすぐに担任の席に着き、女性はその近くの予備の椅子に座る
「それでは改めまして、ワジンと申します。これよりこの部屋ごと私たちの国に召喚致しますが、できるだけ穏便に話を進めていきたいと思っております。で、今からこの二人のように皆様にかけている術を解きたいと思っているんですが、皆様いかがでしょうか?」
教室の皆は一斉に瞬きし始めた
彼女は説明する
今から教室にいる全員召喚されると
この世界ではなく、違う場所に転送されると
その世界ではこの世界の常識は通じないと
その世界では召喚された者に特別な力が宿ると
そして世界を救って欲しいと
生徒たちは様々な反応を見せた
さまざまな質問が飛ぶ
ワジンと名乗った女はすべての質問に答えた
そして何故か特別騒ぎ出す者や拒否する者は現れず
召喚が始まった
光で皆の視界が埋め尽くされる
皆にワジンが声をかける
すると生徒たちから驚きの声が上がる
窓の外はベランダ側も廊下側も岩の壁でふさがれていた。
ワジンと男はついて来いと言い教室の入り口から普通に出ていった。
その後を教師を先頭に恐る恐る出ていくとそこには
何人もの軍服を来た兵隊のような人たちと
白い軽自動車が有った