叛逆の皇女-22
長めです。
一振りの見慣れない剣が飛来して、『滅犠奴』のど真ん中に突っ込んでいった。
誰かが自棄になって、手持ちの剣を投げたのだろうか。
こんなことをしたって、仮に剣が魔抗銀で出来た祭礼用の剣だったとしても、大海原に小石を投げ込むような効果しか生まないことは誰の目にも明らかだ。
私自身の魔力は尽き、神級魔術どころか具現魔術すらまともに使える状態ではない。当然、身を守る『神壁』のような魔術は使えない。
魔術師たちは殆ど魔魂石が炸裂したときに倒れた。
ジェラルドも万策尽きたのか、炎を冷ややかに見据えている。
全身を魔力耐性の高いオリハルコンで固めているジェラルド以外は、まず間違いなくこの場で焼け死ぬ。意識ある者は、誰もがそう思ったはずだ。
しかし、そうはならなかった。
突如、紫の炎が、内側から吹き散らされるように掻き消えた。
炎の向こうに現れたのは、驚愕の表情を浮かべるライオネルと、その手前に突き刺さった一振りの剣。剣は緑色の光を帯びていたが、徐々に色を変え、黄金色の光を放ち始めた。
待て。
剣?
誰が投げた?
この状況で、剣を投げられるような奴が、居たか?
そもそもあの剣は何だ?
私の軍勢に、あのような様式の剣を持つ者はいなかったはずだ。
助かった安堵と湧き上がる疑問の狭間で私は、どこか苛立たしげな、覚えのある声を聴いた。
「お転婆過ぎだ、クソガキ。走り回って転んでた頃から何も成長してないぞ」
目の前に、虚空から湧くようにして、ローブを着た男性が現れた。
珍しい艶やかな黒髪を持ち、うっすらと黄色味を帯びた、どちらかと言えば白っぽい肌を持つ、人間。今はグレーを基調とした長いローブを羽織っている。男性としては小柄な部類に入る身の丈だが、全身から放射する圧倒的な魔力が彼を実際以上に大きく見せる。
アルキドア建国以来最強の魔導士。
法則を捻じ曲げる者。
神をも殺す魔人。
様々な評価を受けた末に、彼に定着した二つ名は『神殺し』。
もう1人の『魔神』、タカス・ハルトが現れた。
♢♢♢
神級魔術、『神の薬』を発動し、パーシヴァルやカミラ達の回復を行う。しかし、カミラはその高すぎる魔力耐性が災いして、回復のペースが異常に遅い。まともに動けるようになるにはかなり時間がかかるだろう。
その横、不機嫌そうに突っ立ているブロンズ像のような見た目の男、ジェラルドを見た瞬間、ついカーテナで切り付けそうになってしまったが、俺は寸でのところで踏みとどまった。
もう彼との間に確執はない。満身創痍のパーシヴァル達を背後に置いていることから、今は十分味方と判断できる。
向こうも向こうで舌打ちをしていたが、それ以上のことはしてこなかった。
よく見れば、全身が酷い有様だ。
どんな攻撃を受ければそうなるのか、ジェラルドの全身は微細なひび割れと凹み、傷で覆われている。
オリハルコンですらここまでにする攻撃とは、いかなるものなのか。俺には想像できない。
俺は唯一無傷でで立っている男に向き直った。
「タカス・ハルト……。あなたもカミラ様に加担していたとは……」
豪奢なローブを纏うこの男は、確かライオネルといったか。
俺の後釜であり、魔魂石の開発者であるこの男のことを、カミラは恨んでいた。
赤い石をあしらった首飾りを下げているが、そこから強烈な圧迫感を感じる。ついさっきも似たようなものを目にした。多分あれも魔魂石だ。
「俺は別にこのクソガキに協力してるわけじゃない。ただ、条約違反を犯したアルキドア帝国に制裁を加えに来ただけだ」
『投影』で刀剣状態のカーテナを引き寄せ、切っ先をライオネルに向ける。
「条約違反とは、おかしなことをおっしゃる。我々は疚しいことなど何もしておりませんが」
「正直なところ、別にどっちでもいいんだよ。ただの口実だし。でっち上げでも適当な口実で攻撃を仕掛けて、頭をこちらの意中の人物にすげ替えてしまえばそれで仕舞いだ」
「……かつての愚直はどこへやら。ハルト殿も、濁ってしまわれたのですね」
そう言って、ライオネルは魔魂石をあしらった首飾りを引きちぎり、放り投げた。
わざわざ武器を手放すような真似を、何故。
「ハルト!! 危ない!!」
カミラの叫びが聞こえ、さらに俺は魔魂石の表面に波紋が浮かぶ様子を見て取った。
波紋。
魔力が安定を欠いて魔法陣から漏出する時などに良く現れる。
魔魂石は神級魔術すら発動し得る膨大な魔力の集積体。その内側の魔力が安定を欠いたら、それはもう、『漏出』なんて生易しいものでは済むわけがない。
ゾッと全身が粟立った。
しかし同時に、俺は対策も練る。
果たして。
『滅犠奴』すら生易しく思える、魔術的な大爆発が起こる。
神級魔術をミサイルに例えるならば、この攻撃の規模は核ミサイルに匹敵する。
魔力の渦は城を越え、帝都を飲み込む――――ハズだった。
魔魂石の起爆は、結局強いフラッシュを引き起こしただけで、城の城壁1つ崩すこともできず、収束した。
「その翼は……貴様、一体」
ライオネルの視線の先にあるのは俺、ではなく、俺の背中に蠢く『虚無』の翼だ。
あらゆる魔力を正とするなら、この魔力の性質は負。あらゆるものを飲み込む、防御を許さない矛であると同時に盾でもある。
すなわち、魔力の起爆だろうと物質的な起爆だろうと、この『虚無』の翼は貪欲に飲み干してしまう。
爆発が広がらなかった理由は簡単だ。
俺は起爆の直前に翼を展開し、魔魂石の首飾りを翼で包囲して爆発の大部分を翼に吸収させた。
打ち消し合ってかなりの量の翼が消滅したが、幸い、出力そのものは俺の方が上だったようだ。爆発は一切の漏れなく全て消失した。
「う……」
もちろん、何の見返りも無くこんな出鱈目な力を使えるわけがない。
発動と引き換えに強烈な頭痛が生じる。
俺は無理に発動を維持し続けるのを止め、『虚無』の魔術を解除した。
瞬間、頭痛が嘘のように消え、背中から触手のように蠢いていた『虚無』の翼が雲散霧消する。
大きく息を吐いて呼吸のリズムを整えると、俺はライオネルを睨み付けた。
「テメェ……仲間も居るってのに……」
「……流石は歴代最強と謳われた魔術師、術の規模が段違いですね」
しかし、ライオネルは悪びれるでもなく、まだどこかに余裕を残している。
ピンチに陥ると爆笑し出す人種も居ることには居るが、こいつの『余裕』はそんな紛い物ではない。本当に、何か余裕の根源となる何かを隠し持っている。
魔術師相手に不用意な接近戦は御法度。俺は魔術に縛られない『投影』や神級魔術を扱えるので、基本的にはこの原則を無視してまず相手の手のうちを晒け出させるところから始めるが、現状普段の手法を当てはめるのは危険だと言えた。
俺1人であればいい。
しかし今は、多数の重傷者が至る所に横たわる屋内で、味方を後背に置いての戦闘だ。守りきれる自信が無い。
カミラ達を撤退させるまでは、後手に回らざるを得ない。
「慎重ですね。過去2回の失敗が堪えましたか」
「痛い程学んでるからな。確実な勝利のためには、感情を抑え込むことも必要だ」
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。あなたが残していった言葉でしたが……」
あからさまな挑発だ。
その明け透けな様が、俺に更なる警戒感を抱かせる。
突撃する代わりに、頭の中で複雑なイメージを構築していく。
物質具現、鉄壁。
物理障壁。
魔力障壁。
それに類する数々の障壁魔術の術式群と、封印魔術を複数個。
全てライオネルを確実に封印するためのものだ。
殺すのは容易い。ライオネルが確実に想定していない『投影』による雷撃を致死量浴びせかければそれで済む。しかし、そうはできない理由がある。
コイツには生きて情報を吐かせる必要があるのだ。
魔魂石に関する情報の一切合財。その製法。或いはその破壊法。
また、魔魂石製造の責任を皇帝と共に民衆の前で取ってもらう必要もある。そうすることが、カミラの政権を安定させる一助となる。
捕縛を狙う俺と、俺を誘い込むライオネル。
互いに動かない以上、膠着状態が続く。
「……ハルト殿、あなたの思慮深さは評価に値しますが、いささか優柔不断が過ぎましたね」
「……何?」
「この城には、重要なポイント全てに魔魂石が仕込んであるんですよ。いざという時のためにね」
ライオネルは、今にも声を上げて笑いだしそうな表情を浮かべて、口上を宣う。
俺はと言えば、その間もイメージの錬成に腐心していた。
『投影』はともかく、魔方陣の構成には時間がかかる。
「魔魂石の最も面白い性質は、魔力の連鎖反応にこそあります。ある波長に揃えた魔魂石の波動は、他の魔魂石にも作用して一気に誘爆します。分かりますか。たった一個の引き金を引くだけで、広範囲をまとめて殲滅することも可能なんですよ」
そこまでライオネルの言葉を聞いて、ようやく全てがつながった。
挑発の意味。消えない余裕。魔魂石の起爆。
何か隠し持っていると警戒させて、瞬間的に決着を付けられないようにするための、裏の裏。
「まさか」
おかしいとは思った。
どうしてライオネルはこんな密室で魔魂石を起爆させたのか。生じた爆発は、明らかに並の魔術で防げる次元を超えていた。1個や2個の魔魂石なら神級魔術を持ちだせば防げるかもしれないが、首飾りについていた9個もの魔魂石がまとめて爆発したとなれば、『魔神』級の力が無ければ防ぎきれない。魔魂石をも手放したライオネルに、そんな力があるわけもない。
最初からこいつは、自分の命を勘定に入れていなかった。
最初から、死ぬ前提で戦闘を進めていた。
そこまでの覚悟でここにとどまる理由は何か。
皇帝を逃すための殿。
他にはあるまい。
と、なれば、コイツの目的も見えてくる。
どうせ死ぬなら俺たちも道連れに。
魔魂石の炸裂に巻き込んで、共に死ぬ。
「チッ」
そこまで思い至ったところで、俺は式の大部分を中止し、神級魔術『神の鎖』1本に絞って魔術を発動した。
対象はライオネル。その動きを、一刻でも早く封じるため。
赤い魔方陣がライオネルの足元に浮かび、消え、代わりに赤黒い鎖が12本、ライオネルに絡みついていく。
ライオネルは抵抗らしい抵抗も見せず、鎖に囚われた。
「もう遅い。まとめて起爆した魔魂石の波動は城壁を突き抜け、倉庫の魔魂石を励起させた。起爆に必要な数十秒は、あなたが自ら稼いでくれた!」
奥歯を噛み締める。ともすれば奥歯そのものが砕けかねない強さで。
智謀で鳴らすライオネルが、自身の命すら組み込んだ作戦を実行するわけがない。そう思い込んだ時点で俺は負けたも同然だったのだ。
「クフ、フ」
ライオネルの口から、絞り出すようなくぐもった音が聞こえる。
「フハ、ハハハ、ハハハハハハハハハハ!」
その音はすぐに、狂ったかのような大笑いへと変化した。
策にはまり、共に沈み行く俺達を蔑むようにして、ライオネルは哄笑する。
せめてここに居る者達だけでも。
そう思って、数々の障壁魔術を発動し、俺の周囲の人員を覆い尽くすようなドーム状の巨大な障壁を構築した。
しかし。
その障壁は、突然木端微塵に粉砕された。
「俺と戦ったときは、もう少し戦術にキレがあったが」
誰が。
そんなことは問うまでもない。
「障壁魔術は必要ない。時間稼ぎご苦労、タカス・ハルト」
ジェラルド・アウリカルクムが、蜘蛛の巣を払うようにして、障壁魔術を粉砕した。
何故、こんなことを。
驚愕の最中浮かんだ仮説は、こうだ。
すなわち、コイツもライオネルの側だったのではないか。道連れの邪魔をする俺の魔術を粉砕すれために、今まで味方の振りをして……。
しかしその推測が誤っていることは、すぐに証明された。
何も起こらない、という異常な事態によって。
「何だ、どういうことだ……」
何も起こらない。
待てど暮らせど爆発は起きない。
今度こそ、ライオネルは完全に余裕を失った。懇願するような、すがりつくような声音で、弱々しく声を上げる。
「爆発はどうした、魔魂石の誘爆が、何故起きない」
「魔魂石とやらは、もう爆発しない」
オリハルコンの形状を変え、凶悪な爪を形作ったジェラルドが、『神の鎖』に囚われたライオネルの許に歩み寄っていく。
俺はカーテナを構え、いつでもジェラルドを止められるように座標書き換えのイメージを練り上げた。
「魔魂石は、オリハルコンに包まれた状態でも炸裂できるものなのか?」
蒼白だったライオネルの顔が紅潮し、歯を噛み締める不快な音がここまで響いてきた。
「そうか、貴様……。最も警戒すべき『魔神』がやけに大人しかったと思えば、裏でこそこそと……。タカス・ハルトに全ての戦いを任せ、その間自分は魔魂石を根こそぎオリハルコンでコーティングしていた……そういうことか」
「力の使いどころの問題だ。コイツの力は強力には違いないが、応用性に乏しい。まとまった爆発には対応できても、散発的な爆発には対応できない。魔神2人を同時に相手取る等という無謀に臨むべきではなかったな」
振り上げた金属質の爪が、動けないライオネルの首元目がけて振り下ろされた。
俺は両者の間に割って入るように空間を超え、『破断』を帯びたカーテナで爪を受け止めた。鈍い金属音が鳴り、刀と爪が拮抗する。
「何のつもりだ、タカス・ハルト」
「こっちの台詞だ。コイツをここで殺す意味は無いだろうが」
「俺は依頼主の意思を尊重する。退け」
「ここで殺すよりも生かしておいた方が後々使い勝手が良いことぐらい、お前なら分かるだろ」
「将来の利益に目がくらめば、足元を掬われるぞ。城壁に妙な仕掛けを施していたような奴が、他に何の策も無いと本当に思っているのか?」
「コイツにはまだまだ吐いてもらわなきゃならない情報が山のようにある。今はまだ、殺させるわけにはいかない」
言葉を交わすその間も、互いにギリギリの力で刃と爪を押し付け合っていた。その均衡が崩れたきっかけは、俺でもジェラルドでもなく、まだ治療中のはずの、カミラだった。
「ジェラルド、下がって」
「……了解した」
互いの武器をそれぞれ思いっきり押し付け合い、その反発を利用して一気に距離を取る。
俺は『優しき眠り(ヒュプノス)』を発動して、ライオネルの意識を奪った。同時に『神の鎖』を解除し、ライオネルを転がす。いざという時には抱えて逃走できるようにするためだ。
後退したジェラルドの代わりにカミラが、前に進み出てきた。
そこに俺の家に置いていた時のようなおちゃらけた雰囲気は既に無く、血に塗れつつも色褪せない風格を感じさせる佇まいを見せるカミラ。
1国を統べる者としての自覚がそうさせるのか、彼女の母親の血がそうさせるのか。
「ハルト、私はそいつを殺す。そいつと皇帝を殺すことで私のクーデターは成る。だから、退いて」
「何度も言わせるな。感情だけで動くよりも、実利を優先しろ。コイツをここで殺すより、後で魔魂石製造の責任者として公開処刑でもした方が遥かに有益だろ」
「そいつは母の処刑の原因を作り、何万という国民を殺した男だ! 今殺して何が悪い!」
カミラのベースにあるのは、感情だ。
大切な人を奪われたことによる喪失感と深い絶望が彼女の根底を為している。
利益と不利益を説いても、今のカミラには一切響かない。
そう判断した俺は、無駄な努力を止めた。
感情を揺さぶるには、感情しかない。
「憎悪で動く奴は最後には必ず失敗する。憎悪を振りまいて自分もまた憎悪を集める化物になるか、そもそもその手前で転ぶか、大体そのどちらかだ」
「知ったような口を利くな! お前に母を奪われた私の気持ちがわかるわけないだろ!!」
「分かる。分からないわけがない」
檄したカミラだったが、淡々とした俺のペースに飲まれ、言葉に詰まった。その隙を突くようにして、俺はさらに言葉を連ねる。
「俺は母も、父も、弟も、祖父母も、従妹も、友人も、恩師も、全部奪われた。それどころか、努力の末に勝ち取ったある学舎に入学する権利も、それを起点とした新生活も、将来の夢も、娯楽も、故郷も、家も、持ち物も、およそ人間が持ち得る全てのモノを突然奪われた」
それがおよそ6年前の事。
ゲームをしていたはずなのに、俺は突然この世界に飛ばされた。翌月から始まるはずだった大学生活は露と消え、俺は弱肉強食のこの世界で、生き抜くために強くなった。
「分かるか。全てだ。何もかも、全てだ。俺から全てを奪った奴は、結局誰なのか分からない。そもそも人なのかどうか、そこから怪しい。憎む対象すらあやふやで、明確な憎悪を認識することなく、俺は日々を過ごした。そうやって気付かないうちに蓄積していた憎悪が形を為したのは、今からおよそ4年前、アルキドアとリアナの国境付近の小さな村でのことだ」
閑静な村だった。しかしその村は盗賊の被害を受けていて、己の力を過信していた俺は、盗賊の捕縛を進んで引き受けてしまった。
それが惨劇の始まりだった。
「村を盗賊が襲撃した。村の惨状を目にした俺は、村全体を覆う結界を張って盗賊共の逃げ道を封鎖した後、1人ずつ、カーテナを使わず、魔術も使わず、この手で引き裂いた。肉を引き裂き、目の間で命の灯が消えていくのを、俺は何度も目にして、大笑いした」
あの夜を、俺は一生忘れられないだろう。
あれからも散々死闘を繰り広げてきたが、あそこまで血に塗れたことは一度も無い。
「本来なら、そこまでする必要はない。今の俺が仮に同じ状況にあったとして、皆殺しにはするかもしれないが、わざわざ惨殺はしない。この時の俺は、何もかもを奪われた矛先のない憎しみを、たまたま現れた盗賊に向けた。結果、俺は盗賊を素手で引き裂いて笑う化物になった」
刀を降ろし、俺はカミラの目を睨み付ける。
「なあ、カミラ、お前もこちら側に来るつもりなのか? 憎しみに駆られて人を殺す、化け物に」
「…………」
カミラは目を閉じて何かを思案するような様子を見せた。
再びその目を見開いたとき、その表情には覚悟が見て取れた。
何を考え、何を決めたのか。
カミラがここで自らの手でライオネルを殺すことを諦めるというなら、俺はここからカミラを全力でサポートする。皇帝を追う梅宮さんと合流し、クーデターを完遂させる。
もし、ライオネルの殺害を諦めないのなら、その時は、武力と武力をぶつけ合い、勝った方が自身の思い通りを為す以外に無い。
カミラの出した、結論。
それは。
「……私は、やはりそいつを許せない」
具現魔術で形作ったサーベルを俺に向け、カミラは冷めた表情でそう言った。
突貫で2話分を繋げました。
今までは病気療養中の空き時間に用意した書き溜めがありましたが、それもこれで最後です。以後、本来のスローペースに戻ります。
既に執筆以外の娯楽は捨てていますが、さすがに二次試験前なので、執筆も来週ぐらいから一度停止します。
そのまま永久停止は絶対にしないので、見捨てないでやってください。




